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2015年10月06日

[D.スターンの“自己感の発達理論”と“4つの自己感”]

D.スターンの“自己感の発達理論”と“4つの自己感”

D.スターンが自己感の発達理論において、その存在を合理的・客観的に推測している『4つの自己感』というのは、以下のようなものである。

D.スターンの乳幼児研究と自己感の発達理論

1.新生自己感(the sense of an emergent self)……0歳〜2ヶ月までの乳児の自己感であり、中核自己感の形成途上にある段階である。『視覚・聴覚・触覚』で外界の物事や出来事をおぼろげに知覚しているが、それらの異なる知覚の間の関連性・統合性がまだ形成されておらず、視覚で捉えたものと聴覚で捉えたものが同じであるか否かの区別もできない。

2.中核自己感(the sense of a core self)……中核自己感は生後2〜6ヶ月で形成されてくる自己感であり、『自己の単一性+自意識の一貫性』があって自分と他者(外界)を区別する境界線を持った身体単位(個人単位)としての自己感である。幻想的一体感の状態にあって、はっきり区別できなかった自分と母親が『異なる意識・身体・情動・目的・歴史性を持つ別々の個体』であることに気づく段階でもある。

乳児は『分離‐個体化』の発達プロセスを経験することで、自分と母親が別個の存在であることを知るが、それと同時に自分が他者と共に経験したり感じたりできるという共生感についても学んでいくことになる。中核自己感では、マーガレット・マーラーが想定したような『分離‐個体化のプロセス(自分と他者の明確な境界線の確立)』だけではなく、『自己と他者の共感性・共同性』についても感じ取ることのできる感受性が備わっているのである。

3.主観的自己感(the sense of a subjective self)……生後7〜9ヶ月頃に形成される主観的自己感では、『客観的に観察できる行動』だけの理解ではなく『行動の背後にある動因としての精神状態(動機・意図・感情気分)』についても推測して理解できるようになっていく。

自分以外の他者にも自分と同じような心(精神状態)が備わっているという『心の理論』を習得する時期でもある。自己と他者の間で『観察可能な行動・表情・態度』などから心を読んだり読まれたり、波長が合ったり合わなかったり(相手と調和したり調和しなかったり)といった主観的体験を積み重ねていく。その結果、他者と上手く意思疎通したり協力したりする『対人関係スキル(共感・思いやり)・社交性』も発達していくのである。

4.言語自己感(the sense of a verbal self)……言語自己感は、生後15〜18ヶ月に形成される言語能力の獲得に裏付けられた自己感であり、自分の主観的体験を『言語化・客観化』することが可能になる。

自己と他者の間で『言語的コミュニケーション』を介して、複雑な記号・意味・言語をやり取りすることができ、より複雑かつ正確な『他者との相互理解+体験の共有と伝達』ができるようになるのである。上記した3つの自己感の体験を言語化して伝達することによって、人間関係のバリエーションが増えて、自己と他者との感情交流・協力と協働・好意と嫌悪の可能性も無限に広がっていくのである。

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posted by ESDV Words Labo at 17:01 | TrackBack(0) | す:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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