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2015年10月06日

[D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論]

D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論

アメリカ生まれでスイスに渡った精神科医ダニエル・スターン(Daniel Stern, 1934-2012)は、乳幼児の精神発達や発達早期の母子関係の精神分析的研究で多くの功績を残した人物である。

発達早期の母親と乳幼児が、お互いの行動の背後にある感情・気分を読み取るという『情動調律(affect attunement)』について指摘し、母親と乳幼児が時間経過によって変化する『生気情動(vitality affect)』を交換しているとした。

現代の乳幼児研究では、言葉をまだ話せない乳児にも『感覚・知覚・認知(人の区別)』などの優れた能力と主観的体験が備わっていることが明らかとなり、それらはスイスの心理学者ジャン・ピアジェ(Jean Piaget, 1896-1980)の思考発達理論(認知発達理論)が想定していた『段階的な認知能力の発達』という前提を覆すものでもあった。

乳幼児の触覚図式や視覚図式には『段階的な能力統合のステップ』がなくて、生まれてからすぐに先天的に触覚図式と視覚図式を統合する能力が備わっていることから、この先天的かつ統合的な知覚・認知の能力のことを『無様式知覚(amodal perception)』と呼んでいる。

ダニエル・スターンの乳幼児を観察・研究の対象にした早期発達理論の課題は、直接的な乳児観察から得られる『被観察乳児(observed infant)』の理論と、古典的な精神分析理論や臨床データから仮説的に構成された『臨床乳児(clinical infant)』の理論を統合することであった。

D.スターンの乳児発達理論は『自己感(sense of self)』と発達早期の母子関係を中心にしたものであり、社交性を持つ乳児の主観的体験を合理的・客観的に推測しながら、乳児の成長に従って四つの異なった自己感が出現してくると考えた。一つの自己感が発達するためには、前段階の自己感からの発達的な飛躍がなければならないが、一度発達した自己感は終生衰えることがなく活発に作用し続けるという特徴を持っている。

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posted by ESDV Words Labo at 16:59 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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