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2016年03月21日

[男性と女性の『中年期の危機』の違い2:女性の更年期障害と中年期の親らしい心(generativity)]

男性と女性の『中年期の危機』の違い2:女性の更年期障害と中年期の親らしい心(generativity)

女性(妻)の場合には、仕事・夫婦関係の変化によるストレスよりも、閉経・生理学的変化が関係する『更年期の心身の変化・更年期障害(各種の自律神経失調症・ホルモン分泌の減少)』のほうが問題になってきやすい。排卵・月経(生理)が起こらなくなる『閉経(menopause)』は生物学的なプロセスであり、『更年期(climacteriume)』というのは閉経に到る生理的変化に対する心理的適応過程(身体的・心理的・内分泌的な変化のプロセス)のことである。

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同じ女性でも40〜60代くらいの『更年期障害』の個人差は大きいが、一般的に自律神経失調症の症状を示すことが多く、神経過敏な易刺激状態となり身体・顔がほてって発汗しやすくなるような『循環器系・血管系の自律神経症状』が目立ちやすくなったりする。気分が高揚したり怒ったり、抑うつ的になって落ち込んだりする『気分・感情の変動の激しさ』が見られ、『めまい・吐き気・気分の悪さ・イライラ・易怒性・衝動性』などの生理学的症状や精神状態の変調も起こりやすくなる。

女性に多い更年期障害(近年は男性にも更年期障害があることが分かっているが)の根本原因は、エストロゲンの女性ホルモンが減少するという内分泌系の変化・不均衡であるが、更年期障害の心身症状の重症度および退行の自我防衛機制の深刻度は一般に『出産経験のない女性(未経産婦)』のほうが重症になりやすい傾向(乳がん・生殖器関連のがんのリスクも上がる)があるとされる。

更年期障害の副次的な影響としては、内分泌系の不均衡による心理的・生理的な不安定によって、『パーソナリティー機能の統合性の低下』『潜在的なパーソナリティー障害の悪化』を引き起こすことがあり、性ホルモン分泌やリビドー(性的エネルギー)の減少によって『内的フラストレーションの高まり』も起こりやすくなってしまう。内的フラストレーションの高まりは、情緒的な過敏性や感情的な満足度の低下にもつながり、『イライラ・情緒不安定・易怒性・攻撃性(衝動性)』などの精神症状が発生しやすくなる。

中年期の危機に対して『中年期の精神的な成長・成熟』としてあるのが、エリク・エリクソンの社会的精神発達論にある『生殖性・世代性(世話性)』と関連する心理状態であり、自己中心的な欲望の減少に合わせて、子供などの後続世代の面倒を見たり世話を焼いたりする心のゆとりに根ざした『親らしい心(generativity)』が芽生えやすくなってくる。

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posted by ESDV Words Labo at 19:51 | TrackBack(0) | ち:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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