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2007年06月27日

[核家族(nuclear family)と家族構成の変化][家族境界(family boundary)と家族神経症(family neurosis)]

核家族(nuclear family)と家族構成の変化

欧米では産業革命以後に農村部から都市部への大規模な人口移動が起き、産業構造が農林水産業から重化学工業へと大きくシフトし農業従事者や工場労働者へと転換していった。戦後の日本でも、こういった産業構造の変化による『都市部への人口移動』『大家族の解体』による核家族化が進行することになった。農林水産業から製造業(工業)・サービス業への産業構造の変化が、『農村部から都市部への就職による人口移動』を引き起こし、祖父母や両親と子ども夫婦が同居する『大家族制度』が緩やかに解体する流れが生まれたのである。

核家族(nuclear family)は、夫婦と未婚の子どもだけから構成される家族のことであり、「両親・祖父母・既婚の子ども」と同居しない家族形態のことを意味する。核家族(nuclear)という用語は、文化人類学者のG.P.マードック(G.P.Murdock)が考案したものであり、1949年に書いた『社会構造論』の中で核家族の用語を用いている。核家族という用語が社会一般に普及する以前には、夫婦と未婚の子どもだけから構成される家族は『夫婦家族』と呼ばれていた。しかし、日本では『国勢調査』においても核家族世帯という用語が用いられており、正式な行政の用語でも『核家族』が標準的な単語として用いられている状況がある。核家族と反対の意味を持つ対義語は『直系家族』『複合家族』であり、直系家族と複合家族をまとめて言う場合に『大家族』という言葉が使われている。

直系家族とは、夫婦と一人の既婚の子ども、子どもの配偶者、その二人の間の子ども(孫)というような形で、父系(母系)の直系の子ども(長男・長女)夫婦と一緒に暮らす家族形態のことである。複合家族は、直系家族の構成が更に複雑になったもので、夫婦と複数の既婚の子ども、複数の子ども夫婦の間に産まれた子ども(複数の孫)というような形で構成される大家族的な家族形態のことである。

家族境界(family boundary)と家族神経症(family neurosis)

S.ミニューチンが創始した構造派の家族療法では、家族システムの下位グループとして形成されるサブシステム(subsystem)の相互の差異を『家族境界(family boundary)』と呼ぶ。家族システムのサブシステムとは、夫婦(親)であり祖父母であり子供(兄弟姉妹)であるが、それらの間にある『年齢・立場・役割・機能・権利の差異(違い)』のことを家族境界といい、親と子のような世代間の差異であれば『世代間の家族境界』という言い方をすることもある。

『親としての役割』『子としての役割』『祖父母としての役割』などの区別がはっきりしていて、親の権威性や子どもの柔順性が明瞭な場合には、家族境界がはっきりしていると考えられる。反対に、友達親子や孫を溺愛する祖父母のように、親子関係の間のけじめがなかったり立場や役割の違いがはっきりしなかったりする場合には、家族境界が曖昧であると考えられる。

家族神経症(family neurosis)とは、特定の神経症の病態のことを意味する専門用語ではなく、「家族成員の誰か」が神経症的な症状(不適応)を起こすことで、「他の家族成員」の疾病利得(病気になることによる利益)を生み出している状況のことを言う。情緒不安定なパニック状態や過度の興奮、依存的な幼児性などを家族の誰かが見せる時には、その神経症的な症状が「他の家族メンバーの愛情や関心」を引き出す役目を果たしていることがある。

家族システムの構造や相互作用が、「家族メンバーの神経症の原因」になっている状態を指して、フランスの精神分析家R.ラフォルグ(R.Laforgue)が家族神経症と名づけたのである。家族神経症を現代的な用語に置き換えれば、家族神経症は『機能不全家族』やそれが原因となる『アダルトチルドレン(幼児的に心的外傷や愛情剥奪を受けて大人に成長した人)』として考えることも可能である。



posted by ESDV Words Labo at 04:58 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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