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2016年11月16日

[自我の現実検討(reality testing)と外的・内的リアリティーの判断:1]

自我の現実検討(reality testing)と外的・内的リアリティーの判断:1

自我の現実検討(reality testing)の能力とは、『現実』と『空想(想像)』を区別して適応的な反応ができる能力のことである。特に精神病である『統合失調症』において現実検討の能力が障害されて、実際にはないものを知覚したり根拠のない思い込みにはまり込む『幻覚・妄想などの陽性症状』が出現することが知られている。

現実検討の能力は『現実吟味・現実判断』と呼ばれることもある。人間は自分の主観の中で現実(対象)についての表象・知覚・空想を持っていて、それを客観的な現実と参照することによって、それが現実であるか空想(想像)であるかの現実検討を行っているが、この自我の現実検討能力が障害された時に統合失調症などの精神疾患(精神病)が発症することになる。

自我の持つ現実検討能力は大きく『外的リアリティーに関するもの』『内的リアリティーに関するもの』に分けられる。外的リアリティーというのは、外部の客観的な世界・社会・人物(他者)に関する現実味のことである。内的リアリティーというのは、自分の内面や記憶、感情と関連した現実味のことで、過去の記憶や現在の自分の欲求・感情・葛藤などの現実適応度などがそれに含まれている。

自我の現実検討能力は、心理テストや心理療法(カウンセリング)を実施する場合には、クライエントが自分自身の心理状態や発言・行動を客観的に観察する『観察自我(observing ego)』としても機能することになる。心理療法(カウンセリング)には様々な技法や学派、理念があるが、特に『洞察療法・内観療法』において、自分自身の心理状態・感覚や感情を客観的に区別して認識する現実検討能力が重要になってくる。

現実検討能力とは、現実と夢・空想・観念・妄想を区別する能力であるが、精神疾患ではない健康で正常な人でも『完全な主観と客観の区別』『完璧な現実と空想の区別』というのは有り得ず、誰もが現実的な日常生活や職業活動に支障がない程度の『主観的なファンタジー(幻想)の世界』を思い込みで生きているといった側面はある。

統合失調症をはじめとする精神疾患の水準にまで悪化しなくても、自分自身の悩み事や心配、欲望、不安に完全に囚われてしまって外的な現実や他者の姿が目に入らなくなっている時には、人間の現実検討能力は相当に落ちてしまっていることが多い。そういった自我の現実検討が大きく低下している時には、『外的な現実の状況・適応』からは注意が逸れやすく、『外的な他者の意見・思考・感情』などにも殆ど配慮できなくなり、『内的リアリティーにまつわる思い込み・錯誤』も増えてしまうのである。

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posted by ESDV Words Labo at 20:01 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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