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2017年05月17日

[異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安]

異性不安と異性交際不安:異性から拒絶・否定・軽蔑などをされないかという不安

異性と一緒にいる時、異性に話しかけたり共に仕事・作業をしたりする時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』といったネガティブな感情を感じる人は少なくない。思春期・青年期の人は特に、好きな異性ができてその異性に近づきたいと思ったり恋愛(交際)をしたいと思ったりした時に、『不安感・緊張感・気後れ(劣等感)』が強まりやすい。

異性とのコミュニケーションや異性との恋愛・交際は、思春期・青年期の発達段階にある人にとって主要な関心事や悩み事になりやすいものである。結婚に結びつくほどの恋愛まではしないとしても、異性との出会い・関係性やコミュニケーション(異性にモテるかモテないか・好きな異性と付き合えるか)がどのようなものであるかは『自己アイデンティティーの確立・拡散』『自己評価・自信の高低』とも深く関わっている。

特定の異性に限定されない一般的な異性との相互作用にまつわる不安を『異性不安』といい、特定の異性と親密になっていく過程や恋愛・交際を始めてから後の関係性の展開・変化にまつわる不安を『異性交際不安』と呼んで区別している。

思春期・青年期は特に自意識過剰や異性に嫌われたくない・馬鹿にされたくないというプライドから、一般的な異性との相互作用に対する『異性不安』を抱く人は多い。思春期・青年期に限らず、個人的に親しい付き合いにまで進展していない異性とのふれあいやコミュニケーションで不安感を感じたり緊張したり気後れしてしまうという人は意外に多いものである。異性不安は『対人不安・対人緊張』とも似たところがあるが、不安や緊張、気後れを感じる対象が異性に限定されている。

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2016年08月12日

[EU(欧州連合)の世界連邦国家建設の理想と現実:20世紀の冷戦の終焉と世界情勢の変化]

EU(欧州連合)の世界連邦国家建設の理想と現実:20世紀の冷戦の終焉と世界情勢の変化

20世紀の冷戦体制の一翼を担ったソ連・東欧の『共産主義・社会主義の政治体制』は、民衆による信頼や合意を喪失して民衆を抑圧し苦しめたという意味では、『全体主義・独裁体制・先制主義(デスポティズム)の恐怖政治』と同類のものになってしまった。共産主義革命によって、資本主義の支配や先制的支配から解放されて自由・平等になったはずの人民が『恐怖の情念・自由の抑圧・飢えの苦しみ・人間不信(密告社会)』を味わわされる羽目になったのである。

ソ連はなぜ崩壊したのか?2:計画経済の失敗と飢え・自由の抑圧と密告社会

アメリカとソ連が対峙する冷戦体制が崩壊して、一時期は世界で唯一の超大国(スーパーパワー)となったアメリカが世界各地に影響力と軍事拠点を拡大して反米政権・石油資源国に対する内政干渉を繰り返していった。

だが、アメリカは『湾岸戦争・米国同時多発テロ(9.11)・アフガン戦争・イラク戦争・アラブの春(リビアのカダフィ独裁政権打倒)・シリア戦争』などを経験していく中で、『中国の大国化・ロシアとの対立』と合わせて超大国としての影響力を相対的に落としており、アメリカとEU諸国は『テロとの戦い・イスラーム圏との不協和音(イスラム過激派の反米的な思想・攻撃)』に疲弊してきている現状がある。

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2015年02月03日

[精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと転移感情・対象喪失体験:2]

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと転移感情・対象喪失体験:2

過去の重要な人物(親)に向けていた強烈な感情・不満・要求などを、『現在の人間関係』の中に投影してしまう自我防衛機制を『転移(transference)』というが、患者の内面・生活について深いレベルで理解していく精神医療・心理療法の臨床では、『転移(患者側からの転移感情)・逆転移(医師側からの転移感情)』が起こりやすいという特徴がある。

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1

転移は『主観的な感情・気分・態度・期待・空想』といった形をとって、現在の重要な他者に向けられることになるが、これは『過去の重要な人間関係(親子関係)』の中で感じていた強烈な感情の無意識的な反復(繰り返し)であり投影(向け変え)である。

精神医療の臨床において、これらの転移・逆転移が起こった時には、医師は特定の患者に対して過度の好意や執着、不快感や抵抗感を感じて、患者に対して不適切な返答や対応を取りやすくなってしまう。そのため、精神科医や心理臨床家はスーパービジョン(教育分析)を受けるなどして、自分自身の逆転移の感情・態度に自覚的になれるように心理状態や準備を整えておかなければならないのである。

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[精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1]

精神医学(精神医療)におけるインフォームド・コンセントと治療の動機づけ:1

精神医療の分野では『精神疾患に対する特異的治療法の欠如』『患者の理解能力・判断能力・責任能力の低下や欠如』『統合失調症や知的障害など現実吟味能力の欠如』などによって、身体医療と同じようなレベルで『十分な説明と同意に基づく医療(IC)』を推進しにくかった事情がある。

インフォームド・コンセントの歴史と医師‐患者の信頼関係(プロセス・モデル):2

しかし、現代の精神医学(精神医療)では、インフォームド・コンセント(IC)を無視して精神科医が権威的・指示的な治療を行うことが適切ではないという見方が広がっており、治療プロセスにおける『医師の説明と診断,患者の理解と納得・選択の繰り返し』が重要視されるようになっている。

精神医療でも(患者の精神症状の重症度・知的能力のレベルによって対応は変わってくるが)『精神科医‐患者の信頼関係の構築・維持』を前提にして、患者が自分の病気について適切に理解し、主体的な選択・判断ができるように促進することが治療の主要目的の一つにされる時代になってきている。精神疾患に対してはいまだに社会の差別・偏見・排除の風潮が残っているので、『重症度の高い(完治の治癒が期待しづらい)精神疾患の告知』にあたっては、医師はICに十分な注意と配慮を払わなければならないだろう。

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[インフォームド・コンセントの歴史と医師‐患者の信頼関係(プロセス・モデル):2]

インフォームド・コンセントの歴史と医師‐患者の信頼関係(プロセス・モデル):2

アメリカの医療業界では『医療裁判のリスク回避・法的な医師と患者の責任と役割の範囲の明確化』ということにICの要点が集約されやすいが、日本の医療ではむしろ『医師‐患者の対立的関係(訴訟リスク)』よりも『医師・患者の協力的関係(親切で安心できる人間関係)』ということに力点が置かれやすい傾向が見られる。ICは更に『患者が自分の病気・治療の真実(本当の情報)にアクセスできる権利』という観点からも積極的に推進されているものである。

インフォームド・コンセントの歴史と患者の自己決定権:1

インフォームド・コンセント(IC)を、『がん・推測余命の告知』のように人間の生死に関わる重要な病気の告知と病状・治療法の説明としてのみ捉えるモデルを『イベント・モデル(event model)』という。しかし、近年では一時的な告知に留まるイベント・モデルよりも、医師・患者の持続的かつ良好な人間関係(信頼関係)のプロセスとしてICを捉える『プロセス・モデル(process model)』のほうが有力になってきている。

ICの理想は、一定以上の信頼感・安心感・権威性(自分を守ってくれる感覚)のある人間関係によって達成されやすくなる。そういったラポール(相互的な信頼感)の成り立った医師‐患者の人間関係の下で、適切な態度と最適なタイミングで『病気・検査法・治療法・経過や予後の丁寧な説明』が行われる時に、患者は自分にとって望ましいと判断する検査法・治療法を選択しやすくなるのである。

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[インフォームド・コンセントの歴史と患者の自己決定権:1]

インフォームド・コンセントの歴史と患者の自己決定権:1

医療におけるインフォームド・コンセント(informed consent)『十分な病気(治療方法・病状の経過)の説明と納得に基づく医療』という意味であり、患者の意思や権利を重視しなかった『かつての医師の権威的・指示的な治療方針』に対する批判・反省から生まれた概念である。

インフォームド・コンセントは『がん治療・がんの告知』『セカンド・オピニオン(現在の担当医とは異なる医師の診断・主張)』の文脈で言及されることの多い概念である。

インフォームド・コンセント(IC)は、『患者の納得を得た上で治療法を選択するという医療上の観点』『十分な事前説明によって病気・治療のリスクに納得してもらう(患者・家族が納得できない治療を無理強いせずに医療訴訟のリスクを回避する)という法律上の観点』から近年では非常に重視されている。

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2006年07月28日

[行動療法(曝露療法・エクスポージャー)の技法としてのインプロージョン療法(implosion therapy)とフラッディング法]

インプロージョン療法(implosion therapy)とエクスポージャー法(exposure)

行動療法で用いられる曝露療法(イメージ脱感作)の一技法が、インプロージョン療法(implosion therapy)である。インプロージョン療法と同じ曝露療法に分類される心理療法(行動療法)の技法としては、南アフリカの精神科医J.ウォルピが考案した系統的脱感作(systematic desensitization)フラッディング(flooding)などの不安や恐怖を感じる対象に曝露する技法がある。

不安・恐怖を感じる状況や対象に直接的に曝露させる技法を現実脱感作といい、不安・恐怖を感じる対象を想像してイメージ(表象)を形成する技法をイメージ脱感作というが、エクスポージャー法は一般的にイメージ脱感作として行われることが多い。不安や恐怖の感情を拮抗反応(反対感情)で抑制する「逆制止の原理」を用いたウォルピの系統的脱感作では、不安の強度を段階的に分類した「主観的不安単位(SUD, Subjective Unit of Distress)」を作成する。

その主観的不安単位(SUD)に従って、不安を感じる程度の弱い状況から曝露していき、段階的に強い不安対象や不安状況に耐えられるように経験的な練習を進めるのが系統的脱感作の技法である。ウォルピが開発した系統的脱感作は、恐怖症や不安障害、パニック障害の治療分野で大きな効果を上げたが、「短時間の段階的な曝露療法」というのが特徴である。

ウォルピは、不安刺激や恐怖対象にイメージや現実を通して直面させる前に、リラクセーション訓練を行ったが、これはウォルピが筋弛緩を不安・恐怖の拮抗反応であると考え筋肉をリラックスさせることで逆制止が起こると想定していたからである。ある感情と同時に体験できない感情反応・身体反応を引き起こすことを「逆制止」といい、不安感や恐怖感と拮抗する身体反応・感情反応を起こせば不安や恐怖を感じなくなる。

ウォルピが恐怖症やパニック障害(広場恐怖)、全般性不安障害、強迫性障害などの不安感や恐怖感を主訴とする精神疾患の治療に系統的脱感作を用いたのは、不安や恐怖に曝露することで不安・恐怖を感じる強さが弱くなり段階的に精神疾患が改善すると考えたからである。ウォルピが病的な不安感や恐怖感と拮抗して逆制止を引き起こすことが出来ると考えていた感情反応・身体反応には、「快楽的な性反応・賞賛や非難など強い自己主張・筋肉と精神を弛緩させるリラクセーション」がある。

つまり、性的に興奮していたり、相手に対して強い自己主張をしていたり、筋肉をリラックスさせている時には、恐怖感や不安感が逆制止されて恐怖・不安の情緒を感じることがなくなることを示している。

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[ゲシュタルト療法のパーソナリティ理論におけるインパス(impasse of Gestalt Therapy)]

ゲシュタルト療法のインパス(impasse of Gestalt Therapy)

「エリック・バーンが開発した交流分析のインパス」の記事で交流分析におけるインパス概念とその原因について書いたが、フリッツ・パールズローラ・パールズ夫妻が創始したゲシュタルト療法のパーソナリティ理論にも「インパス(impasse)」という概念がある。「今、ここでの気づき」を重視するゲシュタルト療法には、5つの層から構成されるパーソナリティ理論があるが、そのパーソナリティの階層の内容は以下のようなものになっている。

1.いんちきの層……社会的役割に従って取る対人関係パターンのことであり、世間体や常識によって規程される生活行動様式の層のことである。本当の自分の欲求の充足やありのままの感情の表現とは無縁のパーソナリティ領域であるが、人間が社会環境に適応していくためにはある程度「いんちきの層」で生きる必要がある。

2.恐怖の層……自分の率直な情動や本来の欲求に対して、精神分析の自我防衛機制である「抵抗」が働いている層である。社会常識や倫理規範を無視したありのままの内面心理に気づくことには、罪悪感や恥辱の感情がつきまといやすくそういった様々な恐怖から自分を防衛している層であるといえる。

3.インパスの層……いんちきの層で生きる人間が、ありのままの感情や欲求に気づいて「他者との真実の交流(純粋なエンカウンター)」をしようとするときに起こる精神的なパニック状態や膠着状態がこのインパスの層である。どのような手段や方法を採用しても、無力で無能な自分には、ありのままの欲求や感情を満たす他者との関係など持てないという考えがインパスの層である。インパスの層は、「問題解決できないパニック状態・どのような手段を採用しても事態が好転しない膠着状態」のことを意味している。

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2006年07月27日

[エリック・バーンが開発した交流分析のインパス(impasse of transactional analysis)]

交流分析のインパス(impasse of transactional analysis)

フロイトの精神分析の口語訳とも呼ばれる交流分析(TA, Transactional Analysis)の特徴は、「平明な用語と簡潔な説明」によって成り立っている理論ということである。1950年前後に、アメリカの精神科医エリック・バーン(1910-1970)が開発した精神療法の理論体系が交流分析だが、正統派精神分析の難解な概念を用いた理論と比較すると、簡明な概念を説明に用いていて分かりやすいだけでなくカウンセリングにも応用しやすい。

エリック・バーンは、個人の「一貫性のある行動・思考・認知・感情パターン」を特徴づける精神機能を「自我状態」と定義して、人間の心は3つの自我状態から成り立っていると考えた。3つの自我状態とは「P(Parent, 親の自我状態)・A(Adult, 大人の自我状態)・C(Child, 子どもの自我状態)」であり、Pは更に「CP(Critical Parent), NP(Nurturing Parent)」に分けられ、Cは更に「FC(Free Child), AC(Adapted Child)」に分けることが出来る。

3つの自我状態の機能・特徴を簡単に説明すると以下のようになる。P・A・Cは相互に関連し合っており浸透性を持っている。P・A・Cを機能させる心的エネルギーは、時・場合・相手に応じてP・A・Cの領域へと自由に備給されるが、特定の自我状態が余りに強すぎたり弱すぎたりしてバランスが崩れると様々な不適応や精神症状が起こってくる。

CP(Critical Parent)……「批判的な親」の自我状態であり、父性的で指示的な特徴を持ち、社会規範や倫理観念に従った行動やコミュニケーションを取らせようとする精神機能である。CPの目的は、社会規範を遵守して権威的な指示に従わせることで、社会環境や対人関係への適応を進めることであるが、CPが強すぎると超自我の抑圧が強くなりすぎて様々な心理的問題や不適応が生じてくる恐れがある。

NP(Nurturing Parent)……「擁護的な親」の自我状態であり、父性的で寛容な特徴を持ち、自分を精神的危機やストレスから保護してくれるような働きをする精神機能である。外部要因である社会規範や道徳観念よりも、個人のメンタルヘルスの維持向上を優先する特徴があり、包み込むような優しさや温かみのある保護欲求として実感される。NPの目的は、精神的ストレスや危険から自我を守ることにあるが、NPが強すぎると外部社会や対人関係に適応する為のストレス耐性や積極性が発達しない恐れがある。

A(Adult)……「大人」の自我状態であり、冷静な思考過程を元にして合理主義的な判断や功利主義的な決定を行う精神機能である。Aが適切に働く事で、衝動的な行動や不適切な発言をして自滅することがなくなるだけでなく、Aの自我状態の調節機能によって「P・A・Cの間の最適のバランス」を保つことが出来る。

FC(Free Child)……「自由な子ども」の自我状態であり、ありのままの感情や考えを表現することができ、社会規範や他人の指示に従うことを嫌う自由奔放な溌剌とした精神機能のことである。屈託のない明るさと無邪気な奔放さが特徴であり、FCを適度に発揮することで人間は創造的で魅力的な人生を生きることができる。その一方で、FCが余りに強すぎると、社会のルールや常識感覚に反する逸脱行動を取りやすくなる問題がある。

AC(Adapted Child)……「適応的な子ども」の自我状態であり、社会の決まりや他人の指示に対して従順で聞き分けの良いという特徴を持ち、ACを適切に働かせることで他人に迷惑を掛けずに与えられた環境に適応することが出来る。しかし、ACは自分の内面的な欲求や率直な感情を抑圧する側面があるので、ACが強すぎると転換性障害や身体表現化障害など過剰抑圧による精神障害が発症することがある。FCとACのバランスの取れた対人関係を持ちながら、自分の感情や意見を過度に抑圧し過ぎずに社会環境に適応していくことが大切である。

交流分析の自我状態が長くなったが、ここで説明する「インパス(impasse)」というのは、「解決困難な精神的葛藤状態」あるいは「不快な結末を繰り返す不適応な膠着状態」のことである。

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[イントラパーソナル(intrapersonal)とインターパーソナル(interpersonal)]

イントラパーソナル(intrapersonal)

イントラパーソナル(intrapersonal)とは、「個人内の・精神内界の」という意味であり、心理学では「個人間の・対人関係の」という意味を持つインターパーソナル(interpersonal)の対義語に当たる。

シグムンド・フロイトが創始してアンナ・フロイトへと継承されていく正統派の精神分析では、イントラパーソナルな自我構造(超自我・自我・エス)内部の葛藤が神経症の病因として重視される一方で、無意識に抑圧されたインターパーソナルな実際に起きた対人関係も考慮されていた。

20世紀初頭の精神分析研究において「インターパーソナルな対人関係における心的過程」「イントラパーソナルな個人内部における心的過程」の二元論的な研究法のアイデアは既に生まれていたが、現在の一般心理学では外部から観察できないイントラパーソナル(個人の内面的)な部分よりも、行動次元の心的過程が注目されることが多い。

しかし、その一方で、臨床心理学で統計学的根拠がある認知療法や認知行動療法が隆盛し、認知科学や脳科学の影響を受けた認知心理学の影響力が大きくなっているように、「イントラパーソナルな心的過程」を外部世界をどのように認識して解釈するかの認知過程(内的な情報処理過程)と見なす心理学研究が発展している状況がある。

イントラパーソナルな領域の心的過程や心理状態は、外部にいる他者が客観的な観察を行うことが出来ないので、声のある無しを問わず「独言・独白(monologue)」の形態で自己認識されることが多い。反対に、インタパーソナルな領域の心的過程や心理状態は、外部にいる他者との相互的なコミュニケーション(対話・会話)や作用(影響力)として認識される。私達の精神生活は、自分自身の内面と向き合って思考・感情・知覚を確認するイントラパーソナルな領域と、他者と向かい合って会話や議論を行ったりするインターパーソナルな領域から成り立っている。

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[心理カウンセリングと児童福祉分野のインテーク面接(intake, 受理面接)]

インテーク面接(intake, 受理面接)

インテーク面接(受理面接)とは、カウンセリングや心理療法などの心理面接で行われる一番最初の面接のことであり、心理臨床家(カウンセラー)とクライエント(来談者・相談者)がはじめて出会う場である。

インテーク面接(受理面接)では、具体的な問題解決や症状改善の為の技法を実施するのではなく、『クライエントに関する基本的情報(氏名・性別・悩みや問題など主訴・心理状態・対人関係・精神病理・生活状況)の大まかな把握』が優先されることになる。心理アセスメントを実施する場合もあるが、本格的な性格検査や知能検査、精神病理のアセスメントが行われることは稀である。

しかし、精神科や心療内科といった精神医療の一環としての臨床面接では、心身状態の概観を理解するための総合的な質問紙によるアセスメントを行っている医師もいる。これは、脳疾患や神経疾患、内分泌系の障害など身体疾患を精神疾患から区別する除外診断を行うという意図もある。

心理学的アプローチを行うカウンセリング場面におけるインテーク面接の目的は、『クライエントの心理状態・精神病理・生活状況を適格に判断して、そのクライエントの必要とする心理援助へと連携すること』といえる。例えば、著明な陽性症状(妄想幻覚)が見られ、現実検討能力が障害されている統合失調症のクライエントには、抗精神病薬による薬物療法が必要と判断されることが少なくない。自殺念慮が過度に強まっているような重症うつ病患者の場合にも、抗うつ薬の薬物療法が必要な場合があるが、そういった重症度が高い精神疾患の場合は、心理臨床家は精神科医の医療と連携して心理療法に当たるケースが多くなる。

それ以外にも、経済的貧苦による生活の困窮から精神的な悩みが出てきているクライエントなどの場合には、心理専門家による対人援助だけでは生活上の問題の解決が難しいといえる。精神的苦悩に、経済問題や育児困難など社会環境要因が深く介在している場合には、社会福祉制度(精神保健福祉制度)の実務などに詳しいソーシャルワーカー(精神保健福祉士)のコンサルテーションが必要になることがある。

インテーク面接では、心理専門家が単独で相談に乗って改善効果を上げられるケースなのか、心理専門家以外の医師・看護師・福祉士・介護士・教師・行政関係者との協力関係に基づくコラボレーション(協働)が必要なケースなのかの「見立て(クライエントの病態や問題の判別とアセスメント)」が重要になってくるといえる。

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2006年07月04日

[家族療法など心理学的な介入(intervention)][精神保健福祉法に基づく精神医学的な危機介入(crisis intervention)]

心理学的な介入(intervention)・精神医学的な危機介入(crisis intervention)

心理臨床活動やカウンセリングで介入(intervention)という場合には、『危機介入(crisis intervention)』を意味する場合と『クライエントの生活場面への介入』を意味する場合とがある。自殺企図・希死念慮の亢進・(慢性化や悪化の経過を辿りやすい)精神病の発病期・他人に危害を加える恐れの強い精神状態など緊急性が高いと判断されるクライエントへの即時的な効果が期待されるカウンセリング対応を『危機介入』という。

危機介入の目的は、『予測される“最悪の事態”を緊急避難的に回避する心理学的介入を成功させること』であり、具体的には『自殺の実施・犯罪の遂行・他者への危害・精神病の重症化』という最悪の事態が起きないように適切な心理療法や支持的カウンセリングを実施することが心理学的な危機介入となっている。

精神医学的な危機介入の場合には、重症化(荒廃化)や慢性化という予後不良が懸念される統合失調症へのメジャー・トランキライザー(抗精神病薬)投与に限らず、根拠法(『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)』)に基づいた『措置入院・医療保護入院』も危機介入に含まれる。

精神保健福祉法第29条に基づく『措置入院』とは、2人以上の指定医が診察した結果、その者が重篤な精神障害者であり、かつ、入院させなければその精神障害のために自身を傷つけまたは他人に害を及ぼす恐れ(自傷他害の恐れ)があるという判断で一致した場合に、都道府県知事が、国もしくは都道府県立の精神病院または指定病院に入院させることができる入院制度のことである。

精神保健福祉法第33条に基づく『医療保護入院』とは、指定医が診察した結果、精神障害者であると診断され入院の必要があると認められた者で、保護者の同意がある場合に、精神病院の管理者が患者本人の同意を得ずに精神病院に入院させることができる入院制度のことをいう。精神医学的な危機介入としての措置入院・医療保護入院は、本人の同意を得なくても精神病院に入院させることが出来る制度なので、この制度の濫用や悪用があれば直接的に患者の人権やプライバシーを侵害することにつながる。

その為、精神科医は十分に綿密で正確な精神障害の診断を行い、自傷他害と関連する現在の精神状態の適切な理解をしなければならないし、更に、『複数の精神科専門医の意見の一致』によって措置入院・医療保護入院の必要性が判断されなければならない。

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2006年07月03日

[インターパーソナル(interpersonal)・フッサールの相互主観性(間主観性)]

インターパーソナル(interpersonal)・フッサールの相互主観性(間主観性)

インターパーソナル(interpersonal)とは、個人と個人の間の関係性を指示する用語である。コミュニケーションや行動・態度・表情による心理学的な相互作用及び心理療法の各種効果(支持・洞察・浄化)は、インターパーソナルな領域で発現することになる。

精密学としての自然科学に対して厳密学の哲学を確立しようとしたエドムンド・G・フッサール(Edmund Gustav Albrecht Husserl, 1859-1938)の提唱した『間主観性の現象学』では、間主観性・相互主観性(intersubjective)というインターパーソナルに類似した概念が使用されている。

フッサールは、哲学を根本的な認識の学として再構築することを目指し、普遍的な認識を基礎づけるための『エポケー(判断停止)』や『本質直観』という方法論を考案した。フッサールは、カントの先験的観念論の立場を援用して、客観的事象の実在性(主観意識の外部にあるモノが確かに存在するということ)を構成しようとしたが、その際に持ち出した説明概念が『間主観性(intersubjective)』なのである。

各個人の自我意識によって認識される世界(客観的事物)は個別の世界であると同時に、『他者と共有する世界』でもある。主観と主観の間にある事物や現象を『言葉・体験・文字』によって共通認識(共通理解)することによって、『世界の客観性・実在性』が保証されるとフッサールは考えた。この主観と主観が向かい合って、世界を共有化し共通理解を成立させることを『間主観性』と呼ぶのである。

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2006年06月27日

[インセンティブ(incentive)と行動主義心理学]

インセンティブ(incentive)と行動主義心理学

人間がある行動を発現するか否かは、内発的動機付けである『モチベーション(motivation)』と外部的誘因である『インセンティブ(incentive)』の大小・強弱に大きく関係している。パヴロフやワトソン、スキナーなどの心理学者・生理学者を輩出した行動科学(行動主義心理学)分野には、人間の行動原理を説明する2大理論として『古典的条件付け(レスポンデント条件付け)』『オペラント条件付け(道具的条件付け)』とがある。

古典的条件付け(レスポンデント条件付け)とは、『パヴロフの犬の実験』で示される基本的な学習行動であり、生理学的な機序を持つ反射(唾液反射)が、ベルの音で条件付けされて条件反射になったものである。食欲や性欲、恐怖反応など生理学的な無条件反射と関係する行動に対してレスポンデント条件付けは成立する。この条件付けは、身体の生理反射を他の刺激と結合させて『般化(generalized)』させたものであり、パヴロフの犬の実験で用いた餌などはインセンティブ(行動発現の誘因)の役割を果たしている。

インセンティブ(incentive)とは、人間個体に喜び・満足・優越感・楽しみといった快の刺激を与える外部の誘因で、インセンティブを与えられた行動パターンは強化される。経済の雇用条件で、成果主義の歩合給の仕事を『インセンティブのある仕事』と表現することがあるが、これは良い業績や高い売上を上げれば上げるほど多くの報酬(インセンティブ)を与えて社員・アルバイトの労働意欲をかきたてようとする給与システムのことである。

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[陰性転移による治療反応(negative therapeutic reaction)・精神分析療法の転移と逆転移]

精神分析療法の転移と逆転移・陰性転移による治療反応(negative therapeutic reaction)

シグムンド・フロイト(S.Freud)が創始した精神分析療法では、精神分析の面接場面で分析者あるいはクライエント(患者)に向けられる強烈な情動・感情の反応を『転移(transference)』という。通常の転移はクライエントから分析家(カウンセラー)へと向けられる陽性・陰性の感情であるが、分析家からクライエントに陽性・陰性の感情を向けてしまう現象を『逆転移(counter transference)』という。

分析家(カウンセラー)は陽性の逆転移感情に流されてクライエントに情愛や性的欲求を向けてはならない。同様に、陰性の逆転移によってクライエントとの面接場面を回避したり嫌悪したりすることのないように自己分析に基づくセルフコントロールを行っていく必要がある。また、クライエントの転移感情に反映される無意識的願望や欲求を、カウンセラーが満たしてあげてはならないとする精神分析の原則を『禁欲原則』という。決められた面接の場所や時間以外にクライエントに会ってはならないとするのも禁欲原則の一つとされている。

転移は、『過去の重要な人物』に向けていた愛情・好意・怒り・憎悪などの情動を、『現在の人間関係』の中で再現することによって無意識的願望を充足させようとする自我防衛機制の一つであり、精神分析的カウンセリングの進行過程でほぼ必然的に起こる現象である。

精神分析の重要な治療機序の一つが、クライエント(患者)の『転移感情の分析と過去の対人関係の受容』であり、熟達した分析家の場合にはクライエントの転移感情と自分の逆転移感情を適切に分析して欲求・情動をコントロールしながら面接を継続していくことになる。防衛機制としての転移が発動されている場合には、大抵、『幼少期や児童期にまで遡る未解決の精神的問題や課題』が残っている。

精神分析では、転移を『エディプス・コンプレックスに基づく葛藤と親子関係の再現』と考えるが、転移を起こしている時には幼児的な退行の防衛機制が見られることが多い。即ち、クライエントがカウンセラーを過去の両親と重ね合わせて見るような退行を起こすことで転移感情が生起することになる。その際には、クライエントの話し方や発現、仕草が幼稚で依存的になっていることが多く、逆転移の場合にも、カウンセラーは普段より未熟で自己中心的な認知や思考をする傾向がある。分析者となるカウンセラーが、心理療法の進展を困難にすることがある逆転移に対して自覚的である為には、面接構造の中で自分の果たす役割と立場をしっかりと認識して、過去の親子関係や感情的な葛藤を既に解決していなければならない。

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[因子分析(factor analysis)と因子(factor)による対象特性の要約的説明]

要約的説明を可能にする因子分析(factor analysis)と因子(factor)

質問紙法などの心理検査の作成時には多くの変数を取り扱うが、高い相関関係を持つ変数の背後にある客観的に観察不可能な変数を“因子(factor)”と呼んでいる。この複数の変数に影響を与える因子(共通因子・特殊因子)を、多変量データから推定(抽出)する方法論を“因子分析(factor analysis)”といい、キャッテルの特性因子論を基盤にする性格検査の作成には必須の手続きとなっている。

因子分析は、多変量データから共通因子を抽出する技法であり、各変数や各変量の間にある関係を出来るだけ少数の因子によって説明することを可能にするものである。例えば、診断的な知能検査であるウェクスラー式知能検査(WISC)では、子どもの知的能力を言語性尺度(知識・数唱・単語・算数・理解・類似)の各因子や動作性尺度(絵画完成・絵画配列・積木模様・組み合わせ・符号)の各因子によって説明しようとする。

『性格(人格)・知能・精神病理・環境適応』などの特性を、複数の因子によって説明する為に行う因子分析では、変量相互間の相関係数を計算して『因子の種類・因子の数・因子と変数の関係』などを分析して考察する。

特性因子論の理論内容を見れば分かるように、因子分析の本質は『人間が理解しやすい要約的な説明を可能にする因子を抽出すること』である。人間の性格や知能を構成する要素は膨大無限であり、厳密には心理学領域の心理検査でその要素の全てを測定し尽くすことは困難である。

しかし、相関する複数の要因をまとめてそれらの背後にある因子を抽出することで、人間の性格・知能の特性を大まかに分類して理解する為の因子を明らかにすることが出来る。個人の性格特性や知能特性の大まかな特徴や区別を知る為に、因子分析による特性因子論などは非常に有用な方法論であるといえる。

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2006年06月13日

[イギリスの産業革命から始まるアーバニズム(都市的生活様式)の歴史]

イギリスの産業革命から始まるアーバニズム(都市的生活様式)の歴史

イギリスで18世紀に起こった産業革命(Industrial Revolution)によって、産業文明社会の生産活動は小規模な「工場制手工業」から大規模な「工場制機械工業」に移行して効率性と生産力が飛躍的に増大した。

金融資本と産業資本の投下対象を拡大して、大量生産・大量消費の資本主義経済を加速度的に発達させた産業革命の歴史の概略を記述すると以下のようになる。

軽工業中心の第一次産業革命(18世紀頃)

木炭から石炭へのエネルギー転換、ニューコメン(1712)やジェームズ・ワット(1785)による蒸気機関の発明。

織機(紡績機)の技術改良による綿織物・毛織物の生産速度・生産量の革新的増大=ジョン・ケイの飛び杼(1733),ハーグリーブズのジェニー紡績機(1764),アークライトの水力紡績機(1769),クロンプトンのミュール紡績機(1779),カートライトの力織機。

重工業中心の第二次産業革命(19世紀頃)

動力機関(内燃機関)の燃料が、石炭から石油へシフトして、エネルギー利用効率が格段に向上し、馬車に取って代わる実用的でパワフルな自動車や戦争用車両、飛行機(戦闘機)の発明が現実のものとなる。大規模な重化学工場が先進国に建設され、燃料・兵器・鉄鋼・機械・衣服・パルプ・建築素材・塗料などの工業製品の大量生産が可能となり、近代資本主義経済の発展の基礎となる。

19世紀初頭、フルトンの蒸気船の発明やスチーブンソンの蒸気機関車の改良により、人間や物資・貨物を大量に短期間で海外まで運搬できるようになり、イギリスやフランスといった西欧列強が海外に出向いて植民地を建設する際の技術基盤となる。石炭を利用した蒸気機関の発明により、海洋を越える国家間の移動速度が非常に速くなる。

産業革命によって燃料機関・鉄製機械のイノベーション(技術革新)が起きた結果、ヨーロッパの先進諸国は重化学工業を発展させ植民地主義を政策に掲げる西欧列強となった。製鉄技術の進歩と動力源の改良によって、戦車・軍艦・戦闘機・空母・機関銃・ミサイルといったそれまでにない強力な軍事技術と軍事兵器を開発することに成功した西欧列強は、『安価な原材料・労働力・需要のある海外市場』を求めて苛烈な植民地争奪戦を繰り広げるようになる。

19世紀には、強大な軍事力を背景にして開発途上国を植民地化する帝国主義が、イギリスやフランスをはじめとする西欧列強の基本政策となった。中央集権的な近代国家を建設できなかったアジアやアフリカの国々は、イギリス・フランス・ドイツ・オランダなどに侵略されて安価な原材料と労働力の供給拠点にされた。特に、インドネシアをはじめとする東南アジアや中南米では天然ゴム・コーヒー・綿花・サトウキビなどを栽培する多くのプランテーション(plantation, 大規模農園)が建設され、列強諸国に支配された原住民が不当に安い賃金で労働に従事する事となった。

また、植民地化された地域は、帝国主義路線を進む資本主義国家が商品を売り込む重要な市場(需要)であり、資本を投下して工場や農園などを作る投資対象でもあった。20世紀には、産業革命の恩恵を受けた多くの先進工業国において、都市(アーバン)と地方農村(ルーラル)が分離するが、その直接の原因は農業(農作業)から工業(工場労働)へという『産業構造の変化』であった。

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2006年05月16日

[イラショナル・ビリーフ・アセスメント(irrational belief assessment)],[自己・世界(社会)・他者を肯定する認知・信念の重要性]

イラショナル・ビリーフ・アセスメント(irrational belief assessment)

『イラショナル・ビリーフ(irrational belief)』の項目で説明したイラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)の種類と程度を測定する為のイラショナル・ビリーフ・アセスメントには以下のような種類があり、それぞれ心理検査の信頼性・妥当性が一定水準で検証されている。

統計学的検査による十分な信頼性と妥当性が確保されたアセスメントへと洗練させていくことが期待される。しかし、現在では、論理療法と近接した理論的基盤(認知が情動・行動・気分を決定するモデル)を持つ認知療法が主流となっている為、アーロン・ベック抑うつ評価尺度(BDI:Beck Depression Inventory)などが診断的面接に頻繁に用いられるようになっている。

Adult Irrational Ideas Inventory(成人用非合理的信念の検査:Foxes & Davies, 1971)

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[イラショナル・ビリーフ(irrational belief)],[アルバート・エリスのABCDE理論を前提にした論理情動行動療法(REBT)]

イラショナル・ビリーフ(irrational belief)

アルバート・エリス(A.Ellis)が確立した論理療法REBT(論理情動行動療法,Rational Emotional Behavioural Therapy)では、ABC理論(ABCDE理論)のモデルをもとに説得的な心理学的アプローチが行われる。

『人間の不適応な感情・気分・行動』は、客観的な出来事(A:Affairs)から直接引き起こされるのではなく、物事の捉え方や解釈の仕方である認知傾向(信念体系)によって引き起こされるとするのがエリスの基本的な考え方である。

論理療法の説得的な面接技法によって、『イラショナル・ビリーフ(irrational belief, 非合理的な信念)』『ラショナル・ビリーフ(rational belief, 合理的な信念)に置き換えていく事が論理療法の治療機序となっている。抑うつや絶望、無力感の原因となるイラショナル・ビリーフを現実的で合理的な信念に変容させることで、『感情の適応・気分の改善・症状の緩和』といった心理療法の効果を実現することが出来る。

アルバート・エリスは、以下のようなABCDEモデルREBT(論理情動行動療法,Rational Emotional Behavioural Therapy)の基本的な心理モデルとして定義した。そして、生活適応を悪化させる非現実的な物事の考え方、病的な精神状態を作って対人関係を混乱させる『不合理な信念』を自分自身で反駁し否定していくことの重要性を説いた。

論理情動行動療法を支えるABCDEモデル

A(Affairs,Activating Event):客観的な外部の出来事・生活環境・人間関係。

B(Belief):客観的な外部の事象をどのように受け止めるのか、どのように意味づけして解釈するのかの信念・認知・考え方。

C(Consequence):信念や解釈を経て起こった結果(気分・感情・感覚・行動)

D(Dispute):非合理的な信念(イラショナル・ビリーフ)に対する反論・反駁・論理的否定。

E(Effective New Belief,Effective New Philosophy):効果的な新しい信念体系や人生哲学。


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[イメージ面接(imagery interview)],[壺イメージ法(Tsubo imagery method)]

イメージ面接(imagery interview)

イメージ療法を含めて広義のイメージを用いる心理面接を『イメージ面接(imagery interview)』と呼び、具体的には『イメージ想起・イメージ操作・イメージ解釈(鑑賞)』によって心身のリラクゼーションや抑圧されたトラウマ記憶の想起、精神症状の改善を行う面接技法である。

イメージ面接では、クライエントは目を閉じた閉眼状態で、自由連想やカウンセラー(心理療法家)からの言語暗示によって様々な形態や内容のイメージを想起することになる。意識的に何かのイメージを思い浮かべずに、自然に穏やかなリラックス状態の中でイメージを浮かび上がらせるのが自由連想的なイメージ技法であり、『自由イメージ技法(free associative imagery)』と呼ばれることもある。

反対に、カウンセラーの側からイメージする内容・記憶や形態・色彩を指定する場合のイメージ面接を『指示的イメージ技法・指定イメージ技法』と呼び、指定されたイメージ内容(人物・場面・過去)から物語を展開させていくように鑑賞していくと様々な記憶の想起や情動の洞察が生まれてくる。

クライエントの抱えている心理的問題の原因が明らかである場合や過去にトラウマ的な出来事が起こった時期を特定できる時には、『自由イメージ技法』よりも『指示的イメージ技法』のほうが適している。特定の場面や限定された時期の記憶を特定してイメージを浮かべる指示的イメージ技法によって、イメージ療法の効率性を向上させ問題探索的なイメージの時間を節約することが出来る。

無意識領域を含めた自己理解の促進や環境適応(人間関係の適応)と関係する人格性の成長を目指すイメージ療法としては『自由イメージ技法』が優れているが、特定の時期の心的外傷(トラウマ)の改善や現在の客観的な問題の解決には『指示的イメージ技法』のほうが効果が上がりやすい。

試合の臨むスポーツ選手の精神状態をリラックスさせて、本来持っている潜在能力を開発するメンタル・トレーニングでは、個人の身体能力と精神機能を高いレベルに導くことが課題になる。試合の勝利や能力の向上など客観的な目標が明らかであるメンタル・トレーニングやイメージ・トレーニングには、指示的イメージ技法が用いられることが多い。

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