北山修の『DPP三角』をチーム医療で機能させるための問題点・注意点:3
精神科医・北山修はDPP三角で構成される精神医療の治療構造が、基本的憶測に基づくグループになってしまわないように、以下のような問題点・注意点を指摘している。
小此木啓吾の『A-Tスプリット』と臨床心理士の役割:1
北山修の『DPP三角』と小此木啓吾の『A-Tスプリット』:2
1.心理療法家(P)と患者(P)とが心理療法の中で話した『患者の私的・心理的な秘密』に関しては、患者の同意・許可がない限りは、医師にさえも話さないというルールを締結して、『患者の内面世界・過去のトラウマ的な記憶や感情』を話しやすい治療場面を整える。ただし、自傷他害の危険性や精神症状の悪化、自殺企図の恐れがある場合には、治療全体の責任者である医師にも『秘密の情報』を伝える可能性があることは患者に伝えておかなければならない。
2.患者の病態水準や事例(ケース)の深刻度に応じた『医師・心理療法家の役割分担と責任権限』をあらかじめ話し合って決めておき、治療上で『必要な情報交換』がいつでもスムーズかつ効率的に行えるようにしておかなければならない。
3.医師(D)の薬物療法と心理療法家(P)の心理療法を競争させたりお互いに嫉妬させたりしようとするような患者(P)の語りかけに影響されずに、『治療上のパートナーである医師(心理療法家)の方法論』については中立的な態度で患者に話すように努めること。患者の医師に対する不平不満に軽い共感を示すくらいは良いが、患者と一緒になって心理臨床家が『医師の治療法・薬物療法』に真正面から反対するのは治療的パードナーシップの崩壊にもつながる。
4.心理療法家(P)は患者が語る『薬物療法の感想・副作用の悩み・精神症状の経過』などについても共感的に傾聴することを心がけ、『投薬内容の変化に対する不安・恐怖・心細さ』などについても積極的にフォローすること。薬物療法について肯定的に語ることによる暗示効果についても配慮する。精神医療のチーム医療に参加している立場からは、薬物療法の全面否定のような極端な意見に傾かないようにすること。
5.薬物療法や医学的対処については、心理療法家(P)は『非専門家の立場』を貫くようにして、患者の質問・疑問に対して自分が直接答えないようにしなければならない。患者が薬や医療行為について疑問・不安を持っているような場合には、まず『担当の医師に相談したり質問したりしてください』といった回答をするようにして、心理療法家は心理社会的な側面における相談に従事するようにすること。
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posted by ESDV Words Labo at 16:11
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