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2017年03月09日

[アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力]

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力

『ソーシャルブレイン(社会的脳)』が発達していて社会的能力やコミュニケーション能力が高い人は、『他者の顔・表情』からさまざまな情報を半ば自動的に読み取ることができる。愛想笑いや無表情など感情が読み取りにくい表情も確かにあるが、標準的なソーシャルブレインの発達プロセスが進展していけば典型的な『元気な顔・明るい顔・怒った顔』『落ち込んだ顔・暗い顔・悲しい顔』の区別は自然にできるようになってくる。

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人間の『顔』には、その人のその時点での感情・気分・興味が現れるだけではなく、その人の人格・性格・生き様の大まかな雰囲気・感じまでもが反映されやすく、親しい関係であればあるほど注意深く相手の顔を見れば『その人の今の気持ち・状況・考えていること』などが何となく分かることが多い。無論、完璧に相手の顔だけから感情や考え、人間性が分かるわけではないが、社会的能力が高い人ほど『顔』から読み取ることのできるコミュニケーションに役立てられる情報は多いのである。

社会的な動物である人間は、他者とのコミュニケーションや適応的な集団生活(集団行動)を成り立たせるための『ソーシャルブレイン(社会的脳)』を持っているが、特に『顔に対する認知能力』を発達させている。人間にとっての『顔』は単なる身体の一部ではなく、非常に重要な社会的認知・評価の手がかりとして活用されるものだからであり、人間は他人に見られる『顔』を常に清潔にしようとしその手入れやチェックに相当な時間をかけている。

現代では、顔については美醜が問題にされやすいが、それ以前に顔は自分の人柄・性格・感情・気分・興味を相手に知らず知らずのうちに伝達してしまう『社会的器官・ソーシャルブレインの一部』として機能しているのである。

顔や身なりを極端に気にしない人、鏡で自分の顔を見て身だしなみを整えず不潔でだらしない印象を与えている人は、うつ病・単なる自暴自棄のケースもあるが、『他人に自分の顔・全体像がどのような印象を与えているか不快感を与えていないかをあまり気にしない』という意味でアスペルガー障害(自閉症スペクトラム)や認知症である可能性も有意に高くなる。

ソーシャルブレインを発達させた一般的な人は、数千人以上の人の顔を区別したり、仕事で一回二回会っただけの人の顔を覚えていたりと『顔に対する認知・識別の機能』を特別に高度に発達させているが、アスペルガー障害(自閉症スペクトラム)の人は『顔や表情に対する認知・識別の機能』がかなり弱くなっている。人の顔の区別がつきにくく、何回も会っている人の顔を覚えられなかったりする、人の表情の違いや変化にも気づきにくく、相手の表情がどんな感情・気分・意図を表現しているのかも適切に推測することができない。

比較的重症の自閉症の子供は、物体を識別する認知能力には問題がないのに、母親と他人の顔の区別がなかなかできないことが多く、『顔の認知機能(識別機能)』がかなり低くなっているのである。重症の自閉症の子供になると、3〜4歳頃になっても『母親の顔』をきちんと認知することができず、『母親の声・におい・手触り』などを手掛かりにして母親と他人を識別して認知していることも多いとされる。

幼稚園を卒園して児童期以上くらいになれば、自閉症の子供でも『母親・父親・きょうだい・近しい親戚・親しい友達の顔』などは区別して認知できるようになってくるが、それでも一般の人と比較すれば人の顔を区別して覚えるのが相当に苦手な傾向が目立ち、そもそも『人の顔に対する興味関心・好き嫌い』そのものが乏しいともされる。

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posted by ESDV Words Labo at 05:45 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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