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2017年02月26日

[アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題]

アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題

アスペルガー障害の『社会性の障害』として典型的なものに、他者の感情・意図を適切に推測する能力とされる『心の理論』が障害されるということがある。イギリスの発達心理学者サイモン・バロン・コーエン(Simon Baron-Cohen,1971〜)は、自閉症スペクトラムの根本障害の原因をこの『心の理論の発達不全』に求めているが、人間の赤ちゃんは生後5〜9か月の時期から『注意の共有』によって他者の心(意図・感情)を推測するための心の理論を発達させ始めるのである。

他者の気持ちや意図を推測する『心の理論』が上手く発達していかないアスペルガー障害の幼児の特徴としては、ままごとやお医者さんごっこなどに代表される、ぬいぐるみ・おもちゃを役割のある人間(家族)になぞらえてなりきる『ごっこ遊び(想像力を駆使した遊び)』がほとんど見られないということもある。ごっこ遊びよりも、テレビやアニメの登場人物の決まった台詞やポーズをそのまま何度も繰り返す『オウム返し』が見られやすい。

アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3

アスペルガー障害の幼児の子供は、情緒的な想像力を働かせてコミュニケーション(あれこれ会話)しながら遊ぶごっこ遊びなどよりも、むしろ論理的なルールがしっかりしているトランプや将棋、テレビゲーム(スマホゲーム)を好む傾向がある。他者の立場に立って物事を見るという心の理論も発達しづらいので、4歳児くらいから解くことのできる『サリーとアン課題』にも正答することが難しくなる。

幼児期における『心の理論』の発達レベルを調べるための『サリーとアン課題』というのは以下のようなものである。

サリーが『赤い箱』の中にお菓子を隠して立ち去り、その後にやってきたアンが赤い箱の中からお菓子を見つけて『青い箱』に隠し直して立ち去る。そこに戻ってきたサリーはどちらの箱にお菓子が入っていると思うでしょうかという問いであるが、4〜5歳児になると『サリーの視点とアンの視点の違い』が分かる。だから、『(アンが青い箱の中にお菓子を移したとは知らない)サリーは赤い箱にお菓子が入っているとまだ思っている』と答えることができる。

つまり、4歳児くらいになると『サリーの視点』を想像してから答えられるという心の理論がかなり発達してきているのだが、アスペルガー障害の子供は問いの意図が上手く分からなかったりサリーとアンの視点の違いを想像できなかったりして、『自分が知っている今の事実の答え(青い箱にお菓子は移っているという事実)』のほうを答えてしまうのである。

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posted by ESDV Words Labo at 22:53 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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