ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年02月14日

[量的功利主義・質的功利主義・選好功利主義・アニマルライツ(動物の権利)]

量的功利主義・質的功利主義・選好功利主義・アニマルライツ(動物の権利)

J.ベンサムの『量的功利主義』からJ.S.ミルの『質的功利主義』に移行したが、ベンサムは個人にとっての快楽・利益を誰にでも共通する同質的なものと考えていたが、ミルは個人によってどういった刺激や状況を大きな快楽・利益と感じるのかには違いがあるとして質的功利主義を提示した。J.S.ミルは、肉体的快楽よりも精神的快楽のほうが質が高いと仮定して、『満足した豚よりも満足しない人間であるほうがよい』という格言(アフォリズム)を残していたりもする。

しかし、量的功利主義も質的功利主義も社会全体の快楽と苦痛の量は数量的に計算できるという『快楽計算(功利計算)』の前提に立っており、その限界を乗り越える思想としてR.M.ヘアやP.シンガーの『選好功利主義』が考案されている。P.シンガーは自我意識と言語機能を持つ人間だけに『不可侵の人権(権利)』を認めるという『人間原理』に批判的な態度を示している。

P.シンガーは苦痛や恐怖を知覚していると推測される動物にも、人間に近い権利を認めるべきだとする『アニマルライツ(動物の権利)』の思想を提唱しており、このアニマルライツの思想は動物愛護運動やエコロジー運動(自然環境保護)にも応用されている。

アニマルライツの思想が過剰な動物愛護や環境保護と結合すると、『人間の生活・権利よりも動物の権利や自然環境のほうに価値がある』とする権利感覚の転倒が起こることもあり、欧米・オーストラリアの『クジラ・イルカのラディカルな保護運動(アニマルライツの承認)』には宗教的信仰・スピリチュアルな使命感に近い熱意がもたれることも少なくない。

続きを読む


posted by ESDV Words Labo at 14:22 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[ジェレミー・ベンサム,J.S.ミルの“功利主義(utilitarianism)”の展開]

ジェレミー・ベンサム,J.S.ミルの“功利主義(utilitarianism)”の展開

イギリスの哲学者ジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham, 1748-1832)は、J.S.ミルと並んで功利主義(utilitarianism)の提唱者として知られる。功利主義という思想は、社会の善悪の判断基準を『功利性(社会全体の利益・利便・有用性)』に求めるものであり、ベンサムには量的功利主義を示唆する『最大多数の最大幸福』という有名なスローガンがある。

功利主義(utilitarianism)の内包する倫理的な社会観とは、『幸福(快楽)の総量を増やして、不幸(苦痛)の総量を減らした社会』であり、ある規範(ルール)や行為(判断)の結果として得られる利益(有用性)が大きければそれを『倫理学的な善』と解釈するのである。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 14:19 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月16日

[統合失調症研究とコミュニケーション理論(communication theory)]

統合失調症研究とコミュニケーション理論(communication theory)

家族システム論に基づく家族療法では、統合失調症の心因論的な事例研究を通してコミュニケーション理論が考えられてきた。グレゴリー・ベイトソン(G.Bateson, 1904-1980)『精神の生態学』の中で解説した『二重拘束理論(ダブルバインド理論, double bind theory)』も、幼少期のトラウマティックな二重拘束状況の反復的体験が統合失調症の心因になるとしたものである。

現在のエビデンスベースド(科学的根拠重視)な精神医学では、統合失調症の原因を『心理的原因(トラウマ・ストレス・家族因)』ではなく『生物学的原因(脳内のドーパミンなど情報伝達物質の分泌障害)』に求めることが増えているが、ベイトソンを理論的支柱とするパロアルト・グループが活躍した1950年代には統合失調症の心因論が優勢であった。統合失調症の古典的な心因論では、メッセージを文字どおりに機械的に解釈することで『破瓜型統合失調症』が発症し、メッセージの裏にある欲望(目的)を恣意的(被害妄想的)に解釈することで『妄想型統合失調症』が発症し、メッセージの受信を完全に拒絶して内向・自閉することで『緊張型統合失調症』が発症すると考えられていた。

統合失調症の原因を心理的原因に求める場合にはカウンセリングや心理療法が重視されることになるが、生物学的原因に求める場合にはメジャートランキライザー(抗精神病薬)による薬物療法を中軸にして心理臨床的な援助を組み合わせていくことになる。現代の精神医療における統合失調症の治療では、エビデンス(統計学的根拠)に基づいた薬物療法をメインにして治療計画を組み立てることが多くなっているが、患者の精神状態の安定や治療者への信頼感(安心感)を高めるために適宜、支持的なカウンセリングを行っていく必要がある。家族療法のパロアルト・グループは、マジックミラーを備えた観察室や客観的なテープ記録などを元にして家族病理の研究調査を実施したが、ダブルバインド理論(二重拘束理論)は『歪んだコミュニケーションによって強烈なストレス(葛藤)が生まれるメカニズム』を的確に説明した理論である。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 05:51 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション・マスメディアとパーソナルメディア]

言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション・マスメディアとパーソナルメディア

コミュニケーション(communication)とは、一般に『意思疎通・情報伝達』と翻訳されるように、複数の個人(集団)の間で『同一の規則(コード)』に基づき『意思・考え・感情』を伝達することである。コミュニケーションには、メッセージ(各種の情報)を伝えようとする『発信者(発話者)』とメッセージを受け取ろうとする『受信者(受話者)』がいる。メッセージをやり取りする発信者と受信者の間で、『意味内容・感情体験の共有(了解・理解)』が行われることによってコミュニケーションの目的は達成されることになる。広義のコミュニケーション(意思疎通)は動物の間でも行われるが、地球上で言語体系・文法規則に基づいた『言語的コミュニケーション』を実行できるのはヒト(人間)だけである。また、人間とコンピュータ(PC)の間で行われる『情報の入力(インプット)・演算過程(プロセス)・出力(アウトプット)』も情報科学的なコミュニケーションの一形態と見なすことができる。

コミュニケーションには、言葉を用いて意思伝達する『言語的コミュニケーション(verbal communication)』と表情・視線・ジェスチュア・態度などを用いて感情(気分)や意志を伝達する『非言語的コミュニケーション(non-verbal communication)』があり、人間では言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーションを相補的に活用して効果的に自分の意志や感情を相手に伝えている。コミュニケーション理論でよく引き合いに出されるアルバート・メラビアンの『メラビアンの法則』は、被検者に『写真の表情』『音声の情報』の二つを提示してどちらをより強く信頼するか(相手の感情についての判断の参考にするか)を調査したものである。その為、発信者が受信者に与える影響力の割合を『言語情報:7%・視覚情報:55%・聴覚情報:38%』とするメラビアンの法則に実証的根拠があるわけではない。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 04:15 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[コーネル・メディカル・インデックス(Cornell Medical Index)]

コーネル・メディカル・インデックス(Cornell Medical Index)

コーネル・メディカル・インデックス(Cornell Medical Index,CMI)とは、1949年にコーネル大学(アメリカのニューヨーク)のK.ブロードマン(K.Brodman)らによって開発された質問紙法の性格検査(character test)である。コーネル・メディカル・インデックスは、精神医学的な臨床疾患のスクリーニングだけでなく、不安や抑うつ、怒りなど精神的問題の深刻さの程度を測定するために用いられる網羅的な心理評価尺度である。

特に、『自覚症状のプロフィール作成』による判定が容易な心理検査であり、身体的・精神的自覚症状を詳細かつ的確に判定することが可能になっている。CMIは、臨床心理学の分野でも、健常者群と神経症者群(軽度の精神障害群)を判定するために用いられることがあるが、『身体器官別の質問項目』も用意されているので器質的障害のある身体疾患の発見にも役立てることができる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 02:46 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月27日

[デイビッド・リースマンの『孤独な群衆(Lonely Crowd)』]

デイビッド・リースマンの『孤独な群衆(Lonely Crowd)』

アメリカの社会学者デイビッド・リースマン(1909-2002)は、著書『孤独な群衆(Lonely Crowd)』の中で人間の性格類型を『伝統指向型(tradition-directed)・内部指向型(inner-directed)・他人指向型(other-directed)』の三つに分類して、中間大衆層の基本的性格傾向(他人指向型)を『孤独な群衆』という概念でまとめた。伝統指向型(tradition-directed)の性格類型は『過去の伝統と同じように行動する』という行為規範に支えられており、伝統指向型の個人で構成される社会は殆ど大きな変化をしない。昨日と同じような明日が来るという確信に支えられた社会が伝統指向型の社会であり、こういった全体の秩序を優先する社会では幼少期から徹底的に『伝統的価値観(全体の秩序)への服従』が教育されることになる。

内部指向型の性格類型(inner-directed)は『社会的・権威的な価値観を内面化して行動する』という行為規範に支えられており、内部指向型の個人で構成される社会は決められた枠組み(価値体系)の中で変化をする。伝統指向型の行為規範は『外部からの強制』という側面を強く持つが、内部指向型の行為規範は『内面的な倫理(良心)』という側面が強い。内部指向型の性格類型は、両親や社会的な権威者(教師など)の教育行為によって形成されるもので、社会の中心的価値観(支配的な道徳)を尊重するという特徴を持つ。

社会構成員の大多数が共有する『生きる目的(大きな物語)』を認めており、富・名誉・地位・学術・結婚・育児・仕事などの要素に価値を見出して前向きに努力する従順な適応性が見られる。内部指向型では、社会的役割・義務を引き受けることと内面的な倫理観が一致していることが多いのだが、それは、内部指向型が基本的に権威主義的(保守主義的)であることを意味している。内部指向型の性格は『社会で認められている行為や権威』の価値を認めて内面化していることに特徴があり、簡単に言うと非常識さ(逸脱行為)を嫌う『常識人としてのエートス(行動様式)』を身につけた人ということが出来る。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 06:41 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月23日

[国際疾病分類(ICD-10:International Classification of Disease)とDSM‐W]

国際疾病分類(ICD-10:International Classification of Disease)とDSM‐W

臨床心理学分野における疾病分類とアセスメントでは、アメリカ精神医学会が作成したDSM‐W‐TR(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)が有名でよく利用されているが、身体疾患を含む国際的な疾病分類(疾病統計)としてWHO(世界保健機関)がまとめているのが国際疾病分類(ICD:International Classification of Disease)である。現在、公表されている国際疾病分類は1990年の第43回世界保健総会で採択された第10版で『ICD−10』であるが、国際的な統計データを元にして第11版(ICD−11)の策定も鋭意進行中である。ICDは一般的に10〜15年程度のスパンで改訂が繰り返されているが、精神医学領域でスタンダードな診断基準となりつつあるDSMのほうも2011年を目途にしてDSM‐Xが発表される見通しとなっている。

ICD‐11を定める上での主要課題は『電子カルテ・電子医療への対応』であり、先進国を中心として進んでいる電子医療体制に柔軟に適応できるような疾病分類が整理される予定となっている。ICD(国際疾病分類)は、アルファベットと数字により符号化(コード化)されており、ICDに通じた医師の間では疾病を識別する共通言語としての役割も果たしている。最初のアルファベットが全21章から成る大分類(Uを除く)、続く数字が中分類を表しているが、ICDはエビデンスベースドな診断基準を確立するために『疾病・障害・死因の統計』をバランスよく参照して作成されることになっている。そのため、一般的な疾病分類表だけではなく、ICDには死因簡単分類表や乳児死因簡単分類表などの補助資料も添付されている。

続きを読む
ラベル:医学 精神医学
posted by ESDV Words Labo at 06:01 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[五月病・九月病(freshmen's syndrome)によるアパシー(意欲減退)状態]

五月病・九月病(freshmen's syndrome)によるアパシー(意欲減退)状態

人間の精神状態やストレスの強度は『外部環境(生活環境・学校環境・職場環境)』からの影響を強く受けるが、強い精神的ストレスから急速に解放された時には、『脱力感・無気力・抑うつ感』を伴うある種の不適応状態に陥ることがある。人間の意欲(やる気)や活動性を生み出す『精神運動の力動(ダイナミズム)』は、『緊張(活動)と弛緩(休養)のバランス』によって維持されている。しかし、『極端な緊張・集中』が続いていたのに急に何もしなくて良い状態になると、もう一度緊張(集中)した状態を取り戻すのに時間がかかるのである。

高校・大学の入試の終わりと関係した『五月病』、あるいは長期の夏休みと関係した『九月病』は、この『精神的な緊張と弛緩のバランス』が崩れたために発生する学校活動・勉学活動への不適応状態である。高校・大学の入試(入学試験)には持続的な努力と集中が必要だが、入試に合格してしまえばそれまでの緊張状態から一気に解放され集中力も急速に低下しやすくなってしまう。特に、一流大学や資格試験への合格を最終目標のように認知してがむしゃらに頑張り続けてきたような人が五月病になりやすく、五月病による無気力や意欲減退の弊害を回避するためには、『何のために大学に行くのか?資格を生かしてどんな仕事をしたいのか?大学入学以後の具体的な人生設計はどんなものなのか?』を意識しておくと良い。言うまでもなく入試や資格取得、企業への就職は人生の最終ゴールなどではなく、それらは『新たな人生の課題や目標のスタート地点』に過ぎないのだから、極端な緊張と緩和の落差をできるだけ減らして『今からどうしたいのか?』を考える姿勢が大切である。

五月病は『入試に合格するための緊張状態』が急激に和らいだことによって起こる意欲減退の不適応状態だが、九月病というのは『学校に行かなくて良い夏休み期間の長期的な緩和状態(リラックス状態)』によって緊張(集中)して何かをやり抜こうとする「精神的な構え」が壊れてしまった不適応状態である。五月病と九月病の症状形成メカニズムは『極端な緊張状態や緩和状態(リラックス状態)が続いた後の急な環境の変化』である。人間は今まで張り詰めていた精神が急に和らいでしまうと再び集中するのが難しくなるし、反対に、あまりにも長い期間何もせずにリラックスしていると再び集中して何かをやり始めるのが難しくなってしまうのである。五月病と九月病で見られる典型的な症状は『意欲・集中力・記憶力の低下』であり、それに伴って『疲労感・倦怠感・抑うつ感・自己嫌悪・自己評価の低下』など自分の将来や状況に対して自信を持てない症状が現れてくる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 04:59 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月18日

[コ・カウンセラー(co-counselor)][ゲシュタルト療法の影響を受けた合流教育(confluent education)]

コ・カウンセラー(co-counselor)

コ・カウンセラー(co-counselor)の「コ(co)」というのは、医師・看護師以外の医療従事者を示すコ・メディカルスタッフと同じく「共同」という意味である。複数のカウンセラーが共同して単一のケース(事例)に当たっている場合に、ひとりひとりのカウンセラーのことを「コ・カウンセラー」と呼ぶが、コ・カウンセリングはカウンセラー間の協働関係の一形態である。個人心理学(アドラー心理学)を創始したアルフレッド・アドラーが、コ・カウンセラーというアイデアを思いついたというが、同一の個人や家族といったクライアントに複数のカウンセラーが関係することで効果的な役割分担をすることができる。

複数のコ・カウンセラーが協力してカウンセリングを行うことで、クライアントはセカンド・オピニオンを聴きやすくなる、自分が目標とするロールモデルや自分が話しやすいタイプのカウンセラーを見つけやすくなるなどのメリットを享受することが出来る。コ・カウンセラー側も自分一人でケースを担当するよりも精神的な余裕が生まれて的確な判断を下しやすくなり、自分の専門分野や過去の経験から外れるケースについては他のコ・カウンセラーの意見や助言を仰ぐことも出来る。男性と女性のコ・カウンセラーが存在する場合には、指示的・父性的な男性カウンセラーと非指示的・母性的な女性カウンセラーとで役割分担をしながら、PTSD(心的外傷後ストレス障害)や境界性人格障害のクライアントに対して効果的に心理療法を実施することも出来るだろう。コ・カウンセラー同士でお互いのミス(見落とし)や弱点などを指摘しながら、足りない部分を補い合うといった相補的カウンセリングを実施することが望ましいと言える。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 21:54 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[交流分析と交流分析的カウンセリング(transactional analytical counseling)]

交流分析と交流分析的カウンセリング(transactional analytical counseling)

アメリカの精神科医であるエリック・バーンが開発した簡易型精神分析である『交流分析(transactional analysis)』については、以下の記事で解説してきたが、ここでは交流分析(TA)の理論と技法を柔軟に応用したカウンセリング技法についても簡単に説明しておきたい。

交流分析のエゴグラム

交流分析の人生脚本に作用する禁止令

エリック・バーンが開発した交流分析のインパス

交流分析の裏面交流とゲーム分析

精神分析では人間の精神構造(精神機能)を『意識・無意識・前意識』の三層構造で理解したり、『エス・自我・超自我』の3つの精神機能で理解したりするが、交流分析では『親(P)・大人(A)・子ども(C)』の3つの自我状態(厳密には5つの自我状態)のバランスを記述したエゴグラムで理解しようとする。交流分析は1950年代にサンフランシスコ周辺でエリック・バーンが主催していた社会精神医学セミナーが母胎なって開発されることになったが、日本に交流分析の理論・技法を輸入したのは九州大学医学部の池見酉次郎である。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 20:23 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[心理療法における合理主義・合理的信念(ラショナル・ビリーフ)][自我防衛機制の合理化]

心理療法における合理主義・合理的信念(ラショナル・ビリーフ)

哲学史における近代的な合理主義(rationalism)は、17世紀フランスのルネ・デカルト(1596-1650)から始まり、オランダのスピノザやドイツのライプニッツへと継承されていったが、合理主義では生得的な理性に基づく仮説演繹法によって世界の事象を理解しようとする。ルネ・デカルトの最大の功績は『我思う、故に我あり(コギト・エルゴ・スム)』の第一命題によって、あらゆる明晰な知識の原点として近代的自我を仮定したことにあるが、大陸合理主義では『感覚的経験=知覚』よりも『合理的な推論=論理的整合性』を重視するところに特徴がある。17世紀〜18世紀の哲学では、大陸合理論とイギリス経験論(フランシス・ベーコン,ジョン・ロック,デイビッド・ヒューム)との対立があったが、大陸合理論では人間の知識の根拠を『論理的整合性=理性に基づく演繹法』に求め、イギリス経験論では人間の知識の根拠を『感覚的経験=証拠に基づく帰納法』に求めたという違いがある。しかし、18世紀にインマヌエル・カントの緻密で周到な哲学によって合理主義と経験主義の対立は統合されることになり、両者は近代科学の発達の二大原理として機能することになる。

イギリス経験論に分類されるジョン・ロックは生まれたばかりの赤ちゃんの心は『タブラ・ラサ(白紙)』であるとし、人間の知識や理性は後天的な経験の蓄積によって形成されると考えたが、大陸合理主義では生得的な理性と概念獲得能力によって演繹的に知識を獲得していくと考えるのである。さて、心理療法において合理主義や合理性という時には、どのような意味があるのだろうか。結論から言うと、心理療法における合理性の概念は、ルネ・デカルト以来の合理主義とは何の関係もないということになるが、心理療法では現実的に効果のある考え方(認知)や行動のことを『合理的』と表現する。この合理性の概念の起源は、論理療法を創始したアルバート・エリス『合理的信念(rational belief)』にあるが、論理療法(論理情動行動療法)では合理性(合理的)ということを実際に役に立つか否かという『プラグマティズム(実用主義)』の文脈で考えている。アルバート・エリスは合理的信念の特徴として、1.現実性・論理的整合性、2.『〜したい,〜したほうが良い』という相対的な信念、3.適応的な感情や行動と結びつく信念などを上げていて、後の認知療法における合理的で適応的な思考の獲得技法にもつながっている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 19:19 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[フロイトの性的発達理論と肛門期性格(anal character)]

フロイトの性的発達理論と肛門期性格(anal character)

精神分析学の創始者であるS.フロイト(1856-1939)は、人間の精神発達過程を説明する理論として性的精神発達理論(リビドー発達論)を提唱した。リビドー発達論ではリビドー(性的欲動)を充足する「性的部位」によって発達段階を考えるので、「口愛期(0歳〜1歳半頃)・肛門期(1歳半〜3歳頃)・男根期(エディプス期,4歳〜6歳頃)・潜伏期(6歳〜12歳頃)・性器期(12歳以上の性器統裁の段階)」という発達段階に分類されることになる。リビドーの性的欲動というのは生物学的な快楽原則によって生まれるものであり、「心理的・生殖的な性欲」や「文化的なエロスのイマジネーション」とは直接的な関係はない。生まれたばかりの赤ちゃんは口唇を母親の乳房に押し付けて母乳を吸うことによって快楽を感じるが、その際に心理的な性欲が伴っているわけではない。

同様に、男根期あたりまでのリビドー充足は、それ以降の心理的・文化的に喚起される性欲とは質的に異なるものであり、それらはまとめて部分性欲(幼児性欲)と呼ばれることがある。口唇・肛門・相手のいない自己の性器など「部分的な自己愛」の段階に留まっているものを「部分性欲」と呼ぶが、12歳以降の性器期では対象(好きな相手)のいる「全体性欲」が生まれてくるのである。肛門期(1歳半〜3,4歳頃)の子どもは両親(養親)から自分自身で排泄するためのトイレット・トレーニングを受けることになるが、この発達段階の子どもは大便の保持と排泄に伴う「象徴的な対象関係」を内面で体験しているとフロイトは考えた。幼い子どもが大便を上手く排泄できた時に、両親は「よくできたから偉いね。これで一人でトイレに行けるようになるね」といった賞賛と肯定の言葉を子どもに投げかけるが、このオペラント条件付けの繰り返しによって子どもは大便に象徴的価値を見出すことになる。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 17:51 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月23日

[更年期障害(Postmenopausal syndrome:PMS)]

更年期障害(Postmenopausal syndrome:PMS)

更年期とは、女性の性的成熟期から老年期への移行期に当たる期間で、卵子を排卵する生殖機能が衰退し始める時期のことを言います。具体的な生活年齢では、閉経(月経停止)が近づく40代後半から50代を指し示すことが多く、生理周期が不規則になり生理学的にも精神的にも不安定な時期となります。子どもを妊娠するための生殖機能の衰退とは『卵巣機能の低下』のことであり、女性の卵巣機能(男性の生殖機能)が低下すると性ホルモンの分泌バランスが崩れたり自律神経の失調を起こしやすくなります。以前は、更年期障害というと女性に特有の不定愁訴が出る疾患と考えられていましたが、最近では、テストステロン分泌が減少した中高年の男性にも更年期障害が発症することが分かってきています。男性の場合には、『原因不明の疲労感・倦怠感・イライラ・不安感』から症状が始まりうつ病(気分障害)との鑑別診断が問題になることもありますが、疲労倦怠感に続いてめまいや頭痛、冷や汗、吐き気、発汗、のぼせなどの更年期障害の症状が出てきます。

更年期に移行した男女の不定愁訴に基づくさまざまな身体症状・精神症状を総称して『更年期障害(Postmenopausal syndrome:PMS)』と呼んでいますが、更年期障害の根本的原因は『加齢現象による内分泌系の障害(性ホルモンの分泌量の減少)』なので誰にでも起こり得る疾患です。女性の場合はエストロゲン(卵胞ホルモン)の減少と生活環境における精神的ストレスの相互作用によって更年期障害の発症リスクが高まり、男性の場合はテストステロンの減少と生活環境における精神的ストレスの相互作用によって更年期障害を発症しやすくなります。更年期に不定愁訴の原因となる自律神経失調症を起こしやすいのですが、その背景には『加齢による内分泌系・自律神経系の障害』『中高年期に特有のライフイベント(人生の出来事)』が関係していると考えられます。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 19:22 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

行動療法(behavior therapy)による行動変容(behavior modification)

行動療法(behavior therapy)による行動変容(behavior modification)

J.B.ワトソンがコロンビア大学で行った行動主義宣言(1912年)は、『主観的な内観(言語報告)による意識』を心理学から排除して『客観的な観察が可能な行動』を心理学の研究対象にするという宣言であった。J.B.ワトソンは、『客観的な行動の観察・記述・帰納』によって人間全般に共通する『行動の一般法則』を定立しようとしたが、ワトソン以外にもハルやスキナーなど行動主義心理学(行動科学)の立場にたつ心理学者がさまざまな行動理論を提出した。人間の行動メカニズムを論理整合的に一般法則化しようとする行動理論は、人間の不適応行動を計画的に変容させようとする『行動療法(behavior therapy)』の基盤になっている。

J.B.ワトソンは、I.P.パヴロフの条件反射の理論を参照して、人間の行動を刺激(Stimulus)に対する反応(Response)として定義する『S-R理論』を提起したが、S-R理論に基づいて報酬と罰による行動の強化(オペラント条件付け)を行おうと考えたのがC.L.ハルやB.F.スキナーである。S‐R理論と強化理論では、『クライアントの行動を賞賛する報酬の刺激(正の強化子)』『クライアントの行動を否定する罰則の刺激(負の強化子)』によって人間の行動をコントロールできると考えるが、このオペラント条件づけの原理は行動療法の技法にも多く応用されている。

S-R理論と強化理論に反対する行動科学的立場として『認知理論(認知媒介仮説)』があり、認知理論では周囲の環境や他者の反応をどのように認知(解釈)するかによって行動の生起や気分の状態が変わってくると考えている。認知理論(認知媒介仮説)の主張者には、E.C.トールマンやクルト・レヴィン、N.E.ミラーとJ.ダラードなどがいたが、最近では、認知媒介仮説は行動療法ではなく認知療法(認知行動療法)の基礎理論となっている。行動理論(学習理論)に基づいた行動療法は、司法矯正や学校教育の領域で『行動障害と行為障害の治療』に用いられることもある。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 18:36 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[行動障害(behavior disorders)と行為障害(conduct disorder)]

行動障害(behavior disorders)と行為障害(conduct disorder)

『行動レベルの総合的(包括的)な不適応状態』を意味する行動障害(behavior disorders)には、精神医学的な反社会性人格障害へと発展する恐れのある『行為障害(conduct disorder)』の概念も含まれるが、ここでは行動障害に分類される不適応行動全般の概観について説明していく。行動障害(behavior disorders)とは、社会生活や人間関係、心身の健康に問題を引き起こす持続的な逸脱行動(不適応行動)のことであり、行動障害によって『主観的な不利益(苦痛)』を受けたり『客観的な迷惑(他人の不利益)』が発生したりすることになる。

行動障害の定義・基準は、『統計学的な正常水準からの逸脱・社会規範や道徳観念からの逸脱・主観的な苦悩や問題』などによって定められるが、心理学的な行動障害では『統計学的な標準からの偏り・問題対処能力(ストレス耐性)の著しい低下・主観的な苦痛と悩み』などが問題になってくる。他者に危害や迷惑を加える恐れのある社会的(法的)な行動障害では『社会規範や常識観念からの逸脱・遵法精神の著しい低下・精神医学的な人格障害や行為障害の診断』などが重視され、精神医学的な行為障害(conduct disorder)や発達障害の一部とほぼ同義の概念になっている。身体が不随意的に痙攣(けいれん)するてんかんや他者と通常の言語的コミュニケーションができない自閉症(自閉性障害)などの内因性精神障害もかつては行動障害に含まれていたが、最近は脳の器質的原因が想定される精神障害や発達障害は行動障害に含めないことが多い。

乳幼児の嗜癖問題やストレス性障害として分類される『爪かみ・チック・指しゃぶり・夜驚・夜尿症・吃音(どもり)』なども行動障害の一種である。児童期の子どもに学校環境や友人関係への不適応として出現する『不登校(登校拒否)・いじめ・ひきこもり・家庭内暴力・家出・窃盗など軽犯罪・非行行為・薬物依存』なども行動障害として理解することができ、成人の犯罪行為の大部分も行動障害に分類することが可能である。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 17:09 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[精神病理学と行動病理学(behavior pathology)]

精神病理学と行動病理学(behavior pathology)

人間の精神病理現象や不適応行動の『病態・検査法(アセスメント)・治療法・転帰』を研究する医学分野が精神医学である。精神疾患(精神障害)や発達障害、人格障害の『原因・特徴・診断・治療・経過』を専門的に研究する医学的分野として『精神病理学(神経病理学・脳生理学・解剖学など含む)』があるが、臨床心理学においても『異常心理学・心理療法・心理アセスメント』の分野で精神障害や人格障害、不適応行動が研究されている。

臨床心理学の下位カテゴリーである異常心理学では、精神疾患に該当する人間の精神機能の異常や障害だけでなく、社会環境への不適応や人格構造・発達過程の偏りについても研究されている。しかし、精神医学の下位カテゴリーである精神病理学と比較すると、異常心理学には多種多様な心理療法の学派と理論が分立しているので『精神病理の原因や対象の共通言語(統一的・整合的な理論基盤)』がないという問題が残されている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 17:02 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月01日

[行動療法における行動分析(behavior analysis)と行動観察(behavior observation)]

行動療法における行動分析(behavior analysis)と行動観察(behavior observation)

不適応な行動の解除と適応的な行動の学習(習得)を目的にする心理療法が『行動療法(behavior therapy)』であるが、行動療法に大きな影響を与えた新行動主義のバラス・フレデリック・スキナー(B.F.Skinner, 1904-1990)は報酬と罰によるオペラント条件付けで人間の行動メカニズムを理解しようとした。行動主義心理学(行動科学)には人間の行動形成機序を説明する理論として、パヴロフの犬の実験で実証された『レスポンデント条件付け(古典的条件づけ)』と、スキナーが刺激の作用と行動頻度の関係から考案した『オペラント条件づけ(道具的条件づけ)』とがある。

レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)は、食欲・性欲・恐怖反応・不安反応(防衛反応)などの生理学的な無条件反射を『先行する条件刺激』によって生起させる条件づけで、ワトソンのS-R理論(刺激‐反応理論)によって体系化された。レスポンデント条件づけでは、『原因となる条件刺激』によって『結果としての行動』が反射的に生起するのである。一方、オペラント条件づけ(道具的条件づけ)『飴と鞭(むち)の理論』であり、報酬としての効果を持つ快の刺激によって『適応的な行動』の生起頻度を上げ、罰としての効果を持つ不快な刺激によって『不適応な行動』の生起頻度を下げようとするのである。

行動分析(behavior analysis)とは、行動療法で治療の対象となる問題行動(非適応的な行動)の形成メカニズムを分析することで、行動療法を実施する文脈では行動アセスメント(behavior assessment)と呼ばれることもある。クライアントは日常生活を困難にする主訴や心理的・社会的な不利益を生み出す問題を抱えてカウンセリングにやってくるが、行動分析では『クライアントの主訴となっている問題・悩み』を行動レベルで明確化して特定していく。行動分析では『不適応な問題行動の発生・維持・経過・修正』の具体的なプロセスを分析して、クライアントが生活環境や周囲にいる他者から受けている『正と負のフィードバック』を解明していく。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 11:39 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[行動カウンセリング(behavioral counseling)・行動集団カウンセリング(behavioral group counseling)]

行動カウンセリング(behavioral counseling)・行動集団カウンセリング(behavioral group counseling)

行動カウンセリング(behavioral counseling)とは、行動療法よりも広義の『行動の適応的変容』を目的とする心理臨床の技法である。行動カウンセリングは、J.D.クルンボルツ(J.D.Krumboltz)C.E.ソアセン(C.E.Thoresen)によって考案された行動面の改善に着目したカウンセリング技法であり、理論的には『適応的・不適応的な行動の学習』を説明する学習理論と行動理論に基づいている。行動カウンセリングでは、『生物学的な精神病理学』や『精神分析的な性的精神発達・精神構造論』は重視されず、不安や困難を感じている問題行動(不適応な行動)を改善するために積極的な行動実験を行っていく。

行動カウンセリングでは、クライアントが抱えている問題を行動次元で分析して、『他人と緊張して会話ができない・パニック発作が起きて電車に乗れない・不登校で学校に行く事ができない・抑うつ感が強くて会社に行く事ができない・尖端恐怖症で鉛筆の先が見れない・異性と性的な関係がもてない』などカウンセリングで解決すべき問題行動を特定していく。

カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライアント中心療法)のようにクライアントとのラポール(相互的信頼感)の形成に時間を掛けず、クライアントの不定愁訴の訴えや取り止めのない不安にまつわる雑談に焦点を合わせることも少ない。行動カウンセリングの作用機序は、『不適応な行動の学習や適応的な学習の失敗の改善』であり、来談者中心療法のような『内面的な葛藤や悩みを共感的に理解すること』では本質的な問題の解決やQOLの向上につながらないと考える。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 10:06 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月26日

[合同家族療法(conjoint family therapy)と行動家族療法(behavioral family therapy)]

合同家族療法(conjoint family therapy)と行動家族療法(behavioral family therapy)

精神分析やカウンセリング(来談者中心療法)、認知療法など一般的な心理臨床活動では一対一で話し合う『個人面接』が原則であるが、家族療法ではカウンセラーと複数の家族構成員が向き合う『集団面接』が採用されることがある。この家族成員を集めて実施する家族療法のことを『合同家族療法(conjoint family therapy)』と呼び、簡単に、母子面接とか合同面接というような言い方をすることもある。家族療法は基礎理論として『システム論』を考えており、家族全体を相互に作用し合う一つのシステムとして考えている。

親が二つの矛盾するメッセージを子どもに与えるような状況で発生する苦痛な葛藤を説明する『ダブルバインド理論(二重拘束状態)も、システム論的な家族間コミュニケーション理解の一つである。システム論的な家族療法では、家族成員が相互に『承認・賞賛・拒絶・否定・罰』など様々な影響を与えていると仮定し、心理療法やカウンセリングに連れてこられたクライアント(問題のある人)を『IP(Identified Patient:患者と見なされた人)』として認識する。1959年に、合同家族療法(conjoint family therapy)という用語を考案したのは、アッカーマンと並ぶ第一世代の家族療法家であるドン・D・ジャクソン(Don D. Jackson)である。

ドン・D・ジャクソンは、家族の全員を集めた合同面接をすることで、『家族一人一人の心情と立場』をより良く理解できるだけでなく、『家族がそれぞれどんな役割や機能を果たしているのか?誰が誰にどういった影響や反応を与えているのか?』といったシステム論的な家族理解が得られると考えた。家族の問題や家族成員の精神障害は、家族間のコミュニケーションを通した『負のフィードバック』によって生まれるので、家族システムを正常化させるためには負のフィードバックを断ち切らなくてはならない。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 11:49 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

[行動科学(behavioral sciences)と行動医学(behavioral medicine)]

行動科学(behavioral sciences)と行動医学(behavioral medicine)

科学分野(学術分野)は、一般的に『人文科学・自然科学・社会科学』の三大領域に区分されるが、それらの区分を横断的に研究することで『人間の行動メカニズム』を解明しようとする科学分野を『行動科学』と呼ぶ。1950年代のアメリカの心理学会や教育分野で行動科学という呼称が使われ始めたが、今では、人間の行動の仕組みの解明や不適応な行動の変容を目的とする科学的研究を総称して行動科学と言っている。1950年代から暫くの間までは、行動科学は、人文科学・自然科学・社会科学と並立する第四の科学分野と考えられていたが、最近では、認知科学(認知心理学)や神経科学(神経心理学)などと並ぶ自然科学・人文科学(心理学)の一分野と見なされている。

その為、行動科学と行動主義心理学はほぼ同一の概念として用いられているが、原義的には行動科学は行動主義心理学(行動療法)よりもメタ(高次)な科学概念である。行動科学は、人間の行動を観察して研究するあらゆる分野を含んでいるが、特に、臨床心理学的な行動障害(逸脱行動)や不適応行動の改善に『心理療法の行動的技法の開発』を通して貢献してきた。単一恐怖症や強迫性障害、パニック障害などの精神障害の行動療法的な治療にも行動科学は貢献したが、『精神病理(病的な逸脱行動)の治療』以外にも『行動メカニズムの解明』において行動科学は多くの役割を果たしてきている。

続きを読む
posted by ESDV Words Labo at 11:01 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする