コーネル・メディカル・インデックス(Cornell Medical Index)
コーネル・メディカル・インデックス(Cornell Medical Index,CMI)とは、1949年にコーネル大学(アメリカのニューヨーク)のK.ブロードマン(K.Brodman)らによって開発された質問紙法の性格検査(character test)である。コーネル・メディカル・インデックスは、精神医学的な臨床疾患のスクリーニングだけでなく、不安や抑うつ、怒りなど精神的問題の深刻さの程度を測定するために用いられる網羅的な心理評価尺度である。
特に、『自覚症状のプロフィール作成』による判定が容易な心理検査であり、身体的・精神的自覚症状を詳細かつ的確に判定することが可能になっている。CMIは、臨床心理学の分野でも、健常者群と神経症者群(軽度の精神障害群)を判定するために用いられることがあるが、『身体器官別の質問項目』も用意されているので器質的障害のある身体疾患の発見にも役立てることができる。
CMIの質問項目は、身体的項目と精神的項目の2つに大きく分類され、『各身体器官別の質問(A〜L)』と『情緒面の質問(M〜R)』が米国版では合わせて195項目ある。『各身体器官別の質問(A〜L)』には、『呼吸器系・心臓脈管系・神経系・疲労度・疾病頻度・既往症・習慣』など12尺度144項目があり、『情緒面の質問(M〜R)』には、『不適応(M)・抑うつ(N)・不安(O)・過敏(P)・怒り(Q)・緊張(R)』の6尺度51項目がある。CMIの性格検査では飽くまで『自覚症状中心のアセスメント』が行われることになるので、自覚症状や病識のない病態水準の深い精神病の患者には余り有効ではないし、回答では患者(クライエント)の抱く『社会的望ましさ(こう回答したほうが正常と判定されるだろうという先入観)』の影響を受ける恐れがある。
CMIは1953年に田多井吉之助によって日本に紹介されたが、その後、深町健がCMIの判別表を用いた『正常・準正常・準神経症・神経症』の判定を考案した。日本版のコーネルメディカルインデックスでは、男性用に16項目が追加されて211項目となり、女性用に18項目が追加されて213項目となっている。CMIの判別表とは、縦軸に『各身体器官別の質問(A〜L)』を設定し、横軸に『情緒面の質問(M〜R)』を設定したもので、正常者と神経症者の大まかなスクリーニングに活用することができる。