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2008年06月09日

[実験心理学(experimental psychology)と実験計画法(experimental design)]

実験心理学(experimental psychology)と実験計画法(experimental design)

実験心理学(experimental psychology)とは、客観的な自然科学をモデルとした心理学の研究手法であり、実験的・定量的な科学的方法によって精神機能や心理現象を正確に解明しようとするものである。実験心理学は、19世紀以前の主観的な思索(内観)や思弁的な推測に基づく哲学的心理学とは異なるものであり、客観的に確認可能な『心理現象・精神機能の測定データ(数値)』に基づいて仮説を構築し検証する科学的な心理学分野である。心理学分野で言う代表的な『実験(experiment)』とは、環境条件を整えて被検者に「刺激」を与えその刺激に対する「反応」を観察してデータを記録するものである。環境条件と対照群(統制群)を整備した『実験・観察』によって得られた実験心理学のデータは、『演繹的な仮説の検証』に用いられたり『帰納的な仮説の構築』に使われたりすることになる。

科学的な実験的手法を用いる実験心理学は、G.T.フェヒナー(1801-1887)の『精神物理学』(1860年)ウィルヘルム・ヴント(1832-1920)ライプチヒ大学に開設した心理学実験室(1879年)に始まるとされるが、G.T.フェヒナーとエルンスト・ヴェーバーが検証したヴェーバー・フェヒナーの法則は代表的な実験心理学の成果とされる。実験心理学の根底には精神物理学的な『心身一元論』があり、精神現象(心の働き)は物理的な反応として観察できるという基本的世界観に実験心理学は支えられている部分がある。

実験心理学は『研究対象』に基づく分類ではなく『研究方法』に基づく分類なので、実験心理学によって研究されている対象には『感覚・知覚・認知・行動・学習・感情・対人関係(コミュニケーション)』などさまざまなものがある。

基礎心理学に属する分野の多くに実験心理学的な研究方法が採用されているが、実験心理学には『数値化できない現象・データとして解析できない機能』を取り扱えないという限界があり、『性格心理学(パーソナリティ心理学)・精神病理学・カウンセリング心理学・臨床心理学・社会心理学』などの応用心理学では実験心理学的な方法論が適用できないテーマも多い。特に、『内面的な心的過程(思考・感情・認知)』や『情緒的な人間関係(コミュニケーション)』を実験心理学的な方法で解明することは難しく、現在でも画像診断を用いるような脳科学的アプローチを除いて内観法や関与的観察などの方法が使われている。

実験心理学では『実験計画法(method of experimental design)』が重要になってくるが、実験計画法とは環境条件を設定して研究対象を観察する『実験』を、科学的に有効な『仮説の構築・検証』へと結び付けていく具体的な手順のことである。近代統計学を前提とする実験計画法では、『観察・実験の目的』と『測定されたデータの解析方法』を計画してから実験を進めていくことになる。その際には、研究対象の影響力を他の要素による影響力から鑑別するために、実験群・対照群(統制群)を準備した『比較実験(比較臨床試験)』が行われることもあり、実験計画法では『何のデータや効果を測定しようとしているのか?研究対象のみを測定するにはどんな実験を実施すれば良いのか?』という目的意識が必須になってくるのである。

標準的な実験計画法は、『実験の目的や研究対象の特定』→『母集団からのサンプリング(標本抽出)』→『具体的な実験の手順の決定(条件の設定・統制,対照群の準備)』→『測定されたデータの解析方法(統計的処理の方法)』→『仮説の帰納的な検証・仮説の演繹的な構築』のチャートによって成り立っている。



posted by ESDV Words Labo at 21:47 | TrackBack(0) | し:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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