ウェブとブログの検索

カスタム検索





2016年02月04日

[ノマド(nomade)とは何か?1:近代的な国民国家・労働規範における異質性・反対性の観念]

ノマド(nomade)とは何か?1:近代的な国民国家・労働規範における異質性・反対性の観念

ノマドとは具体的な存在としてはロマ(ジプシー)の遊牧民や砂漠の商隊(キャラバン)を指しているのだが、現代思想ではリゾームと並んで近代的・国家的な縦の階層序列にはめこまれない『自由・漂流・自己責任・不確定・自律』の表象としてノマドの概念が用いられることが多くなっている。

ノマド(遊牧民)は、ナチスドイツからロマ(ジプシー)の人々が迫害され弾圧されたように、基本的性質として近代的な国家権力に十分に従属せずに『自律的・自然的・伝統的な遊牧生活』を送ろうとする性質を持っている。

ノマドロジー(nomadologie):ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』の現代思想

束縛を嫌う自由なノマドは、『近代的な国民国家の一員(国民)』として規則正しい労働者生活(サラリーマン的な生活)や学校教育の制度に取り込まれたくないという『自律的な反国家性(反階層性・脱規律性)』を持っている。

そのため、定住民(近代人)から見ればノマドは常に『異邦人や非文明人・異質な敵・労働適応しない怠惰な者』といった特徴を持っており、古代中国の王朝にとって北方遊牧民(匈奴・モンゴル族など)が『侵略者・略奪者』であったように、ノマド(遊牧民)は労働して生産せずに暴力で奪おうとする無法者(非文明の敵・怠惰な者)として認識されやすかったのである。

反国家的なライフスタイルや世界観を持つノマドは、大地に国境線を引いてその内側を自分たちの領土として囲い込む『私有』の価値観をほとんど持っておらず、遊牧や貿易、略奪に適した土地を探し求めて移動し続ける存在であった。

興味と欲望の赴くままに騎馬で旅や移住をして、その日暮しに近い感覚で生活と関係を楽しみ、時に農耕牧畜や商工業をしている定住民の町・村を襲撃して財物や女などを略奪したりもした。こういったフン族やモンゴル帝国を典型とする遊牧民族の歴史的な侵略事業は、ノマド(ロマなど遊牧民)は『定住の文明人』に対する『野蛮な非文明人』であるというレッテル貼りにもつながってしまった。

しかし、現代思想にも敷衍されたノマドの本質は『定住よりも移住・安定よりも自由・蓄財よりも散在』といった豪放かつ自由なライフスタイルの郷愁を含んでおり、定住・労働をする文明人はノマドに対して『奪われる恐怖』と同時に『解放への憧れ』の感情も抱いてきた。

ノマドはその意味において『アンビバレンツ(両義的・両面価値的)な観念』であり、ノマドロジーは近代国家に生きる規格化(馴致)された国民が経済・教育・社会保障の制度にがっちりとはめ込まれていくことによって見失ってしまう『自由・本能・解放への原初的な願望』を織り込んだ現代思想の論説なのである。

スポンサーリンク


posted by ESDV Words Labo at 23:23 | TrackBack(0) | の:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。