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2012年12月13日

[レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky):1]

レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky):1

レフ・ヴィゴツキー(Lev Semenovich Vygotsky,1896-1934)は、ベラルーシ出身の旧ソビエト連邦(旧ソ連)の心理学者であり、約10年間の短い研究生活の中で“アンチ精神分析(反フロイト)・アンチ行動主義心理学”の立場で実験主義的あるいは唯物弁証法的な理論の構築を行った。

特に発達心理学分野における『言語と思考の発達理論・言語獲得の理論』などで大きな業績を残しており、乳幼児期から児童期における言語と思考の発達の理論化では、現在でもレフ・ヴィゴツキーとジャン・ピアジェの研究成果は参照される事が少なくない。

ヴィゴツキー自身もジャン・ピアジェの思考発達理論からインスピレーションを得ているが、ヴィゴツキーは社会的環境と双方向のコミュニケーションが介在した言語・思考の発達を重視して、自然的かつ自生的に言語・思考が発達していくとするJ.ピアジェの『生物学的な人間観』を批判した。

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2012年11月24日

[ジョン・H・ウィークランド(John H. Weakland)]

ジョン・H・ウィークランド(John H. Weakland)

ジョン・H・ウィークランド(John H. Weakland, 1919-1995)は、カリフォルニア州パロアルトにあるMRI(Mental Research Institute)の創設メンバーの一人であり、長年にわたってMRIの実質的な所長を務めた履歴を持つ。MRIは家族療法と短期療法の中心的な研究機関として知られるが、家族を一つのシステムと見なす立場から、『家族相互のコミュニケーションとその影響』を分析して改善することに注力した。

アメリカの家族療法研究の代表的な拠点は、東海岸にある『アッカーマン研究所,アッカーマングループ』と西海岸にある『MRI(Mental Research Institute),パロアルトグループ』であるが、アッカーマン研究所はネイサン・アッカーマンの死後にその後継者が設立したものである。MRIのほうは、D.D.ジャクソンやジョン・H・ウィークランド、J.ヘイリーなどの複数の家族療法家が協力して立ち上げたという歴史的経緯があり、その家族システム理論や家族療法の具体的な技法も『折衷的・融合的』という特徴を持っている。

MRIのシステム論に基づく家族療法の目的は、家族構成員の相互作用(コミュニケーション)のあり方と影響を分析して改善することであり、短期療法の長所と家族療法の技法を融合させる事だった。MRIの家族療法は、グレゴリー・ベイトソンやジョン・H・ウィークランドらが発見した『ダブルバインド理論(二重拘束理論)』と催眠療法家のミルトン・エリクソンが提起した『短期療法(Brief Therapy)』の影響を強く受けており、家族間の問題や悩みをできるだけ短期間で効果的に解決することを目標にしている。

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2006年12月03日

[ウィルヘルム・ライヒの性格の鎧(character armor)と性格分析]

ウィルヘルム・ライヒの性格の鎧(character armor)と性格分析

ライヒの精神分析分野における最大の功績は、独自の性格形成理論と精神発達理論に基づく『性格分析』の考案である。ライヒの性格分析の理論と技法の発見によって、精神分析の性格理論の臨床的な有効性が補強され、『個人の性格反応パターン』が果たす防衛的な役割が明らかにされた。『性格分析』とは、患者の性格形成過程や性格反応パターンを分析することによって、神経症の原因となっている『性格的な過剰防衛(過剰適応)』を改善しようとするものである。

ライヒは、自己の自然な欲求やありのままの感情を抑圧して、他者の欲求や気持ちに過剰に配慮している柔軟性を欠いた性格反応パターンを『性格の鎧(character armor)』と呼んだ。外部社会や他者との人間関係に適応する為の性格が過剰適応(過剰防衛)を起こしてしまい、自分の自然な欲求や素直な感情を閉じ込めてしまっている状態が『性格の鎧』である。マルクス主義の文脈で『人間の性格の鎧』を解釈すると、現代資本主義社会に適応する為にまとわなければならない『性格の鎧』は社会からの自己疎外を強化する権力装置となる。

現代社会では、『社会・他者・企業・家族』に適応して生存を維持する為に、本当の自分の気持ちを抑圧して自然な欲求のあり方を否定しなければならない。この当たり前と思われている現実原則が、人間の苦痛な精神症状を生み出し他者と共感し合えない絶望的な疎外感の原因となっている。

資本主義社会の下では、人間の精神的な自由は完全に剥奪されて、ありのままの自己と他者から疎外されてしまうことで、「過剰適応による心身症」や「抑圧による神経症」を発症しやすくなってしまう。ライヒは、本能的な欲求の相互承認と性格の鎧の破壊による理想社会を建設しなければならないという革命思想へ傾倒していった。

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2006年06月05日

[ウロボロス(ouroboros)とユング心理学の元型(archetype)]

ウロボロス(ouroboros)とユング心理学の元型(archetype)

ウロボロス(ouroboros)とは実在した動物としての蛇ではなく、神話的なイメージでありユング心理学でいう人類全体に共通する元型(アーキタイプ)である。古代ヨーロッパ世界の神話伝承、キリスト教(ローマ・カトリック)から異端とされたグノーシス主義、中世ヨーロッパの錬金術の文献、古代中国で老子が創始した道教に関係する『丹道の書』などにウロボロスのイメージは登場する。

ウロボロスとは、ギリシア語で『尾を貪るもの』という意味であり、自分の口で自分の尾を噛んでぐるぐると終わりのない円環を描く蛇のイメージで表される。古代世界に生きる人たちは、脱皮を繰り返しながら成長する蛇に、古い身体を脱ぎ捨てて新しい身体を獲得するという『不老不死の神聖性』を見出し、特別な意味を持つウロボロスのイメージを作り上げた。

ウロボロスのイメージに付与される概念や意味は多種多様である。古代ギリシアでは、自らの尾を貪って円環を描くウロボロスには、『始まりと終わりがない』ので『不死・無限・循環』の象徴とした。また、始まりである頭を『誕生』とし、終わりである尾を『死』として、『誕生と死の結合・誕生から死への時間』のイメージとしてウロボロスを解釈した。

ウロボロスの蛇は自分の尾を食べながら、最後には自分自身を全て食べきってしまうので『無』の意味をウロボロスに読み取ることもある。原始キリスト教では、蛇は悪魔の使いとされたが、神秘主義を標榜する2世紀のグノーシス主義では、『誕生と死の結合』をイメージさせるウロボロスは、死から復活したイエス・キリストの象徴であると考えていた。

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[ソンディの運命分析学][投影法のソンディ・テスト(Szondi Test)]

ソンディ・テスト(Szondi Test)と運命分析学(fate analysis)

様々な表情を見せる多数(8枚)の顔写真の好き嫌いの反応を調査することで、無意識領域の衝動・欲求・傾向を分析できるとする人格検査(パーソナリティ検査)にソンディ・テストがある。ソンディ・テストは、ハンガリーの精神科医リポート・ソンディ(L.Szondi)によって、1947年に開発された無意識を含む性格傾向(人格特性)を診断する心理検査である。

ソンディ・テストでは、悲哀・怒り・困惑・絶望などの解釈が成り立つ8枚の顔写真を被験者に呈示して、その中から好きな顔写真2枚と嫌いな顔写真2枚を選択して、それと同じ作業過程を6回繰り返して無意識的欲求の傾向などを分析することが出来る。6回繰り返すことで、合計48枚の顔写真を閲覧し、その中から好きな写真12枚・嫌いな写真12枚を選ぶことになる。

深層心理学的なパーソナリティ検査(人格検査)であるソンディ・テストで診断される衝動の類型は以下のようなものであり、エスの性衝動の社会適応や自我構造の機能を前提する辺りはフロイトの精神分析学の影響を感じさせるものである。

1.性衝動と文化適応度……性衝動

2.感情・情緒の機能と道徳観・倫理性……感情衝動

3.自我構造の欲求……自我衝動

4.外界との接触方法・人間関係のパターンの特徴……接触衝動

リポート・ソンディ『衝動心理学』理論を前提として開発したソンディ・テストは、ヘルマン・ロールシャッハ『知覚心理学』を前提として考案したロールシャッハ・テストと同じく無意識領域の心理状態や欲求・情動を測定評価できる投影法(projective method)に分類される心理テストである。

ただ現段階では、使用される写真の図版があまりにも古すぎること、種々の精神病理をイメージさせる外国人の写真なので現代日本人の選好に適さないことなどの問題点も指摘されている。ソンディ・テストでは、個人的無意識だけではなく、遺伝特性を持つ家族的無意識も測定することが出来るとされている。

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[ゲシュタルト療法の噂話の禁止(no gossiping)],[家族療法の迂回(detouring)]

ゲシュタルト療法の噂話の禁止(no gossiping)

フリッツ・パールズ(F.S.Perls)が提唱したゲシュタルト療法(Gestalt Therapy)には、ゲシュタルト療法のアート体験法(gestalt art experience)で記したように、ドリームワークやエンプティ・チェア、ホットシートなど多くの技法がある。

ゲシュタルト療法の技法に共通する基本原則が『今』の原則(principle of the now)であり、今、ここから何をするべきかという問題意識を持って今ある心理状態への覚知(アウェアネス)を重視する。

『噂話の禁止(no gossiping)』とは、『今』の原則に従ってカウンセリングの面接構造を展開するというゲシュタルト療法の基本原則であり、今ここに存在しない他人についての噂話や批判、恨み言を話さないというルールである。フリッツ・パールズは、面接場面の今・ここにおける身体感覚・感情状態・気分内容を重視したので、過去の家族や関係者に対する批判や敵意を述べることにクライエントの治療効果は乏しいと考えたのである。

『あの時、彼女がこういう風にしてくれていたら、自分はこんな惨めな落ち込んだ気分にはならなかったのに……』、『学校の先生がもっと自分の気持ちに配慮して相談に乗ってくれていたら、自分は不登校にならなかったのに……』、『会社の上司が不愉快な言動やパワーハラスメントの嫌がらせをしてこなければ、自分は失業せずに済んでいたのに……』、こういった過去の記憶や思い出に基づく他人の批判や否定、他人に対する様々な言及が『噂話(gossip)』であり、ゲシュタルト療法ではこういった噂話を出来るだけ心理臨床場面で取り上げないようにする。

これを『噂話の禁止(no gossiping)』といい、今・ここでの気づき(アウェアネス)を治療機序の中心に置くゲシュタルト療法では、頭の中で記憶を想起したり、過去を想像して噂話を進めることをしない。しかし、噂話を一方的に否定して止めさせるわけではなく、カウンセラーはクライエントの言及している相手の役割を演じてロールプレイの技法に持ち込むなどの工夫をする。

カウンセリングの面接場面で、過去の対人関係を現在の対人関係としてクライエントに体験させることが重要であり、カウンセラーは『過去の想起』『現在の体験』へと置き換えていく。今、ここでもう一度その過去の人物と出会ったならば、あなたはどのような対応を取るべきなのかと『対話ゲーム』を通して問いかけ、問題解決につながる対人スキルを高めていくのである。

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2006年06月01日

[宇宙の概念の歴史と論理的構成(logical construct)としての宇宙]

宇宙の概念の歴史と論理的構成(logical construct)としての宇宙

宇宙とは、あらゆる空間的な広がりと、『過去・現在・未来』に及ぶ全ての時間の流れを包含する概念で、通常は四次元の時空として認識される。あるいは、時間概念を含まない一般的用法として、宇宙を『全ての天体を含む空間領域』と定義することも出来る。厳密には、宇宙に存在する物質とエネルギーをも含む世界の総体が宇宙であり、宇宙とは『全空間・全時間・全物質・全エネルギーの全てを表現する概念』であると考えることが出来る。

日本語としての宇宙の語源は、奈良時代に伝来した中国の古典、紀元前2世紀前漢時代に編纂された百科事典『淮南子(えなんじ)』の斉俗訓(せいぞくくん)にある。淮南子の『往古来今謂之宙、四方上下謂之宇=往古来今、これを宙と謂う、四方上下これを宇と謂う』という漢文が宇宙の語源である。往古来今が時間概念、四方上下が空間概念を示している。

紀元前の古代社会には様々な思想家が提示する宇宙観が存在していたが、その中で後世(キリスト教世界観)に最も大きな影響を与えたのはアリストテレス(B.C.384-322)『天体論』の中で示した天動説を支持する宇宙観である。万学の祖と讃えられたアリストテレスは、宇宙は構造・物質・運動の3つの要素から成り立っていると記し。『月下界と天界』という大きな2つの領域が存在していると考えた。

『月下界』は、地球上の世界のことであり、火・水・土・空気の四元素から構成される経験的な世界であり、地球は全ての天体の中心に位置すると考えられた。『天界』は、地球以外の天体が存在する領域であり、天体の構成要素として『エーテル』という架空の元素をアリストテレスは提起した。天体は、現在ある定常型宇宙に不生不滅のものとして存在し続け、等速円運動を繰り返すとされた。宇宙における天体の複雑な運動を予測して説明する為に、大小80以上の天球層が必要とされ、その計算方法も難解なものとなった。

このアリストテレスの宇宙観は、ギリシアのプトレマイオス(A.D.127-151)に継承され、キリスト教神学の教義にもこの合理的な宇宙の構造の説明体系(天動説)が採用されることになった。プトレマイオスは、地球が宇宙の中心に位置するというヒッパルコス以来の天動説を理論化して2世紀前半に『アルマゲスト』を著した。

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[宇宙(space)を構成する物質の最小構成単位である素粒子(Elementary Particle)]

宇宙(space)を構成する物質の最小構成単位である素粒子(Elementary Particle)

人間が存在する時間と空間の全体が宇宙であり、歴史段階の初期における人類の根源的な思想体系や学術思考は宇宙とは何かという関心や疑問から始まったといえる。宇宙の構造や生成の過程、宇宙の時間の限界(寿命)や空間の境界(宇宙の外部の謎)に関する素朴な疑問は、哲学の主要命題の一つであったが、合理主義と経験主義の発展による自然科学的研究法の誕生によって宇宙に関する問題は宇宙科学や物理学が取り扱う領域となった。

現在では、主観的な思弁や観念的な想像による哲学的な宇宙理解は衰微して、客観的な実験・観察や実証主義の考え方を重視する科学的な宇宙理解が中心となっている。しかし、宇宙の起源や物質の構造を解明する過程で、量子力学や素粒子論といった科学分野が発展して、宇宙は必ずしも経験的・実証的な自然科学の研究法で解明し尽くすことが出来ないことが分かった。

物質の最小構成単位である素粒子(Elementary Particle)は、内部構造を持たず、空間的な大きさを持たないので、電子や陽子を衝突させる高エネルギーの加速器を利用して技術的に観察しないと直接観察することが出来ない。その意味で、素粒子物理学における加速器による観察は、古典的な物理学の肉眼による観察よりも技術的なものであり、素粒子を観察可能な時間はほんの一瞬しかない。素粒子には、スピンという回転する角運動量があり、一定の時間経過で崩壊する寿命の属性がある。

宇宙にある物質の最小構成単位は素粒子であるが、素粒子には非常に多くの種類があり、未だ発見されていない素粒子も数多く残っていると考えられている。現在、明らかになっている素粒子は、大きく分類すると、フェルミオンゲージボソン、未発見だが素粒子の質量に関与すると言われるヒッグズ粒子に分けることが出来る。

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2006年05月26日

[ウーマン・リブ(women's lib)],[セクシズム(sexism)の否定と女性の主体的な人生の選択の尊重]

1960年代、ヒッピーブームのアメリカで誕生した『ウーマン・リブ(women's lib)』のフェミニズム運動は、1970年代に先進資本主義国に拡大して、マルクス主義など人間解放を目指した政治革命思想と結びつく事になった。

アメリカの女性解放運動(women's liberation movement)が日本へと輸出されて、『ウーマン・リブ(women's lib)』という慣用表現で呼ばれるようになった。ウーマン・リブは、マルクス主義フェミニズムやフロイト批判のラディカル・フェミニズムと並ぶ『第2波フェミニズム』であった。

あらゆる男女差別や男女間の社会的格差を撤廃するというラディカル(過激)な立場を取っていて、『セクシズム(sexism, 性差別主義)』という思想概念を用いて男性優位社会の政治・経済・社会・家庭の制度や観念を変革しようとした。セクシズムの表出としての女性差別や女性抑圧の問題を、法律・家族・労働条件(賃金体系)・雇用慣習・教育制度・公共機関・交通機関などあらゆる領域に見出して、男女間にある差別意識や格差容認、伝統思想を批判して変革しようとしたのである。

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[ウーマン・リブ(women's lib)][フェミニズム思想の概略]

ウーマン・リブ(women's lib)

男女同権主義に基づく男女共同参画社会の実現を構想する女権拡張の思想をフェミニズム(Feminism, 女性主義・女権拡張主義・男女平等主義)と呼ぶ。女性の社会的権利や性行動の自由(生殖の自由)、男女の政治的平等を尊重するというフェミニズムの起源は、宗教的な母権制社会の母性原理にあると推測することができる。

しかし、『父なる神』を崇拝するキリスト教やイスラム教など父性原理に基づく一神教の普及によって、『母性の象徴する寛容や豊饒』を讃える母性原理の世界観は抑圧される事となった。また、共同体の国防力(軍事力)と秩序志向を高める家父長制社会の法制化によって、長い間、歴史の表舞台にフェミニズム思想が登場することはなかった。

政治的・経済的・社会的な女性解放を目指すフェミニズムが明確に思想としての輪郭を現し始めたのは、『自由・平等・友愛』のスローガンを掲げたフランス革命(1789年)の影響が色濃く残っていた1830年代のフランス(第1波フェミニズム)においてである。

古代から現代まで両性の平等と尊重を掲げる思想を持っていた女性は数多くいたと思うが、明確な政治的影響力を持つ思想潮流としてフェミニズムが認識され始めたのは19世紀半ばくらいからである。

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[BDI(Beck Depression Inventory, ベック抑うつ評価尺度)の質問項目と抑うつ度のチェック]

BDI(Beck Depression Inventory, ベック抑うつ評価尺度)

うつ病に対する科学的エビデンスを重視した認知療法を提唱したペンシルバニア大学のアーロン・ベックは、うつ病の心身症状を総合的に評価して客観的な診断を下す診断的な心理検査(質問紙)を作成した。

その具体的な質問項目は以下のようなものであり、上の項目から順に『0,1,2,3点』の点数をつけることになる。各項目の合計点数によってうつ病症状の重症度を診断する。

正式な医学的診断には、精神科の専門医による面接・問診を合わせて総合的な評価をする必要があるが、BDIによって今現在の抑うつ状態に対する一応の病理性を判定することが出来る。

合計点数が「21点以上」になると病理的な抑うつ感や憂鬱感である可能性が高くなるので、専門医の医学的治療や心理臨床家の心理学的援助が必要になることもある。

以下の各項目を読んで、4つの文章の中から自分の考え方や気分・感情にもっともよくあてはまるものを選んで下さい。

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[抑うつ自己評価尺度(self-inventory of depression)][BDIを中心とするうつ病評価尺度]

うつ病自己評価尺度(self-inventory of depression)

認知療法の創始者であるペンシルバニア大学アーロン・T・ベック教授の開発したBDI(Beck Depression Inventory, ベック抑うつ質問紙,ベックうつ病評価尺度)のような抑うつ感の種類と深刻度を自己評価する質問紙法を『抑うつ自己評価尺度(self-inventory of depression)』と言う。

抑うつ感(depression)とは、感情機能が抑制されて、極端に気分が落ち込んで意欲が減退している精神状態のことであり、うつ病の精神運動抑制の特徴を示す主要症状の一つである。

抑うつ感や憂鬱感という感情障害(気分障害)の特徴は、『活動性や活発性の過度の低下・物事に対する意欲の消失・食欲や睡眠欲といった生理学的欲求の低下・自尊心の低下による自己無価値感・強烈な悲哀感情と涙もろさ』などで示される。病的でないストレスに反応して生じる通常の抑うつ感の場合には、日常生活に支障が出るほど耐え難い抑うつ感ではなく、その持続期間も比較的短いとされる。

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2006年05月24日

[うつ病(depression),気分障害(Mood Disorder)]

うつ病(depression),気分障害(Mood Disorder)

うつ病(depression)は、医学的診断名で気分障害・感情障害とも呼ばれることのある内因性精神病の一つで、極度の憂鬱感や抑うつ感、無気力、希死念慮などの精神運動抑制を主要症状とする精神疾患である。

うつ病は現代社会における精神障害の中で、最も発症率(生涯有病率)の高い疾患と考えられており、その生涯有病率は約10%前後で推移している。誰もがうつ病を発症するリスクや要因を抱えていて、いつ何がきっかけとなって発病するか分からないことから『心の風邪』と呼ばれることもあるが、実際のうつ病患者の極度の苦悩や圧倒的な絶望感は『心の風邪』と言うには余りに過酷なものである。

高度に経済が発達して人間関係が複雑化した現代社会の生活には、様々な不快な精神的ストレスが充満していて、私たちの精神状態に苦痛や葛藤、悩みを与え続けている情況がある。ストレス過剰な生活環境に長期間置かれることが、うつ病や全般性不安障害、社会不安障害など各種精神疾患の発症リスクを上げていることは確かだが、同じストレス状況に置かれても精神疾患を発症する人としない人がいることから先天的要因や性格傾向なども発症過程に関係していると考えられる。

うつ病の遺伝的素因(うつ病の症状形成につながる体質・気質・性格・認知傾向)を持っている人が、過度の強いストレスや不安に長期間晒されて、それに上手く対処できず環境不適応に陥るとうつ病の発症リスクが格段に上がると考えられる。先天的な各種の素因に環境からのストレスの負荷が加わって精神疾患を発症するという病理モデルを『素因ストレス・モデル』といい、現在の精神医学では最も説得力のある仮説となっている。

職場・学校・家庭・社会における精神的ストレスに適切に対処するストレス・コーピングを向上させ、日常生活でのトラブルを長期的な悩みにつなげない自己肯定的な認知を習得することが大切になってくる。

うつ病を発症の原因別に分類したキールホルツは、『内因性(遺伝・気質・器質など内部的原因)・外因性(脳損傷や脳疾患などの外部的原因)・心因性(精神的ショックや喪失体験など心理的原因)』のうつ病を考えた。

現在の精神医学では、抗うつ薬による薬物療法の薬理学的根拠として『脳内モノアミン仮説』が提唱されている。その仮説によると、うつ病患者は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンといった精神活動を活発化させ意欲を増進させる神経伝達物質(情報伝達物質)が不足していると考えられている。うつ病の生物学的原因として、脳内のセロトニン・ノルアドレナリンの不足による情報伝達過程の障害が推測される。

ニューロン間のセロトニンやノルアドレナリンの再取り込みを阻害して抑うつ感や億劫感を改善する目的で、三環系・四環系の抗うつ薬、SSRI、SNRIなどの抗うつ薬による薬物療法が行われているが、効果著明なSSRIなどに関して強い副作用の問題が指摘されることもあり、慎重な臨床医学的診断と安全な薬物療法の選択が必要となる。

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2006年05月23日

[内田・クレペリン精神作業検査],[ウォーミング・アップ(warming up)]

内田・クレペリン精神作業検査

一般職業適性検査(General Aptitude Test Battery:GATB)の項目で、『内田・クレペリン精神作業検査』の実施方法と測定項目について概略を書いた。精神疾患の分類整理を行い近代精神医学の父と言われるエミール・クレペリン(E.Kraepelin, 1856-1926)が開発した作業検査を、日本の心理学者・内田勇三郎(1894-1966)が日本人向けに改良したものが内田・クレペリン精神作業検査である。

内田・クレペリン検査は、検査の結果得られた『作業曲線』を元にパーソナリティの診断をする心理テストで、心理アセスメントの中では『作業検査』に分類される。

ずらりと並んだ一桁の数字を連続加算していき、その作業効率の曲線を見て、性格特性や作業適性、職業適性、精神機能の特徴を診断的に査定する作業検査が内田・クレペリン精神作業検査である。実際の作業検査は、『前半の作業15分・休憩5分・後半の作業15分』の時間配分で行われる。

平均的な人格特性を持っていて偏りの少ない健康な精神状態にある人の作業曲線を『定型曲線』として、それとの類似や差異を比較して総合的に判定する。現在では、性格検査としてよりも、長時間の運転作業・機械操作を必要とする職業の適性検査として用いられることが多くなっている。

内田・クレペリン検査で測定されるのは、『テスト開始時の作業効率・テスト途中の作業量の低下率・興奮の上昇量・休憩の効果の有無・問題の脱落や計算のし忘れ』などであり、そこから、安定した作業能力と性格特性・根気強い作業への姿勢と持続性・勤勉な職業適性・作業時間による疲労の程度などを査定していくことになる。

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[WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)],[WPPSI知能検査(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)]

WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)

デビッド・ウェクスラー(D.Wechsler, 1896-1981)が開発した成人の知能を多面的に測定する知能検査が、WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)である。WAISは、成人の知能の構成要素を『動作性知能(動作性尺度)』『言語性知能(言語性尺度)』から捕えて、各評価尺度の問題項目を考えている。

16歳以上の個人に適用されるWAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale)の測定結果は、言語性IQ・動作性IQ・全検査IQによって表示され、各IQには職業別の標準値も設定されていて、その数値との比較から職業適性を探ることも出来るようになっている。

WAISやWISCなどウェクスラー式知能検査は、精密度の高い臨床診断的な知能検査として国際的に利用されており、日本語版も翻訳と標準化がなされている。実施目的は、職業適性検査・学校カウンセリング・職業(産業)カウンセリング・学校での進路相談の参考資料などであるが、WAISの検査結果は飽くまで他者との相対的な差異を表示するものであり個人の知的能力のポテンシャルまでを測定し尽くせるものではない。

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[ロジャーズらのウィスコンシン・プロジェクト(Wisconsin Project)][ジェンドリンのフォーカシング理論の研究に与えた影響]

ウィスコンシン・プロジェクト(Wisconsin Project)

ウィスコンシン・プロジェクト(Wisconsin Project)とは、クライエント中心療法(来談者中心療法)でカウンセリング技法の基礎を築いたカール・ロジャーズ(C.R.Rogers, 1902-1987)が中心となって推進した統合失調症(精神分裂病)患者の大規模な心理臨床研究である。

ウィスコンシン・プロジェクト(Wisconsin Project)は、ロジャーズがウィスコンシン大学で臨床心理学と精神医学の教授職を併任していた時期(1957-1964)に計画された精神病患者に対する心理学的アプローチの研究である。ウィスコンシン大学は、ロジャーズが農学や歴史学を修学した卒業大学であるが、ウィスコンシン大学の学生時代には臨床心理学やカウンセリングの研究は行っていなかった。

カール・ロジャーズは、コロンビア大学教育学部に入学した頃から、子どもの潜在的可能性を自由に伸ばす教育学や心理的問題に非指示的なカウンセリングで対処する臨床心理学に興味を持ち始めた。その後、シカゴ大学在学時に、数多くの実証主義的な効果研究を行って、カウンセリング事例を統計学的にまとめた。それらの研究成果を集大成して創始されたのが、ロジャーズ独自のクライエント中心療法(client-centered therapy)である。

元々、クライエント中心療法は、健常者の対人関係や学校適応の問題を対象として実施されていたが、次第に、ロジャーズは軽度の神経症患者や重度の精神病患者に対する非指示的なカウンセリング技法(来談者中心療法)の効果測定に興味を持ち始めた。

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2006年05月20日

[WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)],[WISC-R(Wechsler Intelligence Scale for Children-Revised)]

WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)

ニューヨーク大学ベルヴュー病院の臨床心理士デビッド・ウェクスラー(D.Wechsler, 1896-1981)が開発した個別知能検査が『ウェクスラー式知能検査』であり、この知能検査には大人用と子供用など複数の種類がある。

ウェクスラーは、まず1938年に大人用の個別知能検査である『ウェクスラー・ベルヴュー尺度』を作成し、1949年に児童用の知能検査である『WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)』を発表した。

WISCに続いて1950年には成人用の知能検査であるWAISを作成、そして、1966年に就学前の児童を対象とした知能検査WPSSIを発表した。診断的機能を持つウェクスラー式知能検査には上記のように様々なものがあり、各種の知能検査は既に翻訳されている。

ウェクスラー式知能検査の検査結果は統計学的分析によって日本人向けに標準化されているので、日本の教育分野や心理アセスメントの分野で使われる機会の多い知能検査となっている。ウェクスラー式知能検査の特長は、対象となる被験者の年齢層が幅広いことであり、4歳の幼児から70歳の高齢者まで知能水準を測定することが出来る。

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posted by ESDV Words Labo at 01:17 | TrackBack(0) | う:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする