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2006年10月09日

[動物(人間)の行動(生態)を対象とするエソロジー(ethology:比較行動学)研究]

動物(人間)の行動(生態)を対象とするエソロジー(ethology:比較行動学)研究

さまざまな種類の動物の行動を比較観察しながら、動物の行動メカニズムや社会行動の形成機序を研究する生物学(心理学)の研究分野を『比較行動学(動物行動学)』という。エソロジー(ethology)とは、比較行動学(動物行動学)のことであり、人間の行動を対象として観察研究を行うこともある。

複数の人間の行動を観察しながら、ヒトの一般的な行動原理や行動方略を解明しようとする研究のことを、特に『ヒューマン・エソロジー(human ethology)』と呼ぶことがある。ヒューマン・エソロジーの研究分野では、日本人・アメリカ人・フィリピン人・エチオピア人など異なる言語文化圏で生活を営む人間の行動パターンを丁寧かつ綿密に観察して比較する研究なども行われている。異なる文化圏や宗教圏の行動を比較研究することで、異文化コミュニケーションの円滑化を進めて対立を緩和したり、異文化間の相互理解の深化に役立てることが期待されている。

エソロジーを心理学分野の隣接領域と考える場合には、『比較行動学』という呼び方をすることが多いが、エソロジーを生物学分野の隣接領域と考える場合には『動物行動学』という呼び方をすることが多い。基本的に、比較行動学と動物行動学の研究内容および研究方法は同一のものであり、学術分野としての本質的な差異はないと考えて良いだろう。

しかし、比較行動学はどちらかというと心理学的な本能・行動の理論の記述へとつなげる研究手法が多く、動物行動学のほうは、進化生物学と関係した客観的な一般法則の記述へとつなげるような研究方法を採用することが多いと言われることもある。

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[ダグラス・マクレガーの『X-Y理論』が示唆する経済効率性と労働モチベーションの高め方]

ダグラス・マクレガーの『X-Y理論』が示唆する経済効率性と労働モチベーションの高め方

アメリカの心理学者ダグラス・マクレガー(Douglas McGregor, 1906-1964)が、著書『企業の人間的側面』の中で提起した経営心理学的な理論が「X-Y理論」である。ダグラス・マクレガーの生まれた重化学工業中心の産業時代において、経済界の経営者たちに共通する悩みは、『従業員の労働意欲(意欲・興味)や職業能力(専門知識・熟練を要する技術)を如何にして高めることができるか?』という問題であった。

マクレガーのいう「X理論」とは、『人間は本来怠け者で、責任感がないので、強制しないと仕事をしない』という性悪説的な人間観に根ざすもので、従業員(労働者)を積極的に働かせて生産性と効率性を高める為には、オペラント条件付け(道具的条件付け)的な報酬と罰則の強化子(刺激)が必要であるというものである。

従来の経営理論や行動科学(行動主義心理学)では性悪説を前提とする「X理論」が主流であり、経営者や管理職は従業員(部下)に対して『権限に基づく適切な命令(強制)』を与えることが重要な職務であるとされていた。つまり、良く働く従業員には報酬(給料の賃上げ)を与え、怠けて働く従業員には罰則(給料の賃下げやリストラ・解雇)を与えることで、従業員は労働意欲を高めることができ、仕事へのモチベーションを維持することが出来るというのがX理論である。

企業内部の階層秩序に基づく命令統制と賞罰を与える権限行使によってのみ、業務(仕事)の生産効率性を上げることができると考えるX理論の欠点は、単純労働や肉体労働以外の主体的な思考活動(試行錯誤・創意工夫)を必要とする知識労働(複雑な作業や思考を必要とする創造的な仕事)に応用できないことである。また、産業心理学のホーソン工場の実験でも明らかなように、人間の労働モチベーションの高低は、報酬や罰則の大小のみによって規定されるのではなく、快適な職場環境や良好な職場の人間関係に大きく左右される。人間は、賃金というパンのみによって働くのではないのであり、自己アイデンティティ確立の為の仕事や社会貢献の為の労働には『自分が働く意義』に対する納得が必要となってくる。

上司から部下への命令統制や企業の階層関係における権限の行使によって、従業員(労働者)の労働意欲を高め生産効率性を上昇させようとするX理論の短所と限界を乗り越えようとする理論が、マクレガーが考案した『Y理論』である。Y理論は、『人間は本来、怠け者ではなく働き者であり、旺盛な知的好奇心と自己実現欲求を持つので、やりがいのある職場環境(人間関係)と達成目標さえ与えられれば積極的に働く』という性善説的な人間観を前提としている。

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ラベル:経営学 心理学
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2006年10月03日

[SPS(Student Personnel Services:学生の全人的発達援助):E.H.エリクソンの精神発達論に見る自我アイデンティティ獲得の問題]

SPS(Student Personnel Services:学生の全人的発達援助):E.H.エリクソンの精神発達論に見る自我アイデンティティ獲得の問題

学校教育における『学生生徒の個性・能力・素因』に即した全人的な心理学的援助(発達支援・能力開発・問題解決)のことを、『SPS(Student Personnel Services:学生の全人的サービス)』、あるいは、『SPW(Student Personnel Work:学生の全人的ワーク)』という。

学校生活を送る学生を対象とした教科指導(学習指導)や生活指導(生徒指導)では、教員一人が担当する生徒の数の多さなどによって、学生個人を集団を構成する要素として見ざるを得ない場面が多くあるが、SPSは生徒個人を細かく見ることが難しいという学校教育の弱点を、学校カウンセリングや個別相談などによって補う全人的な心理学的サービスである。SPSは、一般の学校教育活動から切り離されたものではなく、広義の『全人的な教育理念』の重要な一翼を担っている。

生徒の全人的サービスであるSPS(Student Personnel Services)の最大の特長は、教科指導や生活指導以上に・・に『学生個人の個性・能力・性格』を見ていき、それぞれの生徒の特性に適した総合的発達(全人的発達)を支援していくことである。総合的発達とか全人的発達とかいった言葉で表現される学生生徒の発達とは、教育指導による知的能力の開発や学業成績の上達のみに囚われない発達のことであり、具体的には、『心理的・社会的・知的・情緒的な発達』を全体的に促進していくことになる。

心身両面のバランスの取れた発達、社会生活に上手く適応する為のコミュニケーションスキル(対人スキル)の発達、学習成績の上昇と結びついた知的発達などを目指してSPSは実施されることになる。また、知・情・意のバランスの取れた精神発達を支援する為の『生徒の援助計画の全体』を指してSPS(Student Personnel Services)やSPW(Student Personnel Work)と呼ぶこともある。

中学校や高等学校で用いられる学習指導要領に準拠したガイダンスもSPSの一部であり、その目的は、学校卒業後の進路に待ち受ける学問的課題や職業的問題を解決できる『能力の開発』と十全な能力を発揮することによる『社会環境への適応』である。

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[エスノメソドロジー(ethnomethodology)とカウンセリングの社会的文脈]

エスノメソドロジー(ethnomethodology)とカウンセリングの社会的文脈

アメリカの社会学者・ハロルド・ガーフィンケル(H.Garfinkel, 1917-)が考案した『人々の方法論・人々の社会的行為論』にまつわる概念が『エスノメソドロジー(ethnomethodology)』という造語である。

ガーフィンケルは、社会構成員が自発的に用いる方法論そのものをエスノメソドロジーと呼んだり、社会内部の人々を対象にして行う自らの社会学的な研究方法の総体をエスノメソドロジーと呼んだりした。1967年には『エスノメソドロジー研究』という著作を書いており、社会学の研究方法に、社会的行為を行う人々を直接的にリサーチする現場主義的なフィールドワークを持ち込んだ。

“ethnomethodology”という言葉は、“ethno(人々の)”“methodology(方法論)”を合わせた造語である。ハロルド・ガーフィンケルは、社会学という学問領域の確立に大きな貢献をしたアメリカの社会学者タルコット・パーソンズ(Talcott Parsons, 1902-1979)の弟子であったが、パーソンズが長年抱えた『秩序問題』を研究する視座としてエスノメソドロジーの方法論を社会学に導入した。

『秩序問題』というのは、既存の社会秩序というものが、どのような人々の行為の過程(や判断の蓄積)によって形成されるのかという社会学上の根本問題である。実証哲学を唱導した博覧強記のオーギュスト・コントより始まる社会学の歴史において、多種多様な価値観を持つ個人が生活する『社会(society)』の秩序がどのようなメカニズムによって可能になるのかは非常に大きな疑問であった。

自らの利益を追求し自由を欲求する個人の集積である社会は、一見すると、直ちに無秩序状態に陥って弱肉強食の闘争が展開しそうなものだが、実際にある社会には所与のものとして一定の秩序が存在している。法規範による規制の効果や政治権力による懲罰への恐怖によって、社会秩序が形成されている面は確かに無視できない。しかし、人間社会は、政治権力や法治国家を形成する以前の未開文明の段階においても、完全な無秩序状態を呈することはなかった。

そう考えると、人間個人が集まって共同生活をする社会では、各人が各人なりの社会的行為の解釈や方法を持つことによって、半ば自律的に社会秩序を形成していると言えるのではないか。威圧的な法・権力の命令ではなく、自律的な人々の社会的行為(社会的選択)によって社会秩序が成立するということに対する不思議な感覚や謎の意識がガーフィンケルに沸き起こった。そして、その問題意識の発生が、エスノメソドロジーによる『秩序問題』の考察へとつながっていくのである。

つまり、社会秩序の形成過程に対する解答は、メタ次元から分析的に研究する社会学者の営為にあるのではなく、正に、現実社会で日々生活を営んでいる人々の(ethno)社会的方法論(methodology)にあるのであった。エスノメソドロジーというガーフィンケルが生んだ社会学の研究方法は、人々の行為が生み出す社会現象を高次の専門家の視線で分析するのではなく、社会的行為を行う人々の立場に立ってその行為の方法論や解釈論をそのまま記述しようという『現場主義(フィールドワーク)の研究法』なのである。

ガーフィンケルは法廷において法律の素人である陪審員が、陪審員らしく判決を下す状況を見て、エスノメソドロジーの着想を得たといわれるが、エスノメソドロジーの中心的な研究手法は会話場面や行為状況を録音(録画)する『会話分析』である。

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2006年09月26日

[文化的異質性や宗教的外部性に基づくエスニック・グループ(ethnic group)][東アジアのエスニシティ対立とナショナリズム台頭の問題]

文化的異質性や宗教的外部性に基づくエスニック・グループ(ethnic group)とマイノリティ(minority)問題

過去の記事で、異文化の社会環境に適応して精神的ストレスを緩和する為の『異文化間カウンセリング(cross-cultural counseling)』や複数の文化圏を調査研究して人類に普遍的な心理法則を発見しようとする『異文化間心理学(cross-cultural psychology)』について説明した。ここで説明するエスニック・グループ(ethnic group)とは、自分が所属する国家や共同体の文化圏とは異なる文化慣習を持っていると自覚している『異文化集団』のことである。

異文化集団としてのアイデンティティ(自己同一性)を持っている『エスニック・グループ(ethnic group)』と良く似た概念に、既存の社会的価値観や行為規範に反抗するアウトサイダー(outsider)としての『カウンターカルチャー・グループ(counter-culture group)』や政治的なマジョリティ(majority, 多数派)に抑圧されやすい『マイノリティ・グループ(minority group)』がある。

しかし、異文化集団としてのエスニック・グループと、反社会的な文化潮流や既成社会を批判する政治活動を含むカウンターカルチャー・グループは同一ではないし、エスニック・グループは、政治的意志決定において不当な待遇や差別を受けやすいマイノリティと完全に同じ社会集団ではないことがある。もちろん、エスニック・グループは、所属社会における中心的な文化とは異なる独自の文化・伝統・宗教・慣習を持っている集団なので、政治的なマイノリティになりやすいという特徴を持っていることも事実である。

しかし、エスニック・グループ(異文化集団)は、必ずしも政治的な圧制や経済的な不遇に晒されているわけではないので、数の上では絶えずマイノリティだが、政治決定で不遇や抑圧を受けるマイノリティでないことも少なくない。特に、日本やアメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの人権意識の高い先進国では、異なる文化習俗を持つマイノリティとしてのエスニック・グループを政治的に差別したり不当に弾圧することは、倫理的に許されないことであるという判断が強くなっている。

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ラベル:社会心理学 政治
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[A.L.エドワーズのSD値(Social Desirability, 社会的望ましさ)を排除したEPPS(Edwards Personal Preference Schedule)]

A.L.エドワーズのSD値(Social Desirability, 社会的望ましさ)を排除したEPPS(Edwards Personal Preference Schedule)

被検者の精神病理や性格傾向、心理状態を査定する心理検査(心理テスト)には、与えられた選択式の質問項目に回答していく『質問紙法(Questionnaire)』とロールシャッハ・テストやTAT(主題統覚検査)、バウム・テストのような無意識領域の心理内容を投影する『投影法(投映法, projective method)』とがある。

専門的知見と臨床経験に基づいて検査結果を解釈する『投影法』の心理テストは、絵画や図形、インクのしみに対する自分の回答がどういった意味を持っているのかがクライエントには分からないことが多いので、A.L.エドワーズ(A.L.Edwards)のいう『SD(Social Desirability, 社会的望ましさ)』の影響を受ける度合いが弱い。反対に、一般的な質問項目に選択方式で答えていく『質問紙法』では、自分の『はい・いいえ』の選択や『五段階評定』での選択がどういった心理テストの結果に結びつくのかを推測しやすいので、社会の一般的な価値観や道徳規範に従う『社会的望ましさ(SD)』の影響を受けやすくなる。

例えば、『知らない人と話をする時には、酷く緊張して手や腋に大量の汗をかく』などの質問項目に『はい』と答えることは、内向的な性格傾向や社会不安障害(対人恐怖症)の精神疾患の結果に結びつきやすいと推測できるし、『気分が塞ぎこんで何をしても楽しくない』という質問項目に『いいえ』と答えることは、うつ病の可能性を排除して楽観的な性格や明るい気持ちの判定を得やすいと考えることが出来る。その為、『精神機能に関連する病気であることは望ましくない』という社会的望ましさ(SD)やある種の社会的な偏見の影響を受けている人ほど、精神疾患の可能性を排除する『自分の健康性をアピールする回答』を選んでしまうことがあるのである。

『社会的望ましさ(SD)』の影響というのは、既存の社会制度における価値観や常識的な倫理観に適合した回答を無意識的にしてしまうという影響である。例えば、『私は他人が苦しんでいても、積極的には助けようとは思わない』という質問に対して『はい』と答えれば、社会通念的な倫理観に違背する冷淡で無慈悲な人間であることを認めることになってしまう。そこで本当は苦しんでいる人を助ける意志や共感的な感性がなくても、社会的望ましさの影響を受けて、無意識的に『いいえ』という回答を選んでしまうことがある。

それ以外にも、明るく温厚で社交的な人間という『社会的望ましさ』に合わせて、本当は人間関係が苦手で他人とコミュニケーションすることが苦痛なのに、『大勢の人と一緒にパーティや食事をすることは楽しい』『知らない人と新たに知り合えるような機会を積極的に求めている』と答えることで、自分の外向的な性格傾向を無意識的にアピールすることなどがある。『社会的望ましさの影響』とは、詰まるところ、『社会の大多数の意見や価値観にある程度従うことで、異常性や病理性を指摘されたくないという心理』に根ざしているといえる。

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2006年09月21日

[統計学と標準偏差(SD:Standard Deviation)・偏差値(SS:Standard Score)]

統計学と標準偏差(SD:Standard Deviation)・偏差値(SS:Standard Score)

統計学には、母集団のデータ(標本:サンプル)のばらつきを示す指標として『標準偏差(SD:Standard Deviation)』があり、標準偏差は『分散の正の平方根』で求めることが出来る。通常、統計学的に母集団のデータを集めてその特徴を探るときには、代表値と散布度(データのばらつき)によって探ることが多い。

『分散(variance)』とは、各サンプルと平均値の差を計算してその値を2乗した数の総和(Σ)を、サンプルの数で割った値のことである。サンプルと平均値の差のことを『偏差(Deviation)』という。

分散(V:variance)というのはデータのちらばり具合を平均化した数値といえ、標準偏差(SD:Standard Deviation)の値を2乗すると分散になる。学校で生徒に対して実施される標準学力検査では、点数の分布は平均点の周辺に人数が多くなり、平均点から離れて100点と0点に近づくほどその人数が少なくなる。

サンプルの数値と平均値の数値の差である偏差を2乗して、各偏差の総和(Σ)を求めたものを『偏差平方和』あるいは『変動』と呼ぶ。分散とは、変動をサンプル数で割ったものでもある。

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[新行動主義者C.L.ハルのS-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)][ゲシュタルト心理学とS-S理論(Sign-Significate Theory)]

新行動主義のC.L.ハルのS-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)

『行動主義心理学のS-R理論』の記事では、J.B.ワトソンのS-R理論(Stimulus-Response Theory)を元に外部世界の刺激(S:Stimulus)に対する反応(R:Response)の連合(結合)として、人間の行動形成機序(行動メカニズム)を理解した。環境要因の影響を過度に重視して、『外部刺激に対する条件反射の束』であるS-R連合で人間の行動を理解しようとするワトソンの行動主義は、行き過ぎた『環境決定論』として批判されることがある。

ワトソンの行動主義が想定した環境決定論的な行動機序(行動メカニズム)では、学習心理学が考える学習(learning)の効果や先天的要因(遺伝・気質・知能)による能力の差異などを適切に説明することが難しい。そこで新行動主義(neo-behaviourism)の心理学者であるC.L.ハル(C.L.Hull, 1884-1952)は、1943年の『行動の原理』においてS-R理論を改良したS-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)を提唱したのである。S-R理論に、『O(Organism, 有機体)』の仮説構成的概念を加えることで、学習効果の個人差や同一刺激に対する反応の個体差について、合理的な説明を与えることが出来るようになった。

S-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)において、刺激(S)と反応(R)の間に入れられるO(Organism, 有機体)とは、刺激・強化などの独立変数や反応の従属変数に影響を与える『媒介変数』のことである。O(Organism, 有機体)とは、人間・動物など生物個体に特有の内的要因であり、器質的要因や遺伝的要因、性格要因などを含むものと考えると分かりやすい。C.L.ハルは、有機体の内的要因(認知要因)であるO(Organism)の論理的構成概念を新行動主義に持ち込むことで、何故、同一の刺激や状況において個体は異なる反応を取ることがあるのかという疑問に回答を与えることが出来た。

ハルの提示したS-O-R理論(Stimulus-Organism-Response Theory)は、人間の行動の生起と変化を統合的に説明できるという意味で、一般法則としての完成度は高いが、同時にO(Organism)という汎用性の高い仮説的説明概念には科学的な客観性がないという問題が指摘される。急進的行動主義(徹底的行動主義, radical behaviourism)に分類されるB.F.スキナー(B.F.Skinner, 1904-1990)は、実証主義や操作主義を前提とする自然科学としての行動主義(行動科学)を志向したので、ハルの反証可能性に乏しい仮説演繹的な理論構築に対して批判的であったとされる。

学術研究活動における『操作主義』とは一般的に、観察された現象や事物を、『科学的な諸概念』に当て嵌めて一般理論化しようとする操作的な研究態度を指す。あるいは、実際的な観察・調査・測定の操作を通して、科学的概念を定義するという意味でも操作主義という用語が用いられる。操作主義は、ブリッジマン(Percy Williams Bridgman, 1882-1961)という物理学者によって提起された概念である。操作主義的な研究態度を取ることによって、『無秩序で曖昧な事象』『科学的概念の一つ』として分類整理することが出来るのである。

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ラベル:心理学 研究
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[行動主義心理学(行動科学)のS-R理論(Stimulus-Response Theory)][行動科学のパヴロフ, ワトソン, ハル, スキナーの系譜]

行動主義心理学(行動科学)のS-R理論(Stimulus-Response Theory)

19世紀までの構成主義心理学や精神分析、意識研究の哲学は、自分の心的過程や心理内容を内省的に観察する『内観法(introspective method)』や臨床経験に基づく精神病理の理解という『臨床法(clinical method)』で研究が進められていたが、観察可能な行動の生起・変化を研究対象とする行動主義心理学の登場は、心理学の研究方法にコペルニクス的転換をもたらした。行動科学とも呼ばれる行動主義心理学は、内面的な思考や感情、動機、意図などを研究対象とせずに、外部世界の環境条件の変化や刺激(stimulus)に対する反応(response)としての『行動(behaviour)』を研究対象とした。

この刺激(S:Stimulus)に対する反応(R:Response)として行動を理解する理論を『S-R理論(Stimulus-Response Theory)』といい、古典的条件付けやオペラント条件付けで特定の刺激に続いて特定の反応(行動)が生起することを『S-R結合(S-R連合)』と呼ぶこともある。

行動主義心理学の研究者は、『内観法(introspective method)』では人間の行動メカニズムを解き明かすことが出来ないと考え、環境条件を統制した『実験法(experimental method)』や行動の生起過程を客観的に観察・記録する『観察法(observational method)』によって行動メカニズムの研究を進めることとなった。簡潔にまとめると、行動主義心理学の誕生は、主観的判断が大きく影響する思弁的な『哲学的心理学』から、客観的観察によって行動を記述・整理する『科学的心理学』への変遷を意味していると言える。

行動科学は、物理学や化学のような自然科学の研究計画や研究方法をモデルとしているので、究極的には、実験事例や観察事例を積み重ねて帰納法的に、『人間行動の形成機序の解明と行動原理の一般法則化』を目指すことになるが、現時点では、単純な古典的条件付けによる条件反射やオペラント的な行動の強化(reinforcement)を除いてその試みは成功したとは言い難い。

行動主義に理論的基盤を与えたのは、犬の唾液反射を用いた生理学的実験によって『条件反射(conditioned response)』の行動原理を発見したロシア(旧ソ連)の生理学者I.P.パヴロフ(Ivan Petrovich Pavlov, 1849-1936)である。パヴロフは、消化腺の研究の業績などによって、1904年にノーベル生理学・医学賞を受賞するが、パヴロフ自身は自分を行動主義心理学者であるとアイデンティファイしていたわけではなく、パヴロフは飽くまで一人の研究医であり生理学者であった。

『パヴロフの犬』の名前で知られる唾液分泌の条件反射実験は、見せると生理学的反射で必ず唾液を分泌する無条件刺激(UCS:UnConditioned Stimulus)である『餌』の後に、何度も繰り返し中性刺激である『ベルの音』を犬に聞かせ、ベルの音だけで唾液を分泌するように条件付けたものである。この生理学的反応を利用した条件付けを『古典的条件付け(レスポンデント条件付け)』といい、中性刺激のベルの音によって唾液分泌するようになると、そのベルの音が『条件刺激(conditioned stimulus)』となり、唾液分泌が『条件反射(conditioned response)』として起こるようになる。

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ラベル:心理学
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2006年09月17日

[フロイトの自我構造論におけるエス(es)・自我(ego)・超自我(superego)]

フロイトの自我構造論におけるエス(es)

シグムンド・フロイトは、前期の精神構造論で人間の精神領域を『意識(conscious)・前意識(pre-conscious)・無意識(unconscious)』に分類したが、後期の精神機能に基づく自我構造論では『エス(es)・自我(ego)・超自我(superego)』の3つの心的装置を仮定した。

意識(conscious)とは、今、自分が意識化可能な思考・感情・記憶が存在する精神領域のことである。前意識(pre-conscious)とは、意識して思い出そうと努力すれば思い出すことが出来る記憶や欲求が存在する領域のことである。無意識(unconscious)とは、人間の意図的な想起や努力では思い出すことが不可能な記憶・感情・欲求が存在する領域で、自分が受け容れたくない性的欲求や不快な過去のトラウマが抑圧される場所でもある。無意識の領域には、心的エネルギーとエロス(生の欲望)の源泉であるリビドー(libido)が横溢しているが、性的欲動(drive)と訳されることの多いリビドーは神経学的緊張として体験され、フロイトによって生理学的な基盤を持つものと仮定された。

後期の自我構造論は、リビドーの発達論(性的精神発達論)を前提としていて、生まれて間もない口唇期(口愛期:0歳〜1歳半)の赤ちゃんには、本能的欲求をひたすら充足させようとする『エス(es)』の精神機能しか存在していない。心身が成長するにつれて段階的に『自我(ego)』の現実適応的な精神機能が発達してくるが、自分の生活動作(身辺整理)を行う自律性を獲得する肛門期(1歳半〜3,4歳頃)では、まだ十分な自我が形成されていない。

自己と他者を区別する自我の精神機能が発達し、善悪の判断基準となる倫理観としての『超自我(superego)』が形成されるのは、男根期(4〜6歳頃)のエディプス・コンプレックスを経験して後のことになる。

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ラベル:心理療法
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[エコロジカル・アプローチ(ecological approach)とエルンスト・ヘッケルの反復説]

エコロジカル・アプローチ(ecological approach)とエルンスト・ヘッケルの反復説

エコロジー(ecology)は、『自然環境保護の学問や思想』という通俗的な用語としても知られるが、学術的には『生態学(ecology)』の意味で用いられる。進化生物学を肯定するダーウィニストであったエルンスト・ヘッケル(Ernst Haeckel, 1834-1919)が1866年に提唱した生態学(ecology)とは、生体と環境との相互作用を調査研究する生物科学である。

カウンセリングや心理療法、ソーシャル・ワークなどの対人援助分野で、エコロジカル・アプローチを行う場合には、クライエントの個人要因(性格・気質・病理・人間関係・成育歴)に環境要因がどのような影響を与えているのかを分析して、クライエントの環境調整と対人関係の調整を積極的に推し進めていく。

エコロジカル・アプローチの根底には、人間の心理的問題や精神疾患が、個人要因と環境要因の相互作用によって形成されるという生態学的な人間観がある。つまり、人間の行動や人格を変容させる為には、クライエント本人の内面に共感的にアプローチするだけでなく、クライエントを取り巻く社会環境や家庭環境を改善するためにアプローチしていく必要があるのである。

チャールズ・ダーウィンの進化論を人口に膾炙するのに貢献した医師のエルンスト・ヘッケルは、人間の精神機能や心的過程を研究する心理学を広義の生理学・生物学の一分野として位置づけた哲学者としても知られる。進化生物学の発生学や解剖学の分野におけるヘッケルの功績として、『個体発生は、系統発生を繰り返す』というフレーズで有名な『反復説』があるが、この反復説は後の研究によって、科学的に完全に正しいとは言えないのではないかという批判がある。

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ラベル:心理療法
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[交流分析(transactional analysis)のエゴグラム(egogram)]

交流分析(transactional analysis)のエゴグラム(egogram)

アメリカの精神科医エリック・バーン(1910-1970)が開発した簡易型精神分析が、交流分析(TA:Transactional Analysis)である。デュセイ(J.M.Dusay)が考案した自己分析的な性格テストを『エゴグラム(egogram)』というが、エゴグラムはエリック・バーンの交流分析を応用して作成された簡易な性格テストのことである。

エゴグラム(egogram)では、エリック・バーンが定義した5つの自我状態のバランスと日常生活での働き方によって『個人の性格分析』を行っていくが、その結果は棒グラフや折れ線グラフによって分かりやすく図示されることが多い。自我状態とは『個人を特徴づける一貫性のある行動・認知・感情パターン』のことであり、5つの自我状態には『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・FC(自由な子ども)・AC(適応的な子ども)』の5つの行動パターンが想定されていて、質問紙法のテストを通してどの自我状態が強く働いていてどの自我状態が余り機能的に働いていないのかを見ていくのである。

エゴグラムで、CP(批判的な親, Critical Parent)が強く、NP(擁護的な親, Nurturing Parent)が弱ければ、厳格で規則正しい行動や価値観を示すが、他人への思いやりや優しさが不足しているという印象を与えやすくなる。CP(批判的な親)は、厳格な規範意識や支配的なリーダーシップ、権威主義的な存在感を感じさせる行動パターンで、これが強すぎると支配的で抑圧的なイメージを与えるが、これが弱すぎると自信の欠如や優柔不断を感じさせることになってしまう。

NP(擁護的な親)は、それと正反対の特徴を持つ自我状態であり、寛容な精神や情緒的な人間関係を重視する行動パターンであり、厳しさや規則正しさには欠けるが、他人への優しさや思いやりが強いので共感的な人間関係を築きやすいという特徴がある。CPは厳格な父性的な自我状態と言われることがあり、NPは温厚な母性的な自我状態と言われることがあるが、性別役割行動や性にまつわる社会規範が和らいでいる現代日本社会では、父性性と母性性を殊更に意識してエゴグラムを分析する必要はないかもしれない。

A(大人, Adult)とは、客観的な現実検討能力や功利的な現実適応能力と関係する自我状態で、Aがある程度強くないと現実社会の環境や複雑な人間関係に適応することが難しくなる。冷静かつ的確に、自分の利益や立場を考えた判断を下すために必要な精神機能が、A(大人)の自我状態なのである。また、Aは人格特性や精神機能全体のバランスを維持する働きもしていて、CP(批判的な親)とNP(擁護的な親)の対立やFC(自由な子ども)とAC(適応的な子ども)の葛藤を調停する役割も果たしている。

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ラベル:心理テスト
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[AQ(Achievement Quotient, 学力達成指数)と知能決定論の誤謬]

AQ(Achievement Quotient, 学力達成指数)と知能決定論の誤謬

知能指数(IQ, Intelligence Quotient)という概念を1916年に知能検査に持ち込んだのは、「スタンフォード・ビネー式知能検査」を開発したスタンフォード大学のL.M.ターマンである。知能指数(IQ)という概念そのものは、ドイツの心理学者ウィリアム・シュテルンが考案したものであり、『精神年齢(MA)/生活年齢(CA)×100』という公式によって算定される。

精神年齢(Mental Age, MA)という知能検査で最も重要な概念は、フランスの心理学者アルフレッド・ビネー(Alfred Binet, 1857-1911)とその友人の医師テオドール・シモンが考案したもので、『正答できた知的課題の難易度』によって、知能面の精神年齢を導き出すものである。その発達年齢の子どもの大半が正しく回答できる課題を準備して、知能面の相対的な精神年齢を計算しようとするのが、ビネー式知能検査である。精神年齢10歳といえば、生活年齢(実際の年齢)10歳の子どもの大半が正答できる問題を解くことができる知能水準であることを意味する。

知能指数とは、精神年齢(MA)を生活年齢(実年齢, CA)で割って100倍したものであるから、知能の発達水準が生活年齢にふさわしいものであれば、知能指数は平均値の100に近くなる。生活年齢と比較して知的発達水準が相対的に高ければ、知能指数は100よりも大きくなり、生活年齢よりも精神年齢(知的発達)が低ければ、知能指数は100よりも小さくなる。知能指数の分布は、平均値100を頂点とする正規分布を描くことになり、100から隔たれば隔たるほどその出現頻度が減ってくる。

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ラベル:心理学
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2006年09月11日

[クルト・レヴィンのAグループ(action group)とアクション・リサーチ(action research)]

クルト・レヴィンのAグループ(action group)とアクション・リサーチ(action research)

ゲシュタルト心理学やグループ・ダイナミクスの先駆的研究者として知られるクルト・レヴィン(Kurt Lewin, 1890-1947)は、アクション・リサーチ(action research)という客観的なデータやフィールド・ワーク(実地調査)に基づく科学的研究方法を提唱した。環境条件を統制して行われる実験研究から得られる「客観的データ」と現実の状況を観察するために行う「フィールド・ワーク(実地調査)」とを組み合わせて、問題解決的で実効性のある科学的研究を行うところにアクション・リサーチの特徴がある。

アクション・リサーチは、社会問題の解決や企業組織の対人関係の改善、集団力学(グループ・ダイナミックス)の解明などを目的にして行われる実践的な研究方法であり、仮説理論を構築して、実践的な活動へと応用していくものである。企業の目標達成や人員の能力開発、集団状況の改善、対人関係の改革などの具体的な問題に対して、有効な対処や解決を提示できる「実践的な理論の構築」が産業分野や学校教育、医療・カウンセリング分野では期待されているので、アクション・リサーチのような研究方法が参考となる。

アクション・リサーチは、グループ・ダイナミックスの知見や方法論を応用した社会工学の分野でも用いられる研究法だが、その場合には、集団行動の力学的な制御やマクロな社会問題の解決がダイレクトに目標とされることになる。アクション・リサーチでは、対象や状況を分析して「仮説」を立て、仮説に従って実際に「行動」し、その行動の有効性や仮説の正当性を「検証」し、問題や間違いがあれば「修正」して、類似の社会問題にも「適用」してみるという段階を踏んで研究が行われる。

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ラベル:研究 心理学
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[AAトレーニング(autogenic abreaction training)と自律訓練法:2]

AAトレーニング(autogenic abreaction training)と自律訓練法:2

自律訓練法は、精神運動抑制の抑うつ状態や無気力、気分の落ち込みに対しても、重度でなければある程度の改善効果が見られることがある。また、精神的に落ち着かずにイライラしている人、強い精神的ストレスによって「胃潰瘍・十二指腸潰瘍・蕁麻疹・頭痛・腹痛・吐き気・めまい・パニック発作」などの心身症の症状に苦しんでいる人にも、自律訓練法が良い作用をもたらすことが少なくない。

前述したように、自律訓練法は「背景公式+6つの基本公式」の習得によって、自己催眠に特有な心理状態である「自律性状態」を作り上げて治療効果や疲労回復効果を得ようとするものである。

自律性心理状態を得る為には、まず「受動的注意集中」の感覚を身につけなければならない。「受動的注意集中」とは、意識的に身体や内面に注意を向ける「能動的注意集中」と反対の意識の集中法であり、何となくぼんやりとした心理状態で身体や内面に意識を向ける方法である。受動的注意集中を行っている間は、自我の覚醒水準が低下して、何となく眠たいような霞がかった意識状態になることがある。

自律訓練法は、軽く目を閉じたリラックスした状態で行い、以下の背景公式と6つの基本公式を心の中で静かに繰り返し唱えることで自己催眠へと誘導していく。創始者であるシュルツは、自律訓練法が有効に機能する「自律性状態」を確立する為には、「四肢重感練習」「四肢温感練習」のしっかりとした体得が重要だと考えた。何故なら、自律訓練法の作用機序の根幹は、「言語的暗示の具体的内容」ではなく「言語的暗示による心身の弛緩(リラクセーション)」にあるからである。

背景公式(基本的なリラックスの練習)……「気持ちがとても落ち着いている」

第1公式(四肢重感練習)……「両腕・両脚が重たい」

第2公式(四肢温感練習)……「両腕・両脚が温かい」

第3公式(心臓調整練習)……「心臓が静かに規則正しく(自然に)打っている」

第4公式(呼吸調整練習)……「楽に(自然に)呼吸している。呼吸が楽だ」

第5公式(腹部温感練習)……「お腹が温かい」

第6公式(額部涼感練習)……「額が(心地良く)涼しい」

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ラベル:心理療法
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2006年09月10日

[AAトレーニング(autogenic abreaction training)と自律訓練法:1]

AAトレーニング(autogenic abreaction training)と自律訓練法:1

ドイツの精神科医シュルツ(J.H.Shultz, 1884-1970)が開発した自律訓練法(autogenic training:AT)は、筋肉と精神を弛緩させる自己暗示を応用したリラクセーション技法の一つである。催眠療法の歴史的系譜に位置づけられる自律訓練法では、身体と精神のセルフコントロールを実現する為の「6つの基本公式の習得」を段階的に行っていくという特徴がある。

シュルツの自律訓練法の自己催眠的な技法は、催眠療法の研究家O.フォクト(O.Vogt, 1870-1959)が提唱した「予防的休息法」の影響を強く受けていると言われる。シュルツもフォクトも、19世紀において主流だった催眠療法家がクライエントを催眠誘導する「他者催眠」を採用せずに、クライエント自身が自分の言葉や意識の向け方の変化で自分に暗示を掛ける「自己催眠」を採用した。

他者催眠と比較した場合に、自己催眠的な技法の優れているところは、「いつでもどこでも気軽にリラクセーションの暗示を掛けられること」「他人(専門家)に操作され支配されているという意識を持たないで済むこと」である。他人から誘導されるのではなく、主体的に自分の心理状態や身体の調子を自己暗示を用いてセルフコントロールすることが、自律訓練法やAAトレーニングの最大の目的なのである。

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ラベル:心理療法
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2006年09月09日

[HTPテスト(House-Tree-Person Test, 家屋‐樹木‐人物画法テスト)と投影法(描画法)]

HTPテスト(House-Tree-Person Test, 家屋‐樹木‐人物画法テスト)と投影法

J.N.バック(J.N.Buck)によって、1948年に考案された投影法(projective method)の人格検査(personality test)が「HTPテスト(House-Tree-Person Test, 家屋‐樹木‐人物画法テスト)」である。

クライエントの心理状態や精神病理の有無、生活状況、性格傾向などについての概略を知る為に実施する心理アセスメント(心理査定)では、心理検査(心理テスト)が行われることが多い。心理テストには、知能検査と人格検査(性格検査)の二つがあるが、人格検査を実施する方法として、質問項目に答えていく「質問紙法(Questionnaire)」と無意識領域の欲求や記憶を探求しようとする「投影法(projective method)」とがある。

HTPテスト以外の最も有名な投影法には、スイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハ(Hermann Rorschach, 1884-1922)が開発したロールシャッハ・テストがある。ロールシャッハ・テストでは、多義的な解釈が成り立つ左右対称の曖昧なインクのしみの図版10枚を、被検者に見せていく。その曖昧なインクのしみの図形が何に見えるのかを質問して、被験者の反応や回答によって、無意識領域の心理状態や病理水準、人格特性を測定しようとするものである。

J.N.バックが開発したHTPテスト(House-Tree-Person Test, 家屋‐樹木‐人物画法テスト)は、描画法による投影法の人格検査(パーソナリティ・テスト)であり、被検者に「家屋(house)」「樹木(tree)」「人物(person)」の鉛筆画や色彩画を別々の画用紙に書かせて、無意識領域の感情や願望、葛藤を解釈しようとするものである。

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ラベル:心理テスト
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[栄養カウンセリング(nutritional counseling)が要請される食文化の欧米化と外食化]

栄養カウンセリング(nutritional counseling)が要請される食文化の欧米化と外食化

かつて、米に魚、味噌汁、漬物といった和食中心だった日本でも、ここ20年ほどで急速に食の欧米化やファストフード化が進み、栄養バランスの偏りが大きくなっている。糖質や脂質、タンパク質の過剰摂取による糖尿病や高血圧、肥満、心疾患などの生活習慣病(旧・成人病)の発症リスクが急激に高くなっているのである。最近良く言われている生活習慣病として、内臓脂肪が蓄積して心疾患や血管障害、糖尿病のリスクファクターとなる「メタボリック・シンドローム」がある。

それらの生活習慣病を予防する為には、食事療法や運動療法などの工夫が必要であり、現在では、10代や20代の青少年層を含めて生活習慣病予備軍の人口が増えていると言われる。現代社会のライフスタイルや外食文化の隆盛を考えると、和食中心の伝統的な食文化を取り戻すことは難しいが、肉食や揚物、甘いおやつを減らして、主食の米(パン)に、魚介類や野菜を中心としたおかずを作り、豆類や食物繊維を多く摂ることが望ましい。栄養学的見地からの理想的な食事メニューとしては、「1日に30種類以上の食品(食材)」を摂取することが推奨されている。

食事によって摂取される栄養素(糖質・ビタミン・ミネラル)は、人間の精神機能(高次脳機能:思考・認知・感情・判断・創造・想像)を司る脳の組織の生理学的作用にも影響を与える。その為、食生活と精神の健康(メンタルヘルス)との間には深い相関関係があると考えられ、昨今では、栄養学的知見をうつ病や各種の不安障害、認知症(痴呆)のカウンセリング(心理療法)に取り入れようという動きがある。

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ラベル:心理療法 健康
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[生命活動を維持する栄養(nutrition)と生活習慣病の予防]

生命活動を維持する栄養(nutrition)と生活習慣病の予防

栄養(nutrition)とは、生物の生命維持活動に必要不可欠な物質のことで、通常、外部の有機物(動物・植物)を食料として摂取することで栄養を取り入れている。人間の生命と身体は、外部の食物の摂取と栄養の代謝(栄養成分の合成・吸収・老廃物の排泄)によって維持されている。

人間は、穀物・肉・魚・野菜などの食物から栄養素を取り入れて、身体の構成成分を合成し、身体や器官の運動に必要なエネルギー(ATP, アデノシン三リン酸)を生み出しているのである。

ATP合成酵素による酸化的リン酸化、光リン酸化によって合成されるATP(Adenosine TriPhosphate, アデノシン三リン酸)は、原核生物を除く真核生物全般に共通するエネルギー源である。具体的には、アクチンとミオシンが収縮する筋収縮、グルコースがリン酸化される解糖系、イオンポンプの能動輸送、クエン酸回路による生合成などで、人間のエネルギー源(動力源)であるATPが使用されることになる。

人間の身体と精神の健康を維持していく為に必要な「五大栄養素」には、「タンパク質・糖質(炭水化物)・脂質・ビタミン・ミネラル」がある。肉や魚にタンパク質が多く含まれ、砂糖やお米、果物などに糖質が多く含まれている。脂肪には、植物性脂肪と動物性脂肪とがある。ビタミンは各種の野菜や果物に含まれており、ミネラルは海産物や食塩、鉱物などに含有されている。

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ラベル:健康 医学
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2006年09月08日

[AEスケールと来談者中心療法][AAMFT(American Association for Marriage and Family Therapy, アメリカ夫婦家族療法学会)]

AEスケール(accurate empathy scale)と来談者中心療法(client centered therapy)

AEスケール(accurate empathy scale)とは、来談者中心療法(クライエント中心療法)のカール・ロジャーズ(C.R.Rogers)の流れを汲むトゥルアックス(C.B.Truax)によって開発された『正確(accurate)な共感性』を査定する為の尺度である。カール・ロジャーズは、精神医学モデルに基づく指示的な面接技法やフロイトを始祖とする権威的な精神分析療法ではない『新たなカウンセリング』の開発に尽力した人物である。

カウンセリングという用語の誕生は1931年であり、ロジャーズのカウンセリング技法の登場よりも古い。しかし、ロジャーズ以前のカウンセリングは医学的診断と治療を行える医師の専売特許であり、ロジャーズが非医師のカウンセラー(心理学者)による共感的な対話を中心としたカウンセリングを創始した功績は大きい。

『受容的・共感的・非指示的な心理面接技法』としてのカール・ロジャーズの来談者中心療法は、重症度の高い精神疾患の治療には余り適応が良くないことが分かったが、職業指導面接(産業カウンセリング)や学校カウンセリング、家庭問題を対象とした家族療法、スポーツ選手のメンタル相談など広汎な心理相談分野に応用されることになる。

カール・ロジャーズの理論体系と調査研究は、共感的理解に根ざしたヒューマニスティック(人間主義的)なカウンセリングを継承したトゥルアックスだけでなく、マイクロカウンセリングを創始したアレン・E・アイビー(Allen. E. Ivey)やヘルピングの心理学を提唱したロバート・R・カーカフ(R.R.Carkhuff)にも非常に大きな影響を与えた。

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ラベル:心理療法
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