スクールカウンセラー(SC)とは何か?2:スクールカウンセラーの資格と公認心理師の新設
スクールカウンセラーになるために絶対に必要な業務独占資格というものはないが、現状では臨床心理学系の指定大学院修士課程が受験資格となっている『臨床心理士』の資格を保有するスクールカウンセラーが多くなっている。2015年に新設された国家資格の『公認心理師』は臨床心理師の専門分野・活動領域と重複するため、公認心理師の取得者にもスクールカウンセラーとして配置される人が出て来るだろう。
スクールカウンセラー(SC)とは何か?1:スクールカウンセリング事業の歴史と学校心理士
従来の臨床心理師と新設された公認心理師との違いは、『民間資格』である臨床心理師に対して公認心理師が『国家資格』であるということであるが、4年制の大卒で取得できる公認心理師に対して、臨床心理師のほうは資格取得までに臨床心理士指定大学院修了の約7年間が必要であるため、公認心理師のほうが資格取得の難易度が高いというわけではない。
国家資格の公認心理師は『名称独占資格』であり、民間資格において『心理士』の名称は使えるが『心理師』の名称は使うことはできない。
スクールカウンセラー(SC)として派遣される専門性のある人材が持っていることの多い資格には以下のようなものがあるが、現時点で最も多いスクールカウンセラーの保有資格は『臨床心理士』である。
1.臨床心理士(財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定)
2.医師免許・精神科医
心理学系学部の大学教授・准教授・助教
スクールカウンセラーに準ずる者(心理臨床業務または児童生徒を対象とした相談業務について一定の経験を有する者)
スクールカウンセリングの主要な対象となる子供(児童生徒)の問題は、いじめや不登校である。それだけではなく、各種の発達障害(アスペルガー障害,ADHDなど)、非行(反社会性)、無気力(スチューデント・アパシー)、友達や親との人間関係の問題、怒り・衝動性のコントロール困難、自傷行為・自殺願望(リストカット,アームカット,大量服薬のオーバードーズ)などが、スクールカウンセリングの中で取り扱われることがある。『大きな事件・犯罪被害・自然災害』が起こった時にも、危機対応的な児童生徒の『心のケア,メンタルサポート』を行うことが期待されている。
『心理的・対人的・精神医学的な問題』を背景に持つ子供(児童生徒)の悩み・不適応に、学校の先生や保護者だけで対応していくには限界があり、スクールカウンセラーの専門的かつ実際的な心理支援・問題解決のサポートが期待されている。スクールカウンセラーの実施するスクールカウンセリングは専門家一人だけでできるものではなく、『生徒・保護者・先生』と対話したり協力したりしながら問題解決に向けて進めていくものである。