スクールカウンセラー(SC)とは何か?3:スクールカウンセリングの研究委託事業といじめ問題
平成7年に、スクールカウンセリングの研究委託事業が開始された時に重視されたポイントは以下のような事項であった。
スクールカウンセラー(SC)とは何か?2:スクールカウンセラーの資格と公認心理師の新設
1.いじめ・不登校・校内暴力など、児童生徒の問題行動の解決に貢献するために臨床心理系の専門家を活用する。
2.財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定する「臨床心理士」など児童生徒の臨床心理に関する高度な専門的知識・経験を有する者を、スクールカウンセラー(SC)とする。
3.(当時の)スクールカウンセラー事業の予算規模は1億円である。
4.各都道府県ごとに、小・中・高のいずれか一校を指定し、都道府県、市町村教育委員会に委託する。
5.原則として研究事業期間は2年間である。
6.勤務形態は非常勤で、週2回、1回4時間程度の勤務とする。各校にスクールカウンセラー1名を配置することを原則とする。
スクールカウンセリングの研究委託事業では特に『いじめ問題』が重視され、国立教育会館に『いじめ問題対策情報センター』が設置されて、以下のような活動が実施された。いじめ問題対策情報センターはいじめの発生数の減少が確認されたとして平成12年で閉鎖されているが、実際には『学校側の隠蔽体質・統計に上がってこないいじめの問題』があったと見られており、平成20年以降はいじめの発生報告件数は児童虐待と同様に増加傾向(隠蔽されにくい傾向)が出てきている。
1.教育機関や一般の社会・人々に対するいじめ問題についての情報提供。
2.児童生徒、保護者、教育関係者からの電話、FAX、電子メール、手紙、来所などによるいじめに関する相談。
3.教育委員会や相談機関などからの要請に基づき、臨床心理学や生徒指導を専門とする学識経験者を、講演会・シンポジウムなどに派遣。
いじめ問題は『社会的な動物』である人間の集団力学や優越感・劣等感のコンプレックスと関わっているため、子供だけではなく大人の間のいじめも容易には根絶することができない。
いじめが全くないという国・地域・集団(一定以上の規模の集団組織)は未だ存在しないとも言われるが、スクールカウンセリングの専門的な対応によって『いじめの減少・撲滅』に大きな効果があったとは実証できていない状況(スクールカウンセリング事業の実施以降にもいじめの関係する傷害致死・殺人・精神的な追い込み・自殺などの事件が複数発生している)である。
スクールカウンセラーの法的身分は地方自治体・教育委員会からの任用を受けた『特別職』であり、実際に行っている仕事の内容を箇条書きにしてまとめると以下のようなものになる。
1.児童生徒に対する相談・助言
2.保護者や教職員に対する相談(カウンセリング、コンサルテーション)
3.校内会議等への参加
4.教職員や児童生徒への研修・講話
5.相談者への心理的な見立て・対応
6.ストレスチェックやストレスマネジメント等の予防的対応
7.事件・事故等の緊急対応における被害児童生徒の心のケア