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2008年05月22日

[脳の視床下部(Hypothalamu)と脳下垂体(Pituitary gland)]

脳の視床下部(Hypothalamu)と脳下垂体(Pituitary gland)

脳と脊髄を合わせて中枢神経系(Central Nervous System:CNS)というが、人間の神経系の機能は中枢神経系と末梢神経系(自律神経系・体性神経系)の相互協調作用によって成り立っている。脳は両半球から構成される重量が約1400グラムの器官であり、大脳(大脳新皮質・大脳辺縁系・間脳)・中脳・小脳の部位に分類することができる。間脳は『視床(Thalamus)』『視床下部(Hypothalamus)』から形成されており、間脳は大脳からの情報の入出力を中継して本能的行動を制御する重要な部位である。間脳の視床下部には自律神経系と内分泌系に指令を伝達し、内臓器官を調整するという役割がある。

視床(Thalamus)は感覚情報の中継地点としての機能を果たしており、嗅覚を除く感覚情報のすべては視床を通り脳の各部位へと伝達されて情報処理(知覚処理)がなされている。視床下部(Hypothalamus)は自律神経系と内分泌系(生体ホルモン)のコントロールを担当する重要な中枢器官であり、身体のホメオスタシス(生体恒常性)の調節の大部分が視床下部によって行われている。視床下部の自律神経核では交感神経をコントロールして『闘争‐逃走反応』で危機を回避し、リラクセーション・フィードバックを行う副交感神経をコントロールして心拍・血圧・呼吸・睡眠を安定した水準に保っている。

視床下部は内分泌器官の脳下垂体(pituitary gland)を支配しており、脳下垂体は腺性下垂体(下垂体腺葉)神経性下垂体(下垂体神経葉)に分けられる。腺性下垂体は『前葉』と『中葉』に分けられ神経性下垂体は『後葉』と呼ばれるので、脳下垂体は『前葉・中葉・後葉』の部位に分類することができる。

脳下垂体・前葉は、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン,adrenocorticotropic hormone)、GH(成長ホルモン,growth hormone)、PRL(プロラクチン,prolactin)、TSH (甲状腺刺激ホルモン,thyroid stimulating hormone)、LH(黄体形成ホルモン,luteinizing hormone)、FSH(卵胞刺激ホルモン,follicle-stimulating hormone)などのホルモンを分泌して、他の内分泌器官を間接的にコントロールしている。

脳下垂体・中葉は、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン,melanocyte-stimulating hormone)を分泌して、皮膚のメラニン細胞(黒色素細胞)におけるメラニン色素の形成を行っている。脳下垂体・後葉は、子宮(分娩時の子宮収縮)・乳腺(乳汁分泌)に作用するオキシトシンと腎臓に抗利尿ホルモンとして作用するバソプレッシンを分泌している。

視床下部は、満腹中枢・空腹中枢を持つという意味で『摂食・飲水の調節』の役割を果たしており、性ホルモンを分泌して『性欲の調節』の役割も果たしている。視床下部は、怒り・恐怖・喜び・悲しみなど情動の発現形成にも関わっており、『情動行動の中枢』であると考えられている。前視床下部には温熱中枢、後視床下部には寒冷中枢があるので『体温調節の中枢』としての機能も視床下部が担っている。視床下部は『本能行動・情動行動・ホルモン分泌の中枢器官』であり、人間が生存を維持して適応的な本能行動を取るために極めて重要な脳器官といえる。



posted by ESDV Words Labo at 01:11 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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