自家中毒(autointoxication)と子どもの精神的ストレス(孤独感・淋しさ)
自家中毒(autointoxication)とは、『嘔吐・吐き気・気分の悪さ・腹痛・頭痛・胸のむかつき』などの症状を起こす自律神経系の障害で、乳児期〜児童期前期(2歳頃〜10歳頃)の子どもに発症しやすい病気である。子どもだけではなく大人でも発症することはあるが、一般的に自家中毒は『ストレス性あるいは疲憊性の小児疾患』に分類される。自家中毒は嘔吐を繰り返す症状を見られることから『周期性嘔吐症』と呼ばれることもあり、自家中毒の子どもの血液中にアセトン(単純な構造のケトン体)が増加していることから『アセトン血性嘔吐症』と呼ばれることもある。嘔吐や発熱、顔色の悪化などの症状を示すが、薬物中毒や毒物中毒、その他の身体疾患(代謝系・内分泌系疾患)が存在しない場合に自家中毒症が診断されることになる。
自家中毒の原因は、生活環境の変化(入園入学・転校・卒業)や両親からの叱責・孤独感などによる『精神的ストレス』と考えられているが厳密な原因を特定することは難しい。神経過敏で外界の変化や他人の言葉に敏感に反応しやすい子どもが自家中毒を発症しやすいとされているが、心理的緊張や精神的ストレスが高まる場面ではどの子どもにも発症する可能性がある。母親・父親が慌ててパニックを起こしたりすると、子どもの自律神経系のバランスが崩れて更に症状が悪化することがあるので、親は落ち着いて子どもが安心して休養できる雰囲気を作ってあげることが大切である。10歳以上の子どもや成人では、筋骨格系が発達して栄養(ブドウ糖)の代謝が安定してくるので自家中毒を発症しやすくなるが、大人でも強い仕事のストレスや対人関係の緊張を感じ続けると自家中毒症の吐き気や気分の悪さを発症することはある。
自家中毒は『一過性』の自律神経系の健康障害であるが、『一人でじっとしていられないくらいの吐き気・嘔吐・むかつき』を生じるところに特徴があるので、医師の除外診断(鑑別診断)を受けたら安静にしてゆっくりと休養することが必要である。子どもの場合には『孤独感・淋しさ・心細さ・愛情不足・不安感』といった心理的要素が精神的ストレスにつながっていることがあるので、親が一緒にいて子どもに安心感や信頼感を感じさせて上げると回復が早くなる。少し普段よりも甘やかしてあげるくらいの『優しく思いやりのある態度』を子どもに見せて、子どもが寝付くまで側で見守っていてあげると良いだろう。自家中毒(周期性嘔吐症)の他に特別な病気・問題がなければ、注意すべき症状は『脱水症状・強い吐き気』が主なものとなる。
自家中毒の医学的治療は限定されたもので、脱水症状が見られる場合には給水のために点滴を行い、吐き気の症状に対しては吐き気止めの坐薬・錠剤などを処方する。吐き気を抑制するためにブドウ糖などの栄養注射を行う医師もいるが、脂肪の多い食事を減らして糖分の多いおやつや間食を適度に取ることは、自家中毒の予防に役立つとされている。甘いおやつ(お菓子)や間食は、糖分によって精神的ストレスを緩和するだけでなく、脂肪の分解を抑制することで自家中毒の原因となるケトン体(アセトン)の産生を減らすことが出来るからである。両親が子どもに安心感や守られている感覚を与えて十分な睡眠と休養を子どもが取ることが出来れば、自家中毒は自然に治癒していく特別な心配の要らない疾患である。とはいえ、自家中毒に類似した症状を示す重篤な疾患の可能性もあるので、強い吐き気や気分の悪さを子どもが訴えた時には小児科医・内科医に診療して貰ったほうが良いと言える。

