量的功利主義・質的功利主義・選好功利主義・アニマルライツ(動物の権利)
J.ベンサムの『量的功利主義』からJ.S.ミルの『質的功利主義』に移行したが、ベンサムは個人にとっての快楽・利益を誰にでも共通する同質的なものと考えていたが、ミルは個人によってどういった刺激や状況を大きな快楽・利益と感じるのかには違いがあるとして質的功利主義を提示した。J.S.ミルは、肉体的快楽よりも精神的快楽のほうが質が高いと仮定して、『満足した豚よりも満足しない人間であるほうがよい』という格言(アフォリズム)を残していたりもする。
しかし、量的功利主義も質的功利主義も社会全体の快楽と苦痛の量は数量的に計算できるという『快楽計算(功利計算)』の前提に立っており、その限界を乗り越える思想としてR.M.ヘアやP.シンガーの『選好功利主義』が考案されている。P.シンガーは自我意識と言語機能を持つ人間だけに『不可侵の人権(権利)』を認めるという『人間原理』に批判的な態度を示している。
P.シンガーは苦痛や恐怖を知覚していると推測される動物にも、人間に近い権利を認めるべきだとする『アニマルライツ(動物の権利)』の思想を提唱しており、このアニマルライツの思想は動物愛護運動やエコロジー運動(自然環境保護)にも応用されている。
アニマルライツの思想が過剰な動物愛護や環境保護と結合すると、『人間の生活・権利よりも動物の権利や自然環境のほうに価値がある』とする権利感覚の転倒が起こることもあり、欧米・オーストラリアの『クジラ・イルカのラディカルな保護運動(アニマルライツの承認)』には宗教的信仰・スピリチュアルな使命感に近い熱意がもたれることも少なくない。
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