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2014年01月02日

[アドラー心理学のライフスタイル(life style)]

アドラー心理学のライフスタイル(life style)

一般的にいう『ライフスタイル』は、その人の価値観や信念体系に根ざした生き方や行動様式、人間関係の特徴(癖)のことを意味しているが、アルフレッド・アドラーが創設したアドラー心理学におけるライフスタイルは、『個人の性格傾向・性格構造』のことを指す。

A.アドラーは『広義のライフスタイル』として、その人に特有の生き方や人間関係の持ち方の特徴、その人の実際の行動によって示される人生観や価値観を上げている。それに対する『狭義のライフスタイル』とは、その人が定める人生目標とその人生目標を達成するための無意識的な戦略・信念・判断のことである。

アドラー心理学では狭義のライフスタイルを『その個人の人生の設計図・青写真』と解釈するが、狭義のライフスタイルにはまず自分がどのような人生を生きていきたいのかという人生目標の設定がある。そして、その目標を達成するためにどのような選択や判断をすれば良いのかという、『無意識的な戦略性』がライフスタイルの中に織り込まれているのである。

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2013年12月07日

[アドラー心理学の勇気づけ(encouragement)]

アドラー心理学の勇気づけ(encouragement)

劣等コンプレックスの補償を核とした『個人心理学(individual psychology)』の創設者として知られるアルフレッド・アドラーは、後年に『アドラー心理学』と呼ばれる独自の心理療法体系を開発した。アドラー心理学に基づくカウンセリングのことを、『アドレリアン・カウンセリング(Adolerian counseling)』と呼ぶこともある。

アドレリアン・カウンセリングで、クライアントの問題解決や性格変容を支援するカウンセリング技法の中心にあるのが『勇気づけ(encouragement)』と呼ばれるものであり、勇気づけは劣等コンプレックスや挫折体験、自己嫌悪などで弱って落ち込んでいるクライアントの心理状態を支えて持ち上げてくれるような効果を発揮してくれる。

A.アドラーの勇気づけの原理は、カール・ロジャーズのクライアント中心療法における『無条件の肯定的受容(積極的尊重)』とも重なる方法論でありカウンセラーの基本的態度だが、勇気づけにおいて最も大切な前提はカウンセラーとクライアントの間の『ラポール(相互的信頼関係)』である。

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2013年10月25日

[アドラー心理学の目的論(teleology)]

アドラー心理学の目的論(teleology)

後半生のアルフレッド・アドラーは、自身の個人心理学をベースにした『アドラー心理学(Adlerian Psychology)』を創設して、それまでの精神分析とは異なる勇気づけと共同体感覚を重視した心理療法を展開した。

アドラー心理学に基づいた心理学者・心理療法家(サイコセラピスト)のことを『アドレリアン』と呼ぶこともあるが、アドレリアンはフロイディアン(フロイト派の分析家)とは違って原因探求をせず、『目的論(teleology)』の立場でクライエントの問題解決を支援していく。

アドラー心理学の目的論は、『精神疾患・問題行動・不適応の原因』を掘り下げて問わないということを意味しており、『問題・病気の原因』を取り除こうとしたりもしない。目的論は人間のすべての行動・症状・関係性には何らかの『目的性』が内在しているという考え方をするので、精神疾患や問題行動に対して心理療法を行う場合にも、『疾病利得を含めた主観的な目的』を敢えて問うというスタンスを取ることになる。

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2012年12月13日

[フレデリック・アレン(Frederick H. Allen)]

フレデリック・アレン(Frederick H. Allen)

アメリカの精神科医であり心理療法(サイコセラピー)にも力を入れていたフレデリック・アレン(Frederick H. Allen,1890-1964)は、“対人関係のプロセス”と“精神病理の発症・経過・治療”との相関に注目した研究を行った。現代でも実施されている『対人関係療法』の嚆矢となる研究・臨床であり、患者の置かれている人間関係の状況や交流を改善して対人スキルを高めることができれば、多くの心理的問題や精神症状が解決に向かう事を明らかにした。

当時のアメリカの精神医学会は、ジークムント・フロイトの精神分析をはじめとする力動的心理学(力動精神医学)の影響を強く受けていたが、ここでいう『力動(dynamism)』とはエスや自我、超自我などの精神内界にある心理的装置(精神機能)のエネルギーが相互にぶつかり合って葛藤しているという意味である。一般的に、力動的心理学や力動精神医学と呼ぶ場合には『精神分析の理論的影響を受けた心理学・精神医学』という定義になる。

この力動という精神分析の概念には、『無意識による決定論』『本能(エス)と理性(自我)、道徳(超自我)の葛藤による行動の規定』ということが含意されている。アメリカの心理療法家であるフレデリック・H・アレンは、特に精神分析家のオットー・ランクやJ.J.タフトからの薫陶を受けており、力動的心理学に対人関係を改善するための方法や理論を付け加えることで、より実用的でわかりやすい精神療法(サイコセラピー)を確立しようとした。

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2012年12月12日

[カール・アブラハム(Karl Abraham):2]

カール・アブラハム(Karl Abraham):2

アブラハムは大学生時代にはフライブルク大学医学部でリープマン教授の研究室に所属して、脳の機構と神経疾患の関係を調べる神経解剖学(神経心理学)の研究をしていたが、医師となった後にC.G.ユングやオイゲン・ブロイラーのいたブルクヘルツリ病院(精神病院)に勤務することになる。精神病院で患者の診療に当たっていたのだが、次第に精神分析による人間心理(精神発達プロセス)の解明や神経症の治療に強い興味を抱くようになる。1907年に精神分析関連の論文を発表してフロイトと知り合う機会を掴み、学術的な意見交換のための文通を開始した。

カール・アブラハムは1910年に『ベルリン精神分析協会』を設立して、ドイツ国内に精神分析学を普及させた初期の貢献者であり、始祖のS.フロイトが主導した『国際精神分析協会』でも重要な位置づけを占め続けていた。K.アブラハムは1925年に48歳で病死する時まで、自分が設立したベルリン精神分析協会の会長の職務をこなしつづけ、リビドーの発達過程と精神疾患の発症メカニズムをより精緻なレベルで明らかにしようとしていた。

K.アブラハムはクライエントを診療して分析する臨床家としての実力もあったが、それ以上に後進の精神分析家の育成に尽力した人物であり、アブラハムが教育分析(スーパーバイジング)を実施した精神分析家にはメラニー・クラインやカレン・ホーナイ、ヘレーネ・ドイッチェなどがいる。K.アブラハムの弟子には女性分析家が多いが、アブラハム本人の性格も温厚で穏やかであり、どちらかといえば男性より女性に合わせやすい一面があったのかもしれない。

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[カール・アブラハム(Karl Abraham):1]

カール・アブラハム(Karl Abraham):1

ドイツの精神分析家であるカール・アブラハム(Karl Abraham,1877-1925)は、ジークムント・フロイトに初期から師事して、『フロイトのリビドー発達説・汎性欲説』を守った忠実な弟子として知られる。

カール・アブラハムはS.フロイトと同じユダヤ人の出自を持っており、学師であるフロイトと個人的に最も親密な交流のあった弟子の一人でもある。S.フロイト自身も自分の精神分析の理論・技法に忠実な態度を保ち、リビドー(性的欲動)の発達と固着の世界観を継承したK.アブラハムを、後継者に指名していたC.G.ユング以上に自分の理論に精通した良き理解者として評価していた。

S.フロイトは学派の家長(頭領)として振る舞おうとする『権威主義的な性格傾向』を持ち、自分の理論や主張に反対したり独自の修正を加えようとする他者(弟子)を許せないような気難しさ(偏狭さ)を持っていたとも伝えられる。他者に妥協したり自分の主張を調整することが苦手な性格であったこともあり、フロイトは自らの後継者のように思っていた多くの高弟たちと対立して訣別していった。国際精神分析協会に所属していてその将来を嘱望されていた精神分析家でフロイトと離反していった人物としては、有力な後継者と目されていたカール・グスタフ・ユングがいる。

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2012年12月02日

[フランツ・アレキサンダー(Franz Alexander)]

フランツ・アレキサンダー(Franz Alexander)

フランツ・アレキサンダー(Franz Alexander,1891-1964)はハンガリー出身の精神分析家・精神科医であり、後に渡米してシカゴに精神分析研究所を開設している。当時、身体と精神の疾患・ストレスの相関関係を考える医師は殆どいなかったが、フランツ・アレキサンダーは『心身医学』を体系化するために尽力した精神分析家でもあり、『修正感情体験(corrective emotional experience)』という独自の心理臨床の技法を開発した。

F.アレキサンダーは、ドイツのベルリンでフロイト直系の弟子の一人であるハンス・ザックス(Hans Sachs)に師事して教育分析(スーパーバイズ)を受けることで、精神分析家としての基本的な理論や技法、態度を身につけたとされる。シカゴ大学の精神分析家の教授を歴任するだけでなく、シカゴの精神分析研究所でも24年間の長い年月にわたって所長の職務をこなして、20世紀初頭のアメリカにおける精神分析の普及に貢献した。

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2012年11月24日

[アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):4]

アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):4

アルフレッド・アドラーは、第一次世界大戦後にウィーン1区の労働者委員に就任して教育改革に取り組み、1922年に世界初となる『児童相談所』を設立してヨーロッパ各地に児童福祉の概念とそのための施設を普及させていった。

アドラーが教育改革・児童福祉の領域に関心を持つようになったきっかけは、『治療よりも予防が重要・子ども時代のメンタルヘルスが大切』とする精神疾患の治療理念を洞察したことだったとされる。1920年代になると精神分析や心理学だけではなく、教育、福祉、ソーシャル・ワークなどの学際的な活動に積極的に携わり、人間の心理や発達、精神病理、社会問題などに関する数多くの講演活動も行うようになっていった。1924年に、ウィーン教育研究所治療教育部門の教授に就任して、後進となる精神分析家や心理療法家の育成(スーパーバイズ)にも尽力している。

A.アドラーは精神科医・教育者・社会活動家・講演者としての地位と名声を日に日に高めていき、1926年末に初めてアメリカ合衆国を訪問して数ヶ月にも及ぶ講演旅行を断行してからは、ヨーロッパ大陸と北米大陸を半年ずつに分けて行き来するようになり、講演とカウンセリングに明け暮れる多忙な日々を過ごすことになる。1932年に、アメリカのロングアイランド医科大学の医学心理学部の招聘教授に任命されることになり、医学部での教育活動や後進の育成も熱心に行った。1932年には、アドラー心理学の重要な著作となる『人生の意味の心理学(What Life Should Mean to You)』を発行している。

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[アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):3]

アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):3

アドラーは自分自身の幼少期のリアルな劣等コンプレックスの経験に基づいて、共感的で説得力のある『個人心理学(Individual Psychology)』を考案したが、人間の誰もが持つ『優越・権力への意志』はその挫折や失敗による『劣等・敗北のコンプレックス』と表裏一体であるという多面的な人間観を提示している。

人間は他人よりも優れていたいという優越欲求を誰もが多かれ少なかれ持っているが、その優越欲求が充足されなかったり挫折した時に劣等コンプレックスが発生する、『優越感と劣等感』は人間の基本的な自己認識の裏表であるとアドラーは語る。しかし、劣等コンプレックスがあればこそ、人間は現状をより良い方向に変えようとする努力・成長をすることができる(劣等性の補償をすることができる)というのがアドラーの人間観である。その劣等感に押しつぶされてしまい、自分には価値がないという自己否定やどうせ俺(私)なんかという歪んだ形の自尊心を持った時に、『神経症』などの精神疾患が発症すると考えたのである。

人生とは自分にとっての目標を達成しようとする終わることのないプロセスであり、A.アドラーはその人生の目標へと人間を突き動かしていく心理力動の本質が『優越への意志・劣等コンプレックスの克服』であると考えたのである。人間が常に抱えている劣等感とその劣等感をはねのけて優越感を得ようとする心理的力動によって、人間は自分の目的や課題を設定してそれを達成していくことができるというのが、アドラーの個人心理学の人間観・心理療法観になっている。劣等コンプレックスを克服するための別の分野での努力や成功、活躍の事を『劣等性の補償(compensation of inferiority)』という概念で説明している。

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[アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):2]

アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):2

アルフレッド・アドラーが創始した『個人心理学(Individual Psychology)』は、人間の精神構造や精神機能を“機械的・部分的・法則的”に捉えて処理するフロイトの精神分析学に対抗した名称でもあるが、これは『個人とその精神構造はそれ以上の部分に分割することができない全体性(一体性)を持って機能している』という意味である。

個人心理学という名称から、『個人の心理構造・精神機能・精神病理』だけを限定的に研究する学派だという誤解を受けることも多いが、アドラーの個人心理学は『対人関係の心理学』であり、対人関係の中でさまざまな影響を受けて心理状態が変化していく個人を対象にしたものである。個人心理学の基本理念は『劣等コンプレックスとその補償・優越への意志・全体性・共同体感覚・精神疾患(神経症)の予防』などにある。

S.フロイトは、人間の根本的な精神活動の動因を『リビドー(性的欲動)の抑圧・充足』にあるとする汎性欲説を主張したが、それは『快楽への意志』を人間の行動の本質とするものだった。フロイトの快楽への意志を重視するリビドー説では、性欲の抑圧や転換によって神経症症状が発生することになる。

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[アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):1]

アルフレッド・アドラー(Alfred Adler):1

アルフレッド・アドラー(Alfred Adler,1870-1937)は、オーストリアの首都ウィーンで生まれたユダヤ人の精神科医であり、1895年にウィーン大学医学部を卒業してからは初め、眼科医・内科医として開業していた。アルフレッド・アドラーを精神科医・精神分析家の道に進ませるきっかけになったのが、ジークムント・フロイトが夢に反映される無意識的な心理・記憶とその仕組みについて書いた『夢分析(1900)』の論文との出会いであった。

A.アドラーは3歳の頃に、同じ寝室で寝ていた弟を伝染病で亡くしており、小さな子どもの頃から身体が弱くて『くる病(せむし)・低身長』で劣等感を抱えていたが、アドラーはその劣等コンプレックスの無意識的な抑圧と変容のメカニズムに興味を持っていた。無意識の領域と内容を取り扱う精神分析を勉強しはじめたアドラーは、当時、医学会から猛烈な反発に晒されていた『夢分析の理論(無意識的な欲求が検閲を受けて夢の内容に反映されるという仮説)』を支持して、1902年にはフロイトからの招きで精神分析研究会の『水曜心理学会』に参加するようになった。

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[ハーバート・アプティカー(Herbert H. Aptekar)]

ハーバート・アプティカー(Herbert H. Aptekar)

ハーバート・アプティカー(Herbert H. Aptekar)はアメリカの精神分析家、ソーシャル・ケースワーカーであり、ジークムント・フロイトとオットー・ランクの理論を統合した人物としても知られている。

H.アプティカーは社会的な困窮者や精神障害者を支援するケースワーカーであり、S.フロイトの精神分析に影響を受けた『診断主義的ケースワーク』とO.ランクの力動的な人格理論に影響を受けた『機能主義的ケースワーク』の二つの立場を折衷的に活用する“機能派の精神分析家”でもある。

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[シルヴァーノ・アリエティ(Silvano Arieti)]

シルヴァーノ・アリエティ(Silvano Arieti)

イタリア生まれの精神科医であるシルヴァーノ・アリエティ(Silvano Arieti,1914-1981)は、イタリアの大学を卒業後にアメリカに渡り、フロイトの原点的な人間観と分析技法に還ろうとする精神分析学派に学んだ。アリエティはジャック・ラカンなどと同じく原点回帰型の『ネオフロイト学派』に所属する精神分析家であり、ネオフロイディアンとして統合失調症に有効な精神分析的技法の開発と検証にその臨床家人生を費やした人物でもある。

アメリカではニューヨーク州立医科大学の精神科の教授にまで昇進しており、医学部教授をすると同時に市井の精神分析家(精神科医)として開業もしていた。シルヴァーノ・アリエティの専門は『統合失調症の心理分析』である。統合失調症患者を診察する多くの臨床経験を踏まえた上で、『統合失調症を発症させる心理力動的な心理機序(心理メカニズム)』『自我構造論に依拠する統合失調症の心理構造(心的装置の構造)』を精神分析的に明らかにしている。

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[ネイサン・アッカーマン(Nathan W. Ackerman)]

ネイサン・アッカーマン(Nathan W. Ackerman)

アメリカの精神分析家であるネイサン・アッカーマン(Nathan W. Ackerman, 1908-1971)は、家族構成員の間に働く相互作用に注目した『家族システム論』を提唱した人物である。アメリカ精神医学会における家族療法の先駆者であり、家族それぞれの関わり合いや話し方、言葉の内容を矯正することで、家族問題の解決を援助しようとした。

家族成員の誰かひとりだけが悪いのではなく、家族相互の不適切なやり取り(コミュニケーション)による相互作用が、家族の問題状況を悪循環させていると考えるのが、アッカーマンの家族療法の特長である。1955年に矯正精神医学会で家族関係のシステム論的な問題解決についての初めての発表を行ったが、1959年には米国では初となる本格的な『家族療法研究所』を設立している。

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2012年10月11日

[クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学と自己実現モデル:2]

クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学と自己実現モデル:2

個人と組織の相互作用を考える組織行動論においては、『メンツや見栄を守る・支配権や優位性を維持する・自分の懲罰や責任を逃れる』などの自己防衛的な行動が、組織の問題解決や意志決定を阻害する事を発見して、組織内における以下のような『自己成長・自己実現のための概念モデル』を提示した。

アージリスの自己実現的人間のモデル

人間が未熟な状態から、自己実現的な成熟した状態にまで至る状態を7つの変化の段階で示したものである。

1.受動的から能動的……未熟な受動的状態から、成熟した能動的な状態への変化

2.依存から独立……未熟な他者に依存した状態から、成熟した自分で責任が取れる独立した状態への変化

3.単純な行動から多様な行動……未熟な単純で限定された行動から、成熟した多様で目的達成的な行動への変化

4.浅い興味から深い興味……浅く弱い興味から、深く強い興味への変化

5.短期的な展望から長期的な展望……未熟な短期的で無計画な視点から、過去・未来までを含めた長期的で計画的な視点への変化

6.従属的から対等の立場・優越的……未熟な他者に従属した状態から、自己を確立した対等な立場(あるいは他者に対する優越的指導的立場)への変化

7.自己認識の欠如から自己統制……主観的な自己認識から、客観的な自己統制への変化

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[クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学:1]

クリス・アージリス(Chris Argyris)の組織行動学:1

クリス・アージリス(Chris Argyris,1923-)『行動科学の中興の祖』と呼ばれるが、ビジネスやマネージメント思想、人材労務管理の分野にヒューマニスティックな行動科学の知見を機能的に応用した事で知られている。クリス・アージリスは、1950〜1960年代にかけてエール大学経済学部教授、それ以降はハーバード大学経済学部教授(ビジネススクール教授)としてのキャリアを積んでいるが、絶えず『大学の研究室』と『企業の現場』の双方を意識した精力的な研究生活を送った。

C.アージリスの意欲的な学究生活は広範な分野に及んでおり、心理学の学士号、経済学の修士号、組織行動論の博士号を取得している。C.アージリスは、それまでの行動科学(行動主義心理学)による行動の生成変化のメカニズムを解明するだけではなく、集団組織において人間がどのような適応と活躍をする事ができるのかを明らかにしようとしたが、その基盤にあったのは『人間の基本的なパーソナリティ構造の形成と環境による変化』というヒューマニスティックな理念であった。

アージリスは企業活動や個人の人生(組織適応)において実際に役に立つ行動科学の確立に貢献しており、『学問の研究活動・学生の教育活動・企業のコンサルティング』の3つの分野に同程度の比重を置いた研究を実践した。それらの3つの分野の『相補性・相乗効果(シナジー効果)』を重視した行動科学者であり、それまで個別に展開されていた行動主義心理学(行動科学)の実証研究の成果を収集して、有機的かつ実践的な組織論・人材管理論を構築しようとした。アージリスの行動科学は特に『組織行動学』と呼ばれており、組織が個人にどのような影響を与え、また個人が組織の中でどのように成長・発展していけるかを研究している。

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2012年09月19日

アレン・E・アイビィ(Allen E. Ivey)

アレン・E・アイビィ(Allen E. Ivey)

アメリカのカウンセリング心理学者アレン・E・アイビィ(Allen E. Ivey,1933-)は、『マイクロカウンセリング』の技法の創始者として知られる人物である。20世紀後半のカウンセリング心理学界の重鎮であり、折衷主義(eclecticism)の理論構築やクライアントと向き合う臨床実践において多くの功績を残した。1933年にアメリカのワシントン州で生まれている。

スタンフォード大学で心理学を専攻して成績優秀で卒業、その後、ハーバード大学でカウンセリング・ガイダンスを専攻して教育学博士の学位を取得している。コロラド州立大学の准教授をしながら、カウンセリングセンターのセンター長も兼任していた。1988年に、マサチューセッツ大学のカウンセリング心理学部の教授に就任している。カウンセリング心理学に関係する専門誌である『Journal of Counseling Psychology』の創刊・編集に携わり、アメリカ心理学会カウンセリング部会の会長・フェロー・理事を歴任した経歴を持っている。マイクロトレーニング・アソシエーツ(Microtraining Associates)を創設してその会長に就任し、1985年には日本学生相談学会(中村弘道理事長の時代)から招聘されて初来日をしている。

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2011年07月27日

[アブラハム・マズローのB価値(B-value)と欲求階層説]

アブラハム・マズローのB価値(B-value)と欲求階層説

ヒューマニスティック心理学(人間性心理学)に分類されるアブラハム・マズロー(Abraham Maslow, 1908-1970)は、低次元の欲求から高次元の欲求へと段階的に上昇する『欲求階層説』を提唱したことで知られる。欲求階層説では人間の欲求を『生理的欲求・安全と安心の欲求・所属愛の欲求(親和欲求)・承認欲求(自尊欲求)・自己実現欲求』に分類しているが、マズローは“食欲・睡眠欲・性欲”に代表される動物的・本能的欲求が満たされると、人間の欲求はより“社会的・自己承認的・貢献的”なものへ発達していくと考えた。

人間は食料・水が不足していたり、最低限度の生活も覚束ないような危機的な困窮状況では、自分が生物的に生き残るための“本能的・生理的欲求”が強くなって、他人の事を思いやったり社会環境に適応したりするような精神的余裕を失いやすい。また、犯罪・災害の被害に遭って危機感が強まっている時、失業して収入が完全に途絶えている状況などでは、“安全と安心の欲求”が強まることになり、この段階でも社会的な承認欲求や他者への共感性などを持つことは難しいのである。

A.マズローは『生理的・本能的欲求』『安全・安心の欲求』を低次元の欲求と定義したが、これらは人間が自己の生存や安全を守るために必要な基本的欲求であり、この2つの基本的欲求が満たされることによって、人間の視野や関心は広くなり『社会的な欲求・自己と他者との関係性』を考えるだけの精神的余裕が生まれてくるのである。社会の一員や集団のメンバーとして認められたい、社会的集団に所属することによって“自分の居場所”を手に入れたいという欲求が『所属愛の欲求(親和欲求)』であり、大多数の人は社会集団に全く所属しないと疎外感や無力感を感じやすくなってしまう。

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2011年04月17日

[ローナ・ウイングの“アスペルガー障害・自閉症スペクトラム”とDSM-Wによるアスペルガー障害の診断基準]

ローナ・ウイングの“アスペルガー障害・自閉症スペクトラム”とDSM-Wによるアスペルガー障害の診断基準

前回のアスペルガー障害の記事と関係するが、L.ウイングは更に自閉症スペクトラムの人の対人関係のあり方を観察して、『孤立群・受動群・積極奇異群』の3つのグループに分類している。

1.孤立群……他人に対する興味関心そのものが無いか乏しい群。知的発達に重度の遅れ・障害があったり興味関心の偏り(制約性)が強い場合に起こりやすい。

2.受動群……人から指示されたり言われたことに従いやすい受け身の群。不適応な問題行動は一般に少ないのだが、青年期に対人関係や社会活動への消極性(非自発性)が問題になってくることがある。

3.積極奇異群……自分の興味関心があることだけを、相手の反応を考えずに一方的にしゃべるような群で、コミュニケーションをしている相手に対して『奇異・風変わり』といった印象を与えやすい。

L.ウイングは自閉症スペクトラムの人のコミュニケーションの障害について、以下のような特徴を指摘している。

1. 話し言葉(音声言語)を適切に使うことが困難である。

2. ある事象を特異な自分なりの言い回しで表現する。

3. 助詞の誤用がある。

4. 話し言葉を適切に理解することが困難である。

5. 言語の理解に遅れが見られなくても、字面通り(文章のまま)の解釈をして想像力に乏しい。

6. ユーモアや冗談をなかなか理解できない。

7. 独特なイントネーションで話したり、不必要に大きな声でしゃべったりする。

8. 非言語的コミュニケーション(表情・ジェスチャー・態度・仕草を用いたコミュニケーション)の使用と理解がほとんどできない。

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2007年01月01日

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