広汎性発達障害(PDD)の原因と生涯有病率・男女の発症率の差
広汎性発達障害(自閉症性障害)の発症年齢は“3歳以前の発達早期”とされ、その原因は親の育て方・愛情や友達との接し方といった『環境要因(後天的要因)』ではなく『生物学的要因・遺伝要因(生得的要因)』と考えられるようになっている。
広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:PDD)の『ローラの3つ組』:乳幼児期の発達障害
広汎性発達障害が『自閉症(autism)』として研究されていた初期には、統合失調症の早期発症例や『冷蔵庫マザー(愛情表現・優しさが足りない母親)』の育て方の失敗の問題として扱われることのほうが多かったが、現在ではそういった母子関係や育て方の環境要因によって広汎性発達障害が発症するという考え方は完全に否定されている。統合失調症と広汎性発達障害(PDD)も、その特徴が異なる精神疾患(発達障害)として整理し直されているのである。
広汎性発達障害の生涯有病率は“約0.1%(約1000人に1人)”であるが、現在では研究者や統計情報の取り方によって約1.0%以上の幼児に見られるといった見解もあり、『児童期〜思春期・成年期』になってから改めて発見される発達障害も含めると、約0.1%よりはやや高い割合で発症していると推測される。性別ごとの発症率では、男児のほうが女児よりも約3〜4倍多いとされている。
現在の広汎性発達障害(PDD)にまつわる主流の原因論では、『中枢神経系(脳)の成熟障害』が原因と考えられており、生得的に存在する器質的な脳機能障害によって『知覚・認知・感情(共感)・意志』などの高次脳機能が低下したり異常を起こすとされている。広汎性発達障害はまた『知的障害(精神遅滞)・てんかん・脳波異常』などとオーバーラップ(重複)しやすい。