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2017年12月30日

[孫‐祖父母関係評価尺度1:老年期の発達課題である『人生の統合・叡智の獲得・死の受容』]

孫‐祖父母関係評価尺度1:老年期の発達課題である『人生の統合・叡智の獲得・死の受容』

現代では祖父母の孫に対する『経済・育児の支援の度合い』『祖父母の孫との接し方』によって、『親の負担・子育て環境・子供の精神発達への影響・子供が受ける利益』が大きく変わると言われています。

孫と祖父母(おじいちゃん・おばあちゃん)の関係性を評価する心理テスト(心理評価尺度)も色々と開発されていますが、大きく分けると「孫が回答する孫版の心理テスト」「祖父母が回答する祖父母版の心理テスト」があります。心理テストでは、祖父母と孫の間で相互作用を発揮する『日常的・行動的・情緒的な関わり合い』を評価・分析していくことになります。

社会的精神発達理論で知られる精神分析家エリク・エリクソン(E.H.Erikson, 1902-1994)は、30〜50代に当たる中年期(壮年期)の発達課題として『生殖性・教育』を上げています。中年期(壮年期)では、結婚して自分の子供をもうけたり子供世代の教育支援をしたりする事が重視されました。

次世代の子供に『教育・価値・文化・伝統』などを伝えて、後進の若者を世話して育成していくことが、中年期・老年期の発達課題の一つになっています。祖父母の世代でも子孫の若い世代と関わることで、やる気が出て心身が元気になりやすいことが分かっています。若い孫の世代と関わり教育したり支援したりする事によって、老年期の発達課題である『人生の統合(自分の人生全体の納得と受容)・叡智の獲得』も達成しやすくなるのです。

孫の世代と積極的に関わり教育や応援をすることで、高齢者の持つ『死が近づく不安・恐怖』も軽減されやすいことが分かっています。自分の寿命が尽きて生命が失われても、自分の遺伝子(DNA)や精神性(魂のようなもの)を子孫が引き継いでくれていると感じることによって、『自分の老衰・死』を受け容れやすくなるのです。

ユング心理学の河合隼雄(かわいはやお,1928-2007)は、人間の存在価値、特に人生の老年期の価値について、『個人ができること、すること(Doing)』だけではなくて、『何もしないでただそこにいること(Being)』に価値があると語りました。

発達心理学的な観点では、孫が老年期にあって老いていく祖父母の姿を身近で見ることは、『未来の自己のあり方・人間存在の有限性と生命の大切さ』を知るきっかけになるとも言われています。しかし、あまりに過酷な老衰や病気、喪失感があると逆に『祖父母の老衰・死』がトラウマの原因になってしまうこともあります。

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posted by ESDV Words Labo at 18:11| ま:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする