ウェブとブログの検索

カスタム検索





2016年11月16日

[自我の現実検討(reality testing)とカウンセリング・双極性障害:3]

自我の現実検討(reality testing)とカウンセリング・双極性障害:3

自我の現実検討能力の高低というのは、心理療法(カウンセリング)の技法の適用にも関わってくる。一般的に人間の現実検討能力は『構造化された状況』で高くなりやすく、『非構造的な状況』では低くなりやすいが、精神状態が病的になればなるほど非構造的な状況に対する適応能力は低くなり、現実と空想(想像)の区別が曖昧になりやすいのである。

自我の現実検討(reality testing)と内省・観察自我・直面化:2

精神分析的な心理療法では、クライエントの現実検討能力の判定において、特に投影法の『ロールシャッハ・テスト』の結果を重視する傾向がある。

現実検討能力とも相関する自我の機能として単純な知能レベルの高低もあり、これは『自我の判断能力・予測能力』と呼ばれることもある。自我の判断能力・予測能力とは、自分が行う行動の結果について適切な予測と状況判断ができて、自分の発言・行動をコントロールできる能力のことである。

自我の判断能力・予測能力(知能のもたらす自我機能)が決定的・不可逆的に低下する疾患としては、先天性の知的障害を除けば『初老期・老年期の認知症(アルツハイマー病)』があるが、そういった脳の器質的な変性疾患でなくても若い年齢であっても、気分・感情の異常な高揚や自己愛の過剰性、不安・恐怖による萎縮などによって『一時的・可逆的な知能低下(判断と予測の能力の低下)』が起こることもある。

気分・感情の異常な高揚による知能低下の典型例は、若者が集団になった時のバカ騒ぎ・危険行為などであり、暴走族の集団での示威行為もそうだが、お祭りやスポーツの勝利パレードなどでいきなり素っ裸になって奇声を上げたり川に飛び込む危険行為をしたりする普段はそれほど逸脱的ではない若者もいたりする。気分や感情が盛り上がってハイになったり、集団的な興奮・熱狂に呑み込まれたりすると、人は冷静な落ち着いている時よりも適切な状況判断や行動制御ができなくなってしまいやすいのである。

自我の判断能力・予測能力が低下すれば、心理療法(カウンセリング)にも現実的な悪影響が生じてしまうことがある。カウンセラー(精神科医)が明らかに不快になるような暴言や侮辱を吐いたり、苦痛や落胆を感じるようなことを遠慮せずにずけずけと言ってしまったり、困らせるためにも心理面接の終結をなかなかさせなかったりする。

こういった行動は、アスペルガー障害などの広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)において特に見られやすいものだが、そういった発達障害がなくても不安・恐怖・怒り・不満などから意識的あるいは無意識的に心理療法(カウンセリング)の進行を妨げる予測・判断能力の低下が見られるケースもある。

双極性障害(躁うつ病)の発症によって、自我の判断能力・予測能力が低下してしまうこともある。それは双極性障害の躁病エピソードには『気分の高揚・自己誇大感・過剰な自信・幻想的な万能感・傲慢な優越感』などがあるので、『他者の立場・気持ち・利害』『自分と相手との関係性・自分の言動が引き起こすであろう結末』について適切な予測・判断ができなくなってしまうからである。

スポンサーリンク
posted by ESDV Words Labo at 20:05 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック