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2016年02月28日

[親子関係の変化と思春期モーニング2:反抗期の子供の反抗・自立にどう向き合うか?]

親子関係の変化と思春期モーニング2:反抗期の子供の反抗・自立にどう向き合うか?

思春期というのは親の権威・強制を認めずに反抗しやすくなる『反抗期(第二次反抗期)』であるが、思春期の少年少女に見られやすい反論・非難・拒絶・暴力・軽蔑などによって示される『広義の反抗』は、『親離れ・精神的自立のための葛藤』を伴うものと考えられている。思春期における反抗というのは、親への依存・愛着に頼らずに自分で自立的に生きていこうとする『思春期モーニング(adolescent mourning)の心的過程』の一部でもあるのである。

親子関係の変化と思春期モーニング1:精神的な安全基地・内的な拠り所の必要性

そういった思春期の子供の広義の反抗と自立心に対して、親がどのように対応・応答するかが重要になってくるが、これは思春期モーニングでは単純に親から切り離せば良いというのではなく、『親がある程度のホールディング(保護的な抱え込み)をしながら緩やかに離していく』という精神的な安全基地を完全にはなくさないような心的プロセスが必要になってくるということである。

子供が反抗・自立心を見せた時に、親が子離れできずに過剰反応して騒げば、子供は親から離れて自立するのは悪いことなのだと思い、『分離不安・喪失感の苦痛』を感じて、自立心が弱められてしまう。親が過度に非合理的な批判・干渉をしたり、子供の私的領域(プライバシー)に力づくで侵入したりすると、親子間の信頼関係が決定的に壊れてしまって、子供が非行に走ったり家出をしたりするリスクが高まってしまう。

内面的に親への依存を離脱していく思春期モーニングというのは、『主観的・内的 な親表象との分離・親表象の喪失』を体験するものであって、現実的かつ実際的に親を完全に捨ててしまうようにして自立することではない。人間の親子関係は子供が精神的・経済的に自立した後にも継続することが普通だからであり、思春期の子供の反抗・自立への対応を適切に行うことによって、『主観的・内的な対象喪失の体験』をして精神的成長を促進していくことが大切なのである。

思春期の子供の反抗・自立心に対して、親は『混乱した言動・破綻した態度』を見せるべきではないし、『別れに対する脆弱さ・子供への執着心(支配欲)』を示すべきでもない。親は現実の安定した外的対象として振る舞うことが望ましいのであり、安定した一貫性のある言動・態度を思春期の子供に対して示し続けることによって、『理想自我としても機能する親表象』が保たれ、親への尊敬・愛情・信頼も維持されやすくなるのである。

発達早期の乳幼児期の親表象(父母表象)は『依存・愛着の対象』として機能しているが、思春期モーニングではこの古い幼児的な対象としての親表象との分離(別れ)を主観的に繰り返しながら、それぞれの発達段階(自我水準)にふさわしい『成長・成熟した自立的な自我の対象としての親表象』と新たな関係性を築いていくのである。順調に、思春期モーニングの心的過程が進展していき、成長・成熟した自我によって親表象と関われるようになると、精神分析家E.J.アンソニー(E.J.Anthony)のいう『親しい大人同士の新たな親子関係』が形成されていくことになる。

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posted by ESDV Words Labo at 10:12 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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