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2007年07月22日

[現象学的社会学(phenomenological sociology)とエスノメソドロジー(ethnomethodology)]

現象学的社会学(phenomenological sociology)とエスノメソドロジー(ethnomethodology)

「G.W.F.ヘーゲルの精神現象学」E.フッサールの超越論的現象学について解説したが、普遍的・根本的な現象の認識を追究する現象学の影響を受けた社会学(sociology)を現象学的社会学(phenomenological sociology)と呼んでいる。E.フッサールは『日常的な当たり前の世界(現象界)』は個別的・偶然的・特殊的なものに過ぎないと考え、一般的・必然的・普遍的な『現象の本質』を認識するためには、固定観念や既成概念(先入観)を排除する『現象学的還元(先験的還元)』を行わなければならないと考えた。

超越論的現象学とは『個別的(個人的)な経験・知覚に基づく偏見・錯誤』を排除するエポケー(判断停止)によって、『事象そのものの本質』に接近しようとする哲学分野である。エポケー(判断停止)によって、事象そのものを直接的に見ることが出来る『純粋意識』が形成されるとフッサールは考えたが、現象学を社会学に応用する場合には『個別的な日常生活』を構成する『日常性・自明性・常識観念』も観察対象に含めることになる。

現象学的社会学(phenomenological sociology)では、ありふれた日常生活を認識する意識の働きである『自然的態度』に基づいて構成主義的に『社会』を観察するのだが、社会を『客観的現実(外的現実性)』『主観的現実(心的現実性)』の両面から研究するのが特徴である。主観的現実(心的現実性)から社会を眺めると、『意識を有する人間の数』だけ現実社会が存在することになり、現象学的に把握される社会とは一般的に『多元的社会(multiple societies),多元的現実(multiple realities)』のことを意味している。

日常性や自明性に規定される『当たり前の生活世界』で人々は生きているが、現象学的還元と無縁なそういった生活世界では、『習慣・常識・伝統・慣例・規範』などの人々の共有観念によって『多元的現実(多元的社会)』が構成されている。各地域で有力な『宗教・イデオロギー』やその時代に流行している『芸術・文化』、個人がある時間帯に見た『夢・白昼夢』なども『多元的現実(多元的社会)』の重要な現象学的構造である。現象学的社会学では『ひとりひとりの人間の意識に出現する社会=生世界』が研究対象と考えられている。

個別的な人間が生きる社会が、どのような意識過程によって構成され、その現象学的な社会の構造や機能、特徴がどのようになっているのかを研究するのが現象学的社会学である。現象学的社会学の初期の研究者には、A.F.フィアカント(A.F.Vierkandt)、M.シェーラー(M.Scheler)がいて、最も建設的で有意義な研究をした人物としてマックス・ヴェーバー(M.Weber)の理解社会学を理論的に継承したアルフレート・シュッツ(A.Shutz)がいる。

アルフレート・シュッツの現象学的社会学は、社会構成員がどのようにして社会秩序を形成するのかという『秩序問題』を解決するために、アメリカの社会学者ハロルド・ガーフィンケルが考案した研究の方法論である『エスノメソドロジー(ethnomethodology)』にも影響を与えている。 エスノメソドロジーは『人々の研究法』と訳される社会学の基本的な研究手法(質的研究法)の一つであり、社会現象そのものを定義して忠実に記述・分析することであり、社会環境で生活する社会構成員の相互作用(意図・影響・効果)を『会話分析』などを通して現象学的に正しく認識しようとすることである。



posted by ESDV Words Labo at 23:35 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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