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2007年10月26日

[肯定的資質(positive asset)を強化するカウンセリング]

肯定的資質(positive asset)を強化するカウンセリング

カウンセリングでは、クライエントの心理的問題の解決と精神的苦痛(症状)の緩和が目的となるが、カウンセラー(心理臨床家)が他律的・指示的にクライエントの問題を解決して上げたというのでは意味がない。働く能力と意志がある人に無償でお金を与えるだけの経済支援をすれば、その人の『働く意欲』そのものを減退させてしまう。カウンセリングでも、自分で問題を解決する潜在的能力があるクライエントを、何もできない無能者のように保護するだけの支援は有害な援助となることがある。経済的困窮を根本的に解決する方法は『本人の稼ぐ能力(市場で価値を生み出す能力)』を開発することであるが、心理的問題を本質的に解決する方法は『本人の成長する能力・ストレス耐性・問題解決力』をカウンセラーが適切に引き出してあげることである。

カウンセリングの基本は、『カウンセラーが問題を解決してあげること』ではなく『クライエントに問題を解決させること』であり、その為に必要になるのがクライエントの動機づけ(モチベーションアップ)であり、クライエントの心理的苦痛の共感的な支持(サポート)である。カール・ロジャーズの来談者中心療法(クライアント中心療法)ではクライアントの中に成長や健康へと向かう『実現傾向』を見出し、解決志向のブリーフ・セラピー(短期療法)ではクライエントの『内的リソース(心理的資源)や機能的ポテンシャル(潜在能力)』を様々なアプローチで引き出そうとする。クライエントの長所・能力に焦点づけするカウンセリングでは、元々、クライエントには『自分が直面している問題・病理』を解決するだけの能力が備わっているが、その能力や資質が何らかの原因で発揮できなくなっていると考える。

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[構造主義(structuralism)と構造主義者に分類される研究者・思想家]

構造主義(structuralism)と構造主義者に分類される研究者・思想家

構造主義(structuralism)とは、『事物の構造(structure)』を重視する思考の枠組みであり、『個別の要素の特性(固定的な視点)』にこだわらずに『複数の要素の関係(移動可能な視点)』によって対象を理解しようとする科学的方法論である。構造主義の科学的方法は、研究対象となる社会的現象や歴史的事象を『一定の規則・論理を持つ構造』に当てはめて解釈するので、構造主義は単一の客観的真理(事実)ではなく複数の相対的解釈を生み出す。

構造主義者にとっての事実や価値というのは、時代・地域・民族・宗教・理論などのフィルターを通した事実・価値であり、ユニバーサルなあらゆる時代に通用する事実(価値)というものは存在しない。構造主義の思想が指し示す普遍的で客観的な存在とは、事物の構成要素が一定の規則・論理によって配置される『構造(structure)』であり、あらゆる人為的な概念や社会的な制度はその『構造』の内部規則に従っている。人類に普遍的な構造を探求する構造主義は、数学・言語学・文化人類学・精神分析・世界文学・思想哲学などあらゆる領域に応用可能であり、異文化間・異民族間に見られる『構造の共通性と類似性』に焦点を当てていく。

S.フロイトの精神分析理論を構造主義の文脈で考えれば、人間の行動・思考・感情を規定する『無意識領域』が構造であり、あらゆる人間は『エス(性的欲求)が作用する無意識の心的過程』によって『意識的な行動・思考・感情』が決定されるということになる。無意識は、『意識的な行動』を法則的に支配するが、客観的な観察が不可能な精神構造とされている。構造主義でいう『構造』も、精神分析の『無意識』と同じように潜在的な目に見えない構造であり、『顕在的な現象や行動』を無意識的に規定していく構造である。構造主義の研究とは、『観察可能な現象の要素』から『観察不可能な現象を規定する構造(関係性)』を再構成するものであり、日常的に話している言語(話し言葉)から文法規則の構造を導き出すような作業である。

構造主義の前駆となった思想・哲学には、S.フロイトの精神分析だけでなくF.ニーチェやM.ハイデガーの実存主義があり、カール・マルクスの共産主義の史的唯物論などがありますが、構造主義という思想潮流が明確に意識され始めたのは、フェルディナンド・ソシュールの言語学やクロード・レヴィ=ストロースの文化人類学の時代からでした。ソシュールの言語学では言語の歴史過程を問う『通時的研究』ではなく、言語の内的構造や他言語との比較を研究する『共時的研究』が重視され、ソシュールは『シニフィエ(意味されるもの)・シニフィアン(意味するもの)』という人類の言語すべてに共通する構造を抽出しました。

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2007年10月24日

[更生保護(社会内処遇)と更生保護カウンセリング(rehabilitation counseling for offenders)]

更生保護(社会内処遇)と更生保護カウンセリング(rehabilitation counseling for offenders)

行政が実施する『更生保護』というのは、法を犯した犯罪者(受刑者)や反社会的な行為をした非行者の社会復帰を促進する取り組みであり、道徳的な悪性や法的な問題を的確に認識させて該当者の更生を実現しようとするものである。2007年6月8日に、犯罪者予防更生法と執行猶予者保護観察法を実質的に統合する『更生保護法』が成立して、受刑者の社会復帰支援と保護観察(再犯抑止)の法的な再整備が進められました。

更生保護行政の社会防衛上の課題は、何らかの犯罪や非行を犯した仮釈放者や保護観察対象者の再犯を抑止することにあります。そして、二度と同じ過ちや犯行を繰り返さないように更生させ、新たな社会生活への適応と復帰を支援していくことになります。更生保護は主に保護観察を中心とする『社会内処遇(刑務所や少年院などの隔離施設ではない一般社会内での処遇)』によって行われますが、更生保護法の成立によって保護観察時に対象者が守るべき『一般遵守事項』『特別遵守事項』が法制化されました。

自由な社会環境の中で、受刑者(仮釈放者)・非行者(仮退院者)・執行猶予者の更生と社会復帰を目指すのが『保護観察』である。保護観察は通常、保護観察所という機関によって行われるが、保護観察所には常勤職員の保護観察官とボランティアの保護司がいる。また、仮釈放者や仮退院者、執行猶予者などを家族が責任もって受け容れてくれないケースでは、更生緊急保護法を根拠として法務大臣が認可した民間施設の更生保護会で対象者を処遇(保護観察)することになる。安心して帰れる場所のない仮釈放者や執行猶予者などを受け容れるのが更生保護会である。更生保護会では、最低限の衣食住の面倒を見ながら社会復帰や更生のための親身な相談(カウンセリング)を行い、本人が再び道を逸れないようにきちんとした就職の支援をしていく。

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2007年09月22日

[構成的グループエンカウンター(structured group encounter)と学校教育への応用]

構成的グループエンカウンター(structured group encounter)と学校教育への応用

集団教育や自己開発として実施されるエンカウンター(出会い)には、大きく分けて構成的グループエンカウンター(structured group encounter)非構成的グループエンカウンター(non-structured group encounter)とがある。複数の人間が一つの場所に集まって自己開示と他者受容(フィードバック)を行うグループエンカウンター(集団療法)の目的は、『袖触れ合うも他生の縁』とでもいうような“リレーション作り(関係性の拡大)”『他人に話して自己を知る』とでもいうような“自己理解の深化”である。

グループエンカウンターは、集団精神療法としても応用できるが、その場合には自分以外にも同じような悩みや困難を抱えている仲間がいるという“バディ効果”と日常生活の中で他人に話せない自分の内面を自己開示・感情表現できるという“カタルシス効果(感情浄化効果)”が期待されている。集団教育的なグループエンカウンターでは、『自己の成長』と『能力の開発』、『人間関係のネットワークの拡大』が目指されることになるが、集団教育と集団療法に共通する要素は“アウェアネス効果(気づきの効果)”である。

いろいろな個性や能力、価値観を持つ他人と自由にふれあうこと、心と心の本音の交流をすることがグループエンカウンターの最大の特徴であり、他人と自己との共通点に気づき、更に他人と自己との差異にも気づくことになる。多種多様な個性を持つ他人との自己開示の中で、『本当の自分の感情や目標とは何なのか?』という自己理解が深まっていくのである。

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2007年09月21日

[構成主義(constructivism)と構成主義の心理療法への応用可能性]

構成主義(constructivism)と構成主義の心理療法への応用可能性

『構成主義とは何か?』ということを単一の説明や用語で説明することは難しいが、構成主義(constructivism)とは『人間的な認知(思考)・行動・判断』が社会的な現実や一般的な真理(事実)をつくり上げていくという立場を意味している。構成主義(constructivism)は、客観的な真理(イデア)や正義が人間の営為から独立して存在するというプラトニズム(実在論)や論理実証主義を否定し、善悪の判断基準が神によって与えられるという一神教的な発想を反駁するものである。この世界には人間の心理や行動とは無関係な『所与の真理(実在)』は存在しないというのが構成主義の前提であり、構成主義のスタンスでは現実や真理とは『人間の心理や行動がつくりだしていくもの』であり時代や状況によって現実(真理)が変化するという意味で価値相対主義(文化多元主義)との関連性も指摘される。

もっとも広義の意味で構成主義を定義するならば、『この世界にある常識・現実・是非を、人間の営為が組み立てていくという考え方』ということになり、『所与の真理・自明の常識・固定的な現実』などを反駁する思想的立場を意味する。構成主義の考え方は、心理学・社会学・教育学・政治学・経済学・文化人類学などさまざまな学術分野へと応用されている。『教育学における構成主義』とは、子ども達が既に持っている概念や知識を利用しながら段階的に新しい学習内容を教えていくという実践的な教育方法のことであり、『今、持っている子どもの認知的リソース』を組み立てて『新しい知見・知識・理論』を身に付けていくというものである。

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[高脂血症(hyperlipemia)と動脈硬化のリスク]

高脂血症(hyperlipemia)と動脈硬化のリスク

高血圧と肥満が生活習慣病のリスクファクターになるという話を『高血圧(hypertension)とメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)』の記事でしたが、心臓からの血流の圧力が高まる高血圧は『血管への損傷(ダメージ)』につながるので虚血性心疾患のリスクが高まるのである。以前は、『肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病』の生活習慣病をまとめて『死の四重奏』『シンドロームX』『インシュリン抵抗症候群』などと呼んでいたが、最近では、内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を合併したリスクの高い状態を『メタボリック・シンドローム(metabolic syndrome)』と定義している。メタボリック・シンドロームは、正式な医学的診断名ではないが、致命的な生活習慣病(心疾患・糖尿病・脳卒中)のリスクを高めるという意味でメタボリック・シンドロームの段階的な解消が医学的・医療行政的な課題になってきている。

メタボリック・シンドロームを構成する病的指標の一つが『高脂血症(hyperlipemia)』であり、高脂血症とは血漿中の脂質が正常値以上に増えている状態のことである。血漿中の脂質の正常値は、『コレステロール130-250mg/dl,中性脂肪(トリグリセリド)70-140mg/dl,リン脂質150-230mg/dl,遊離脂肪酸10-15mg/dl』であり、遊離脂肪酸以外の脂質はリボタンパクの形で血液中に存在しているが、生活習慣病のリスクとなるのはコレステロールと中性脂肪である。

コレステロールが多すぎる状態を『高コレステロール血症』といい、中性脂肪が多すぎる状態を『高中性脂肪血症』というが、両方が多くなっている『高コレステロール・高中性脂肪血症』もある。高脂血症には痛みや違和感などの自覚症状がないので、高脂血症の有無や重症度を調べるためには医学的な血液検査を行わなければならない。

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[外向性・内向性の向性検査(introversion-extroversion test)][交差文化的研究(cross cultural study)]

外向性・内向性の向性検査(introversion-extroversion test)

ユング心理学では人間の性格の基本的態度を大きく『外向性(extroversion)のタイプ』『内向性(introversion)のタイプ』とに分けて考えるが、それぞれの性格タイプの特徴と差異については『ユングのタイプ論における外向性と内向性』の記事を参照して貰いたい。『外向性・内向性』は、大まかな人生の指針や対人的な態度、行動パターンを規定するものであり、生命の根源的エネルギーであるリビドーが自己の外部に向かっているものを『外向型性格』といい、自己の内面に向かっているものを『内向型性格』という。

もっと分かりやすく言えば、その人の興味関心のベクトルや価値観の基準が、『自分の外部(社会・世間・他人)』に向けられていれば外向性の性格であり、『自分の内面(思想信念・知識・嗜好)』に向けられていれば内向性の性格である。外向性の人の行動原理は、『他人の評価・外部の報酬(利益)・社会での地位名声』などによって大きく規定されてくるので、自分の主体性や思想性には欠けるが他人との社交性や社会的な適応性(協調性)には優れている。反対に、内向性に人の行動原理は、『自分の思想・特定の信念・感覚的な嗜好』などによって大きく規定されてくるので、自分の世界観や思想体系はしっかりとしているが、他人との協調性(社会適応性)や社会参加への動機づけなどに問題が起こりやすい。

ある人が、社会(他者)への関心が強い外向型性格であるか、自分(内面)への関心が強い内向型性格であるかということを理解することで、その人の行動パターンや価値基準を大まかに理解することができる。その為、カウンセリングや心理療法などの心理臨床活動では、クライアントの向性(外向性・内向性)の度合いを測定するために、向性指数(version quotient)を出すための「質問紙の向性検査」を行うことがある。

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[膠原病(diffuse collagen disease)・結合組織病]

膠原病(diffuse collagen disease)・結合組織病

膠原病(diffuse collagen disease)とは、元々、結合組織のコラーゲン(膠)のフィブリノイド変性(好酸性と屈折性を示す組織の変性)によって起こる炎症性疾患の総称であったが、現在では、リウマチのような自己免疫疾患の総称として用いられている。膠原病は結合組織病とも言われるが、『免疫機能の異常』によって大量に産生された抗体が、『自分自身の関節・筋肉・内臓器官・皮膚・粘膜』を攻撃して強い炎症を引き起こす病気である。膠原病(結合組織病)は、免疫機能の過剰な暴走によって激しい炎症や症状を引き起こすという意味で、アレルギー性疾患との類似性があるが、膠原病の場合には特定のアレルゲン(刺激物質)に対する反応として症状が発症するわけではない。

膠原病の症状形成機序については現在でも不明な点が多く、特別な理由がなくても原発的(内因的)に発症して、『筋肉の腫れ・皮膚の炎症・関節の変形(ダメージ)・発熱と疲労倦怠感・レイノー現象(手足のしびれとチアノーゼ)』などの症状が慢性化するつらい病気である。本来、外界から体内に入ってくる『異物(ウイルスや細菌など病原体)』を排除するための抗体(免疫複合体)の働きや産生に異常が起きて、『自分自身の組織や器官』を攻撃して破壊してしまう病気と考えると分かりやすい。膠原病にも軽症のものから重症のものまで非常に幅広い段階(レベル)があるが、完治させる医学的治療法が確立されていないという意味で、成人型アトピー性皮膚炎や気管支喘息・慢性鼻炎に似た慢性の経過を辿ることが多い。

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2007年09月10日

[免疫機能と抗原抗体反応:抗体の過剰産生とアレルギー性疾患]

免疫機能と抗原抗体反応

人間を含む生物全般は、外部からの危険に対処する生理学的な自己防衛機制として『生体防御』を持っているが、生体防御には『先天的生体防御』『後天的生体防御』とがある。『自己』と『非自己』を区別して身体を守る免疫は、産まれてから後の細菌・ウイルスとの接触によって機能し始めるので後天的生体防御に分類される。先天的生体防御には、皮膚や内臓構造などの物理的防御、咳やくしゃみ、嘔吐などの反射的防御があり、血小板による血液凝固作用や白血球の食作用なども先天的な防御機構である。

免疫とは、簡単に言えば感染症に対する防御機能であり、細菌やウイルスなどの『非自己(異物)の感染物質』から人間を守ってくれるものである。免疫とは自己の身体生理に属する『自己』と自己の身体を損傷して病気を引き起こす『非自己(異物)』とを区別して、非自己の細菌やウイルスを撃退(不活性化・殺傷)する機能と言える。人間が自然界に存在するさまざまな細菌やウイルスに感染しないで済むのは免疫のお陰であり、免疫は一般に『抗原抗体反応』によって実現する。

『抗原(antigen)』とは、身体にとって異物(非自己)となるタンパク質のことであり、病原体である細菌やウイルスも抗原となる。身体に抗原のタンパク質が侵入すると、その抗原の抗原決定基に特異的に反応する『抗体(antibody)』が産生される。身体に侵入した抗原(病原体のタンパク質)に対して、(抗原の活動を阻止し殺傷する)特異的な抗体が作られることを『抗原抗体反応』といい、人間は抗原抗体反応によって感染症を防ぐ免疫機能を発揮している。

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ラベル:医学 病気 生理学
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[人間はなぜ、攻撃性(aggressiveness)や怒り(anger)を感じるのか?・フラストレーション−攻撃仮説]

人間はなぜ、攻撃性(aggressiveness)や怒りを感じるのか?・フラストレーション−攻撃仮説

心理学における攻撃性(aggressiveness)とは、破壊衝動や怒り・恐怖の情動が外面的に表現されたものであり、『他者否定の欲求』『自己否定の認知』の矛盾する欲求(認知)が含まれるものである。攻撃性を発動する究極的な目標は『自己防衛的(プライド保護的)あるいは他者否定的な欲求の実現』であり、その背景には何らかの満たされないフラストレーション(欲求不満)の高まりがある。心理学者のJ.ダラード(J.Dollard)は、『フラストレーション−攻撃仮説(欲求不満−攻撃仮説)』を提示して、人間は『他者・自己・社会に対する欲求』が満たされなければ満たされないほど、自尊心(自己肯定感)が傷つきイライラとして攻撃的になることを示した。

S.フロイトやメラニー・クラインなどの精神分析理論(自我心理学・対象関係論)によると、『死の本能(タナトス)』に基づく破壊衝動や攻撃衝動は本能的なものであるが、文化的な環境や両親からのしつけ、教育的な指導によって破壊衝動(攻撃衝動)は適度なレベルへ調整されていく。あるいは、危険な破壊衝動や攻撃欲求は、建設的な行動や適応的な感情へと昇華・転換されていき、『他者に対する暴力・社会に対する攻撃』のような反社会的行動を見せる人は減っていくようになる。しかし、破壊衝動の現れとしての『怒りの情動』は、人間にとって遺伝的な基盤を持つ本能的な情動であり、自己防衛を目的として『怒りの情動』が生起してくることがある。

人間がどんな時に『怒りの情動』と相関した攻撃性を発現するのかを考えてみると、大きく以下の6つのケースに分類することができるが、最も本質的な怒りと攻撃性の原因はやはり6番目に掲げた『生存欲求を含む自分のさまざまな欲求の充足が阻害されているフラストレーション状況』だろう。産業構造や評価システムが複雑化した文明社会では特に、他人や社会から自分の有能性や魅力、存在価値が認められない時に『承認欲求のフラストレーション』が起こりやすい。

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[学習理論の高原現象(plateau phenomenon)]

学習理論の高原現象(plateau phenomenon)

知識学習や技術学習をする時に、その上達の程度を示す学習曲線は一直線に伸びていくわけではなく、何処かの時点で停滞して上達のスピードが落ちることがある。学習時間をどれだけ延長しても学習効果が殆ど上がらなくなる現象を『高原現象(plateau phenomenon)』というが、その名前の由来は「上達が停滞した学習曲線の平坦な部分」が高原(plateau=プラトー)のように見えるからである。高原現象は『一つの課題』を連続してやり過ぎたり、『身体的疲労』が蓄積し過ぎたり、『精神的ストレス』が強まりすぎたりすることで起こってくるもので、生得的な知能指数の高低は殆ど影響しないとされる。

学習効果が停滞して伸び悩みの状態に陥る高原現象は、心理臨床分野でも行動療法の課題や認知療法のワークシートなどで見られることがある。教師・医師・カウンセラーなど人間の成長や回復を目指す『継続的な学習行動』に関わる人たちは、生徒・患者・クライアントの学習効率を高めるという意味で『高原現象の改善や回避』に意識的でなければならない。高原現象が起きる原因とその対策についてまとめると以下の5つに絞り込むことができるが、連続して長時間同じ課題に取り組めば誰でも必然的に高原現象を呈するようになってしまう。

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2007年08月28日

[高血圧(hypertension)とメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)]

高血圧(hypertension)とメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)

高血圧(hypertension)とは、血圧が正常範囲(平均的な血圧)を越えて高くなっている状態で、糖尿病や高脂血症、肥満と並ぶ生活習慣病の一種である。一般的には、最大血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最小血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上で高血圧と診断され、160mmHg以上で中等度の高血圧、180mmHg以上で重症の高血圧と判定されている。生活習慣病である高血圧には通常自覚症状が殆ど見られないが、心疾患や糖尿病、血管障害などが発症してから初めて高血圧に気づくケースもある。

高血圧は、虚血性心疾患や脳卒中(脳血管障害)、腎疾患のリスクファクター(危険因子)であり、慢性的な高血圧はできるだけ早く治療をしたり生活習慣を改善したりして下げたほうが健康に良い。日本人の理想的な血圧値は、最高血圧120mmHg〜140mmHgであるとされるが、最近は食生活の欧米化や運動不足の増加によって高血圧の症状を持っている人が増えている傾向にある。特に、高血圧とメタボリックシンドロームが合併すると、致命的な虚血性心疾患のリスクが飛躍的に高くなるとされるが、メタボリックシンドロームの対策として『今までしていなかった急激な運動』をすると心筋梗塞や冠動脈の閉塞による突然死のリスクがあるとも言われる。

そのため、肥満や高血圧が一定のレベルを越えていて、生活習慣病の状態が顕著である場合には、医師の観察と指導を受けながら段階的に身体への負荷を高めていく『系統的な運動療法』をしたほうが安全である。『早く痩せなければならない。急いで内臓脂肪を減らさなければならない』という痩せ願望が高まると、今すぐに激しい運動をしたいという焦燥感や衝動が生まれてくるが、『ゆっくりと身体への負荷を強めていくこと』『心臓に配慮して絶対に無理をしないこと』が運動療法では重要である。

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ラベル:医学 身体 病気
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[交感神経(sympathetic nerves)・副交感神経(parasympathetic nerves)からなる自律神経系]

交感神経(sympathetic nerves)・副交感神経(parasympathetic nerves)からなる自律神経系:中枢神経系と末梢神経系

人間の神経系は、脳(大脳・小脳・脳幹)・脊髄から成り立つ『中枢神経系』と身体各部に伸びている繊維状の『末梢神経系』とに分類することが出来る。中枢神経系は、主に脳や脳幹といった『塊状の器官』から構成されるものであり、末梢神経系は、脳・脊髄から身体各部へと伸びている『繊維状(ひも状)の神経』の情報伝達経路のことを指している。中枢神経系の脳と脊髄から末梢神経系の神経線維は伸びているのであり、それぞれ『脳神経』『脊髄神経』と呼ばれている。

末梢神経系を機能的側面に注目して分類すると、動物性神経とも呼ばれる『体性神経系』と植物性神経とも呼ばれる『自律神経系』とに分類することが可能である。体性神経系とは『外部環境との情報のやり取り』をしている神経系で、自分の意志・判断・思考によって行動・反応を調節できる『随意性神経(動物性神経)』としての特徴を持っている。体性神経系とは、簡単に言えば外部の事物や現象を知覚して理解する働きをする神経であり、知覚(認識)した情報を元にして思考(判断)し、適切な行動や発言をする神経のことである。体性神経系は更に、外部の知覚情報(知覚信号)を感覚器(受容器)から中枢神経系(脳・脊髄)に伝達する『感覚神経(求心性神経)』と、中枢神経系の命令情報(運動信号)を身体各部に伝達する『運動神経(遠心性神経)』とに分けることが出来る。

自律神経系は、随意的な体性神経系と対照的な働きをする不随意的な神経系(自分の意志でコントロールできない神経系)であり、『体内のホメオスタシス(生体恒常性)』を一定に維持して外部環境に適応するという重要な役割を担っている。自律神経系は、「身体各部の興奮・促進・活動」の方向に作用する『交感神経系』「身体各部の鎮静・抑制・制止」の方向に作用する『副交感神経系』から成り立っており、両者の適切なバランスが崩れるとさまざまな身体症状や精神症状が現れる『自律神経失調症』が発症することになる。植物性(不随意性)の自律神経系の適度なバランスによって、生体のホメオスタシス(恒常性)が維持され内部環境が適応的に調整されることになる。

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ラベル:医学 健康 生理学
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2007年08月27日

[光化学スモッグ(photochemical smog)]

光化学スモッグ(photochemical smog)

福岡県など九州地方北部では、『世界の工場』として製造業で発展している中国大陸から光化学スモッグが流れてくることがある。5月から9月の時期に、『光化学スモッグ注意報・警報』が地方自治体から発令されることがあるが、大気汚染の主要因となる光化学スモッグは人体や生態系に対して有害な作用を持っている。光化学スモッグ(photochemical smog)とは、オキシダント・窒素化合物・アルデヒド類・硫酸や硝酸などの浮遊微粒子を含む有害なスモッグ(煙霧)のことである。光化学スモッグのオキシダントとはオゾンを主成分とする酸化物質のことであり、『窒素化合物・炭化水素』に紫外線が照射される光化学反応によって発生する。

光化学スモッグは『大気汚染に対する公害対策』が十分でない工場地帯や自動車の渋滞区域において発生するものであり、『自動車の排気ガス・工場の排煙・石油燃料や化学物質の大量消費』などの大気汚染物質が太陽光線を受けることで発生する。汚染物質に含まれる窒素化合物や炭化水素が、「太陽光線の紫外線」を浴びることで光化学反応を起こして、オキシダントやアルデヒド類、エアロゾルなどの有害な物質が発生するが、これが光化学スモッグである。

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ラベル:医学 環境
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2007年08月14日

[うつ病症状に対応する抗うつ薬(antidepressant)]

うつ病症状に対応する抗うつ薬(antidepressant)

うつ病の精神症状を改善するために精神科医(心療内科医)が処方するのが「抗うつ薬(antidepressant)」であり、現在では、精神療法(カウンセリング)と薬物療法の併用が精神医学的なうつ病治療の標準になっている。抗うつ薬の適応症になるのは、主に精神運動抑制(憂鬱感・抑うつ感・意欲低下)と希死念慮などを示す「うつ病(気分障害, depression or mood disorder)」であるが、うつ病以外の不安障害や適応障害、ストレス障害(PTSD)、摂食障害、境界性人格障害(境界例)などの不安定な精神症状に対して処方されることもある。

抗うつ薬は、以下のような精神運動(活発性)を抑制するうつ病の主要症状に効果があり、うつ病の生物学的原因である「神経伝達物質(情報伝達物質)の不足」に化学的(薬理的)に作用すると考えられている。神経心理学的なモノアミン仮説によると、抑うつ感や無気力、希死念慮などを生じるうつ病の神経活動の抑制は「セロトニン系(エピネフリン系やノルアドレナリン系の情報伝達過程の障害」であり、ニューロンのシナプス間隙にあるセロトニンやノルアドレナリンの分量が不足することでうつ病が発症するとされている。

うつ病だけでなく、全般性不安障害や強迫性障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、解離性障害などでもセロトニン系やノルアドレナリン系の分泌障害・伝達障害があると仮定されているので、重篤度の高い精神障害の場合には、脳内の情報伝達物質を調整するメジャートランキライザー(向精神薬)が有効なケースが多く、睡眠障害の症例に限って言えば、心理療法よりもマイナートランキライザー(睡眠導入剤)による薬物療法が効果的である。

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[精神分析のリビドー発達論と口愛期性格(oral character)]

精神分析のリビドー発達論と口愛期性格(oral character)

S.フロイトの精神分析学の精神発達論は、心のエネルギーの仮想概念である“リビドー(libido, 性的欲動)”を前提としており、リビドー発達論と性格論が密接に結びついている。リビドーとは、人間の精神活動や行動意欲を規定する「心的エネルギー」であり、無意識領域の本能的欲求にも備給されている。リビドーは、客観的に観察可能な科学的概念ではなく、人間の精神の機能や発達を合理的に説明するための仮想概念である。リビドーは性的欲動や性的エネルギーと翻訳されるが、それは精神分析学では人間の行動や意欲の源泉が「性的本能(エス)」にあると考えられているからであり、リビドーが直接的に異性(同性)に対する性欲を意味しているわけではない。また、リビドーには生体恒常性(ホメオスタシス)のバランスを取るという生物学的な機能が前提されている。

精神分析学のリビドー発達論には、以下のような発達段階(developmental stage)があるが、それらはリビドーが向けられる身体部位によって規定されている。リビドー(性的欲動)が向けられる部位とは、端的に言うと、「感覚的な快」を感じる部位のことであるが、「(無意識的な)感覚的な快」「(意識的な)性的な快楽」とは異なるので注意が必要である。俗説で言われる幼児性欲は、乳幼児でも性的な快楽への欲求(性への意識的な関心・欲求)を持っているという意味合いを帯びているが、リビドー発達論を理論的背景におく「幼児性欲」とは、「物理的(感覚的)な刺激による快感」への無意識的な指向性のことに過ぎず、意識的なエロティシズムを含むものではない。

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[精神分析学のコア・アイデンティティ(core identity)と「青年期のアイデンティティ拡散・中年期の心理的危機」]

精神分析学のコア・アイデンティティ(core identity)と「青年期のアイデンティティ拡散・中年期の心理的危機」

「私は何ものであるのか?」という疑問に応える自己アイデンティティ(自己同一性)は、乳幼児期から青年期の過程で段階的に形成されるが、青年期で就職や結婚を経験したからといって自己アイデンティティが最終的な完成(固定化)に至るというわけではない。分析心理学の創始者C.G.ユング(1875-1961)「人生の正午」と呼んだ「中年期(壮年期)」にも、それまでに築いてきた自己アイデンティティの拡散が見られ「人生の方向転換」に基づく「自己アイデンティティの再構築」が必要になってくる。何故、人生の最盛期であり最も安定した社会的地位に就きやすい中年期(壮年期)において、「自己アイデンティティの危機(人生の意味に対する危機)」が生じやすいのだろうか。

それは、自己アイデンティティには「社会的アイデンティティ(自分の社会的役割や職務についての自己同一性)」「実存的アイデンティティ(自分は自分以外の何ものにもなれない唯一無二の有限な存在であるという自己同一性)」の二つがあり、実存的アイデンティティは「自分の体力・余命・家族関係・人間関係」などに大きく影響されるからである。40代以上の中年期(壮年期)の発達段階では、「体力・知力・精神力の絶頂期(正午)」を過ぎてしまったという自己認識が強くなり、「人生の下り坂(衰退過程)」を強くイメージしてしまう人ほど自己アイデンティティの拡散(危機)を感じやすくなってしまう。また、子どもが大きく成長して親との会話が少なくなったり、夫婦間の強い情愛関係に変化が生じたりしやすい時期でもあり、「情緒的関係(親密な家族愛)からの孤立感・疎外感」を感じてしまうと、「自分を本当に必要としてくれる人などいるのだろうか?」という実存的な不安感や寂しさに襲われるのである。

幼児期から青年期の過程では自分の社会的な自己認識(位置づけ)にまつわる「社会的アイデンティティの確立」が非常に重要な発達課題となるが、社会的アイデンティティがある程度確立した青年期以降の中年期(壮年期)・初老期・老年期などの発達過程では、「実存的アイデンティティの再構築(再調整)」を必要に応じて実行していかなければならない。社会的アイデンティティと実存的アイデンティティの根本的基礎にある自我同一性(自己同一性)のことを「コア・アイデンティティ(core identity, 中核的同一性)」と呼び、精神分析学(自我心理学・対象関係論)ではコア・アイデンティティはエディプス期(4〜5歳ころ)以前の乳幼児期(0〜3歳ころ)の発達段階で形成されると考えている。

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2007年02月23日

[交流分析(Transactional Analysis)の人生脚本に作用する「禁止令(injunctions)」とアダルトチルドレンの問題]

交流分析(Transactional Analysis)の人生脚本に作用する「禁止令(injunctions)」とアダルトチルドレンの問題

人々が知らず知らずのうちに演じてしまう人生プランとしての『人生脚本(Life Script)』の内容には、幼少期に親から意識的(無意識的)に与えられてきた禁止令(injunctions)が大きく影響している。人生における基本的な行動パターンや問題対処行動を決定する『人生脚本』には、『自分は何者であるのか?』『自分はなぜ、このような行動パターンを取るのか?』『自分はどのような人生の選択をすべきなのか?』について大まかな解答が書き込まれていることが多く、人生脚本を分析することによって『自分がどう生きていくべきなのか』についての指針や示唆を得ることができる。

子供が子供らしい自由で安全な家庭環境で過ごせずに大人になると、精神障害や環境不適応、人間関係の問題を発症しやすいアダルトチルドレン(Adult Children)のアイデンティティを獲得してしまう場合がある。子供時代に『子供に必要な愛情・保護・安心』を得られないままに大人になった人で、精神的な苦悩や生きづらさを抱えている人をアダルトチルドレンというが、アダルトチルドレンの発生には交流分析(TA)でいう『禁止令(injunctions)』が深く関係している。

交流分析の禁止令(injunctions)とは、精神的ストレスを強く感じている情緒不安定な親(フラストレーションが強くて攻撃的になっている親)が、意識的・無意識的に子供に与える『不合理(理不尽)な禁止規則』のことである。エゴグラムでいうと、親の『子供(FC)の自我状態』が子供の『子供(FC)の自我状態』に与える悪意に満ちた不合理な禁止規則のことであり、エリック・バーンは子供の人生に破滅的な悪影響を与える禁止令(injunctions)のことを『魔女の呪い』と呼んで警戒した。

現代の日本で増加傾向にある児童虐待の問題の背景にも、『自分が悪い子だから、自分は厳しく親から罰せられるのだ』という禁止令が作用していることが多い。禁止令は明確な言語的メッセージによって伝えられるよりも、非言語的な態度・表情・仕種(ジェスチャー)で無意識的に伝えられることが多い。

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2007年01月22日

[A.W.コームズ(A.W.Combs)の開放系心理学(open system psychologies)]

A.W.コームズ(A.W.Combs)の開放系心理学(open system psychologies)

アメリカの心理学者A.W.コームズ(A.W.Combs)は、対人援助技術や援助的な人間関係に着目して、心理学の調査研究法を『開放系心理学(open system psychologies)』『閉鎖系心理学(close system psychologies)』とに大きく分類した。『あなたはどんな音楽を聴きますか?あなたはその人間関係をどのように感じていますか?』といった相手が自由に答えられる質問を、カウンセリングでは『開いた質問(opened question)』という。それに対して『あなたは学生ですか?・あなたは東京出身ですか?』といった「はい・いいえ」で答えなければならない質問を、カウンセリングでは『閉じた質問(closed question)』という。

A.W.コームズ(A.W.Combs)が提案した開放系心理学とは、カウンセリングの『開いた質問』と同じように、自由度が高く特定の目標が定義されていない心理学のことである。開放系心理学は、科学的な研究法・実践法の分類では『探索的研究法・発見的研究法』に分類されることがあるが、基本的に、特定の問題を解決していくような問題解決志向(目標達成志向)ではなく、新たな事例や現象を見つけるという意味で『発見志向(探索志向)の心理学』である。

科学的な研究方法に基づく検証実験に縛られない開放系心理学(open system psychologies)の特徴は、『新しい事例の発見志向・目標を特定しないプロセス志向・心理面接の自由度(非構造化面接)の重視』などで表現されることがある。それに対して、閉鎖系心理学(closed system psychologies)は、開放系心理学と比較すると科学的研究法を重視した心理学であり、『仮説演繹法・帰納推測法を用いた検証可能性』『明確な目標達成志向(法則定立志向)』によって成り立っている心理学分野である。

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