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2016年02月04日

[リゾーム(rhizome):ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』の現代思想]

リゾーム(rhizome):ドゥルーズとガタリの『千のプラトー』の現代思想

フランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze,1925-1995)と精神科医フェリックス・ガタリ(Pierre-Felix Guattari,1930-1992)の共著『千のプラトー』の比喩的な概念あるいは哲学用語として『リゾーム(rhizome)』がある。

ドゥルーズやガタリのポストモダンの現代思想は1980年代の日本の思想界でも流行して、浅田彰(あさだあきら)『構造と力』などの著作が書かれた。

『千のプラトー』の序論でジル・ドゥルーズが提唱したリゾーム(rhizome)は、単語の直接的な意味としては『地下茎・根状茎』であるが、上下関係や二項対立の特徴を持つ階層秩序の『ツリー状』と反対の意味を持つ概念として定義されている。リゾームとは不確定な状態にある諸要素が相互横断的に生成されている複座かつ自由な状態であり、階層秩序・予定調和を壊して不確定性を増している現代社会(資本主義)の現実を捉えた概念なのである。

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2015年05月13日

[離人神経症(depersonalization neurosis)]

離人神経症(depersonalization neurosis)

離人神経症(depersonalization neurosis)『離人症』と呼ばれることもあり、DSM-5(DSM-W-TR)のマニュアル診断では『解離性障害』の一種の離人性障害として分類されている。

“離人(depersonalization)”という病理概念は、S.フロイトの精神分析の精神病理学で研究されていた『現実感覚(リアリティの感覚)が薄まる+自我の意識水準が低下する精神症状』であり、思考・感情・記憶・自己確認といった自我の統合性が解体される“解離(dissociation)”とはややニュアンスが異なっている。

離人神経症における『離人』には、自分が自分から離れる(自分が自分ではないような感じがする)という意味合いと自分が世界から離れる(外界のリアリティが薄れてしまう)といった意味合いがある。自分の存在実感が薄れたり、外界や客観的現実のリアリティが弱まったり、自分の身体に関する自己所属感が失われたりする病的体験が『離人神経症(離人症)』の中核にはあるのである。

自分の精神が身体から分離しているような感覚というのが、身体についての自己所属感の喪失があるが、離人神経症では『自己(自我)・身体・外界(現実)との距離感』が一般の人よりも遠くなって、自分が現実の世界で生きているというリアリティや自分の身体や外界が確かに実在しているという現実感覚が薄まってしまうような症状が出てくる。

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2015年02月10日

[リエゾン精神医療(リエゾン精神医学)におけるスタッフ間の連携・協力]

リエゾン精神医療(リエゾン精神医学)におけるスタッフ間の連携・協力

精神医療に関連する専門家(スタッフ)が集まり、相互に各自が持つ専門的な知識・技術を活かして協力・連携しながら、患者の利益と改善のために総合的な医療(治療・ケア・支援・相談体制)を提供する精神医療のことを『リエゾン精神医療(リエゾン精神医学)』と呼んでいる。

リエゾン精神医療に参加して協力する精神医療の専門家(スタッフ)には、『医師(精神科医)・看護師・薬剤師・臨床心理士・理学療法士・作業療法士・臨床検査技師・精神保健福祉士・言語聴覚士・栄養士・保健師・事務員』などがいるが、これらの全てのスタッフが完全に揃っているのは大規模あるいは公的な精神病院などに限られる。

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ラベル:精神医学 医療
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2015年01月08日

[臨床心理士と精神科医との違い:J.S.コーチンとA.グッゲンビュールによる臨床家の人格構造・反応傾向の分類]

臨床心理士と精神科医との違い:J.S.コーチンとA.グッゲンビュールによる臨床家の人格構造・反応傾向の分類

精神科医も臨床心理士(心理臨床家)もその職業の究極的な目標は、『患者(クライエント)の改善・回復・利益』であり、相互に専門的な知識・能力・技法を活用して連携しながら、何とか患者(クライエント)のために役だとうとすること(少しでも現状の精神状態よりも良い状態、適応的な状態にしていきたいという目標)に務めている。

精神分析の技法・理論の文脈では、“権威的・画一的なイメージ”を持たれやすい精神科医よりも、“共感的・個性的なイメージ”を持たれやすい臨床心理士(心理臨床家)のほうが、クライエントから『転移(転移感情)』を向けられやすいとされている。

前田重治の『臨床心理士と精神科医の特徴』の差異と比較

この転移感情を向けている本来の対象(親)や心理的原因を分析していく技法として、精神分析の『転移分析』といったものも知られているが、『クライエントの投影・退行』の防衛機制を解釈していく役割は医師よりも臨床心理士に割り振られることが多い。その意味では、臨床心理士(心理臨床家)は、精神分析家ではなくても一定以上の『転移・逆転移の感情』についての知識・理解とそれらに対する適切な対処法を知っている必要があるだろう。

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2015年01月06日

[臨床心理学の研究・実践の特徴とクライエントを見る異常心理学:2]

臨床心理学の研究・実践の特徴とクライエントを見る異常心理学:2

臨床心理学の異常心理学(abnormal psychology)の特徴は、精神分析と同じく『心因(心理的原因)・心理社会的要因』に比重を置いているということであり、『生物学的な異常・生理学的な機能障害』という医学的診断モデル(本人の心理・言葉よりも客観的な検査結果や映像所見を重視するモデル)からはやや距離を置いているところがある。

臨床心理学の研究・実践の特徴と精神医学との差異:1

異常心理学や精神分析では、精神病理の発症・経過・転帰について科学的根拠に基づく生物学主義の見方よりも、『個人の生活史(エピソード)・精神構造モデル・ストレス要因・トラウマ要因』などのほうを重視していて、客観的に観察したり検査したりすることが難しい『心』をある程度柔軟かつ共感的に捉えようとする傾向が顕著である。

医学モデルの精神医学(精神病理学)では、検査結果に異常が見られなければ、それ以上の面接や治療方法の模索が行われることが殆どないし、小さな生活上の不安・緊張や対人関係のストレスなどの相談に真剣に乗ってくれることも期待しづらい。

だが、臨床心理学の心理療法では『検査結果の正常・異常』以上に『クライエント本人が悩んでいること・訴えていること』にできるだけ寄り添って傾聴しながら解決法を一緒に考えるという姿勢があり、クライエント本人が病気であるか否かという診断的基準が必ずしも全てではないのである。

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[臨床心理学の研究・実践の特徴と精神医学との差異:1]

臨床心理学の研究・実践の特徴と精神医学との差異:1

臨床心理学(clinical psychology)は、『生物学主義・診断主義・薬物療法』を中心とする精神医学(psychiatry)の精神病理学や心理面接法を参照しながらも、独自の歴史的・臨床的な発展を遂げてきた。

フロイトの創始した精神分析(力動的精神医学)も、病名診断や薬物療法を重視せず、言語的コミュニケーションによって患者の精神疾患を改善しようとするので、現在では臨床心理学の心理療法の一種と見なされることも多い。

フロイトの時代の精神分析家は精神科医であることが多かったので『精神分析医』という自己アイデンティティが成り立っていたが、20世紀末から21世紀にかけては医師免許を持たない臨床心理学者の精神分析家のほうが多くなっていて、精神科医が精神分析を行うケースは特に日本では殆どない。

基礎心理学では自然科学を模範とする実証主義的な研究法や実験に基づく仮説検証が行われてきたが、応用心理学の一部門である臨床心理学では『実験・観察』以上に『臨床的実践・心理テスト(心理アセスメント)・対人援助技術(ラポールの信頼関係)』が重視されてきた。

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2014年11月09日

[テオドール・リッツ(Theodore Lidz)]

テオドール・リッツ(Theodore Lidz)

テオドール・リッツ(Theodore Lidz, 1910-2001)は、アメリカ合衆国の精神科医・精神分析家で、統合失調症の家族歴の臨床研究で知られた人物である。英語の読みでセオドア・リッツと呼ばれることもあるが、古典的な統合失調症の病因論(心因論)では権威者として扱われることも多かった。

イェール大学医学部の精神科教授として働いていた時代に、初期の統合失調症の『家族歴・家族因』の研究を精力的に行っており、統合失調症の患者が生まれ育った家庭には特有の傾向や歪みが見られることが多いという仮説を提示した。

現在の統合失調症のエビデンスベースドな医学的研究では、統合失調症の発症・維持には『心理的要因(家族因・親の育て方)』よりも『遺伝的要因(生得的な原因))』のほうが強く相関している事が明らかになっている。そのため、テオドール・リッツの統合失調症の家族歴の研究論文が参照されることは精神医学の文献学研究以外では殆ど無くなっている。

テオドール・リッツが統合失調症患者を生み出す家族の特徴として上げたのは、『夫婦分裂・結婚の分裂(marital schism)』『夫婦歪曲・結婚の歪曲(marital skew)』の二つである。

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[ラルフ・リントン(Ralph Linton)]

ラルフ・リントン(Ralph Linton)

ラルフ・リントン(Ralph Linton,1893-1953)はアメリカの文化人類学者で、文明社会から離れた途上国のジャングルや僻地で未開人と接触してフィールドワークを行った文化人類学の草創期の研究者の一人とされている。

ラルフ・リントンの専攻ははじめ遺跡・化石・遺物などの時代性や文化的特徴を調査する考古学であったが、未開人とコミュニケーションするフィールドワークの魅力と価値に目覚めたことで文化人類学の分野へと関心を移していったとされる。

現代ではR.リントンの研究内容や著作の主張が振り返られる機会は少なくなっているが、20世紀前半に考古学や人類学、社会学をはじめとする『学際的で広範多岐な分野にわたる興味関心』を活かしてフィールドワーク(実地調査)や比較文化論の分析を精力的にこなしたという功績がある。

R.リントンは未開社会で生活する部族・個人に興味を持って調査を行い、『未開文明に生きる人間のパーソナリティーや行動基準』を解明することを目的にして、『未開部族の社会構造や権力関係、文化の発展プロセス』なども積極的に知ろうとしていた。

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2014年10月30日

[A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)2:催眠を巡るナンシー学派とサルペトリエール学派の対立]

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)2:催眠を巡るナンシー学派とサルペトリエール学派の対立

ジャン・マルタン・シャルコーはパリ大学病理解剖学教授で当時のヨーロッパの神経医学の最高権威の一人であり、1863年に多発性硬化症についての正確な症状学的記述を行い、1869年には筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状の記述を行っている。当時、筋萎縮性側索硬化症はシャルコーが発見して正確に観察・記述を行ったことから『シャルコー氏病』とも呼ばれていた。

シャルコーの弟子にはジル・ドゥラ・トゥレットやバビンスキーといった一流の神経医学者が名前を連ねており、現在にでも『ジル・ドゥラ・トゥレット症候群・バビンスキー反射』は医学的に有用な疾病・反射の概念になっている。

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)1:リエボーとベルネームのナンシー学派

J.M.シャルコーは、老年期医学の臨床的なテキストを書いたり脳・脊髄の局所診断学を進歩させたり、失語症の症候学的な研究を行ったりする業績を残しているが、催眠分野においてはフランス医学会に『催眠の客観的存在』を認めさせる一方で、催眠はヒステリー患者特有の心的現象で治療目的で行うべきではないという意見を述べた。

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[A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)1:リエボーとベルネームのナンシー学派]

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault)1:リエボーとベルネームのナンシー学派

A.A.リエボー(Ambroise Augste Liebault,1823-1904)は19世紀のフランスの催眠療法家であり、人間の意識を催眠状態に導く『催眠磁気(動物磁気)』というものを仮定して、『磁気術』という独自の暗示的な催眠を行っていた。

近代的催眠の起源はフランツ・アントン・メスメル(Franz Anton Mesmer 1734-1815)『メスメリズム(動物磁気説に基づいた催眠)』にあると言われるが、リエボーの師匠筋に当たるのはポルトガルの宗教家ファリア師である。ファリア師は言語的暗示を初めて実用化した人物とされ、催眠を解除した後にも暗示効果(アンカリング効果)が残存する『後催眠』の心理現象にも気づいていたという。

リエボーは公的な権威や地位に依拠したセラピストではなく、常に大衆の中にあって病気や悩みを緩和しようとした人物であり、治療代を支払う余裕のない貧しい人々には無償で催眠療法を施していたという。市井の人々の中にあってその病気や苦悩に寄り添いながら無料で治療を行っていたことから、『善良なリエボーおじさん』という渾名(あだな)が付けられたりもした。

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[M.E.リッチモンド(Mary Ellen Richmond)]

M.E.リッチモンド(Mary Ellen Richmond)

アメリカの女性ケースワーカーで社会福祉家のM.E.リッチモンド(Mary Ellen Richmond,1861-1928)は、アメリカの『フィランソロフィ(慈善活動)』の分野の発展に貢献した人物であり、慈善組織協会運動を主導する役割を果たした。社会福祉的な支援を必要とする社会的弱者・困窮者をどのようにして援助していくのかについて、具体的な過程論を展開しながらケースワーク(直接的援助法)の体系化を目指した。

個別の社会的弱者・困窮者の事例(ケース)に対処する支援方法として、19世紀〜20世紀初頭は、キリスト教の教会などが行う炊き出しや慈善活動(ボランティア)が中心であったが、M.E.リッチモンドは『アマチュアのボランティア』から『プロフェッショナル(専門職)のケースワーク』へと技術的・効果的な変化を起こそうとしていた。

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2014年10月27日

[レンシス・リッカート(Rensis Likert)とマネジメント・システム論の4類型]

レンシス・リッカート(Rensis Likert)とマネジメント・システム論の4類型

アメリカの経営学者・行動科学者のレンシス・リッカート(Rensis Likert,1903-1981)は、アメリカのミシガン大学教授として働きながら、社会調査研究所所長としても『企業で働く管理者のリーダーシップと労働者の勤労意欲と業績・成果との相関関係』について実証的研究を精力的に行った。企業に代表される経営組織の活動を『原因・媒介・結果』の3つの変数で分析したレンシス・リッカートの研究は『ミシガン研究』とも呼ばれている。

R.リッカートは企業・経営組織を構成員が相互作用しながら活動する一つのシステムとして定義し、経営者(管理者)のリーダーシップが関係した経営組織のシステム的管理方式の4類型を『マネジメント・システム論』としてまとめた。リッカートの経営システム理論の特徴は、リーダーの影響力と構成員(メンバー)同士の相互作用によって『動機づけ』が高まったり低くなったりすることを実証的な調査を元にして立証したところにある。

経営組織のシステム的管理方式の4類型(4つのタイプ)は、『システム1:権威主義・専制主義型』『システム2:温情主義・専制主義型』『システム3:参画協調型』『システム4:民主主義型』であるが、リッカートはこの4つの管理システムの中で最も高いパフォーマンス(成果)を上げられるのはシステム4の民主主義型だとした。

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2014年03月20日

[リレーションシップ・インベントリー(relationship inventory)]

リレーションシップ・インベントリー(relationship inventory)

カウンセリング(心理療法)の効果を実感するためには、カウンセラー(心理臨床家)とクライエントとの間の相互的な信頼関係や感情交流としての『ラポール(rapport)』が必要とされる。カウンセリングにおけるラポールの必要性と有効性を強調したのが、クライエント中心療法(来談者中心療法)を開発したカール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers, 1902-1987)であるが、このラポールをどのように測定して確認することができるのかは長年の心理学的課題でもあった。

アメリカの心理学者G.T.バレット=レンナード(G.T.Barrett-Lennard)が開発したリレーションシップ・インベントリー(relationship inventory)は、上記したラポールを含むカウンセラーとクライエントの治療的関係性を測定するための心理テスト(質問紙法の心理評価尺度)である。リレーションシップ・インベントリーは簡潔に『関係目録』と翻訳されることもあるが、クライエントの心理的問題や行動様式、パーソナリティ(人格形成)に影響を及ぼす治療関係の影響を理解しようとする質問紙法の心理テストである。

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2014年03月07日

[交流分析のリペアレンティング(re-parenting)]

交流分析のリペアレンティング(re-parenting)

交流分析(TA:Transactional Analysis)のカセキセス派が、幼少期の親子関係に問題やトラウマを抱えているクライエントのために実施した技法が『リペアレンティング(re-parenting)』である。

リペアレンティングを直接的に考案したのは、小児統合失調症の治療法を研究していた精神科医のジャッキー・シフ(Jacqui Schiff)であるが、現在では小児期の統合失調症が診断される症例が殆どなくなっており、リペアレンティングの技法が統合失調症の改善に役立つというエビデンスも積み立てられていない。

リペアレンティングは『再育児法・育てなおし技法』とも呼ばれるように、カウンセラー(心理療法家)が『クライエントの親代わりの役割』を献身的に果たすことによって、『幼少期に受けたトラウマ(心的外傷)・幼少期に学習してしまった間違った適応方略や行動パターン』が改善されていくというものである。

カウンセラーがクライエントの親代わりの役割を果たすというのは、精神分析や一般的なカウンセリングの『禁欲原則』に違背しており、『カウンセラーとクライエントの境界線(適切な距離感)』を崩してしまう副作用(幼児退行の促進・依存性の強化など)が大きいとして非難されることもある。だが、カウンセラーが本当にクライエントの人生の責任の一部を肩代わりするほどの覚悟・責任感があるのであれば、効果そのものはかなりあると考えられている。

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[カウンセリング(心理療法)のリファー(refer)]

カウンセリング(心理療法)のリファー(refer)

クライエントに対してカウンセリングや心理療法を実施している心理臨床家(カウンセラー)が、『自分の能力・知識・技術・専門分野』では十分に対応することができずクライエントの問題解決(精神状態の改善)を促進しづらいと判断した時に行うのが『リファー(refer)』である。

リファーというのは、自分以外の他の心理専門家(心理療法家)や精神科医、法律の専門家(弁護士)、福祉の専門家(ケースワーカー)などにクライエント(相談者)を紹介することで、『自分にはできない種類の支援・治療・制度利用』を促進しようとするものであり、専門家間の紹介・斡旋や異業種間の役割別の連携といった意味合いを持っている。

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[リッカート法(Likert method)]

リッカート法(Likert method)

質問紙法の心理テスト(心理検査)の選択肢には、『はい・いいえ』『当てはまる・当てはまらない』の二分法(二者択一)で答えるものも多いが、何段階かの反応の程度(1〜5など)で相対的な重みづけをして答える選択肢もある。質問項目に対する3つ以上の選択肢を設けて、それぞれの選択肢に点数を割り当てる心理テストの質問方法を『リッカート法(Likert method)』と呼んでいる。

例えば、うつ病の有無やうつ病症状の深刻度を調べるためのBDI(ベックうつ病質問紙)などがそうであるが、BDIでは『最も深刻な状態=3点』『最も健康的な状態=0点』として0〜3点の4段階の選択肢を設けて、各質問項目の点数を合計することでうつ病の有無や症状の深刻度を判定するようになっている。

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[リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:3]

リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:3

日本においては現時点では、尊厳死も安楽死も法律的に違法性がない行為としては認められておらず、患者本人のリビング・ウィル(延命措置中止にまつわる意志表示)がある場合でも、いったん延命治療をスタートさせた後に人工呼吸器・人工心肺措置を取り外す判断は難しい(状況によっては医師が刑事責任を問われる恐れがある)のが現状である。

絶対に延命措置をしないのであれば、初めから人工呼吸器を装着しない旨を、はっきりとリビング・ウィルの指示書に書いておく必要がある。1962年(昭和37年)の名古屋高裁の判例によって、尊厳死や安楽死の違法性を阻却するには以下の6つの条件が必要とされている。

1.末期がんなどで死期が切迫していること。

2.耐え難いほどの肉体的苦痛があること。

3.耐え難い苦痛の除去や緩和を目的としていること。

4.尊厳死を望む患者の自発的な意思表示(リビング・ウィル)が確認されていること。

5.医師がその実務を行うこと。

6.苦痛・恐怖・残酷さがないなど倫理的に妥当な方法で実施されること。

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[リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:2]

リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:2

倫理的な安楽死はすべて患者本人の自由意思や自発的な申し出に基づく『自発的安楽死(voluntary euthanasia)』でなければならないが、ナチスドイツが優生主義に基づいて行った障害者・高齢者・ロマ(ジプシー)などの積極的安楽死は実質的な『反自発的安楽死(involuntary euthanasia)の虐殺行為(人道的な犯罪行為)』である。

自発的安楽死と反自発的安楽死の中間的な形態として、乳児・重度の認知症者など患者本人に意思表示や状況認識の能力がない場合に、その保護者が安楽死の選択を判断する『非自発的安楽死 (non-voluntary euthanasia)』というものもある。

消極的安楽死は尊厳死とほぼ同じ行為であるが、リビング・ウィルに基づく尊厳死(消極的安楽死)は具体的には『延命治療(延命措置)の中止=人工呼吸器の取り外し』という形を取ることが多い。

尊厳死とは患者自身が認識している『人間としての尊厳(機械・装置につながれない自然死のプロセス進行)』を守るために行われる『自発的消極的安楽死』のことである。他者がその本人の生命や人生の価値がない(あるいはこのまま生きていてもただ苦痛や絶望に襲われ続けるだけ)と一方的に判断して死なせる『非(反)自発的積極的安楽死』のことを『慈悲殺(mercy killing)』と呼ぶことがある。

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[リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:1]

リビングウィル(living will)と尊厳死・安楽死:1

リビング・ウィル(living will)とは『終末期医療(ターミナルケア)に関する生前の意思表示』『自分の延命措置に関する事前の指示書』といった意味である。リビング・ウィルは、病気・事故によって本人の自由意思を直接確認することができなくなった『終末期医療(ターミナル・ケア)』において、その効力を発揮するとされる。

『尊厳死・安楽死』の法律的な是非や倫理的な善悪を判断する倫理学的議論の中で、本人が延命措置(延命治療)を希望するか尊厳死・安楽死を希望するかの『リビング・ウィル』が取り上げられることが多い。

リビング・ウィルの効力(有効性)の最大の根拠は、自由主義原理と私的所有権であり、具体的には自分の生命や身体を自分自身が所有していてそれを自由に取り扱うことができるという『自己所有権・自己決定権』がその有力な根拠となっているが、そこに苦痛と絶望だけの末期の延命は質的に劣ったものになるという『QOL(人生の質)』の価値判断が加えられている。

尊厳死(death with dignity)安楽死(euthanasia)は厳密には異なる概念とする見方が多いが、現実の実施形態としては類似したものになることは多い。尊厳死は回復不能な苦痛の激しい病気の人や意識のない昏睡状態になった患者の『延命治療』を中止することである。尊厳死とは患者本人の自由な意思表示に裏付けられた『患者の尊厳』を守ろうとするものだが、安楽死のほうは様々な理由に基づく『患者の自死の願い』を直接的あるいは間接的に幇助するものである。

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2014年02月11日

[離人症(depersonalization)]

離人症(depersonalization)

離人症(depersonalization)は、現在では自我の統合機能が解体して現実認識(リアリティ)の感覚が希薄になってしまう『解離性障害(dissociative disorder)』の一つの症状として定義されることが多い。

APA(アメリカ精神医学会)のDSMでは、解離性障害を『解離性健忘・解離性遁走・解離性同一性障害(多重人格障害)』などに分類しているが、“人・モノ・外界のリアリティ”が欠落する離人症の症状そのものは解離性障害以外のうつ病・統合失調症・ストレス反応などの精神疾患でも起こることがある。

『離人症』は自我の精神機能の統合性がバラバラに解体することで、『現実世界のリアリティ(現実を自分が確かに生きているとか実際に人やモノがそこに確かにあるという実感)』が失われる精神疾患である。『自分の意識が自分の身体から離れるというイメージ』で離人症は捉えられることが多いが、その精神現象は自分と外部世界(現実世界)が隔てられるという感覚、自分の身体と自分の精神が分離して遠くから自分を眺めているような感覚に近いと言われる。

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