ウェブとブログの検索

カスタム検索





2007年07月22日

現象学(phenomenology):G.W.ヘーゲルの精神現象学

現象学(phenomenology):G.W.ヘーゲルの精神現象学

19世紀に発生した哲学の特殊な認識論的立場である現象学(phenomenology)は、G.W.F.ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)エドムンド・フッサール(Edmund Gustav Albrecht Husserl, 1859-1938)によって創始された分野である。現象学は、固定観念(先入観)や時代精神(社会通念)に惑わされずに、明証性と普遍性の高い『現象の本質』を認識しようとする哲学であり、ルネ・デカルトの自我(主観)中心の独我論的な認識世界を更に体系化したものである。

古代ギリシア哲学では、プラトンが現象界(知覚世界)から独立した『真・善・美の原型(イデア)』が存在するイデア界(本質的な背後世界)を仮定したが、哲学では伝統的に『知覚(感覚)では、実在(本質)の世界を認識することが出来ない』という基本的信念が存在していた。G.W.F.ヘーゲルやE.フッサールは、イデア界(背後世界)を仮定するプラトニズムとは異なる意識論的なアプローチで『世界の現象の本質(実在)』を認識しようとしたが、現象学とは『事象そのもの』へと立ち返ることで普遍的・絶対的な認識(知識)を獲得しようとする立場である。

近代哲学の完成者と言われるG.W.F.ヘーゲルは、単純な意識(感覚的確信)が『正(テーゼ)・反(アンチテーゼ)・合(ジンテーゼ)』の弁証法的発展によって段階的に『絶対知』へ到達するという精神現象学を唱えた。ヘーゲルは、精神(意識)こそが絶対者(無限の実在)であるという信念を持ち、弁証法的思索によって『一つの事象に内在する矛盾・対立が発展の契機となる』と考えていた。

ヘーゲルの弁証法的な精神現象学によると、単純な意識(感覚的確信)は、『命題aが正しい=肯定=即自的』と認識し、その後に『命題aには矛盾がある=否定=対自的』の認識を経て、最後に『命題aの矛盾・対立を解消した総合発展的な見解=否定の否定=即自的かつ対自的』絶対知に到達することになる。つまり、ヘーゲルの弁証法的な精神現象学とは、『ある考え方が正しい』と直接的に肯定し、『ある考え方には間違っている部分もある』という批判的な否定をして、『ある考え方の矛盾・対立的を調整しながらより高次の普遍的な認識=絶対知』へと到達する学問である。

『より高次の総合的・普遍的な認識を導く為の弁証法的否定(否定の否定)』アウフヘーベン(止揚)と呼ぶことがある。弁証法とは究極的には『精神の自己展開』であり、絶対者である精神の自己運動であるから、ヘーゲルは認識(論理)と存在(実在)を厳密に区別しておらず精神(絶対的存在)が『総合的な全体性・普遍性』を獲得していく過程として弁証法を想定していた。

『ある事象・命題』を直接的に肯定する段階が『即自』であり、即自は『一面的・部分的な正しさ』しか保証せずその内部に『矛盾・対立・葛藤』を孕んでいて、その矛盾や対立を批判的に認識(否定)する段階が『対自』である。『即自』『対自』の矛盾点・対立点を総合的に考察して『より高次の普遍的認識』へと到達する過程が『アウフヘーベン』であり、アウフヘーベンによって『即自かつ対自=ジンテーゼ』という絶対者としての精神に到達することが出来るのである。



posted by ESDV Words Labo at 21:21 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック