ウェブとブログの検索

カスタム検索





2016年09月07日

[DSM-W-TRの多軸診断2:第W軸の心理社会的ストレッサー+第X軸のGAFによる機能の全体的評価]

DSM-W-TRの多軸診断2:第W軸の心理社会的ストレッサー+第X軸のGAFによる機能の全体的評価

DSM-W-TRの“第W軸”と“第X軸”については詳細に触れられることが少ないのだが、クライエント(患者)の心理社会的な状態を正しく認識するために必要な診断軸になっている。第W軸は『心理社会的問題および環境的問題』であり、第T軸(精神疾患・精神障害)と第U軸(パーソナリティー障害・人格障害)の治療・経過・予後・診断に影響する可能性があるものを記載していくという形になっている。

DSM-W-TRの多軸診断1:機能的障害と器質的障害の除外診断(鑑別診断)

第W軸では、対人関係のストレスや仕事のストレス、離婚・死別など人生の不幸な出来事、環境的な困難といった『心理社会的ストレッサーの強さのレベル』を診断していくのである。第W軸ではストレッサーの種類について、クライエントを支持する一次的支持グループである家族、そして教育・社会環境・職業・住居・経済問題・保険機関(福祉機関)利用上の問題、その他の心理社会的問題といったカテゴリーが分類されている。

第W軸はクライエント(患者)のストレス因子とそのストレスの強度をできるだけ幅広く正確に理解しようとするための診断軸である。そのためには『クライエントの生活歴・成育歴・人生経験・人間関係』を詳しくインタビューしなければならず、実際には精神科医・臨床心理士(カウンセラー)の限られた面接時間・診察時間の中だけでは十分な情報を得ることが難しいという課題がある。

第W軸の診断システムを機能させるためには、クライエントの生活環境・人間関係・成育歴について詳しい情報を常に知ることのできる立場にある献身的なソーシャルワーカーが機能している必要があるとも言われる。

第X軸は、クライエントの心理状態・適応状態を全体的かつ統合的に評価していく『機能の全体的評価(機能の全体的評定)』の診断軸になっている。一人の社会的存在としてのクライエントが、心理社会的状況にどのように適応しているか、どれくらいの適応水準・病的状態にあるかということがこの第X軸『機能の全体的評価』で評価されることになる。

DSM-W-TRの第X軸では、精神的な健康から病気にまで至る一つの仮想的なスペクトラム(連続体)が想定されており、DSM-5と類似した点数表示・パーセンタイル表示(%表示)の『多元診断(ディメンション診断)』が行われるようになっている。クライエントの社会心理的な適応状態を評価するための尺度として、『GAF(Global Assessment of Functioning)』が作成されており、その適応状態を0〜100点の相対的な数値で表現する仕組みになっている。

GAF(Global Assessment of Functioning)において、80点以上のような高い点数であれば精神的な健康度が高いということになり、『日常生活に問題がない・人間関係が上手くいっている・自分の長所や利点を持っており現状や未来に希望がある』ということになってくる。

70〜80点くらいの点数でも、心理社会的な適応状態が良くて精神的な健康度もまずまず高いということになり、『多少の精神症状や主観的な悩みがあっても、心理社会的ストレスに対する一過性の反応(日常生活・学校・職業に大きな障害までは生じないレベル)』として解釈される。

20点以下のような非常に低いGAFの点数になると、『日常生活や職業活動の不適応+自傷他害・自殺企図の危険性+知的能力の低下や意思疎通の困難+日常生活動作の大幅な機能低下(部屋がぐちゃぐちゃ・家事ができず不潔になる・食事や入浴が困難になる)』などが指摘されるようになる。心理社会的ストレスが非常に強くて本人がまともに対応できなくなっているか、既に重症の精神疾患を発症している可能性が専門家(精神科医)によって考慮されることになる。

スポンサーリンク


posted by ESDV Words Labo at 17:32 | TrackBack(0) | て:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。