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2015年09月26日

[乳幼児の心理臨床的な治療法の分類と母子合同(親子合同)カウンセリングの基本]

乳幼児の心理臨床的な治療法の分類と母子合同(親子合同)カウンセリングの基本

乳幼児期の子供が精神症状や問題行動(不適応行動)を見せている時の治療法は、原則として、母親(養育者)と乳幼児(子供)をペアとして取り扱う『母子合同カウンセリング(母子合同の治療)』が採用されることになる。

母子合同カウンセリングにおいては、乳幼児は自分の意見・感情・苦痛を言葉にして話すことはできないが、表情を変えたり泣いたり怒ったり、うつむきがちになったり抑うつ的になったりなどして『非言語的コミュニケーション』によって、自分の感情・気分・問題の存在を訴えかけてくることが多い。

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母子合同の心理臨床的(精神医学的)な治療法は、大きく分けて以下の3つがある。これらの3つの治療法は、乳幼児の正常な発達と能力獲得を促進すること、乳幼児の二次障害の発生を予防すること、親(養育者)の心の健康を回復して適切な親子関係を持てるようにすることをその目的にしている。

1.短期的な危機介入……急性の一時的な出来事や外部的な要因によって、乳幼児の問題が起こっているケースに対する『危機介入的(問題解決的)な数回程度のカウンセリング』である。母親と乳幼児の双方に深刻な心理的・情緒的な問題がなく、母親の養育能力や適応能力も失われていない場合には現実的な即効性が期待できる介入と言える。

2.心理教育的介入(発達ガイダンス・支持的療法)……親(養育者)の悩み・不安を傾聴して、子育ての仕方や問題の解決法について分かりやすく実際的に教える心理教育的な介入と親子間の絆の強化を行っていく。心理教育的な介入は『知識・ノウハウ(マニュアル)』に偏ったものであってはならず、現在の乳幼児に必要なものが何かを示唆する発達ガイダンスと、親(養育者)の情緒的不安を支持的にバックアップする(支持的療法の役割を果たす)ものでなければならない。

3.乳幼児・親心理療法(親子合同のカウンセリング)……親の乳幼児(子供)に対する『投影同一視の原始的防衛機制』を分析することで、自分が過去の抑圧された親子関係の記憶・情動に無意識的に影響されていたことに気づいてもらい、その自覚と反省に立って『親子関係の情緒的・機能的な改善』を促進していくという精神分析的療法からのアプローチである。

母親と乳幼児の発達早期の人間関係は、『基準参照枠』あるいは『内的作業モデル』として、乳幼児の心理に内面化されていくことになるが、その後のあらゆる人間関係のプロトモデル(原型)を準備するという意味で極めて重要なものである。しかし、母親と乳幼児(子供)の情緒応答性に支えられた良好で相互的な人間関係は、『乳幼児の要因(情緒応答の難しい障害児・未熟児・自閉症など)+母親の要因(虐待されたトラウマ・産後うつ・育児不安など)+成育環境の要因(貧困・孤立・夫婦関係の悪さなど)』によって障害されてしまうリスクもある。

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posted by ESDV Words Labo at 05:03 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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