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2017年03月26日

[アスペルガー障害の知的能力の偏り:セントラル・コヒーレンス仮説(中枢性統合仮説)]

アスペルガー障害の知的能力の偏り:セントラル・コヒーレンス仮説(中枢性統合仮説)

アスペルガー障害の人は知的能力(言語能力・計算能力・空間認識能力)が高かったり、特定の専門分野についての知識・情報が異常に多かったりすることはあるが、TPOに合わせた常識的な振る舞い方や日常的な雑談・対応のような誰でも簡単にできるようなことが苦手になりやすい傾向がある。高機能自閉症では具体的な事物・名前の記憶能力や視覚的・空間的な再現能力が優れていることが多いが、『抽象的な思考・一般化の能力』が低いことがある。

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい

アスペルガー障害も高機能自閉症に類似した能力の偏りが見られることはあるが、『抽象的な思考・一般化の能力』が特別に劣っていないケースも多い。ただ『客観的な知識・情報』『主観的な意見・感想』とを織り交ぜて書くような文系学部に多い論文・レポートが苦手なことは多い。

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[アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい]

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴2:自分の感情・感覚も自覚しづらい

アスペルガー障害の思春期以下の子供・未成年者には、自分から積極的に話しかけていこうとしてよくしゃべる人が多いが、『自分の興味関心があることだけをまくし立てるように話す+相手の話を聞こうとする姿勢がなく感情も推測しない+TPOや相手の表情・反応にほとんど注意を払わない』という特徴があるので、『双方向的な会話のキャッチボール』がなかなか成り立たないということになる。

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的

アスペルガー障害の人も成長するに従って、他者との会話や人間関係の経験を積んで学ぶことができるので、少しずつ相手の話を聞けるようになり、表情・態度を見てから話すという『双方向的なコミュニケーション』もある程度はできるようになるが、自分の関心のある話題になると過度に熱中して、相手の反応をほとんど見ずに一方的に話し続けやすい傾向はある。

アスペルガー障害の一方的なコミュニケーションの原因としては、話したり書いたりのアウトプットの能力である『表出性言語能力』に対して、相手の言葉を聞き取って適切に理解する能力である『受容性言語能力』が低いということもある。受容性言語能力には、相手の話した言葉をしっかり聞いて意味を理解するという直接の能力だけではなく、状況や文脈を適切に理解するという高度な社会的認知の能力も含まれている。

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[アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的]

アスペルガー障害の『社会性の障害』とコミュニケーションの特徴1:語彙は豊富だが一方的

アスペルガー障害の特徴として『社会性(対人関係)の障害』があるが、この障害によって、暗黙のルールやマナーとしてある社会常識が分からなかったり、前後の文脈(状況)を理解する能力が低かったりする。TPOに合わせる社会常識や他者の気持ちがよく分からないために、突然悪気もなく他人に失礼なことを言ってしまったり、相手の短所・コンプレックスに触れるような発言を遠慮なくしてしまうのである。

『その相手に言ってはいけないこと』や『その場で話すべきではない話題・質問』が分からないために、アスペルガー障害の人には『人を怒らせやすい・人に不快な思いをさせやすい』という対人トラブルを起こしやすいが、本人は相手がなぜ率直な疑問・意見を嫌がって怒るのか分からず逆に不満や理不尽さを感じてしまうことさえある。相手(他者)が自分の言動をどのように受け取って解釈しているのかということが想像できず、また初めから他者の思惑・感想に対する共感的な興味も薄いのである。

アスペルガー障害の特徴には『コミュニケーションの障害(状況に合わせた言語の用い方の障害)』もあるが、アスペルガー障害は『知的障害がないことの前提(自閉症スペクトラムでいう高機能群)』があるので、自閉症のような言語能力・言語発達そのものの著しい遅れ・障害があるわけではない。アスペルガー障害は言語発達に遅れがなくて言語能力も正常圏にあるのだが、他者との双方向的なコミュニケーションが苦手だったりトラブルを起こしやすかったりするのである。

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2017年03月09日

[アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン2:情動的共感が弱いために成功することもある]

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン2:情動的共感が弱いために成功することもある

自閉症の子供は『モノ・風景の写真』と『顔の写真』を記憶させる実験を行うとモノ・風景の写真のほうをよく覚えている傾向があるというか、厳密には(一般の人は明らかに顔の写真のほうをよく覚えているのだが)顔の写真の記憶力が特別に上がってこないのである。この実験結果は、自閉症(アスペルガー障害含む自閉症スペクトラム)の子供のソーシャルブレインの発達不全を現わしており、顔を特別なものとして認知していないということを示している。

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力

自閉症・アスペルガー障害ではない健常な人のソーシャルブレインは、『人間の顔』を特別な興味関心・記憶・好き嫌いの対象として扱うように遺伝的・発達的に設計されているものなのだが、特に重症度の高い自閉症では『人間の顔』『モノ・風景・顔以外の身体』との注意・興味・価値の区別がほとんど無くなっているのである。

アスペルガー障害の人は他者の感情や意図に対して、『頭で分かること=認知的共感』『心で感じること=情動的共感』の双方が苦手であり、他者の表情や態度から気持ちを読み取る『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』もあまりできないことが多い。

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[アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力]

アスペルガー障害・自閉症とソーシャルブレイン1:人間の『顔』に対する特別な認知能力

『ソーシャルブレイン(社会的脳)』が発達していて社会的能力やコミュニケーション能力が高い人は、『他者の顔・表情』からさまざまな情報を半ば自動的に読み取ることができる。愛想笑いや無表情など感情が読み取りにくい表情も確かにあるが、標準的なソーシャルブレインの発達プロセスが進展していけば典型的な『元気な顔・明るい顔・怒った顔』『落ち込んだ顔・暗い顔・悲しい顔』の区別は自然にできるようになってくる。

アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感

人間の『顔』には、その人のその時点での感情・気分・興味が現れるだけではなく、その人の人格・性格・生き様の大まかな雰囲気・感じまでもが反映されやすく、親しい関係であればあるほど注意深く相手の顔を見れば『その人の今の気持ち・状況・考えていること』などが何となく分かることが多い。無論、完璧に相手の顔だけから感情や考え、人間性が分かるわけではないが、社会的能力が高い人ほど『顔』から読み取ることのできるコミュニケーションに役立てられる情報は多いのである。

社会的な動物である人間は、他者とのコミュニケーションや適応的な集団生活(集団行動)を成り立たせるための『ソーシャルブレイン(社会的脳)』を持っているが、特に『顔に対する認知能力』を発達させている。人間にとっての『顔』は単なる身体の一部ではなく、非常に重要な社会的認知・評価の手がかりとして活用されるものだからであり、人間は他人に見られる『顔』を常に清潔にしようとしその手入れやチェックに相当な時間をかけている。

現代では、顔については美醜が問題にされやすいが、それ以前に顔は自分の人柄・性格・感情・気分・興味を相手に知らず知らずのうちに伝達してしまう『社会的器官・ソーシャルブレインの一部』として機能しているのである。

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[アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感]

アスペルガー障害と心の理論2:頭で分かる認知的共感と心で感じる情動的共感

子供は9歳頃になると『相手を傷つけたり不快にしたりする言葉』『相手の表情・態度・目線が意味する気持ち・内面』が概ね分かるようになり、(特別にいじめたいとか攻撃したいとかいう意図がない限りは)意識してそういった言葉を相手に使うことを避けるようになってくる。

アスペルガー障害の子供もこういった『心の理論の発達』を前提とした、人を傷つける言葉の自己抑制ができないわけではないが、通常は9歳頃にできることが12歳以降までかかることが多く、状況・文脈・他人の気持ちに配慮したコミュニケーション面の発達に遅れが見られるのである。

アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ

広汎性発達障害(自閉症スペクトラム)であるアスペルガー障害の『人間関係(社会性)の障害』『コミュニケーション(言葉の発達)の障害』の中核的症状は、分かりやすく言えば『他者に対する共感性の乏しさ』に集約される。その他者に対する共感性の乏しさの原因として考えられているのが、『心の理論の障害』『情動的共感の弱さ』なのである。

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[アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ]

アスペルガー障害と心の理論1:他人の嘘や騙しにも気づきにくい単純さ・純粋さ

広汎性発達障害(PDD)であるアスペルガー障害では、『人間関係(社会性)の障害』『コミュニケーション(言葉の発達)の障害』が大きな問題になってくるが、その根底にあるのが『心の理論の障害』である。

発達障害の人に特有のコミュニケーション形態に影響する『心の理論』とは、言葉・表情・態度・動作などを参考にして、『他人の意図・感情・立場』を適切に推測する心理的な能力のことである。アスペルガー障害ではこの心の理論が障害されることによって、他人に不愉快な思いをさせたり傷つけることを言ってしまったりしやすいのだが、本人には『悪意や悪気・嫌がらせの目的・傷つける意図』などは全くないのである。

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2017年02月26日

[アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題]

アスペルガー障害における社会性の障害と他者の意図・感情を推測する『心の理論』:サリーとアン課題

アスペルガー障害の『社会性の障害』として典型的なものに、他者の感情・意図を適切に推測する能力とされる『心の理論』が障害されるということがある。イギリスの発達心理学者サイモン・バロン・コーエン(Simon Baron-Cohen,1971〜)は、自閉症スペクトラムの根本障害の原因をこの『心の理論の発達不全』に求めているが、人間の赤ちゃんは生後5〜9か月の時期から『注意の共有』によって他者の心(意図・感情)を推測するための心の理論を発達させ始めるのである。

他者の気持ちや意図を推測する『心の理論』が上手く発達していかないアスペルガー障害の幼児の特徴としては、ままごとやお医者さんごっこなどに代表される、ぬいぐるみ・おもちゃを役割のある人間(家族)になぞらえてなりきる『ごっこ遊び(想像力を駆使した遊び)』がほとんど見られないということもある。ごっこ遊びよりも、テレビやアニメの登場人物の決まった台詞やポーズをそのまま何度も繰り返す『オウム返し』が見られやすい。

アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3

アスペルガー障害の幼児の子供は、情緒的な想像力を働かせてコミュニケーション(あれこれ会話)しながら遊ぶごっこ遊びなどよりも、むしろ論理的なルールがしっかりしているトランプや将棋、テレビゲーム(スマホゲーム)を好む傾向がある。他者の立場に立って物事を見るという心の理論も発達しづらいので、4歳児くらいから解くことのできる『サリーとアン課題』にも正答することが難しくなる。

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[アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3]

アスペルガー障害における『社会性の障害』と身だしなみ・親密な人間関係:3

アスペルガー障害の人は『他者への興味関心(特に他者の内面心理への関心)』が非常に弱く、他人が自分の外見や行動をどのように見ているのかということにもほとんど頓着せず気にしない傾向がある。そのため、アスペルガー障害の人は『服装・髪型・身だしなみ』が無頓着になりやすく、ぼさぼさ頭にボロボロの着古した服を着ていても何も気にならないし恥ずかしいといった感情も抱かないことが多い。

人の考えや感情、評価などにはじめから興味や配慮があまりないので、人からどんな風に思われているかということを想像して自分の言動を変えることが少なく、『人の気持ちとは関係のない事実・真実・知識・モノ』などの執着的な興味を持ち続けることが多いのである。

アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2

服装や身だしなみ、流行にこだわらないアスペルガー障害の成功者や経営者、知識人(学者)は意外に多いとされ、マイクロソフト創業者で世界トップの大富豪であるビル・ゲイツも若い頃はスーツの堅苦しい服装を嫌い、ボロボロのジーンズと穴あきのセーターでチェーン店のファストフードを好んで食べていたともいう。

他人や周囲の感情に無頓着で配慮しないことが、アスペルガー障害の『対人関係のトラブル・人から誤解されて怒らせたり嫌われたりする問題』の原因にもなっている。アスペルガー障害の人は状況の前後の文脈(コンテクスト)を読んだり、暗黙の社会的ルールを守ったりすることが苦手であり、端的には『社会常識・TPO・相手の受け止め方(自分の言動を相手がどう評価するか)』がよく分からないままに自分の率直な考え・感想を言葉にしてしまうのである。

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[アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2]

アスペルガー障害における『社会性の障害』と相互応答のためのノンバーバル・コミュニケーションの苦手さ:2

アスペルガー障害の人は、他者と『ノンバーバル・コミュニケーション(非言語的コミュニケーション)』を含めた相互的なやり取りである『相互応答性』が障害されているという特徴もある。

一般的な双方向のコミュニケーションでは、声のリズムや身体のジェスチャー、顔の表情も言葉と同期しているのだが、アスペルガー障害の人は『言葉だけのやり取り』になりやすく、穏やかな目線や笑顔、声の高さ、身振り手振りでポジティブな感情(好意的な関心)を相手に伝える『非言語的コミュニケーション』があまり行われていないのである。

アスペルガー障害における社会性の障害と集団行動・社会的環境(他者の干渉)の苦手さ:1

アスペルガー障害は自閉症スペクトラムの一部を構成する障害(症候群)でもあるから、『他者と視線が合いにくい』『相手の顔や体を見ようとしない』『声の調子が平板で単調』『表情や身振りが乏しい』といった特徴を呈しやすく、他者との相互的なコミュニケーション状況においてぎこちない不自然さが出やすいのである。

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[アスペルガー障害における社会性の障害と集団行動・社会的環境(他者の干渉)の苦手さ:1]

アスペルガー障害における社会性の障害と集団行動・社会的環境(他者の干渉)の苦手さ:1

イギリスの女性精神科医ローナ・ウイング(Lorna Wing, 1928〜)は、オーストリアの精神科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger, 1906-1980)が初めて報告した『アスペルガー障害(Asperger Disorders)』を再発見して当時の精神医学会に広めた功績がある。

“ウイングの3つ組”として知られるアスペルガー障害(自閉症スペクトラム)の典型的な特徴は、『社会性の障害(対人関係の障害)・コミュニケーションの障害(言語の障害)・イマジネーションの障害(こだわり行動・興味の偏り)』の3つである。社会性の障害というのは、学校・職場・地域などの社会集団において他者や状況に合わせて適応的に行動できないという障害である。

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2017年01月29日

[ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:孤立型の特徴]

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:孤立型の特徴

孤立型のアスペルガー障害は、周囲や他者に対する興味関心が乏しいタイプで、受動型以上に『対人関係への無関心・消極性』が目立ち、相手から話しかけられてもあまり相互的な反応・返事を返さないような特徴がある。場合によっては、無関心が非常に強いそっけなさや冷淡さ、とっつきにくさといった印象を周囲に与えるため、人間関係が一般に作られにくく幼稚園・学校・職場などで孤立しやすくなる。

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:受動型の特徴

他者と仲良くなれる機会や友達になれそうな状況があっても、自ら誰かと特別に親しい人間関係を作りたいとか、孤立している孤独な状況がつらいとかいった思いそのものが殆どないので、『友達関係・交友関係・社会的関係』をほとんど築けないままに人生の発達段階を過ごしていくことが多くなる。乳幼児期にも、おもちゃや絵本などで黙々とひとり遊びをしていることが多く、友達の輪の中に自ら入っていくという行動も見られない。

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[ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:受動型の特徴]

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:受動型の特徴

アスペルガー障害の受動型は自分から他者に話しかけたり関わったりしないということであり、積極奇異型と比較すると『対人関係の消極性』が目立っている。他者に対する興味や会話への好奇心はあり、向こうから誘われたり話しかけられれば嬉しそうに応じることもあるのだが、自分から積極的・主体的に『交遊・親密さ』を求めて関わっていくことが少ないのである。

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:積極奇異型

受動型のアスペルガー障害は、対人関係やコミュニケーションにおける『受け身(受動性)・消極性』が目立つタイプであり、アスペルガー障害が他者(外部)に対する興味・反応が乏しく、自分の内的世界に閉じこもる自閉症スペクトラムの一部であることと関係している部分が多い。知的障害がないアスペルガー障害では、受動型でも平均以上の知能指数や記憶力を示すことがあり、特に自分が興味関心を抱けた特定分野に関して特別に優れた暗記力・成績を発揮したりもする。

自分一人で興味関心のあることや趣味・娯楽に熱中して楽しむことが多く、向こうから誘われなければ自分から積極的・主体的に『交友関係・親密さ』を求めることがほとんどないという点では、『自閉症スペクトラム的』であると同時に『回避性パーソナリティー障害的』でもあると言えるかもしれない。

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[ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:積極奇異型の特徴]

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の3つのタイプ:積極奇異型の特徴

イギリスの女性精神科医ローナ・ウイング(Lorna Wing, 1928〜)は、アスペルガー障害(Asperger Disorders)を以下の3つのタイプに分類している。アスペルガー障害全般に共通する特徴として、積極的でも消極的(受動的)でも『対人関係の不器用さ・トラブル』が目立つということがあり、『双方向的・相互的なコミュニケーションの苦手さ(不自然な身体の動き・表情・堅苦しさ・大げさな感じなど)』もある。

1.積極奇異型

2.受動型

3.孤立型

積極奇異型のアスペルガー障害は、物事に対する興味関心が強く、新たな出来事への好奇心も持っているので、『積極的だが奇妙な印象を与える行動』が特徴となる。アスペルガー障害の中では比較的多い典型的なタイプの一つであり、『相手の都合・感情・事情』などに配慮することなく、一方的に捲し立てるようにしゃべったり、TPOにふさわしくない常識はずれな言動(相手の気にしていることに対するストレートな発言など)をしたりするので、対人トラブルが多くなる。

基本的に節度なく饒舌に良くしゃべるタイプだが、相手の気持ちを考えた言動をしづらく、理屈っぽい知識自慢や批判めいた発言を繰り返したりするので『相互的なコミュニケーション(気軽な楽しい雑談・相手の話を聴きながらの対応)』が成り立たなかったり、話しているうちに相手を怒らせてしまうという問題が起こりやすい。

自分の興味関心のあることばかりを一方的に延々と話し続けたり、相手の話そうとしている内容には完全に無関心で反応がなかったりする(共感・同意・話を広げるなどの反応がない)ので、相手側にコミュニケーションする満足・楽しさを感じてもらうことが難しいのである。

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2017年01月27日

[ハンス・アスペルガーがアスペルガー障害に見た知能・言語能力の高さと知的職業の適応への可能性]

ハンス・アスペルガーがアスペルガー障害に見た知能・言語能力の高さと知的職業の適応への可能性

L.ウイングが、アスペルガー障害を含む自閉症スペクトラム(自閉症の連続体)の中核症状として定義したのが『ウイングの3つ組』である。ウイングの3つ組とは、『対人関係の障害(社会性の障害)・コミュニケーションの障害(言語機能の発達障害)・イマジネーションの障害(こだわり行動と興味の偏り)』の3つの特徴的な自閉症スペクトラムの問題のことである。

ローナ・ウイングのアスペルガー障害の再発見と自閉症スペクトラムの提案

アスペルガー障害にありがちな誤解・偏見として、『人間的な情緒・感情がまったくない』や『人間の個別的な特徴を理解することができない』があるが、実際にはアスペルガー障害の子供も親への愛着を形成しており、親と離れていると寂しさや孤独感(ホームシック)を訴えることはあるし、動物好きで熱心にペットの遊び相手や世話をしたりすることも少なくない。客観的な人間観察をすることでその相手がどのような特徴を持っているかを正確に分析することもできることがあり、人間個人のさまざまな特徴や傾向について全く理解できないというわけではない。

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[ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:2]

ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:2

フリッツ・Vは、幼児期になると友達と上手く遊べないとか友達と一緒の場に参加できない、他人に興味を示さない、気に入らないと相手を叩く(気に入ると急に抱き着く)、他人との距離感がないなどのアスペルガー障害(自閉症スペクトラム)に特有の『社会性(対人関係)の障害』が目立ってきたのである。

ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:1

知能が高くて言語能力・計算能力(数字の概念)の発達も早かったのに、『他者との関係性・距離感を踏まえた適切なコミュニケーション』ができず『相手がどう感じているか何を考えているかを推測して対応する能力(心の理論と呼ばれる共感と推測の能力)』も著しく低かった。

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[ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:1]

ハンス・アスペルガー(Hans Asperger)の『フリッツ・Vの症例』とアスペルガー障害:1

オーストリアの精神科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger, 1906-1980)は、1944年にアスペルガー障害(アスペルガー症候群,Asperger disorder)について発表した。アスペルガー障害発見のきっかけになったのは、ドイツがオーストリア侵攻をして第二次世界大戦が始まろうとする混乱期の1939年に診療した『フリッツ・Vの症例』であった。

第一次世界大戦で敗れてからのドイツとオーストリアは、英仏の戦勝国への賠償金の支払いなどによるインフレと失業で経済が疲弊して、親から捨てられて何の保護や教育、医療も受けられない不遇な子供達が溢れていた。この社会混乱の時期にハンス・アスペルガーは、提唱者である医師のエルヴィン・ラツァールらと共に『クリニック併設のデイセンター(生活支援施設)』の運営に参加していたのである。

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2016年08月11日

[『世界の警察』となった超大国アメリカの単独主義外交:9.11の米国同時多発テロ]

『世界の警察』となった超大国アメリカの単独主義外交:9.11の米国同時多発テロ

ソ連というライバルを失って世界の超大国(スーパーパワー)となったアメリカは、『世界の警察』を自認してアメリカ中心の世界秩序を再構築するための軍事・外交政策や内政干渉を積極的に行うようになっていく。アメリカの味方なのか敵なのかの判断基準は、『民主主義・自由主義・人権尊重・親米政権(あるいは米国の市場拡大や資源獲得)』のいずれかに合致しているかいないかである。

ゴルバチョフとソ連崩壊:米ソ冷戦の終結による世界秩序の不安定化

反米の独裁国家や人権侵害の宗教国家、テロリスト擁護のイスラム国家などは『米国の敵(世界秩序の紊乱者・テロ支援国家・人権抑圧国家)』と見なされて、アメリカの指令や要請に従わなければ(拒否権を持つ常任理事国は別だが)『国連決議後の経済制裁・軍事制裁』を受けやすくなった。世界最強の軍事力を背景にして『世界の警察』として支配的に振る舞うアメリカは、1990年のイラクのフセイン政権のクウェート侵攻に対し、国連決議を経て国連軍を結成して『湾岸戦争(1991年)』を戦った。

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2016年07月26日

[アイザイア・バーリン(Isaiah Berlin)の自由論:消極的自由と積極的自由]

アイザイア・バーリン(Isaiah Berlin)の自由論:消極的自由と積極的自由

政治学の自由主義(リベラリズム)でいう『自由』について、イギリスのオックスフォード大の政治思想家・哲学者のアイザイア・バーリン(Isaiah Berlin, 1909-1997)は、『消極的自由(negative liberty)』『積極的自由(positive liberty)』を分類して定義した。

『消極的自由(negative liberty)』というのは『政治権力からの自由』であり、自分の意志・希望・価値観に逆らって何かをしろと強制されたり拘束されたりしない自由のことである。消極的自由は一般的に自由と呼ばれる観念が指し示している『自分の思いのままに行動できるということ(誰かにああしろこうしろと指示命令されないこと)』にかなり近い。

『積極的自由(positive liberty)』というのは『政治権力による自由』であり、生存権をはじめとする基本的人権を政治権力や法の支配によって守ってもらったり実現してもらったりすることである。権力や他者に何かを無理やり強制されないという消極的自由だけがあっても、貧困・病弱・無力な個人にとってはその自由の使い道がなくて無意味であるということから、政治権力が『徴税・社会保障制度(社会福祉制度)・安全保障制度』などを介して個人が結果としての自由を得られるようにバックアップするというわけである。

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2016年04月18日

[E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)の臨床的特徴:2]

E.H.エリクソンのアイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)の臨床的特徴:2

エリクソンが指摘した一般的な青年心理の危機・混乱である『アイデンティティ拡散症候群(identity diffusion syndrome)』の臨床的特徴は以下のようなものである。

1.自意識(アイデンティティー感覚)の過剰性……自分がどのような存在であるか、自分が社会や仕事においてどのような役割・職務を果たすべきかというアイデンティティー感覚を過剰に気にしてしまう。他人や社会から自分がどのような人間だと見られているかを過敏に気にしてしまう自意識過剰(excessive awareness)の状態に陥る。

2.選択の回避と心理社会的な機能の麻痺……社会が与えてくれる青年期の『モラトリアム(選択の猶予期間)』を有効活用できずに、社会的・職業的・関係的な選択を回避してしまい、無職・無業やひきこもりなどの状態に陥りやすくなる。健康な自我機能が障害されることによって、社会的なモラトリアムを用いて職業上の役割実験をしたりアイデンティティー選択を模索したりすることができなくなる。決定的な職業選択ができなくなり、恋愛・結婚など重要な人間関係の選択もできなくなるので、心理社会的な機能が麻痺することになる。

3.対人的な距離感の失調……現実性のある適切な対人関係の距離が掴みにくくなり、一時的・遊戯的なその場限りの浅い付き合いだけしかできなくなり、人生や仕事、価値観などに関する深い話し合いの機会も持つことができない。本当の信頼感や安心感に基づいた『継続的かつ有意義な人間関係』を築くことができず、甘えると相手にのめり込むほどに依存してしまい、自立すると孤立したりひきこもったりしがちになってしまう。

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