恋愛に対する態度(一般的な認識)の心理テスト:恋愛至上主義・結婚・理想
恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、特定の他者に対する好悪感情(好きか嫌いか)とは異なるものである。恋愛・愛情をどのようなものと捉えて評価するかは、『恋愛の一般的な認識・意味づけ』と相関している。恋愛に対する態度は、恋愛をロマンティックな陶酔・熱中するものと見なすか、結婚・経済生活につながる実際的・実利的なものと見なすかによって大きく変わってくる。
B.ムンロとG.R.アダムス(B.Munro&G.R.Adamas,1978)にはロマンティックラブに関連する心理測定尺度の研究があり、『ロマンティックな理想』『ロマンティックなパワー』『結婚ー合理的な愛』の3因子の尺度を上げている。シュプレッカーとメッツ(S.Sprecher&S.Metts,1989)はロマンティックラブと恋愛のパワーに焦点を当てて、『恋愛の障害を越える力強さ』『真の恋愛は一つで一度きり』『理想の恋愛の相手や関係』『恋愛の一目惚れ』の4因子の尺度を上げている。
恋愛を多元的に解釈する場合には、和田実(1994)のように恋愛をロマンティックラブと相関させる『恋愛至上主義』、実際的で現実的な結婚につながるものとして解釈する『結婚を前提とした恋愛』、恋愛によってどんな困難や障害をも乗り越えられるという『恋愛のパワー』、どのような恋愛を理想的なものと考えるかという『理想の恋愛』の4因子の尺度で測定することができる。
以下のそれぞれの質問項目に対して、『そう思う・どちらかというとそう思う・どちらともいえない・どちらかというとそう思わない・そう思わない』の5件法で評価していくことで、その人の恋愛に対する態度の特徴を知ることができる。
恋愛至上主義
○恋愛は男と女の間のもっとも高い目標である。
○恋愛関係を持てない人は、人生における本当の幸せや成功はない。
○恋愛は職業・仕事の成功よりも重要である。
○二人の間の愛情がなくなって無意味になるなら、あらゆるものに価値がなくなるということになる。
○愛する人と一緒にいられれば、将来の不安・心配もなくなってしまう。
○恋愛状態にある時は、愛する人が人生の唯一の目的になる。
恋愛のパワー
○長く恋愛状態にあることは、二人が感じる喜びを減らすのではなく増やしてくれる。
○真の愛があれば、あらゆる困難や障害に打ち勝つことができる。
○恋愛は人生や物事を上手く成し遂げていくための支え・励みになる。
○愛する人がいれば距離・反対・貧苦などに負けずに、何とか一緒にいるための方法を見つけ出そうとする。
○恋愛感情があっても、現実的・経済的な障害を乗り越えられないものである。(反対項目)
○結婚の主な動機づけは、経済生活の利害よりも相手への愛情であるべきである。
結婚を前提とした恋愛
○結婚は恋愛の情熱・幸福だけではなく、経済などさまざまな側面を考えて決めるべきである。(反対項目)
○恋愛感情は一時的なものだから、良い結婚をするには恋愛感情よりも負担・妥協・我慢のほうが大切である。(反対項目)
○二人に共通の趣味や関心があるかは重要ではなく、相手が好きな恋愛感情が強ければ結婚も上手くいきやすい。
○その人を本当に愛しているのであれば、他に様々な要因・問題があっても、結婚するには十分である。
○人は社会的・経済的地位と関係なく、愛する人と結婚すべきである。
○結婚条件としてもっとも重要なのは安定した結婚生活を送るための経済力の安心感である。(反対項目)
理想の恋愛
○強い情熱的な恋愛感情がないのであれば、人は結婚すべきではない。
○真の恋愛とは終わることなく永遠に続く相手への愛情である。
○ほとんど完全な相手・交際・状態でなければ、私にとって本当の恋愛とは言えない。
○いずれ結婚するという前提のない恋愛は無意味でありつらいだけである。
○ある人と恋愛状態にある時には、他の人には全く異性としての興味関心が起こらない。
○人間は何人かの異性に対して好意や興味を持つことがあり、同じように愛することもできる。(ポリアモリーな複数恋愛を理想とする傾向)
○真の愛情とは『親密さ・落ち着き・リラックス・深い付き合い』を感じさせるもので、『性的な興奮・ロマンチックな陶酔』が生じるとは限らないものである。