独自性欲求(ユニークネス欲求)と日本語版の独自性欲求尺度
自分を他者とは異なる独自の存在としてアピールしたい欲求のことを『独自性欲求・ユニークネス欲求』という。独自性欲求が強い人ほど、自分自身を特別な特徴や能力があるユニークな存在であるべきと考えており、『自分が他人と同じであること』や『他者と比べて目立つところのない普通・標準であること』を嫌う傾向がある。
日本人は欧米人と比較すると『同調圧力・みんな(普通)から外れる不安』の影響を受けやすく、『他者と同じであること・他者に合わせること』を重視するので、独自性欲求(ユニークネス欲求)は低くなりやすいと言われている。欧米社会でも『帰属集団の標準(普通)からの逸脱』に対するネガティブ(否定的)な評価はあるが、心理学者のC.R.スナイダー(C.R.Snyder)とH.L.フロムキン(H.L.Fromkin)はこの標準からの逸脱にポジティブな意味合いを与えた。
C.R.スナイダーとH.L.フロムキンは、ポジティブ(肯定的)な独自性と関係する5つの因子として『独立心・反同調性・改革性・達成・自尊心』を上げて、1980年に独自性欲求の心理測定尺度を作成している。スナイダーとフロムキンの『独自性欲求尺度』は岡本浩一によって1985年に日本語版が作成されている。
日本語版の独自性欲求尺度は『1.全然あてはまらない,2.あまりあてはまらない,3.どちらともいえない,4.あまりあてはまらない,5.非常によくあてはまる』の5件法の選択式で行われる。質問項目は全32問であるが、その代表的な質問項目には以下のようなものがある。
○知らない人ばかりのグループの中でも、ちゅうちょせず自分の意見を述べる。
○批判されると自尊心を傷つけられる(逆転項目)。
○社会は新しい習慣も合理的に取り入れ、古い慣習や単なる伝統に過ぎないものは捨てるべきだと思う。
○人に説得されて意見や決心を変えることがしばしばある(逆転項目)。
○人から「生意気だ」とか「うぬぼれている」とか言われたことがある。
○他人が自分に反対すると、嫌な気持ちになる(逆転項目)。
○社会の規則や基準にいつも従わなければならないわけではないと思う。
○いつも規則を守ろうとする(逆転項目)。
○ミーティングなどで、誤りと思われるような意見を言っている人がいると、反対意見を述べる。
○どうせ死ななければならないのなら、畳の上での平凡な死よりも非凡な死に方が良い。
○人から「変わり者」といわれるよりは、皆と同じようにしている方が良い(逆転項目)。
○厳しい規則や決まりの下で働くのは得意でない。
○あまり変わったことを人に言うのは好きではない(逆転項目)。
○集団活動に参加する時、どちらかといえば集団に同調しないほうである。