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2015年07月29日

[統合失調症の歴史と症状2:E.ブロイラー“4つのA”とK.シュナイダーの“一級症状”]

統合失調症の歴史と症状2:E.ブロイラー“4つのA”とK.シュナイダーの“一級症状”

オイゲン・ブロイラーは、統合失調症の“基本症状”として『4つのA』を定義して、それ以外にも陽性症状をはじめとする『副症状』を上げている。

統合失調症の歴史と症状1:E.クレペリンとE.ブロイラーの精神病理学

1.観念連合の障害・連合弛緩(loosening Association)……観念・思考を適切に意味のある形にまとめることができなくなる症状で、思考プロセスの障害である。連合弛緩が起こると、意味の分からない支離滅裂な発言(言葉のサラダと呼ばれる発言)をしたり、他者との通常のコミュニケーションがあまり成り立たなくなってしまう。

言語的・内面の思考的な機能障害としての特徴を持つ。躁病の観念奔逸のように無数の観念(アイデア)が次々に湧き上がってきて、思考が上手くまとめられなくなるような症状もある。

2.自閉性(Autism)……自分の内面に引きこもったり、他者への興味関心を完全に失って呼びかけに反応しなくなってしまう症状。内的な妄想の世界や病的体験の世界に閉じこもってしまうことで、通常の日常生活や人間関係に適応できなくなってしまう。

3.感情の障害(blunted Affection)……喜怒哀楽の感情が鈍麻したり平板化したりすることで、相手や状況に合った適切な感情の表出・伝達が出来なくなってしまう。統合失調症の『陰性症状』としての特徴を持つ。

4.両価性(Anbivalence)……『愛情と憎悪・歓喜と苦悩』など正反対の矛盾する感情が同時に存在して葛藤する症状。感情に従った価値判断が困難になったり、理屈に従う合理的意思決定ができなくなったりして混乱してしまう(パニックに陥ってまともな判断・行動の選択が不能になる)。

代表的な副症状には、以下のようなものがある。

幻覚(illusion)……実際には聞こえない音が聞こえる幻聴。実際には見えないものが見える幻視。

妄想(delusion)……具体的根拠を伴わない病的な間違った思い込みや誤解のある確信であり、他人から説得されても訂正・修正が困難という特徴を持っている。

関係念慮・関係妄想……実際には自分とは関係のない他人や出来事について、自分と何らかの関係がある(あるいはその他人から何らかの被害・嫌がらせなどを受けている)と思い込んでしまう妄想である。

統合失調症の代表的な症状としては、ドイツの精神科医クルト・シュナイダー(Kurt Schneider, 1887-1967)『一級症状』というものもある。

1.思考化声……自分が心の中で考えていることが声になって聞こえる。

2.対話形式の幻声……実際には存在しない別人がいてその人と対話しているような幻聴。

3.自己批判的(自己否定的)な幻聴……実際には存在しない別人から自分を否定・批判されているような幻聴。

4.身体への影響体験……実際には存在しない誰から影響を受けて身体の感覚・行動に影響を受けてしまうこと。

5.させられ感情……実際には存在しない誰かが自分の感情に影響を与えてくると感じること。

6.させられ思考(思考干渉)……実際には存在しない誰かが自分の思考に影響を与えてくると感じること。

7.させられ行為(作為体験)……実際には存在しない誰かから『何かをするようにという指示・命令』を受けて、操られるかのように指示・命令された行為をしてしまうこと。

8.被影響体験……実際には存在しない誰かから『心身両面に及ぶ何らかの影響』を受けること。

9.思考奪取……自分が考えていることを誰かから奪い取られてしまうように感じること。

10.思考伝播……自分が考えていることを何も言っていないのに、その内容が相手に伝わっている(思考内容が漏れている)ように感じること。

11.妄想知覚……具体的根拠や現実の証拠がないにも関わらず、間違った想像・空想に基づく知覚や意味づけをしてしまうということ。

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posted by ESDV Words Labo at 07:38 | TrackBack(0) | と:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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