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2016年03月21日

[男性と女性の『中年期の危機』の違い1:男性の孤独感・虚無感・対象喪失(熟年離婚)のリスク]

男性と女性の『中年期の危機』の違い1:男性の孤独感・虚無感・対象喪失(熟年離婚)のリスク

『中年期の精神的危機(middle age crisis)』には、これ以上の成長・発展が望みにくく下り坂になりやすいという『上昇停止体験(meta-pause syndrome)』や子供が自立して家庭生活の内容が空疎になってしまって虚しいという『空の巣症候群(empty nest syndrome)』が関係していることが多い。

上昇停止体験や空の巣症候群によって、自分の社会的・家庭的な居場所がなくなってしまったように感じて孤独感に苦しんだり、自分の人生や生活が下り坂になって衰退していくという予測から抑うつ感・無意味感に襲われやすくなることもある。神経症的な身体症状や精神的ストレスによる胃潰瘍・本態性高血圧などの心身症も発症しやすくなり、悲観的・自己否定的な認知が強まって絶望感・無価値観が深まってくると『希死念慮・自殺企図』という最悪のリスクさえも生じてきてしまうのである。

中年期の精神的危機とは、それまでの人生で積み重ねて自己定義してきた自己アイデンティティーが拡散してしまうリスクを含むもので、簡単に言えば『自分がどのような方向に進めば良いのか分からなくなった・どんな目標や価値、相手を求めて努力していけばいいのか分からなくなった』という方向感覚や目標設定の混乱に襲われやすいのである。こういった自己存在に対する空虚感や人生における無意味感から逃れるために、『仕事への過剰適応・アルコール依存症・薬物依存症・恋愛や性への依存症(不倫・ストーカー・盗撮・性犯罪などへの逸脱)』などの問題が起こってくることも少なくない。

中年期の孤独感・虚無感を高めるリスクとして、妻(女性の配偶者)から突然に一方的に申し渡されることの多い『熟年離婚』もあるが、熟年離婚の原因は長年にわたって蓄積した妻側の不平不満(妻としてはそれとなく注意・指摘をしてきたのに長年にわたって夫から無視・拒否をされてきたために愛想が尽きたと感じている)であることが多く、妻が固く離婚の決意を固めてしまうと改めて話し合いや謝罪をして関係改善をするということも難しくなってしまう。

定年退職による地位の喪失や収入の減少、居場所のなさなども、中年期のうつ病・心身症・適応障害の発症リスクになるが、『長年通い慣れていた職場と人間関係・当たり前のようにしていた仕事や職務』がなくなることによって、一気に脱力して無気力・思考力低下・無為・抑うつになってしまう人も出て来る。

60代半ば以降の初老期になってくると、『配偶者との死別=深刻な対象喪失の危機』に襲われることも増えてくる。配偶者に対する精神的・生活的な依存度の高い夫(男性)ほど配偶者を失うショックや実際的なダメージは大きく、配偶者の死亡後に自分自身の生活状況が乱れて心身の健康を大きく崩してしまうことも多い。配偶者の死後、3年間くらいまでが対象喪失による悲哀反応(抑うつ反応)の山であるが、喪失のショックの大きい依存心の強い人だと重症のうつ病や認知症、心身症(循環器・消化器の疾患)を発症して、最悪の場合には死亡してしまうこともある。

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posted by ESDV Words Labo at 19:49 | TrackBack(0) | ち:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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