アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2
アスペルガー障害の人は、他者と『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』を含めた相互的なやり取りである『相互応答性』が障害されているという特徴もある。
一般的な双方向のコミュニケーションでは、声のリズムや身体のジェスチャー、顔の表情も言葉と同期しているのだが、アスペルガー障害の人は『言葉だけのやり取り』になりやすく、穏やかな目線や笑顔、声の高さ、身振り手振りでポジティブな感情(好意的な関心)を相手に伝える『非言語的コミュニケーション』があまり行われていないのである。
アスペルガー障害における社会性の障害と集団行動・社会的環境(他者の干渉)の苦手さ:1
アスペルガー障害は自閉症スペクトラムの一部を構成する障害(症候群)でもあるから、『他者と視線が合いにくい』『相手の顔や体を見ようとしない』『声の調子が平板で単調』『表情や身振りが乏しい』といった特徴を呈しやすく、他者との相互的なコミュニケーション状況においてぎこちない不自然さが出やすいのである。
アスペルガー障害の相互応答性の障害の具体的な現れ方としては、『距離感があり過ぎて近づきにくい』か『距離感がなくて馴れ馴れしくし過ぎる』かのどちらかになりやすい。適度な心地良い距離感を取ることが苦手で、相手の立場・気持ちに対する気遣いや遠慮が苦手なので、『その相手にその状況で常識的に考えて言ってはいけないこと』を思わず言ってしまって関係が悪化してしまうこともある。初対面の相手やあまり親しくない相手でも極端に距離感を近くして、スキンシップをしようとしたり無理に思えるお願い事をしたりすることもある。
年齢の違いや社会的(立場的)な上下関係の違いについてもあまり意識することができないので、一回り以上年が離れている目上の人にタメ口で話して顰蹙を買ったり、会社の上司・経営者にも遠慮・節度なく友達のように話しかけていったりすることもあるので、アスペルガー障害の人は生意気で厚かましい人(図々しくて遠慮がない人)といった好ましくないイメージを持たれてしまいやすいのである。