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2006年10月03日

[学校カウンセリング(school counseling)事業とSPS(Student Personnel Services:学生の全人的発達援助)]

学校カウンセリング(school counseling)とSPS(Student Personnel Services:学生の全人的発達援助)

青年期のモラトリアム期にある青年たちは、『環境(社会・時代・集団・他者)』から提示される『役割・価値・職業・権威』の中から、自分の価値観や能力、希望に即した『社会的同一性(社会的アイデンティティ)』を主体的に選択しなければならないが、このアイデンティティ獲得の選択に深刻な困難をきたすとひきこもりやニートといった問題が発生してくると考えられる。

現代社会が抱える若者の精神的問題には、非行・暴力・少年犯罪といった『反社会的問題行動』があるが、それと同様に、ひきこもり・ニート(NEET)・社会不安障害(対人恐怖症)といった『非社会的問題行動』の改善(予防・解決)が、SPSやスクールカウンセリング、心理療法に期待されるようになっている。

文部科学省は平成13年から18年にかけての6年間、全国すべての公立中学校にスクールカウンセラーを派遣して、生徒の心身の全人的発達と健全な人格形成を促進する『スクールカウンセリング事業』を実施した。スクールカウンセリング事業では、生徒・教師・保護者・スクールカウンセラーが相互に影響を与え合う『学校教育システム』の中で、学校カウンセリング(school counseling)の各種のアプローチがどのような効果と成果を出せるのかの調査研究が行われた。

学校カウンセリングは、心理的な問題や友人関係の悩み、性格行動特性の偏りなどを抱える生徒の教育相談業務として一定の成果を発揮した。また、生徒の精神障害や発達障害、心の悩みに対するカウンセリングだけでなく、教師の職業上のストレスを低減させるストレス・マネージメントや人間関係を調整する助言を与えるコンサルテーションの分野でも、スクールカウンセラーのより一層の活躍と研鑽が期待されている。

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2006年08月21日

[家族療法のシステムズ・アプローチと『あれも・これも』思考]

家族療法のシステムズ・アプローチと『あれも・これも』思考

十人十色の家族という集合体(システム)を対象としてアプローチする心理療法を家族療法というが、家族療法では家族成員が相互に作用し合っているという家族システムを前提として効果的な介入と援助を行っていく。家族内の人間関係の葛藤や対立によって生じる心理的問題は、家族の誰が悪いというように単一の原因を特定することが難しく、家族成員のそれぞれが問題を継続させるような行動や発言を取っていることが多い。

ベルタランフィの『一般システム理論』で示されるように、複数の家族成員(要素)が集まって共同生活を営む家族は一つのシステムであり、全体性から生み出される種々の問題を個別的な要素へと還元することは出来ない。家族療法には家族評価を重視するボーエンや戦略学派のヘイリー、構造学派のミニューチンなど様々な学派が存在しているが、問題を抱えた家族を見る時には『全体(家族の問題)は部分(成員)の集合以上のもの』であるという見方を採用する。『部分が相互作用した結果として全体の問題が形成される』のだから、精神症状や問題行動を発現している家族成員はIP(Identified Patient, 患者と見なされた者)に過ぎないのである。

極端に食欲が無くなったり、突然異常な食欲を見せたりする摂食障害を発症した長女がいるとして、摂食障害になった原因はその長女一人だけにあるのではないという基本的な見方をするのが家族療法である。もちろん、家族システム外部の要因も無視することは出来ず、大切な恋人から裏切られた恋愛関係の挫折や性関係への不安に根ざす成熟拒否の心理、女性性を受け容れたくない感情などが摂食障害の背景にあることもあるが、ここでは家族療法の典型的なモデルを上げて説明する。

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posted by ESDV Words Labo at 14:59 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[老人介護の問題と介護保険に基づく要介護認定]

老人介護の問題と介護保険に基づく要介護認定

日本は急速な少子高齢化社会を迎えようとしており、国家財政的に公的年金制度や健康保険制度の継続維持が困難になる問題を抱えているだけでなく、生活習慣病などによる医療費増大や家族による老齢者の介護の問題が深刻化している。2006年現在で、65〜74歳の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者を合わせて約2,800万人以上の高齢者が生活しており、日本の総人口の20%以上を占めている。

高齢化社会の到来による『要介護者の増加』に対処するために介護保険制度が整備されたが、介護保険を利用する為には保健婦やケースワーカー(福祉士)の訪問調査を受け、更に二段階の要介護認定にパスしなければならず、介護の必要があってもなかなか簡単には介護サービスを受けられないという厳しい現状がある。時折ニュース報道される老人夫婦の介護疲れによる無理心中や老親の終わりのない介護に絶望した中高年の子の自殺などは、現在の介護保険制度の問題と国家の老人福祉予算の制限を直接的に示すものであると言えよう。

ホームヘルパーに介護を手伝ってもらうにしても1割は自己負担しなければならず、要介護認定のランクが低ければ介護給付の金額が少ない為に、老人擁護施設や専門の介護施設に預けるケアプランを立てることが難しい。要介護認定によって認定される要介護度には、要支援から要介護1〜5までのランクがあり、要支援の場合には食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立は出来ているが時折社会的な支援やケアが必要とされる。専門的援助の必要度や介護給付の金額は、要介護度1から5へと段階的に上がっていく。

要介護度4以上になると、食事・衣服着脱・トイレの身辺自立が全く出来なくなり、自分の排泄の意志を伝達することも困難な心身状態であり、全面的な介護及びケアを必要とする重篤な心身の障害を持っていると見なされる。各要介護度による心身状態の内容は以下の通りである。

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ラベル:老人医療
posted by ESDV Words Labo at 10:10 | TrackBack(2) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする