ウェブとブログの検索

カスタム検索





2015年12月20日

[青年期精神医学の診断と治療のポイント2:発達圧力と子供・親・教師の相談体制]

青年期精神医学の診断と治療のポイント2:発達圧力と子供・親・教師の相談体制

青年期の患者の精神臨床で気をつけるべきポイントとしては、『発達促進的な視点を持つこと』『進学・就職など発達課題を達成しなければならないと思う発達圧力の考慮』がある。青年期の患者に対しては精神疾患を治療するという視点だけではなくて、精神的な発達の停滞を改善したり、発達の障害になっているものを除去したりすることで発達を促進するという視点を持つことが重要になる。

もう一つ、青年期の苦悩の根本的な要因になりやすいのは、いじめの問題を除けば、『進学しなければならない・就職しなければならないという社会的自立を志向する発達圧力』である。

青年期精神医学の診断と治療のポイント1:青年期の急激な精神発達と環境の変化

すなわち、学業や就活が上手く思い通りにいかないことによって、不適応(不登校)や自尊心の傷つき(無気力・ひきこもりなど)に陥りやすいということであり、『社会的・職業的な自立に向かう発達過程の焦燥感・自責感』などが精神疾患・神経症の症状を誘発してしまうことも少なくない。

青年期の精神臨床では、医師や臨床心理士、看護師、カウンセラー、精神保健福祉士などが、患者(クライエント)に特有の心理的世界や苦悩の原因などに共感的に寄り添って支持しながら、一緒に対処方法を探していくという姿勢が基本になってくる。

青年期にある患者(クライエント)の多くは、まだ社会経済的・職業的に自立しているわけではなく、両親と一緒に日々の生活をしながらその保護責任下にある。青年の精神疾患や心理的問題には家庭環境・親子関係の要因が直接間接に関係していることも少なくないし、両親からの情緒的支援が問題解決のバックアップにつながることも多い。そのため、『両親の治療への参加・動機づけの促進』を高めていくことも大きな治療目標の一つになる。

青年期の患者(クライエント)は『大人と子供の中間的な自意識・発達段階』にあるので、親をどのくらい治療・カウンセリングに関与させていくかは難しい問題であるが、最低限の職業倫理として『精神科・心療内科での治療の開始と本人の状態』については親に伝達しておく必要がある。

成人になっていない青年は法的には、責任能力が限定された子供であるからであり、更には精神科(心療内科)の病院での医師による治療には経済的負担も伴うし、万が一の場合の副作用のリスクなどもあるからである。青年だけが治療に訪れた場合にも両親に診療に来たことを伝えて、『現在の状態・治療の方針・リスクや副作用』について十分な説明をしておくべきということである。

反対に、青年(子供)本人は診療場面には訪れずに、親だけが精神科・心療内科に子供の問題を相談しに来ることも多い。その場合には、親だけとの心理面接(相談面接)をまずは行って、『子供についての悩み・相談内容』を共感的・支持的に聞きながら、親に対して子供にどのように接すれば良いのか、子供の現状と経過をどのように解釈すれば良いのかという『適切なガイダンス』を与えていくようにする。

子供に対する親の接し方やコミュニケーションの取り方が変わることによって『子供の精神科・心療内科の受診の動機づけ』が高まったり、『親子関係によるストレスや不安感の軽減の効果』が得られたりもするので、親だけを対象にした相談面接(心理面接)にも一定以上の意義があるのである。

特に中学校・高校の思春期の子供(未成年者)を精神臨床の対象にする時には、広義の『学校不適応の問題』が関係していることが多い。学校不適応の代表的なものは、『不登校・ひきこもり・非行・逸脱行為』などであるが、医師・心理臨床家・教師が相互に連携して相談体制を構築する場合にも、『子供本人に無断で本人に関する秘密の共有』をすることは原則として禁忌(タブー)である。

医師・心理臨床家は『親と相談するケース』でも『教師(先生)と相談するケース』でも、子供本人に関する守秘義務や子供本人とした約束をきちんと守る必要があり、親や教師(先生)と過度に馴れ合いになって『子供抜きでの相談・対応』ばかりになるのはかえって逆効果になりやすい。

子供本人とも率直な対話や情報共有を進めていくこと、子供本人と結んだ約束・守秘義務をきちんと守りぬくことが、精神臨床・カウンセリングに欠かせない『相互的な信頼関係(ラポール)の構築』へと結びついていくのである。

スポンサーリンク
posted by ESDV Words Labo at 07:07 | TrackBack(0) | せ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック