『成功恐怖(FS)測定尺度』におけるFS1・FS2・FS3の代表的な質問項目
日本で作成された成功恐怖を測定するための心理測定尺度としては、堀野(1991)による『成功恐怖(FS)測定尺度』がある。この成功恐怖(FS)測定尺度は、18個の質問項目(7段階の選択肢)からなる『FS1』、4つの場面を想定させて主人公の気持ちとして推測できる感情を評価する12項目の『FS2』、4つの同じ場面で周囲にいる人の気持ちを推測させる14項目の『FS3』の3つの尺度から構成されている。
『成功恐怖(Fear of Success:FS)』と精神分析・ジェンダー論による説明
成功恐怖の『FS1〜FS3』の尺度ではそれぞれ以下のような因子が因子分析によって抽出されている。
FS1……『対人的配慮』『成功の否定的感情』『優越欲求の少なさ』
FS2……『自己の成功の肯定的感情』『自己の成功の否定的感情』
FS3……『他者の成功への肯定的感情』『他者の成功への否定的感情』
成功恐怖(FS)測定尺度のFS1の代表的な質問項目(7段階評価)
[対人的配慮]
○何かに成功したら、誰かが悪口を言わないかと心配になる。
○何かに成功すると、人を出し抜いたのではないかという後ろめたさを感じる
○成功した人は冷淡で気取り屋だと他人から思われると思う
○成功者というものは、淋しく孤独なことが多いと思う
[成功の否定的感情]
○すべての勝利者の陰には、他人から疎外された不幸な敗者がいると思う。
○成功すると、非常に大きな責任を背負い込むことになると思う。
○テストで一番になったら、次のテストの時にプレッシャーを感じて大変だと思う。
[優越欲求の少なさ]
○成功することは重要だと思う(逆転項目)
○他人と競争する場合、勝った時よりも、負けた時の方が後味が良いことが多い。
○人と競争して勝つと負けた人に悪いと思う。
FS2で想定された4つの場面(4つのうちの1つを想定して実施する。)
○女性が男性以上の成功を収める場面。
○男性が女性以上の成功を収める場面。
○女性が女性以上の成功を収める場面。
○競争のない場面
自己の成功の肯定的感情の質問項目
○うれしい。
○みんなが褒めてくれると思う。
○頑張ってやっていきたいと思うなど。
自己の成功の否定的感情の質問項目
○何か失敗をしないかと不安だ。
○誰かが悪口を言わないか心配になってしまう。
○友達が離れていく気がするなど。
FS3で想定された4つの場面(FS2と同等で4つのうちの1つを想定して実施する。)
他者の成功への肯定的感情の質問項目
○ほめてあげたい。
○まわりとも協調してやっていける人だと思う。
○この結果は○○さんの能力と努力によるものである。
他者の成功への否定的感情の質問項目
○この人は冷淡で嫌な人だと思う。
○淋しくて孤独な人だと思う。
○恋人はできにくいなど。