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2007年07月23日

[W.グラッサーの現実療法(reality therapy)]

W.グラッサーの現実療法(reality therapy)

精神分析学では、人間の行動を規定する基本原則として『快楽原則(pleasure principle)』『現実原則(reality principle)』を仮定しているが、過去に書いた『精神分析理論の現実吟味能力(reality-testing)の記事』では心的現実性の内部と外部を区別する自我機能の重要性について解説した。快楽原則とは、発達早期に見られる『快の刺激』を追い求めて『不快の刺激』を回避しようとする行動原則であるが、現実原則に従う『青年期・成人期』へと心身が発達しても、快楽原則は人間の行動の大きなモチベーションとなっている。

即物的で動物的な『快楽原則』に従ってばかりだと、『他者との利害の衝突』『社会からの法的な制裁』によって実際的な不利益を受けることが多くなるので、大多数の人は他者との関係や社会的な状況を考慮した『現実原則』に従いながら遠回りして合理的(合法的)に『快の報酬』を手に入れようとする。

快楽原則とは『自己中心的・感情優位的・自由志向的な原則』であり、現実原則とは『他者配慮的・理性優位的・規範主義的な原則』であるが、『現実社会への適応性が高い健常者』は快楽原則と現実原則のバランスを上手くとって、自分らしい欲求の充足方法とストレスの少ない人間関係を見つけているのである。

1950年代に活躍した精神医学者のW.グラッサー(W.Glasser)は、『現実社会への適応性・自己の責任性・道徳的な価値判断』を重視した『現実療法(reality therapy)』を提起したが、現実療法は臨床心理学者のO.H.マウラー(O.H.Mowrer)によって実践的・行動療法的な方向付けが為された。現実生活の適応性の向上と機能的な行動(認知)の獲得を目指す『現実療法』では、現実的な生活場面における『効果的な行動の計画・立案』をクライアントとの話し合いの中で行っていく。

『一般的な善悪を分別する道徳的な認知(考え方)』を心理面接で習得することで反社会的な行動を抑制することができ、『社会的な責務を果たせる行動』を計画して実際にチャレンジしてみることで、『現実社会への適応性』や『生産的・建設的活動への意欲性』を高めていくことが出来る。現実世界への適応と社会的な能力(実践的スキル)を高める具体的な技法としては、『人間関係を円滑化するコミュニケーションスキル・今、何をしているのかの分析・社会的責任を果たす行動の計画・自分の行動についての評価・言い訳や言い逃れの反省・処罰ではなく肯定を与える条件付け・断念せずにチャレンジし続ける目的志向』などが考えられていた。

ヒューマニスティック心理学(人間性心理学)アブラハム・マズロー『生理的欲求・安全と安心の欲求・愛と所属の欲求・承認欲求・自己実現欲求』の欲求階層説を提唱したが、現実療法W.グラッサー『生存欲求・所属欲求・権力への欲求・ユーモアへの欲求・自由への欲求』の基本的欲求を想定した実用的カウンセリングを提案した。



posted by ESDV Words Labo at 00:32 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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