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2008年06月01日

[クレッチマーの思春期危機説と思春期挫折症候群(adolescent collapse syndrome)]

クレッチマーの思春期危機説と思春期挫折症候群(adolescent collapse syndrome)

発達段階(ライフサイクル)における思春期(adolescent)とは、12〜18歳くらいの青年期の前段階を示す概念であり、医学的には第二次性徴の始まりから終わりまでを意味している。思春期は英語で発毛する時期を意味する“puberty”という語でも表現され、第二次性徴によって性器部分に陰毛が生え始め、異性に対する性的関心(性的欲求)を持ち始めることによって思春期がスタートするとも言える。

小学生の児童期までは同性も異性も余り関係なく一緒に遊ぶことが多いが、思春期に入る中学生になるとお互いの性別や性的身体(性的魅力)を意識する機会が多くなり、特定の異性を好きになる恋愛感情を抱くことも増えてくる。第二次性徴では性腺(精巣・卵巣)の発達により、男性はテストステロン・アンドロゲン、女性はエストロゲンの性ホルモンが大量に分泌されるようになり、『陰毛や腋毛の発生・初潮・精通・声変わり・筋肉の発達・乳房の発達・性器の成熟』などの身体的変化が引き起こされる。

思春期は『大人と子どもの中間領域の時期』であり、急速な身体の成長に精神の発達が追いつかないことが多く、自我意識(自意識)が過剰になって心理的なバランス(安定感)を崩しやすい時期でもある。思春期には思春期やせ症(摂食障害)や統合失調症、境界性人格障害(境界例)などの発症率が若干高くなり、『この世界(社会)において自分は何ものであるのか?将来どのような人間になるのか?自分は好きな異性に愛してもらえるのか?』という自己アイデンティティや進路選択・恋愛活動の悩みが現実的なものとして立ち上がってくる。体型性格理論で知られるエルンスト・クレッチマーは、思春期は自意識(劣等コンプレックス)の強まりによって自己アイデンティティが拡散しやすく進路選択や人間関係(性的問題)で深く悩みやすいということから、思春期危機説(adolescent crisis)を提唱した。

中学生〜高校生くらいの思春期には『学業成績・進路選択・将来のビジョン・恋愛関係・異性関係(性的問題)・自分の存在価値・哲学的な命題』などさまざまな問題が次々と浮かび上がってくることが多く、他人と自分を比較して劣等コンプレックスを形成したり、将来の人生を悲観的に捕えて精神的危機に落ち込んでしまうことがある。

特に、思春期で自尊心・自己愛を激しく傷つけられるような『大きな挫折・失敗』を経験してしまうと、『思春期挫折症候群』と呼ばれる一連の心身障害・不適応状態・逸脱行動を発症してしまうことがある。学校の勉強についていけず学業成績が極端に低下すると、学校の授業が面白くなくなり自分の能力に自信が持てなくなって『非行・いじめ・校内暴力・家庭内暴力』などの問題行動に走ってしまうことがある。

思春期挫折症候群の原因になるのは、『学力低下・いじめ・虐待・両親の不仲(不倫・離婚)・家庭問題・恋愛の失敗・友人関係のトラブル・教師とのトラブル』などであり、学校・家庭・友人関係に適応できなくなると反社会的な逸脱行動(暴力行為・いじめ・家出・売春)をしたり、非社会的な問題行動(不登校・ひきこもり・自殺企図)をとったりする。

思春期挫折症候群は、神経症レベルの精神疾患の形で発症することもあり、うつ病のような抑うつ感・意欲低下・思考力低下を発症したり、統合失調症のような被害妄想・関連妄想・退行・感情麻痺を発生したりすることがある。それらの精神症状が病的なレベルに達している場合には、精神科医による診断と適切な治療が必要になることがある。しかし、一過性の適応障害として思春期挫折症候群が発生することは多く、その場合には周囲の人たちの心理的ケアや教師の生活指導と教育支援、スクール・カウンセラーの支持的カウンセリングによって症状が改善することも多い。



posted by ESDV Words Labo at 13:52 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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