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2008年01月31日

[サイコメトリックス(psychometrics,心理統計学)]

サイコメトリックス(psychometrics,心理統計学)

サイコメトリックス(psychometrics)は計量心理学(心理測定法)や心理統計学と訳されるが、統計学的な解析法(量的研究における数理的根拠)を用いて『人間の知能・性格・知覚・感覚・認知・態度・価値観』などを出来るだけ客観的に測定しようとする学問である。心理学研究において問題(研究対象)となる『人間の知能・性格・知覚・感覚・認知・態度・価値観』などの構成概念は客観的に観察できるものではないが、サイコメトリックス(計量心理学)では『人間の行動・反応・質問項目への回答』などを観察して間接的に構成概念を測定していく。正確に言うと、サイコメトリックスとは『人間心理の構成概念(性格・知能・態度・認知・学力)』をどのように測定すれば正確な知見が得られるのかを研究する学問分野であり、構成概念を測定する具体的な方法論を考えていく分野なのである。

標準化された人格検査の心理テストで被検者の性格や行動パターンを理解することができるが、これは性格を直接的に測定しているのではなく、質問紙(心理テスト)への回答内容を見て間接的に測定して理解しているということになる。サイコメトリックスの心理学的な起源は、19世紀のE.H.ウェーバーG.T.フェヒナー精神物理学にまで遡るが、精神物理学では対人関係や感情の変化のような数量的測定の難しい問題は取り扱わず、『重さの変化』を感じる感覚・知覚のような数量的測定に適した問題を取り扱った。精神物理学は、『数式で表現される一般法則(普遍的理論)』を帰納的・経験的に導こうとする物理学を模範とした心理学分野であり、ウェーバーの法則やフェヒナーの法則といった実験に裏付けられた法則を生み出した。

ウェーバーの法則は、『重さの標準刺激(物理的刺激の強度)』と『弁別閾(二つの重さの違いを知覚できる重さの違い)』の比がほぼ一定になることを示した法則で、標準刺激をS、弁別閾をΔSとするとΔS÷S=k(kは定数)で表現される。具体的な事例で言うと、100グラムのおもりと105グラムのおもりで『重さの違い』を知覚できる場合には、200グラムのおもりとそれ以上の重さのおもりとの違いを知覚できる閾値は10グラムになる(210グラムの時に200グラムとの重さの違いを感じる)ということである。5(閾値・弁別閾)÷100=0.05の数値が一定であるというのがウェーバーの法則であり、ΔS÷200=0.05の方程式を解いて『閾値=10』という答えを導き出せる。

ウェーバーの法則をもとにして感覚量(知覚量)の変化について記述したフェヒナーの法則は、E=k・log・I(E=感覚の強度・I=刺激の強度・k=定数)の数式で表現される法則であり、『感覚の大きさは、刺激の大きさの対数に比例する』ということを示している。具体的な事例で言うと、『20グラムのおもりで感じる感覚の2倍の重さの感覚』を得るためには、40グラムではなく20の2乗の400グラムでなければならないことになる。

精神物理学の話からサイコメトリクスの話に戻ると、サイコメトリクスとは対象の構成概念(心理学的特徴)を測定するための方法論について研究するものであり、知能・性格・学力などを数量的に測定する『テスト理論』だけではなく、尺度の妥当性を検討する『尺度構成法』などもある。心理テストのことを心理測定尺度や心理評価尺度と呼ぶことがあるが、心理学的特徴を科学的に測定しようとする行為全般をまとめて『サイコメトリー(psychometry)』と呼ぶ。

統計学的根拠を重視した客観性の高いサイコメトリーの起源は、優生学と絡んで個人差を量的に研究したフランシス・ゴールトン卿の統計の研究にある。カウンセリングや心理療法を実施する場合にも心理アセスメントの一環として、心理テストなどを用いたサイコメトリーが重視されているが、『科学的な心理測定』を行う場合には標準化した心理テストを用いて信頼性・妥当性を検証する必要がある。

posted by ESDV Words Labo at 19:37 | TrackBack(0) | さ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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