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2015年10月29日

[ADHD(注意欠如多動性障害)・ADD(注意欠如障害):児童期の行動面の障害]

ADHD(注意欠如多動性障害)・ADD(注意欠如障害):児童期の行動面の障害

ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorders)『注意欠如・多動性障害』と翻訳されるが、『注意散漫・集中力の低さ・多動性(落ち着きのなさ)・衝動性(行動抑制のなさ)』を特徴とする幼児期・児童期に発症しやすい発達障害の一種である。

ADHDのうちで『多動性・衝動性』を伴わない『注意散漫・集中力困難』の問題だけが生じているものを『ADD(注意欠如障害:Attention Deficit Disorder)』と呼んでいて、成人にも見られやすい発達障害である。

ADHDは『親の育て方・養育環境(児童虐待)・本人の努力不足』などによって発症するものではなく(一部の仮説では養育環境の悪さや親の過度の放任がADHDの発症リスクを上げるともされるが)、『生得的な高次脳機能(前頭前葉)の実行機能・衝動制御の障害』『神経伝達物質(脳内ホルモン)の分泌障害による精神活動の活性低下』などが原因になっていると推測されている。

前頭前葉の『実行機能(計画・注意・集中による課題遂行機能)』『衝動制御(反射的に起こる衝動や欲求の適切な制御機能)』が低下しているというADHDの原因仮説に基づき、精神科・心療内科の薬物療法では中枢神経刺激薬である『塩酸メチルフェニデート(商品名リタリン,コンサータ)』が処方されることがある。

塩酸メチルフェニデートは覚醒剤に近い中枢神経を活性化させる成分を含んでいることもあり、その『依存性・耐性の副作用』が過度に心配されることがあるが、医師の適切な経過観察・指示指導に従っていれば、顕著に目立った塩酸メチルフェニデートの依存症が報告されているわけではない。日本ではADHDの治療薬として承認されているのはコンサータであり、リタリンは原則としてナルコレプシーの治療薬として処方される。

塩酸メチルフェニデート(コンサータ)に続く、国内2番目のADHD治療薬として『選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(DMRI,Dual Monoamine Reuptake Inhibitors)』のアトモキセチン(商品名ストラテラ)があるが、ストラテラは非中枢神経刺激薬なのでコンサータと比較すれば副作用は少なく抑えられている。

ADHDは児童期の女児よりも男児に多く見られる発達障害であり、小学校進学後に落ち着きがなく教室をうろうろと歩き回ったり、衝動を制御できずに大声を出したり暴れたりする傾向が見られ、ADHDは『集団生活・学校生活の不適応,集中して授業を受けられないことによる学力低下』を招きやすい問題の一つである。

ADHDは注意力・集中力が低下することから『学習障害・学習の遅れ・ワーキングメモリーの障害』などとも関係するが、学校生活や集団行動に上手く適応できずにいつも先生・親・周囲から注意や批判を受けやすく、その結果として『自尊心・自己評価の低下』や『拗ねてルールを守らなくなる行為障害』が起こってしまうことがある。

ADHDやADDの治療は、薬物療法(塩酸メチルフェニデート)だけで行われるのではなく、『家族・学校・友人などの理解と協力に基づいた環境調整+過剰な視覚や聴覚の刺激の制限(落ち着いて課題に取り組みやすい環境づくり)』も大切である。

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posted by ESDV Words Labo at 14:36 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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