ヘイザンとシェイバーの『アダルト・アタッチメント尺度』:愛着形成の3タイプ
精神科医・精神分析家のジョン・ボウルビィ(John Bowlby,1907-1990)は、人間の精神発達過程や人間関係の傾向を説明する『愛着理論(attachment theory)』を提唱した。愛着理論でいう『愛着(attachment)』とは、乳幼児期に特定の近しい他者に対して形成される『情緒的な深い結びつき』のことである。
愛着が形成された他者と一緒にいると『安心感・安全感・信頼感・自己肯定感』などをはじめとする『居心地の良さ』を感じることができる。児童期・思春期・青年期以降にも人は親友・恋人・配偶者など親密な相手に対して愛着を形成することが多く、そういった相手と一緒にいる時には安心して居心地が良くなり、反対に決定的に別れてしまうと(二度と会えないような関係破綻になると)苦痛や孤独、寂しさ、怒りに悩まされることになりやすい。対象喪失の悲哀感にも、愛着の破綻や喪失が関係している。
1980年代前半までの愛着研究は、主に乳幼児期の母子関係に関わるものであり、乳幼児期の愛着以外の愛着を心理学的に測定・評価する心理テストが開発されていなかった。その後、1985年にメインらが成人の愛着を測定するための『半構造化面接法(成人愛着面接法)』を開発して発達心理学の分野で使用され始めた。1987年には、ヘイザンとシェイバーが、成人の愛着測定のための質問紙法の心理テストを開発している。
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