アスペルガー障害の動作のぎこちなさ・非言語性学習障害と外見的な容姿(風貌)の特徴
アスペルガー障害の人は、知能の発達水準・発達速度に対して運動神経系の発達が遅れがちであり、一般に不自然に見える機械的な動きをしたり、書いた文字が年齢不相応に汚かったり、ボール遊び・着替え・食事作法などが異常に苦手だったりと『動作のぎこちなさ・運動能力の低さ・言葉の発音の拙さ』が目立ちやすい。
総じて手先・動作が不器用な印象を与えることが多く、学校の科目でいえば体育・図工・家庭科・技術などの実技科目が苦手な傾向が強い。特にサッカーや野球、バスケットボールといった他者とのコミュニケーションやチームワークが必要な団体競技は苦手であることが殆どである。
アスペルガー障害の問題として、他者の意図や感情を推測できない『心の理論の障害』を前提にする『コミュニケーション障害』が上げられるが、アスペルガー障害の人が特に苦手で学ぶことができないのは、『表情・態度・ジェスチャー・状況・文脈』から相手の意図を読み取る『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』である。ノンバーバル・コミュニケーションは幼少期からの対人関係や日常生活を通して自然に学習が進められていくものであるが、その学習が適切に進まない障害のことを『非言語性学習障害(NLD:Nonverbal Learning Disability)』と呼んでいる。
『非言語性学習障害(NLD)』の特徴は、視覚認識や空間認知の能力が低くて、絵画・図工・パズル・運動(球技)が苦手な傾向が見られ、アナログ時計をなかなか読めなかったり、左右の区別がつきづらかったりすることなどがある。運動神経系の発達が遅かったり動作がぎこちなかったりといった特徴ともオーバーラップ(重複)しやすく、自転車に乗るまでに時間がかかったり、ダンスやスポーツなども苦手な傾向があるのである。
アスペルガー障害の発見者であるオーストリアの精神科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger, 1906-1980)は、アスペルガー障害の子供の外見的特徴についても言及している。
アスペルガー障害の子供は、幼児期から児童期にかけて顔立ちが整っていて容姿端麗で可愛らしい雰囲気の子供が多いのだという。しかし、成長していくにつれて『年齢相応に成熟(変化)しない幼すぎる感じの童顔の特徴』が残って、青年期前後では次第に『顔立ち全体のバランスが崩れやすい(一般的評価軸での端正な外見的魅力の低下が起こりやすく悪い意味での幼さや不自然さが目立つ)』のだとハンス・アスペルガーは記している。
アスペルガー障害の子供は、出生時から『頭囲が大きい傾向』があるとされるが、『早熟な知能発達+言語習得(知識を増やす書き言葉の言語の習得)の速さ』も見られやすいので、アスペルガー障害の乳幼児の頭囲の大きさが早熟な知的能力・言語能力の指標になっているケースもあるのかもしれない。
青年期前後には容姿の年齢相応のバランスや成熟・感情表現(表情形成)が乱れやすくなるとも言われる。だが青年期を超えて中年期になってくると、一定の社会適応能力・職業能力(知識労働の適性)があれば、『世俗に頓着しない知的な雰囲気のある容貌・自分の世界観を作り上げている意思の強そうな風貌』へと、『アスペルガー障害の青年に多い幼さ・堅苦しさ・無表情の特徴』を消しながら人生経験と共に風貌が磨かれていくことも多い。