肯定的資質(positive asset)を強化するカウンセリング
カウンセリングでは、クライエントの心理的問題の解決と精神的苦痛(症状)の緩和が目的となるが、カウンセラー(心理臨床家)が他律的・指示的にクライエントの問題を解決して上げたというのでは意味がない。働く能力と意志がある人に無償でお金を与えるだけの経済支援をすれば、その人の『働く意欲』そのものを減退させてしまう。カウンセリングでも、自分で問題を解決する潜在的能力があるクライエントを、何もできない無能者のように保護するだけの支援は有害な援助となることがある。経済的困窮を根本的に解決する方法は『本人の稼ぐ能力(市場で価値を生み出す能力)』を開発することであるが、心理的問題を本質的に解決する方法は『本人の成長する能力・ストレス耐性・問題解決力』をカウンセラーが適切に引き出してあげることである。
カウンセリングの基本は、『カウンセラーが問題を解決してあげること』ではなく『クライエントに問題を解決させること』であり、その為に必要になるのがクライエントの動機づけ(モチベーションアップ)であり、クライエントの心理的苦痛の共感的な支持(サポート)である。カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライアント中心療法)ではクライアントの中に成長や健康へと向かう『実現傾向』を見出し、解決志向のブリーフ・セラピー(短期療法)ではクライエントの『内的リソース(心理的資源)や機能的ポテンシャル(潜在能力)』を様々なアプローチで引き出そうとする。クライエントの長所・能力に焦点づけするカウンセリングでは、元々、クライエントには『自分が直面している問題・病理』を解決するだけの能力が備わっているが、その能力や資質が何らかの原因で発揮できなくなっていると考える。
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