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2015年08月12日

[症状精神病と各種の身体疾患との相関関係:内分泌疾患などによる精神障害の発症]

症状精神病と各種の身体疾患との相関関係:内分泌疾患などによる精神障害の発症

症状精神病は『各種の身体疾患(基礎疾患)』に付随する形で発症・経過する精神疾患であるが、そういった狭義の症状精神病を引き起こしやすい身体疾患には以下のようなものがある。

H.H.ウィエックの通過症状群と一般身体疾患の影響による譫妄・気分障害

1.糖尿病……インシュリン注射療法で、過剰投与による低血糖が起こると『欲求と関心の消失・傾眠による意識水準低下・譫妄・もうろう状態』といった精神症状が起こり、悪化すると昏睡になってしまうリスクもある。糖尿病に伴う一般的な精神症状としては、『不安感・抑うつ感・意欲低下・心気症(ヒポコンドリー)』などがある。

2.尿毒症(腎不全)……透析治療が必要となる腎不全による尿毒症では、『疲労感・倦怠感・抑うつ感・不安感・睡眠障害』などの精神症状が見られ、悪化すると嗜眠(しみん)・昏睡になってしまうリスクもある。尿毒症の経過では、『譫妄・錯乱・緊張病(外的刺激に対する反応が乏しい状態)』といった症状精神病の症状が出てくることもある。

透析治療のプロセスにおいて、血液と中枢神経系の間で血液内の物質の濃度差ができる症状を『透析不均衡症候群』というが、この透析不均衡症候群が発症すると『脱力感・疲労感・不安感・頭痛・譫妄・錯乱・昏睡』の症状精神病の問題が出てくることがある。長期間に及ぶ透析治療は、脳への器質的ダメージや病的変化を引き起こすリスクがあるが、その場合には『脳器質精神症候群』と呼ばれる人格変化・知能低下などの症状が出てくることもある。

3.心疾患……心臓疾患は致命的疾患にもなり得るため、『死の強い恐怖』に襲われやすく、『不安感・恐怖感・抑うつ感・軽躁状態・イライラ』などの精神症状がでやすい。心不全の発作が起こる時にも、『注意力低下・集中困難・記憶力低下・睡眠障害・譫妄』などの症状がでやすい。

4.肺疾患……長期喫煙者に発症しやすい『COPD(慢性閉塞性肺疾患)』の患者は、慢性的に息苦しさを感じる『呼吸不全症状』があるので、その影響で『不安感・イライラ(不機嫌)・傾眠・軽躁』などの精神症状がでやすく、悪化すると『譫妄・昏迷・昏睡』などに至りやすい。

5.肝疾患……肝疾患による肝機能障害に伴って、『抑制欠如(衝動性の抑制困難)・抑うつ感・多幸感』などの症状精神病の精神症状が出やすくなる。肝疾患が重症化すると『譫妄・もうろう状態』といった幻覚・妄想を伴うタイプの意識障害も見られやすくなり、肝臓がんの末期などでは外的刺激に全く反応を示さなくなる『肝性昏睡』に至る。

6.血液疾患……脳出血など出血傾向が強まる白血病では、『譫妄・幻覚・妄想』の精神症状が見られやすく、再生不良性貧血でも譫妄の意識障害が起こりやすい。治癒しづらい悪性貧血では、『疲労感・倦怠感・神経衰弱(意欲喪失・集中困難など)・傾眠・妄想・幻覚・感情平板化』などの症状精神病の状態になりやすい。

7.膠原病(自己免疫疾患)……自己免疫が過剰反応することによって発症するのが膠原病だが、膠原病の中でも特に『全身性エリテマトーデス(SLE)』が症状精神病を起こしやすい身体疾患(自己免疫疾患)として知られている。『譫妄・軽躁・抑うつ・幻覚・妄想・錯乱・昏迷』などの症状精神病としての意識障害を伴いやすいのが、全身性エリテマトーデス(SLE)の特徴の一つである。

8.電解質異常(代謝異常)……熱中症・脱水状態で発症する“高ナトリウム血症”では、『疲労感・倦怠感・不安感・譫妄・幻覚・妄想・記憶障害・見当識障害・痙攣発作』などの症状精神病の状態が起こりやすくなる。高ナトリウム血症の重症事例では、『昏睡・呼吸麻痺』などの致命的リスクが生じることもある。

激しい嘔吐・下痢によって起こる“低ナトリウム血症”では、『欲求消失(無為)・易疲労性・不安感』などの症状がでやすく、重症になると『痙攣・譫妄・昏睡』などが起こって致命的リスクが生じる。

アジソン病のクリーゼ(ショック状態)・腎不全・糖尿病では“高カリウム血症”が見られることがあるが、『嗜眠(しみん)・意識障害』が発症しやすくなる。飢餓・下痢・尿崩症では“低カリウム血症”が見られ、『不安感・抑うつ感・嗜眠・欲求消失』の症状が出たり、重症になると譫妄も起こってくる。

9.感染症……インフルエンザの感染症では、『抑うつ・譫妄・アメンチア・幻覚・妄想』の症状が出てくることがあり、重症化した時には脳炎・髄膜炎の合併症に注意が必要である。肺炎でも重症化すると譫妄の意識障害が起こりやすくなり、『不安感・抑うつ感・錯乱・興奮』などの症状も出てくる。

結核の感染症では、意欲・活動性が低下する『神経衰弱』が起こりやすく、重症化すると『譫妄・健忘(健忘症候群)』も出てくるが、抗結核薬を投与している時には薬物による中毒性精神病との鑑別診断をしなければならない。腸チフスの感染症では、発熱・脱水の影響を受けて譫妄の意識障害が起こりやすい。

10.内分泌疾患……生体ホルモンの内分泌系が障害される“内分泌疾患”と脳内の情報伝達物質のバランスが崩れる“精神疾患”には、元々密接な相関関係がある。

『内分泌疾患を基礎疾患とする症状精神病』は、『内分泌精神症状群・健忘症候群・外因反応型』の3つに分類することが可能である。

“内分泌精神症状群”では、『気分や感情の障害・意欲の低下や亢進・抑うつ感・軽躁状態・欲求の変化』などの双極性障害に類似した症状が見られるが、不機嫌さ・不安感・焦燥感の入り混じった『混合状態』に近いものである。

重症の内分泌疾患に伴う“健忘症状群”では、『記憶障害・思考障害・判断力低下・感情の障害』などが見られやすい。“外因反応型”では、特定の身体疾患(外因となる疾患)に対応した各種の意識障害が起こりやすくなっている。

11.ビタミン欠乏症……ビタミンB2群、ニコチン酸の不足によって起こる“ペラグラ”には、皮膚紅斑、消化器症状(下痢・食欲低下)、神経症状(頭痛・不安・幻覚)の症状が見られる。

ペラグラのようなビタミンB2群・ニコチン酸の不足は、『易疲労性・刺激性・睡眠障害・不安感・抑うつ感・躁状態』などの周期性の精神症状を引き起こすが、重症化すると『譫妄・アメンチア・幻覚・妄想』などに苦しめられ、『コルサコフ症候群・認知症』など致命的疾患に至ることもある。

12.妊娠・産褥期……妊娠中は一般的には精神状態が安定しやすいが、妊娠の初期3ヶ月または妊娠の末期3ヶ月は、性ホルモンのバランスの乱れによる重症の精神障害が発症するリスクが高くなるとされる。妊娠は『気分や感情の変化・食欲の変化・活動性の亢進あるいは低下』を引き起こしやすい。妊娠中毒症にかかると、てんかん発作が併発するリスクもある。

妊娠初期に起こりやすい症状精神病は『神経衰弱・易疲労感・興奮』であり、妊娠末期に起こりやすいのは『抑うつ感・神経過敏・不安感』である。子供を産んだ後の産褥期(さんじょくき)は、一般にマタニティブルーと呼ばれることもあるが、精神疾患を発症したり再発させたりしやすい時期と考えられている。

産婦の1〜2%に何らかの精神症状が見られたり、持病の内因性精神病が再発再燃するとも言われるが、症状精神病としては『抑うつ感・興奮・錯乱・神経過敏・譫妄・アメンチア』などの症状が出てくることがある。

症状精神病を引き起こす主な内分泌疾患としては、以下のようなものがある。

1.甲状腺機能亢進症(甲状腺機能低下症)

2.副甲状腺機能亢進症(副甲状腺機能低下症)

3.下垂体機能低下症

4.粘液水腫

5.クッシング症候群(副腎皮質ホルモン分泌の異常亢進)

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posted by ESDV Words Labo at 09:56 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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