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2006年05月16日

[表象としてのイメージを総合的に活用するイメージ分析療法(Image Analysis Therapy)],[自律訓練法・精神分析・行動療法のエッセンス]

イメージ分析療法(Image Analysis Therapy)

イメージ療法とは、内面世界に湧き上がってくる『視覚的・感覚的・情緒的なイメージ』を利用して心理的なリラクゼーションや無意識的葛藤の気づき(洞察)を得ようとする技法である。

イメージは、言語と同じように人間の精神内界において意味内容をもつ表象(presentation)である。表象(presentation)とは、知覚内容・感情体験・記憶機能に由来して、直観的に心の中に形成される『外的対象の心像』である。

表象とは、『精神内界で何かを表現するもの』であり、対象の形態や意味といったものを包摂している。表象に類似した概念・理念と比べると、主観的な要素が強いのが特長であり、表象は、その場で反射的に形成される心像やイメージとしての意味合いを強く持っている。

大きく分類すると表象にはイメージと言語があり、言語は『意志疎通の為の意味』を包摂している部分が大きく、イメージは『視覚形態・情緒体験』を包摂している部分が大きい。イメージ療法を広義に考えた場合には、ユング心理学(分析心理学)のアクティブ・イマジネーションの技法やナンシー学派以来の催眠療法なども含むことになる。

ユング心理学のイメージに関する技法や理論について知りたい人は、『ユング心理学のアクティブ・イマジネーション(active imagination)』『ユング心理学のイマーゴ(Imago)』を参照して下さい。

上述したように、イメージ療法は、クライエントの被暗示性を亢進させて実施する催眠療法とも関係があり、催眠誘導の言語的暗示や呼吸調整(心身弛緩)によるリラクセーションによって意識水準(心理的緊張の覚醒水準)を低下させると『記憶・情緒・人間関係と結びついたイメージ』が浮かび上がりやすくなる。

柴田出が創始したイメージ分析療法(Image Analysis Therapy)は、ここまで説明してきたイメージ療法を統合的に体系化したものであり、心身のリラクセーション効果と精神分析による過去の情動記憶の整理を目指すものである。イメージ療法の理論・技法に『自律訓練法の心身弛緩、行動療法の恐怖・不安に対する脱感作、精神分析の無意識の洞察』を付け加えて包括的な作用機序を持つ心理療法にしたものがイメージ分析療法(Image Analysis Therapy)だといえる。

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2006年04月25日

[意味論療法(semantic therapy)],[エリスのABC理論]

意味論療法(semantic therapy)

ウェンデル・ジョンソン(W.Johnson)が提唱した意味論療法(semantic therapy)とは、非合理的な信念(イラショナル・ビリーフ)合理的な思考(ラショナル・ビリーフ)で反駁して説得するアルバート・エリス(A.Ellis)論理療法REBT(論理情動行動療法,Rational Emotional Behavioural Therapy)の原形となった心理療法である。

アルバート・エリスは、外部環境や他者の言動をどのように受け止めて解釈するのかという『思考過程・推論過程』に着目して、自分自身の考え方や信念が非合理的で自己否定的なものであれば気分が落ち込み、不適応な行動につながると考えた。

『現実の客観的な事象や関係をどのように受け止めるのか、どのように解釈するのか』という推論過程(認知過程)によって気分・感情は変化し、実際の態度・行動も影響を受けるとするのがエリスのABC理論である。

ABC理論のAとは『Affairs,Activating Event(出来事,事象,外部環境)』のことであり、Bとは『Belief(信念,考え方)』のこと、Cとは『Consequence(結果,感情・気分・行動)』のことである。

現在、主流となっている認知行動療法には、日常生活でパターン化した『認知の歪み』が悲観的な『自動思考』となり、うつ病の精神症状や不適応な行動を生み出すとする心理モデルがあるが、これもW.ジョンソンの意味論療法やエリスの論理療法の影響を受けていると考えられる。

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[意味への意志(will-to-meaning)],[『夜と霧』を記述したV.E.フランクルのロゴセラピー]

意味への意志(will-to-meaning)

性的欲動を重視するシグムンド・フロイトや人類共通のイマーゴを大切にするユング、劣等感の補償を語るアドラーなどの精神分析系統の学派では、それぞれの学派が依拠する基本的人間観や心理力動のエネルギー源を元にして仮説が構築される。

精神分析以外の臨床心理系の学派学閥にも、それぞれの理論が前提とする基本的人間観があり、その人間観を支える精神活動のモチベーション類型がある。精神活動のモチベーションの類型というのは、何かを考えて志向し行動に移す心理的エネルギーの源泉となるものである。

フロイトの精神分析学では、快楽原則に象徴される『快楽への意志』が精神活動のモチベーションであり、人間行動の原理原則は『快楽への意志の充足戦略』として解釈することが可能となる。

ユングの分析心理学では、普遍的無意識の元型がほのめかしてくれる『自己実現への意志(個性化の過程』こそが精神活動のモチベーションであり、無意識からのメッセージを受容して自己実現することが、人間が喜怒哀楽の感情を持ってこの世界で生きている意義であるとされる。

アルフレッド・アドラーの個人心理学では、アドラー自身が、過去の身体的脆弱性の劣等感を克服する為に医学や学術の学習研鑽に励んだように、『権力への意志(優越への意志)』こそが人間の精神活動のモチベーションであると考える。アドラーは、人間には必ず長所と短所があり、短所や欠点は他者との比較で劣等感の原因となると考えた。

人間は他者よりも劣っていると考える劣等感によって苦痛や不快を感じ、その不快感を和らげる為に、自分の弱点を鍛えて強化したり、苦手な分野とは異なる分野において優越感を得ようとする。この『劣等感の補償』の為のダイナミズムこそが、アドラーの個人心理学の基本的人間観であり精神活動のエネルギー源なのである。

『意味への意志(will-to-meaning)』は、精神分析を修得した精神科医であるヴィクトール・エミール・フランクル(V.E.Frankl, 1905-1997)の著作名であり、彼の仮定する人間の根源的な行動原理実存主義的な存在価値のことである。

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[意味の反映技法(reflection of meaning)]

意味の反映技法(reflection of meaning)

アレン・アイビィが考案した体系的な構造を持つカウンセリング技法『マイクロ・カウンセリング』の基本技法の一つが『意味の反映技法(reflection of meaning)』である。意味の反映技法は、生活環境で起こる出来事がその人にとってどういう意味を持っているのかを考えさせ、社会的な人間関係の意味、他者の自分に対する行動の意味を深く洞察させようとする共感的な技法である。

相手の立場にたって、相手がその時にどういう事を考えてどういう感情を持ったかを想像し、相手の主観的な意味づけや解釈を重視するという意味では、アーロン・ベックを嚆矢とする認知療法で、不合理な認知(自己否定的な認知の歪み)非適応的な考え方(自動思考)に気づかせようとする技法に類似している部分もある。

意味の反映技法では、外的な出来事や他者の人間関係について普遍的な理論を持ち込まず、十把一絡げの一般的な理解をしないのが最大の特徴であり、ある人にとって喜びを感じる出来事でも、ある人にとっては悲しみの原因になりうるという主観的体験の多様性を前提している。

例えば、深い人間関係を求めて孤独感を感じる状況が嫌いな人にとって、頻繁に携帯メールを送ってくれて電話を掛けてくれる友人は、いつも自分のことを気に掛けてくれている優しくて大切な存在として認知されるが、それほど親密な人間関係を求めておらず一人で過ごす趣味の時間を大切にしている人にとっては、あまり頻繁にメールや電話をしてくる友人は、自分の平穏な趣味の時間を乱す少し煩わしい存在として認知されている可能性がある。

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[SD法(意味差判別法, semantic differential method)]

SD法(意味差判別法, semantic differential method)

意味差判別法とも言われるSD法(semantic differential method)は、C.E.オスグッド(C.E.Osgood)によって開発された『概念の内包的意味』の定量的測定法である。

感覚刺激や知覚内容などの『複数の因子(要素)』から構成される『概念・言語・イメージ』を、多次元的に解析して、客観的なデータを得るのに適した評価法といえる。

SD法は、意味差判別法という翻訳以外にも、意味測定法意味微分法という言い方があるが、どれも『複数の因子から成り立つ概念・言語の意味を分析して数量化』する方法といった意味合いを持っている。

SD法の特徴は、一つの概念から思い浮かぶ形容詞などを想起していく『制限連想法』を、その形容詞の妥当性の相対評価である『評価尺度法』とを組み合わせたところにある。こういった専門用語で説明すると難しいように思えるが、実際の手続きは比較的シンプルなもので、以下のような測定調査の手続きを踏んで行うのが基本である。

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[ユング心理学のイマーゴ(imago)],[集合無意識領域の元型とイマーゴ]

イマーゴ(imago)

イマーゴ(imago)とは、カール・グスタフ・ユングが構想した分析心理学の用語であり、英語でいうイメージ(心像,形象)のことである。内面心理で形成されるイマーゴは、『対象の意味』を表現する表象の一つである。人間は、世界にある対象の意味・内容を知覚・認知を通して『言語とイメージの表象』で理解している。

表象(presentation)とは、知覚内容や記憶機能に由来して、直観的に心の中に生起する『外的対象の像』であり、対象の形態や意味を表現するものである。概念や理念と比べると主観的な要素が強く、表象は、その場で反射的に形成される心像やイメージとしての意味合いを強く持っている。

表象をイメージ的な像だけに限定する定義と、言語的な意味の表現まで含める定義とがあるが、広義に表象を定義すると『外的事象の意味を心の中で表現するもの=イメージ・言語』ということが出来る。私たちは、世界の事物や対象を理解する場合には、イメージという主観的表象と言語という客観的表象を適切に利用していることになる。言語の場合には、物事の意味や対象の内容を他者と共有する為のコミュニケーションを行うツールにもなる。

一般的にいうイメージ(イマーゴ)とは、目の前にない直接的に知覚できない対象を内面で想起した表象であり、直観的・具体的に心の中で想像した像(心像)のことを指す。私たちは、実際に会っていない家族や知人の顔をイメージとして心の中に思い浮かべることが出来るし、過去の経験や懐かしい風景などを精神世界で像として再現することが出来るが、この心の中の情景や像がイメージなのである。

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2006年04月22日

[『今』の原則(principle of the now)],[パールズのゲシュタルト療法]

『今』の原則(principle of the now)

フリッツ・パールズ(F.S.Perls)が創始したゲシュタルト療法の基本原則が『今』の原則(principle of the now)であり、『今、現在、ここからどうすべきか』を最重要視する原則である。

フロイトの精神分析療法では『無意識の意識化(無意識の言語化)』を意図して、過去の感情体験や不快な記憶を自由連想させようとするが、パールズのゲシュタルト療法では『過去は既に過ぎ去ったものであり、未来は未だ来ていないものだから、私たち人間が現実に生きられるのは「今」だけだ。「今現在」の問題を意識化し、今・ここから自分がどのように行動すべきかを考えればよい』と意欲的にポジティブに考える。

ゲシュタルト療法の面接構造と治療場面では、『現在のクライエントとカウンセラー』に焦点を合わせて、過去に執着せず未来を心配せずに、現在抱えている問題をどう解決していけばよいかを二人三脚で模索していく。

ゲシュタルト療法では、精神分析療法で重要なものとされる『過去の感情体験を再現する転移関係・転移感情』を否定して、『現在の実際的なカウンセラー・クライエントの二者関係』の中で心理的問題の解決法を考えていくことになる。

パールズは、陽性転移感情(過去の人間関係で抱いた好意・愛情)陰性転移感情(過去の人間関係で抱いた憎悪・怒り)に囚われてしまうと、現実的なカウンセリング構造が破壊されてしまうと考えた。つまり、転移特有の空想的な心理体験や誘惑的な人間関係に陥ってしまうと現実的な問題や現在の人間関係に意識が向かわなくなりカウンセリングの意義が乏しくなるとして、転移現象の分析に否定的な心理療法の技法を確立したのである。

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[イマキュレート・ハート・プロジェクト(Project at Immaculate Heart)],[エンカウンター(encounter)]

イマキュレート・ハート・プロジェクト(Project at Immaculate Heart)

ヒューマニスティックな自己理論を基盤に置く来談者中心療法(クライエント中心療法)を創始したカール・ロジャーズ(C.R.Rogers)が構想した集団療法(集団カウンセリング)のプロジェクトが、イマキュレート・ハート・プロジェクト(Project at Immaculate Heart)です。

カール・ロジャーズは、それまで会ったことのない人たちが、集団での出会いや体験を通してカウンセリング効果を得るエンカウンター・グループの研究を熱心に行っていました。エンカウンター(encounter)とは、『出会い・遭遇』の意味であり、他者との貴重な出会いやふれ合いを通して、集団カウンセリングの様々な効果(自己成長・問題解決・自己の気づき)を得ようとする試みである。

他者との貴重な出会いであるエンカウンターでは、他人を否定しない温かい雰囲気の集団で、それぞれのメンバーが自分の気持ちや問題を率直に表現していく。エンカウンターとは、お互いに競争して評価し合う社会生活ではなかなか体験することが出来ない『共感的な心と心の交流』であり、お互いを否定せずに、思った事を素直に発現することが出来るカウンセリング的な場である。

エンカウンターの集団体験には、司会者を決めて特定のテーマやトピックを巡ってメンバー同士で思ったことを率直に話し合う『構造的エンカウンター・グループ』と話し合いの場を調整する司会者を置かず特定のテーマも決めずに、人と人との出会いやふれあいを最優先する『非構造的エンカウンター・グループ』とがある。

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2006年04月21日

[遺尿症(enuresis)]

この記事は、以下に移転しました。 https://esdiscovery.jp/vision/word001/psycho_word1016.html
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2006年04月12日

2006年04月08日

[一般システム理論(general system theory)]

この記事は、以下のURLに移転しました。 https://esdiscovery.jp/vision/word001/psycho_word1011.html
posted by ESDV Words Labo at 04:56 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日