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2013年09月28日

[ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):4]

ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):4

J.P.サルトルは第二次世界大戦で兵役に召集されてドイツ軍の捕虜にもなったが、身体障害証明の偽造に成功して、1941年に収容所から解放されることになった。サルトルの哲学的な功績とされる主著の『存在と無』は1943年に出版されたが、その副題である『現象学的存在論の試み』からはエドムンド・フッサールの現象学の影響を伺い知ることができる。サルトルの実存主義の思想哲学は、フッサールの現象学だけではなく、ジークムント・フロイトの精神分析学、マルティン・ハイデガーの実存主義哲学の影響を受けている。

1945年には、世界大戦や政治思想への関心の高まりから、シモーヌ・ド・ボーヴォワールやメルロー=ポンティらと共に思想哲学(現代思想)や政治論評を取り扱う雑誌『レ・タン・モデルヌ』を発行した。1950年以降になると、資本主義に対して批判的となりソ連のマルクス=レーニン主義への傾倒を強めていくが、マルクス主義に対して否定的なアルベール・カミュやモーリス・メルロ=ポンティとは訣別することになってしまった。

1960年には、サルトルは妻のボーヴォワールと共に、キューバ革命をゲリラ活動で支援したチェ・ゲバラと会談しており、チェ・ゲバラの『世界革命路線・人民解放のゲリラ戦線』の構想に対してサルトルは支持の意思を示した。

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[ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):3]

ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):3

サルトルが定義した『本質に先立つ実存』というのは、世界に対峙する自我がその自我意識を絶えず超越しようとする志向性のことであり、自分で自分の未来を選択し決断していくという意識的存在のことでもある。サルトルは対自的な存在である人間について、『人間とは彼が自ら創りあげるものに他ならない』と定義して、自由な選択に対する責任を引き受けた上で、人間は自分の本質を自分自身で創造することが義務づけられているのだと主張した。

サルトルに言わせれば、『人間は自由に呪われている』のであり、神(宗教)も権力も他人も『自由な人間がどのように生きるべきかの意味・価値』を教えてくれるわけではなく、対自存在としての自分の存在の意味・価値を知るためには政治活動や社会運営、人間関係にアンガージュマン(参加)していかなければならないのである。

しかし人間は自分で選択したわけでなくても、既に自意識が芽生えた時には世界に投企されて投げ出されており、更に状況や他人との関係性に拘束されてしまっている。他人から自分を何者かとして見られることによって、『私の自己同一性』が他律的で持続的なものになってしまう。その意味で他者のまなざしや評価は、私を自分で自分が何者であるかを考えて決める『対自存在』から他人が自分について何者であるかの本質を決めてしまう『即自存在』に変えてしまうのだが、サルトルはこの自意識に対する他者の支配性・影響力について『地獄とは他人である』という格言めいた言葉を残している。

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[ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):2]

ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):2

教員資格を取得したサルトルは、1931年から高等中学校で哲学を教える教師として働き始めたが、次第に『現象学』という哲学分野を創始したエドムンド・フッサールの先入観に囚われない意識と世界についての考え方に魅了されるようになる。ベルリンに留学してフッサールの教えを受けたりもしているが、サルトルはフッサール以外にもG.W.F.ヘーゲルやマルティン・ハイデガーに思想的な影響を受けている。

思想的に物事や世界を考える作家としての名声を高めるきっかけになったのが、1938年に発表した小説『嘔吐』である。『嘔吐』では30歳の研究者アントワーヌ・ロカンタンを主人公にして、彼が今までの人生のエピソードを回顧しながらそのあまりの無意味さ・空虚さに吐き気を覚えるというストーリーを展開して、『存在の意味』を希求せずにはいられない人間の実存形式について訴えかける作品になっている。

『自我及び人生の意味を定義する能力』が失われた現代人の苦悩がそこにはあり、『理性的・精神的な自由』が侵害され続けている現状に強い憤りを覚えているロカンタンの姿がそこにある。『あらゆる存在(自分含む存在)から滲み出る意味の希求』に対する嫌悪が物語的に示されており、ロカンタンが体験した吐き気と狂気はそこら辺りに実存する物が『無』ではなく『何者かであろうとする性質』を持っているように感じられることに由来していたのであった。

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[ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):1]

ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre)と実存主義(existentialism):1

ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre,1905-1980)はフランスの哲学者・作家であり、20世紀の個人の意識のあり方と個人と社会との関わりを存在論として貫徹する『実存主義(existentialism)』の唱導者であった。J.P.サルトルが自分の講演『実存主義はヒューマニズムであるか(1945年)』で提起した『実存は本質に先立つ』というフレーズは、1950〜1960年代には人口に膾炙していた。

サルトルは『本質(所与の意味・価値・特徴)』よりも『実存(現時点のあるがままの偶有の存在とその決断による変化)』を重視した。女性の解放や従来のジェンダーに束縛されない新たな性を模索したフランスのフェミニストのシモーヌ・ド・ボーヴォワール(Simone Lucie-Ernestine-Marie-Bertrand de Beauvoir, 1908-1986)は、サルトルの『内縁の妻(法律婚に規定されない個人の自由な契約結婚の相手)』である。

シモーヌ・ド・ボーヴォワールのフェミニスト宣言として知られている『人は女に生まれるのではない、女になるのだ』という言葉は、内縁・契約結婚の夫であるサルトルの『実存は本質に先立つ(女性らしさという本質が前もってあるのではない、今そこにある自分の実存があるだけに過ぎないのだという考え方)』を下敷きにした思想の発露でもあった。

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2013年09月18日

[ルイス・L・サーストン(Louis Leon Thurstone, 1887-1955)]

ルイス・L・サーストン(Louis Leon Thurstone, 1887-1955)

ルイス・L・サーストン(Louis Leon Thurstone, 1887-1955) はアメリカの心理学者であり、初め数学・工学などの理数系の学問を大学で学んだ後、心理学の知能研究分野の『量的研究』に精力的に取り組んだ。ルイス・L・サーストンは心理学研究の分野に初めて数学的な方法論を導入した心理学者とも言われており、シカゴ大学で教授を勤めていた間に『因子分析法』『尺度構成法』などの理論を考案して実用化するなどの功績を上げている。

サーストン以前の性格心理学では、性格傾向を代表的あるいは典型的なタイプ(型)に分けてそれに人間を当てはめる『類型論(タイプ論)』が主流であったが、サーストンは人間の性格構造や知能が単一の因子ではなく複数の因子によって構成されているという『多因子説』を提示して、『因子分析』に基づく性格理論などを普及させていった。

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2013年08月06日

[ヴァージニア・サティア(Virginia Satir):2]

ヴァージニア・サティア(Virginia Satir):2

ヴァージニア・サティアはクライエントの自分の発言が自分の実際の心理状態を規定するという『自己再帰的な意識』に着目していて、クライエントの気持ちを心的プロセスとして捉えることを促進する以下の4つの質問カテゴリーを開発した。サティアは『静態的・固定的な心理状態の表現』ではなく『動態的・可変的な心理状態の表現』を導き出すために質問を行っており、『その感情・気持ちをどのようなプロセスとして感じているか?』という部分に焦点を合わせている。

1.How do I feel about myself? (self-esteem)=自分自身をどのように感じていますか(自己評価)

2.How do I get my meaning across to others? (communication)=他人の反応を通して、自分の存在する意味をどのように感じ取っていますか?(コミュニケーション)

3.How do I treat my feelings?(rules)=自分の感情(気分)をどのように扱っていますか?(ルール)

Do I own them or put them on someone else?=自分の感情(気分)は自分のせいで生まれていますか、それとも他の誰かのせいですか?

Do I act as though I have feeling’s that I do not or as though I don’t have feelings that I really do?=自分が持っている感情をまるでそれが存在しないように扱うか、自分が持っていない感情をまるでそれが存在するかのようにして扱うか?

4.How do I react to doing things that are new and different? (taking risks)=新しいことやいつもと異なることに対して、どのように反応していますか?(リスクの取り方)

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[ヴァージニア・サティア(Virginia Satir):1]

ヴァージニア・サティア(Virginia Satir):1

アメリカの女性心理学者・家族療法家のヴァージニア・サティア(Virginia Satir, 1916〜1988)は、『家族療法の母 (Mother of Family Therapy)』とも呼ばれている人物で、家族療法の創設と発展の歴史に深く関わったことで知られる。

1948年にシカゴ大学で精神保健福祉のソーシャルワークの修士号 (MSW) を取得したことから、サティアは心理学関連のキャリアをスタートさせたが、その後にカール・ロジャーズのクライエント中心療法を学んだりもしている。クライエント中心療法だけでは十分な効果がでないケースも多くあることに気づいたサティアは、家族関係のコミュニケーションの障害が原因で発生する『子どもの非行・不適応・心理的苦悩』に興味を持つようになりその実際的な解決法を模索するようになった。

ヴァージニア・サティア以前のカウンセリング(心理相談)では、子どもの不適応や非行(犯罪)などの心理的問題について、『子どもに悪い部分があるから問題が起こる→子どもだけを治療したり教育したりすれば良い』という問題の捉え方が一般的だった。しかし、サティアは『家族間のコミュニケーション(関わり方)に問題があるから子どもに悪い影響がでている→家族全員でお互いの影響について話し合う対話の場を設けなければならない』という家族療法的な問題の捉え方へとカウンセラーの意識を転換させたのである。

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2010年05月21日

[心理劇(サイコドラマ)のテレとカタルシス]

心理劇(サイコドラマ)のテレとカタルシス

オーストリアの精神科医で精神分析家のヤコブ・レヴィ・モレノ(Jacob Levy Moreno, 1889-1974)は、集団精神療法(グループセラピー)の一種であるサイコドラマ(心理劇)を開発した。サイコドラマ(psychodrama)は、複数のクライアントが真剣に自らの演技にのめり込むことで、『新たな感情・役割・意味の気づき』を得ることを目的にしている。そのため、どれだけ見せ掛けだけの演技を越えた『本音の感情・行動』がサイコドラマに反映されるかによって治療効果が変わってくる。

サイコドラマの形式には『固定の役割を決めた演技』と『役割を決めない自発的な演技』の二つの形式があるが、一般的なサイコドラマではそれぞれのクライアントが自分に割り振られた役割を演じる中で、今まで気づかなかった自己の性格・感情やコミュニケーションのパターンに気づくことを目指す。サイコドラマで最も重要なのは、強制されてやるというのではない『個人の自発性・積極性』であり、自分がその与えられた役割に没頭することで、情動的なカタルシスやポジティブな創造性を得ることができるのである。

サイコドラマでは個人と個人の激しい相互作用が起こりやすいが、そこで生じる強い感情や明確な思考を『リアルな自分の感情・思考』として実感することができれば、実際的な対人関係や社会的状況への適応が良くなってくることもある。サイコドラマの分かりやすい効用は『感情的カタルシス(感情浄化)』であるが、演技で割り振られた人間関係におけるコミュニケーションをアドリブで行ったりすることによって、実践的な対人スキル向上にも役立つことがある。

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2008年03月31日

[H.S.サリヴァンの『現代精神医学の概念』『精神医学は対人関係論である』]

H.S.サリヴァンの『対人関係としての精神医学』『精神医学は対人関係論である』

アメリカの精神科医ハリー・スタック・サリヴァン(H.S.Sullivan, 1892-1949)は、カレン・ホーナイやエーリッヒ・フロム、クララ・トンプソンと並んで新フロイト派(ネオ・フロイディアン)に分類された人物である。H.S.サリヴァンは自分自身の手によって著作を書くことは無かったが、講義録や談話などを編集する形式で『現代精神医学の概念』という書物を生前に発表した。サリヴァンは現象学的な記述主義と遺伝要因に偏った生物学主義を批判して、『精神医学は対人関係論』であるという信念を元に独自の体系的な精神医学・臨床理論を構築した。サリヴァンが精神病理の発症について、対人関係におけるコミュニケーションの影響や既存社会に対する適応性を重視した背景には、彼自身が貧しいアイルランド系の農民の子として生まれたことも関係している。

サリヴァンは自身の生い立ちから、社会的に疎外され適応困難に陥っているマイノリティ(少数派・社会的弱者)への共感性を持っていたので、近代精神医学の確立者であるエミール・クレペリンが説く身体的要因を重視する生物学主義に抵抗感があったのである。クレペリンは早発性痴呆(現在の統合失調症)と躁鬱病(現在の双極性障害)を『二大精神病』として定義し、早発性痴呆の予後は一般に不良で回復(寛解)や治癒は難しいと考えたが、サリバンは自身の臨床体験から対人アプローチを工夫した精神療法によって統合失調症を回復に近づけることが出来ると考えた。その意味で、サリヴァンは宿命論的な精神疾患観を持っておらず、脳神経系の身体要因よりもコミュニケーションや生活状況を中心とした環境要因を重視する傾向を持っていた。サリヴァンは『個人の外部要因(他者との関係性・社会的環境)』によって精神疾患が発症すると考えるが、フロイトの精神分析では『個人の内部要因(リビドーの抑圧・性的発達の停滞)』によって精神疾患が発症すると考えるところに違いがある。

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2008年03月16日

[酸性食品(acid-forming foods)・アルカリ性食品(alkaline foods)]

酸性食品(acid-forming foods)・アルカリ性食品(alkaline foods)

酸性食品(acid-forming foods)とは、食品を完全に燃焼させて残った灰分を水に溶かした水溶液が「酸性」の食品のことであり、アルカリ性食品(alkaline foods)はその逆で水溶液が「アルカリ性」の食品のことである。酸性とアルカリ性とは水素イオン指数(pH)によって測定される水溶液の性質のことであるが、燃焼させて灰分を測定する食品分類の場合には、単純に酸っぱい味がすれば酸性食品、苦い味がすればアルカリ性食品というわけではない。

ただし、一般的にはすっぱい水溶液は酸性であり、苦い水溶液はアルカリ性である。食品の場合には燃焼させて灰にしてから水溶液の性質を測定するので『燃やす前の味』と『燃やした後の酸性・アルカリ性』が異なる場合があるのである。1890年代に、スイスのバーゼル大学の生理学者グスタフ・フォン・ブンゲ (Gustav von Bunge)が、酸性食品の摂取を減らしてアルカリ性食品の摂取を増やすアルカリ食事法(酸・アルカリ食事法)を提起した。

日本ではアルカリ食事法の医学的な有効性のエビデンスはないが、現在でも体液の酸性化(酸化)を抑制するために、アルカリ性食品を取ったほうが良いとする一般的な食事療法は存在する。酸性食品の代表は『肉類・穀物』であり、アルカリ性食品の代表は『野菜・果物・海藻』であるが、自然な食事のメニューの中で両者をバランス良く摂取していれば特別な食事療法を実施する必要性は乏しいと言える。梅干(うめぼし)はよく健康に良いアルカリ性食品と言われるが、食品として食べる時点のすっぱい梅干は酸性食品であり、分類・測定方法によって酸性・アルカリ性の区別が異なってくることも多い。

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タグ:食品 化学 健康
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2008年03月12日

[産業カウンセリング(industrial counseling)と産業心理学(industrial psychology)]

産業カウンセリング(industrial counseling)と産業心理学(industrial psychology)

18世紀のイギリスで始まった産業革命によって、労働集約性と工業の生産性が飛躍的に高まり、資本主義的な経済システムを持つ近代社会が成立した。生産手段の機械化と生産設備の大規模化を進める産業革命は、農業社会から工業社会への産業構造の転換を引き起こし、一般国民の大部分は農民(小作農・自作農)から労働者へとその属性を変えた。産業革命が国民生活にもたらした最大の変化は、国民を『田畑を耕す農民』から『企業・工場・官庁で働く労働者(サラリーマン)』へと変えたことであり、社会構成員の大部分は毎月企業(官庁)から給与を貰う賃労働者になったのである。

経済構造の側面では、『自給自足型の農業経済』から『大量生産‐大量消費の工業経済』への転換が起こった。そして、21世紀の先進国では産業革命に続く情報革命によって、環境破壊問題(公害問題)を抱える工業社会(大量消費文明)からの脱却が模索されている。エコロジーと労働環境(精神衛生)、商品の安全性・信頼性に配慮した『情報化社会(知識労働社会・持続可能な経済社会)』へと産業構造が変化しようとしているのである。現代の先端的な産業は、技術革新(イノベーション)と金融市場(金融工学)、エコロジー(環境配慮性)などに支えられているが、人間はどの産業分野で働くにしても何らかの形で経済活動(労働)と関わっていかなければならない。

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[鈍的外力による挫傷(contusion)・挫創(contused wound)][坐薬(suppository)]

鈍的外力による挫傷(contusion)・挫創(contused wound)

交通事故や運動の怪我などの際に『挫傷(contusion)』という医学的診断を受けることがあるが、挫傷とは刃物などではない鈍的外力(打撲・衝突・殴打)などによって真皮以下の組織が損傷した状態のことである。簡単に言うと、鈍的外力によって皮膚が破けない損傷を『挫傷(ざしょう)』といい、鈍的外力によって皮膚が破ける損傷を『挫創(ざそう)』という。挫傷は日常的なことばでは『打撲(打撲傷)』と呼ばれ、挫創は日常的なことばでは『切り傷・擦り傷』と呼ばれる。鋭的外力(刃物・とがったもの)によって皮膚が切開された傷は『切創(せっそう)』といい、強い外力によって引き裂かれた傷を『裂創(れっそう)』というが、切創や裂創の場合には傷口を縫合(ほうごう)して結紮(けっさつ)しなければならない場合も多い。

挫傷は皮膚が破けていないので出血はないが、『内出血・組織の腫れ・疼痛・関節の機能障害』などを引き起こすこともあるので、湿布を貼るなど適切な処置が必要である。挫傷に対する応急手当としては、患部に冷湿布を貼って包帯などで圧迫固定したり、軽度の打ち身(捻挫)であれば患部を使わないように安静にしていれば良いが、『挫傷を負った部位』によっては整形外科(接骨院)や皮膚科、脳外科などで医学的診断を受けたほうが良い。特に、膝や足首、肘などの関節部分に大きな衝撃(ダメージ)を受けた場合には、関節の可動範囲が狭くなって関節が動かしにくくなる『関節拘縮(かんせつこうしゅく)』を起こす危険もあるので医師の診療を受けたほうが安全である。関節拘縮の治療には半年以上程度の比較的長い時間がかかるが、治療を受けずに後遺症が悪化すると関節部分を動かせなくなることもあるので、打撲後に関節の痛みがあれば検査・診断を受けるべきである。

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[参加的観察(participant observation)・非参加的観察・H.S.サリヴァンの『関与しながらの観察』]

参加的観察(participant observation)・非参加的観察・H.S.サリヴァンの『関与しながらの観察』

基礎心理学や応用心理学では、仮説理論を科学的に検証するために『実験・観察』を行うが、調査したい対象(現象)を観察する観察法には『参加的観察(participant observation)』『非参加的観察(non-participant observation)』とがある。参加的観察法とは観察対象と一緒に活動(生活)しながら、必要な情報(データ)を収集する方法であり、観察されている対象(人物)に『観察されているという印象(違和感)』を余り与えずに観察できるというメリットがある。観察者は、観察の対象となっている集団(人物)に感情移入しながらごく自然に振る舞うことが重要であり、参加的観察では『主観的参加(主観的コミュニケーション)』『客観的観察(客観的な情報収集)』を両立させなければならない。簡単に言えば、なるべく観察者であることを意識させないように振る舞い、相手と自然なコミュニケーションを楽しみながら密かにデータ(情報)を収集するというのが参加的観察である。

非参加的観察法というのは、研究者と観察対象(被検者)の立場を区別して、観察対象となっている集団・個人の活動(生活)に参加せずに客観的な観察だけを行う方法のことである。研究法としての参加的観察法と非参加的観察法のどちらが優れているのかは一概に決めることが出来ないが、『観察対象となっている集団・個人の活動』にどれだけ自然に適応できるのかによってどちらの観察法を用いれば良いのかが変わってくる。観察対象となっている集団・個人は観察者の影響を少なからず受けるが、観察対象の生活活動に自然に溶け込めるのであれば、参加的観察のほうが観察対象に与える影響が小さいと言える。反対に、観察対象の生活活動に上手く溶け込めず、研究者がそれらの活動に参加することによって『対象のいつもどおりの行動・状況』が観察できなくなるのであれば、非参加的観察法を実施したほうが良いと言える。

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2008年02月26日

[統合失調症の陽性症状としての作為体験]

統合失調症の作為体験

統合失調症には、健常者には見られない精神状態が発現する『陽性症状』と健常者に見られる精神運動性が欠如する『陰性症状』とがある。陽性症状の典型的な症状は『妄想・幻覚・興奮』であり、神経伝達物質のドーパミンの分泌量の過剰(ドーパミン神経の受容体の過敏性)が関係しているとされる。統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬(メジャートランキライザー)は陽性症状に対して効果が発揮されやすいが、それはメジャートランキライザーが『ドーパミンD2受容体』に結合してドーパミン系の情報伝達を遮断するからである。陰性症状は、かつて緊張型統合失調症と呼ばれた症例によく見られたもので、脳神経学的な原因としてはドーパミンやセロトニンの分泌量の異常な減少が想定される。陰性症状では、『感情の平板化・意欲減退・無気力・自閉・無為』などの精神活動の著しい低下が見られ、重症化すると他人の言葉や周囲の刺激に殆ど反応しなくなる。

妄想(delusion)というのは『現実的根拠のない間違った事柄を信じ込むこと・修正不能な明らかに間違った信念(考え)を持つこと』であり、最も典型的なものとして『被害妄想・嫉妬妄想・関連妄想』などがある。『誰かに絶えず見張られている・自分を罠にかけて陥れようとしている・陰謀を企む巨大組織(国家機関)が自分を付け狙っている』などの統合失調症の被害妄想が顕著になると、他人がどんなに客観的な証拠や丁寧な説得をしてもその間違った信念(思い込み)を訂正することが出来なくなる。幻覚(illusion)というのは実際に存在しないものを知覚することであり、実際に聴こえない音が聴こえる『幻聴』や実際に存在しないものが見える『幻視』などがある。

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2008年02月18日

[内田クレペリン検査など作業検査(performance test)][作業療法(occupational therapy)とリハビリテーション]

内田クレペリン検査など作業検査(performance test)

臨床心理学の心理検査(心理テスト)は、測定対象によって知能検査と人格検査(性格検査)に分けることができ、測定方法によって『投影法・質問紙法・作業検査』に分けることが出来る。投影法は、無意識的な心理内容や感情変化を、図形(絵画・図柄・文章作成)など何かの対象に投影させて分析する心理テストの方法である。代表的な投影法には、ロールシャッハテストやTAT(Thematic Apperception Test, 主題統覚検査)、SCT(Sentence Completion Test, 文章完成法)、P-Fスタディ(Picture-Frustration Test)などがある。質問紙法とは、選択式の質問項目に答えていくことで、性格傾向や態度、価値観、人間関係の特徴などを測定する一般的な心理テストのことである。

作業検査(performance test)とは、言語的な課題やコミュニケーションを用いずに、『非言語的な運動作業』を被検者に行わせる種類の心理テストであり、作業の結果としてのパフォーマンスから被検者の性格傾向や能力特性を推測するものである。作業検査には、被検者に絵を描かせるバウムテストやTHPテストなどの『描画法』の心理テストも含まれるが、ウェクスラー式知能検査(WISC, WAIS, WPPSI)の動作性検査(絵画完成・絵画配列・積み木模様など)も作業検査の一種である。

最も代表的な作業検査は、内田クレペリン検査(内田クレペリン精神作業検査)であり、入社試験の一環として職業適性検査に用いられることもある。作業検査の測定・評価の対象となるのは『作業過程・作業結果・作業態度』などであり、作業検査の利点は質問紙法の心理テストと比較して『社会的望ましさ(こう答えたほうが結果が良くなるだろうという推測)』が働きにくいということである。

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[催眠療法(hypnotherapy)と催眠医学・催眠心理学(psychological studies on hypnosis)]

催眠療法(hypnotherapy)と催眠医学・催眠心理学(psychological studies on hypnosis)

フランツ・アントン・メスメルの動物磁気説や催眠感受性を利用した暗示療法の歴史については、既に過去の解説記事に書いているが、催眠療法(hypnotherapy)も催眠誘導暗示を用いた心理療法である。催眠療法の適応症は、心身症の身体症状や不安性障害(全般性不安障害)、対人恐怖症的な社会不安障害、強迫性障害の強迫観念、抑うつ状態や焦燥感、感覚的な障害・疼痛(痛み)・チック、爪噛み・抜毛癖の嗜癖(習癖)など様々なものがあり、治療的暗示がスムーズに効果を発揮すれば、相当に広範囲の疾患や障害を改善することが出来る。

しかし、催眠療法はすべてのクライエント(患者)に適用可能なものではなく、治療的・効果的な催眠暗示をどのくらい受け容れやすいのかという『催眠感受性(被暗示性, hypnotic sensitivity)』によって催眠療法の実際の効果は変わってくる。催眠療法は、意識水準が低下して『明晰な意識状態』がぼんやりとした『曖昧な意識状態』に変化した時に治療効果を発現するわけだが、一般的に子どものほうが大人よりも暗示にかかりやすく意識水準が低下しやすいので催眠感受性が高いと言える。催眠感受性と被暗示性は厳密には同じものではなく、認知心理学の錯覚(錯視)のような『視覚の生理学的な歪み』には催眠感受性が関係しているが被暗示性は殆ど関係していない。

一般に催眠療法(暗示療法)において、被暗示性という場合にはセラピスト(クライエント)の『言語的暗示・観念的(感覚的)暗示』にどのくらい強く反応するのかということを意味している。催眠療法の実施によって起こる暗示を受け容れやすいぼんやりとした変性意識状態のことを『トランス状態』ということもあるが、トランス状態を生み出すために確立された系統的技法を『催眠誘導法(hypnotic induction method)』と呼んでいる。

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[ウィーナーのサイバネティクス(cybernetics)とサイバネーション(cybernation)]

ウィーナーのサイバネティクス(cybernetics)とサイバネーション(cybernation)

アメリカの数学者ノーバート・ウィーナー(N.Wiener, 1894-1964)が提案した円環型のシステム論がサイバネティクス(cybernetics)であり、通信理論・生命工学(生理学)・機械工学などの分野に大きな示唆を与えた。従来、システム論では『持続性(フィードバック)のある自己制御機構』としての円環型システムは余り意識されておらず、『原因‐結果の因果関係』に着目する直線型システムがメインであった。N.ウィーナーはサイバネティクスを提唱することによって、結果が原因に作用(フィードバック)することによって自己システムを維持する円環型システムの実用性を指摘したのである。人間の身体の体温調節機能や食欲調整機構も、感覚器官・脳を介在するフィードバック回路を持つサイバネティクスであり、外部情報と内部システムの間にフィードバック回路を作っている機械制御の家電製品などもサイバネティクスである。

そのため、サイバネティクスは『自己制御学』とも言われ、人間の生命システムや機械の作動システムが止まらずに機能し続ける機構(仕組み)を説明する際に用いられることになった。機械工学・通信工学・生命工学などが共有する『持続可能なシステム構築』という課題を、円環的・循環的なフィードバックによって実現しようとしたのがサイバネティクスであり、従来の直線型システム論では説明できない生命や機械の持続的な仕組みの解明に貢献した。N.ウィーナーのサイバネティクスは人間社会全体の自己制御的なシステムを包含するものであり、以下の3つの機構の機能的統合によって成り立つと定義されている。

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[最新中学用B式知能検査][統計データの最頻値]

最新中学用B式知能検査

最新中学用B式知能検査は、中学生を対象とした集団知能検査で『文字言語』を用いずに中学生の知能段階を測定できるものである。最新中学用B式知能検査の問題はすべて『図形・数字』で構成されており、『知覚能力・記憶能力・推理力・注意力』などを具体的思考に依拠して診断することが可能である。問題項目に文字を使用しないので、抽象的な思考能力や文章からの想像力・論理構成力を測定することは出来ないが、数字・図形を使った問題を使って『文字文化・言語能力に依拠しない客観的な知能』を測定できるというメリットがある。

最新中学用B式知能検査の結果には『各教科科目の学力期待値』も出されるので、その生徒の知能水準に応じた教育法の工夫などに役立てることができる。つまり、この知能検査は、『学習到達度の一応の目安』としての役割も果たしており、この生徒の知能水準であればこれくらいの点数が取れるというのが大まかに把握できるようになっている。

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2008年01月31日

[サイコメトリックス(psychometrics,心理統計学)]

サイコメトリックス(psychometrics,心理統計学)

サイコメトリックス(psychometrics)は計量心理学(心理測定法)や心理統計学と訳されるが、統計学的な解析法(量的研究における数理的根拠)を用いて『人間の知能・性格・知覚・感覚・認知・態度・価値観』などを出来るだけ客観的に測定しようとする学問である。心理学研究において問題(研究対象)となる『人間の知能・性格・知覚・感覚・認知・態度・価値観』などの構成概念は客観的に観察できるものではないが、サイコメトリックス(計量心理学)では『人間の行動・反応・質問項目への回答』などを観察して間接的に構成概念を測定していく。正確に言うと、サイコメトリックスとは『人間心理の構成概念(性格・知能・態度・認知・学力)』をどのように測定すれば正確な知見が得られるのかを研究する学問分野であり、構成概念を測定する具体的な方法論を考えていく分野なのである。

標準化された人格検査の心理テストで被検者の性格や行動パターンを理解することができるが、これは性格を直接的に測定しているのではなく、質問紙(心理テスト)への回答内容を見て間接的に測定して理解しているということになる。サイコメトリックスの心理学的な起源は、19世紀のE.H.ウェーバーG.T.フェヒナー精神物理学にまで遡るが、精神物理学では対人関係や感情の変化のような数量的測定の難しい問題は取り扱わず、『重さの変化』を感じる感覚・知覚のような数量的測定に適した問題を取り扱った。精神物理学は、『数式で表現される一般法則(普遍的理論)』を帰納的・経験的に導こうとする物理学を模範とした心理学分野であり、ウェーバーの法則やフェヒナーの法則といった実験に裏付けられた法則を生み出した。

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[サイケデリック(psychedelic)とサイケデリック文化]

サイケデリック(psychedelic)とサイケデリック文化

サイケデリック(psychedelic)とは、1950年代にアルコール中毒患者の治療にLSD(幻覚剤)を投与していたH・オズモンドが作成した用語であり、薬物の作用によって生起した異常な精神状態のことを指している。幻覚剤として知られるLSD‐25(Lysergic Acid Diethylamide, リゼルギン酸ジエチルアミド)は、現実にはない対象を知覚させる知覚障害や宗教的な恍惚感を伴う神秘体験を引き起こす作用を持ち、こういった薬物作用によって生起する特殊な精神状態をサイケデリック(サイケ)と呼ぶ。サイケデリックとは、快楽・陶酔・高揚・恍惚などを伴う特殊な変性意識状態(トランス状態)であり、LSD以外にもメスカリンやフェンサイクリジンなどの薬物によってサイケデリックのトランス状態に入り込むことができる。

サイケデリックを引き起こす薬剤を総称して精神展開薬(psychedelic drug)と呼ぶが、サイケには、心身の健康を侵害する薬物依存症や現実逃避的な文化風潮などを生み出した負の側面もある。サイケデリック(サイケ)は、1960年代の反文明社会的なヒッピー文化やドラッグ・カルチャーの中で大きなムーブメント(流行)となり、実際の薬物を用いなくても多幸感・陶酔感・恍惚感を感じられるような音楽・絵画・芸術文化を指して『サイケ(サイケな雰囲気や特徴を持つ作品)』と呼ばれるようになった。

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