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2015年09月09日

[セルマ・フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)の乳幼児精神医学と母子間の投影同一視の研究]

セルマ・フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)の乳幼児精神医学と母子間の投影同一視の研究

アメリカの女性精神科医のS.フライバーグ(Selma Fraiberg,1918〜1981)は、『母親の無意識的幻想』『乳幼児の無意識的幻想』が相互作用すること、『内的世界にある重要な意味合いを持つ表象(イメージ)』が世代間伝達される可能性があることに気づいた。

乳幼児精神医学・児童精神医学2:乳幼児に対する非言語的コミュニケーションを用いた診察・心理療法

それらの無意識領域に関する推測・知見を活用することで、メラニー・クラインの対象関係学派(英国独立学派)をまるで先取りするような『無意識の世界の探求と臨床応用の模索』を精力的に行ったのである。

S.フライバーグは、1970年代に精神分析的(力動心理学的)な乳幼児精神衛生の研修教育システムを構築したが、その研修教育システムの中心は、乳幼児を抱える母親の心理教育を前提とした『家庭訪問による母・乳幼児の合同面接』にあった。

S.フライバーグの母子合同面接の研修教育システムの先見性は『母親の心理状態・養育態度・防衛機制』『子供の心身の正常な発達プロセス』に良い影響を与えることもあれば悪い影響を与えることもあるという、『母子の心理状態の相互性』を指摘したことにある。

母子合同面接は乳幼児精神医学の臨床の基礎にもなっているが、フライバーグは多くの母子の臨床経験を積み重ねる中で、『乳幼児の存在や泣き喚きの知覚が、母親の子供時代のトラウマ(情緒的苦痛)をフラッシュバックのように蘇らせる可能性があること』に気づいた。

母親が子供に必要以上にきつく当たったり、攻撃的・支配的な形で関わろうとしたり、虐待的な暴言・暴力を振るったりする背景には、『子供時代から持ち続けている母親の内的葛藤・トラウマ的苦悩』『乳幼児との対象関係(自分が子供時代だった頃の自分の姿を思い起こさせられる我が子との対象関係)』に投影されているという事情があるのだという。

母親が子供時代から持っている内的葛藤あるいはトラウマ的苦悩が、乳幼児(我が子)との対象関係に投影されたり、『乳幼児と大人の自分の境界線』がなくなって一体化したような感覚(子供時代に自分が戻ってしまったような感覚)に陥ってしまう投影同一視が起こったりすることがある。S.フライバーグは育児環境で投影同一視(投影同一化)が起こって、母親が子に対する保護者としての機能を果たせなくなる現象のことを『赤ちゃん部屋のお化け(ghost in the nursery)』という概念で表現した。

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posted by ESDV Words Labo at 18:52 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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