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2016年07月26日

[人間の労働による自己形成と労働からの解放2:AI(人工知能)によるシンギュラリティーへの到達]

人間の労働による自己形成と労働からの解放2:AI(人工知能)によるシンギュラリティーへの到達

消費主義文明が主流となった近代社会では、人々の自意識も『生産者・労働者』より『消費者・享受者』に傾きやすくなり、労働そのものも経済合理的にリストラされたり、自尊心や動機づけ(モチベーション)を保ちにくいような『労働の商品化・道具化(企業利益を最優先する非正規化・細分化)』が行われやすくなっている。

人間の労働による自己形成と労働からの解放1:消費主義文明

20世紀以前の『労働(職業)』は、個人と人類の『役割分担・自己形成・自己実現=労働道徳の実践』という重要な役割を半ば必然的な義務として担ってきたわけだが、『労働の商品化・道具化・非正規化』『非労働者階層の増加(資産家・経営者・投資家・ノマドワーカー・ニートなど)』は旧来的な人間にとっての労働の位置づけを大きく変える動きを見せている。

アメリカの発明家・フューチャリスト(未来思想家)のレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil, 1948-)は、人工知能が人間の知能・能力を超える時点を『シンギュラリティー(技術的特異点)』と呼んでいて、カーツワイルはシンギュラリティーが2045年に起こると予測している。シンギュラリティーに到達して『AI(人工知能)・ロボット』が自己組織化的な進化を継続するようになると、人間の労働機会が大きく損なわれる可能性も指摘されている。

現在の試算でも2045年頃には、既存の職業の“約49%”が失われるとされており、人類の科学技術文明がシンギュラリティー(技術的特異点)を達成すると、人類史を通して人間存在の役割分担や自意識を形成してきた『労働』の位置づけ・意味合いが大きな変更を強いられそうなのである。労働からの解放が『意味のある自由の拡大(労働以外の人間の自己形成)』をもたらすのか、『失業・無為による自己アイデンティティーの喪失』に陥るのかは現時点では想像の範疇を出ない推測である。

政治哲学や政治思想の歴史は、政治活動を通した『人間の自由の実現』を求めてきたわけだが、政治思想が時に人々に見せる『集団組織の自由(集団内部における自由)』というのは概ね幻想であって、自由というのは『個人的自由(具体的生活を営む個人の自由)』としてしか実現しない性質を持っている。個人と集団の二元論は、個別性と普遍性の対立とも重ね合わせられているが、集団的自由を追求すれば個人を集団の目的実現のために道具的に利用する『ファシズム(全体主義)・専制主義』にどうしても傾きやすくなってしまう。

『自由主義・自由論』のパラドクス(逆説)の一つは、人類の歴史が人間を共同体・部族的集団の一員として取り扱うことから始まったことであり、『個人』という存在や自意識が登場するのは早くてもヨーロッパの16世紀以降のことなのである。そのため、自由の具体的な実現形態が常に『個人的自由(集団権力の強制からの自由)』であることが分かっていても、どうしても思想的に『共同体回帰(共同体の一部としての人間)という幻想・郷愁』に誘惑されてしまいやすいところがあるのだ。

『共同体的な人間関係』『人間の自由』を政治的に両立させようとして、社会主義・共産主義をはじめとする深刻な挫折(政治思想に基づいて思想犯・裏切り者とみなした個人の抑圧・弾圧・虐殺)を繰り返し経験してきた。

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posted by ESDV Words Labo at 10:12 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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