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2017年01月27日

[ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:1]

ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:1

オーストリアの精神科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger, 1906-1980)は、1944年にアスペルガー障害(アスペルガー症候群,Asperger disorder)について発表した。アスペルガー障害発見のきっかけになったのは、ドイツがオーストリア侵攻をして第二次世界大戦が始まろうとする混乱期の1939年に診療した『フリッツ・Vの症例』であった。

第一次世界大戦で敗れてからのドイツとオーストリアは、英仏の戦勝国への賠償金の支払いなどによるインフレと失業で経済が疲弊して、親から捨てられて何の保護や教育、医療も受けられない不遇な子供達が溢れていた。この社会混乱の時期にハンス・アスペルガーは、提唱者である医師のエルヴィン・ラツァールらと共に『クリニック併設のデイセンター(生活支援施設)』の運営に参加していたのである。

小学校入学と同時に問題行動を連発して学校不適応な教育困難児童として、H.アスペルガーの元に小学校から紹介されてきたのが6歳の少年フリッツ・Vであった。フリッツ・Vは正常体重で産まれて順調な心身の発達が進んでいたが、特に言語能力の発達が人並み外れて早く、生後10か月頃には言葉(単語)を話しだして、3〜4歳の幼児期が始まる頃には文章でかなり複雑な大人に伝わる会話ができるようになっていたという。知的・言語的に早熟な少年だったのである。

フリッツ・Vの発達過程の特徴として『知能・言語の発達の早さ』に比べて『感覚運動機能の発達の遅さ(歩き始めたのが1歳2か月頃)・手先の不器用さ』などがあり、こういった心身発達のアンバランスも現代ではアスペルガー障害を含む広汎性発達障害(高機能の自閉症スペクトラム)の特徴の一つとされている。

フリッツ・Vには『落ち着きがない・じっとしていられない・同じ動作を繰り返す常同行動・物を手あたり次第に投げたり壊したりする』といった今の発達精神医学でいうADHD(注意欠如・多動性障害,Attention Deficit Hyperactivity Disorders)の特徴も見られていた。

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posted by ESDV Words Labo at 15:56 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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